-総説 M Rを用いた脳循環測定 ¥ 五十嵐博中, 片山 泰朗 (脳循環代謝 1 4 :1 7 1 1 8 0,2 0 0 2 ) k s p a c e はじめに L RF この稿では近年の高速 MRI撮影法の実用化に より臨床への応用が可能となった MRによる脳 循環測定法の原理と応用を高速撮影法の原理も含 G s l i c e 「 ユ E E二 コ Gp h a . . 島 RF 』 G s l i c eC h l M a n s f i e l d1 が超高速 MR法の原理として e c h o p l a n a r法(以下 EPIと略す)の原理を発表した のは 1 9 7 7年であったが, MRI性能の制限により その実用化は 1 9 9 0年代まで待たなければならな かった.近年の EPI実用化により我々は脳の中 の動きを持った水分子の s n a ps h o tを得られるよ うに成ると共に,従来の撮影法では撮影時間が長 m r . q ム E二 ユ Eヨ 一 則 叫w めて述べて行きたい. 高速 MRI撮影法がもたらしたもの l j : ; ; : ; 1 2 2 │ m r . q 障幸運 酬盟帥障関 Gp h a . . 図1 .s p i ne c h oと s i n g l es h o tE P I s p a c e上の一 s p i ne c h oにおいては lスキャンにて K 行を各スキャン同じ方向に向かって埋めていく.それ に対し, E P Iは K s p a c eを折り返して埋めていく.S i n s p a c eは 1スキャンで一筆書 g l es h o t E P Iの場合, K きのように埋め尽くされる. すぎて実用的ではなかった各種の撮影法が可能と なった.現在行われている脳循環測定法も撮影の 原理として EPIを用いているものが多く, EPI 転させることにより, MRIの画像構成上必要な の長所・短所は MRIを用いた脳循環撮影法の長 情報(この情報を持つ空間は 2次元の画像収集を 所・短所のーっとなるため,まず EPIの原理と 行う場合, 2次元空間に展開される.この空間を その画像の特性を述べて行きたい. EPIは一度の k s p a c eと言う. ks p a c eを 2次元フーリエ変換 RFパルスによる励起の後,傾斜磁場を高速に反 することにより MRI画像が得られる-)を得る撮 影法である. MRIの性能が高ければ一度の励起 日本医科大学第二内科学教室 干1 1 3 8 6 0 2 東京都文京区千駄木 司 により k s p a c e上の全ての情報を得ることが可能 1-1-5 -171 脳循環代謝第 1 4巻 第 3号 であり,これを s i n g l es h o tEPIと言い,通常脳 水素クリアランス法2)などと同様に血液と組織 血流測定に用いられるのもこの方法である.この の聞で極く短時間に平衡が成り立つ物質を用い 撮影法を用いる事により数十 msecという短時 て,その物質のクリアランスを測定する事により 間で MRI画像の撮影が可能である(図 1 ) . その 脳血流量 ( c e r e b r a lb l o o df l o w=CBF) を測定す 反面,この撮影法の欠点としては, るもので,その基本原理は K e t t yの展開した F i c k の法則の応用 3)が元になっている. 1 ) 勾配磁場の高速な反転が必要である為,機 械の勾配磁場発生装置 ( g r a d i e n t ) に要求される この方法で用いられるトレーサーは溶液あるい スペックが高い.特に今後普及すると考えられる はガスであるが,溶液の場合は何れも水分子の一 3Tなどの高磁場機では静磁場強度に比例して要 部を s t a b l ei s o t o p eで置き換えたものであり,重 求されるスペックが高くなるため,設備が高価に 水 ( D e u t e r i u m2っと酸素で構成された水,以下 なり維持の負担も高くなる. 7 頭文字をとり D20と表記する.)ないしは H/ 0 2 ) 勾配磁場の高速な反転に伴い,出現する渦 が用いられる.両者共その基本的性質は H20の 電流 ( e d d yc u r r e n t ) により画像のボケや位置の それと同じであり, d i f f u s i b l et r a c e rに要求され ずれが出ることがある. る毛細血管と組織の聞での瞬間平衡が成り立っと 3 ) エコー信号を勾配磁場の反転により発生さ 考えられている.現時点では両者共動物実験への せているため,磁化率アーチファクト ( s u s c e p t i - 応用が多くヒトにおける研究4)は殆ど見られてい b i l i t ya r t i f a c t ) が発生しやすく,脳では特に副鼻 ないが, CBFを正確に算出する方法として今後 腔の空気と骨が接するテント下において画像がゆ がみやすい ( a i r b o n ea r t i f a c t ).また,通常の MRI 研究が進められるべき測定法である.測定法に関 しては両者とも D5)あるいは 1706)を直接測定する 撮影法では影響をほとんど受けない上額歯の金属 方法が用いられることも有るが,これらの核種は 補填物でもアーチファクトが出現することがあ 一般の MRI撮影に用いられるプロトン ( H )よ り測定感度が低い為, MRSと同じように s i n g l e る. れも機械の進歩,あるいは撮影法の改良により克 v o x e ls p e c t r o s c o p yからの値として CBFを算出 するものも多く,画像7)としてはかなり荒いもの 服可能なものであり, s i n g l es h o tEPIが可能にし にならざるを得ない.但し,直接測定法では 170 た各種撮影法により MRIの臨床・研究への種々 を用いた場合, の応用が可能になった恩恵は計り知れない. 局所酸素消費量 (rCMR02) との同時計測が可能 などが挙げられる.しかし,これらの欠点は何 0 2吸入との併用により理論的に 1 7 でありペその応用が期待される. 2 . MRIを用いた脳循環測定法 一方, H2170が存在する場合,その組織中の濃 度に比例して, lH-MRIにおける 170を含んだ水分 MRIを用いた脳循環の測定法としては,何れ 子の T 2を短縮させたりペ s p i nl o c k時の縦緩和 も標識された物質をトレースする事により組織循 時間である T 1 Pの o 妊r e s o n a n c e成分を短縮させ 環動態を求めるものであり,次の 3つの方法が用 る効果がある附.また いられている. はc o u p l i n gしている為, 170を d e c o u p l eして間 1 7 H _ 接的に 0濃度を見る方法11)もある.これらの l 1 )d i f f u s i b l et r a c e rを用いた方法 HFOにおいて, 170と H 3 )1 )の応用として血液の水自体を標識する方 MRIを用いて間接的に 170濃度を測定する方法を 用い,測定感度,ひいては空間解像度を高めた研 究も見られる 2 1 . 13 ) 以下の項ではそれぞれの特性,アプリケーショ 凶を用い 一方,ガス吸入による方法では CHF 3 2 )n on-d i f f u s i b l et r a c e rを用いた方法 法 ンを述べる. た方法が試みられている. 2 .1 .n o n d i f f u s i b l et r a c e rを用いた方法 2 .1 .d i f f u s i b l et r a c e rを用いた方法 172- MRを用いた脳循環測定 . DPIの i J I I J定法と造影斉J I 濃度の計算 図2 Iは脳組織を通過する│祭に s u s c e p t i b i l i t ye f f e c tにより組織信号 ボーラスされた造影斉J の」過性の低下を起こすが,この信号低下より図中の式を用い,造影剤濃度が計算で きる ( S o :信号低下前の信号強度. S ( t )時間 tにおける信号強度). トレーサーが血管内に留まり,組織中に拡散し この測定法を用いて CBFを計算する場合, 1 ) トレーサーは組織中に留まらず,組織に流 ないトレーサーを用いて血流を測定する方法であ る. トレーサーの動的な動きを追跡する方法およ 入したトレーサーはすべて静脈から出てくる. r a pされるトレーサーを用いる方 び,血管内に t 2 ) トレーサーが組織中にすべて流入するまで, 静脈からの流出は起こらない. 法の 2つがある. 2 .1 . 1Dynamicp e r f u s i o nimaging トレーサーを可能な限り短時間で血管に注入 などの前提が必要になるが,実際問題として, ある程度の容量をもっトレーサーを注入するた i n p u tf u n c t i o n=脳の し,組織および入力関数 ( め,血流が大きい場合,組織へのトレーサ一流入 r t e r i a l 場合は測定組織に近い動脈が用いられ. a が終わらないうちに流出が始まる可能性があり, i n p u tf u n c t i o n=AIFと呼ばれる.)におけるト この場合 CBFは過小評価される.また, CBFの レーサーの動向を追うことにより CBFをはじ 計算上,測定範囲内における毛細血管の構築はほ c e r e b r a lb l o o dvolume= CBV). め,脳血液量 ( ほ、一定であることが前提になる貯など,定量に関 組織平均循環時間(測定組織中をトレーサーが通 してはまだ,解決されるべき問題の見られる定量 r a n s i tt i m e= 過する時間の平均であり, meant i n g l es h o tEPI法 法である.しかし,前述した s MTTと呼ばれる)などの脳循環パラメーターを を用いた場合,短時間 ( 2分以内)に大脳スライ e r f u s i o nimaging 得るものであり,通常 dynamicp スの測定を完了することが可能であり,急性期虚 (=DP l)と言われる.別!論的には Z i e l e rらの tn- r f i l 性I 血管障害の場合,拡散強調画像との同時計測 d i c a t o rd i l u t i o ntheorem が基本となっており, によりいわゆるペナンブラ領域を描出で、きる可能 1 o l 1 7 3一 脳循環代謝第 1 4巻 第 3号 - ﹄目 一 ・ 一 .. n FF j 一 - 司 目 h h - IF ﹃盟 "E E.E 1 i 1 ー • m EPI E z Jラ " ,;qu. 圃 , 『 ーL ??" t i L ~・ 41 r J 4 a一 I t -- 剛 F l . . . . a . . F. M a F a {p-Pl l E E h 4 1 i 1 ・ 日 ιfJ 一 ー 4 21 11 .I l - -市 a一 i 一 周 --J 岬﹄EBEEt Jll t ib a -- l a . d ih--- iv I l ぃ 市 • ・i d rp z ﹃ . 、 省 ﹃ 、 aJ ‘一 酒﹄ ι a--f-J 一・・ ll - : t一 -Jp i JJ .・i l; 陶 . 7F ι , I E Vr at I J 1R 1 T f iz ム・ 0 'P 司剥・ iJ t?. t Vt 一 1 J 1 . ﹁ ---t噌 イ 区 一日 h . ム l a i ・ ﹄-arl j ' g 1 i ‘ J す プ1 L ・ぃ て・ .J.r i l t 2 LE 1h F da F . ・ . ・ : ・ ・ ・・ -a r . ・ : d ・--h- E ・ ‘・t1 . ‘ . R J・・ h v ,1 rt F 値 . .. 、・-圃・・・・・・ 圃 .- A・ ・ ・・・・・・ .、 圃 ・・・・・・ . 川 、 [ f J D ! l D lY I HV 1 ....... ,. , “ ー::: . . . . . ・・・・・ ・ ・・ ・ . 、, ・ ・ ・ 日 u n .二iIII ・. 巴』ドー R 1 2. . t JA L JF . 哩 . ーl l : : & JE l ・ i I可Ii羽目!w" i ・. ♂I ! " ' ; I ・て. l _...目・~ .' " ~V :;i ".~員 .t ! . . ¥ ' . . : ' 圃 弓. ; . . . .. , . ".: : ~ T J 唱 ヘ ﹃l ・・ ・ ・ 三 . 一 図3 . GEEPIと SEEPIの CBVイメージ 両者を白質の信号強度と皮質血管の信号強度で w indowを合わせた. GEEPIは皮質 血管や静脈洞(矢印)の影響を強く受ける事がわかる. 性問などがあり,注目されている測定法である. スシークエンスの性質上, GEEPIの方が短時間 実際の測定方法としては,同一スライスにおい で多数のスライスの画像を得られ, Gd造影剤の て 1~2 秒間隔に高速スキャンを繰り返しつつガ 注入により大きな信号変化が得られるので,パル ドリニウム (Gd) などの緩和時聞を短縮する造 スシークエンスの選択は,その目的により選択さ 影剤をボーラスすることにより,造影剤通過時の れるべきである. 磁場の乱れ ( s u s c e p t i b i l i t ye 妊e c t ) を原因とした Jは体 また図 2の実測値に見られるように造影斉j 緩和時間の短縮による信号強度の低下から,図 2 内を一度循環した後に再び、頭部へ入るが(これを 右上の式に従い組織中を通過する造影剤の経時的 じめとした各種パラメーター mapを求めるもの s e c o n dp a s sと言う).これにより計算精度が減じ るのを防ぐ為に,画像計算の前に C t( t ) を y関 数で c u r v ef i t t i n gする事も行われる. である(図 2 ).実際の測定パルスシークエンス 次に,撮影後の画像計算の原理を簡単に述べる. な濃度変化 ( C t( t ) )を算出,それより CBFをは p i ne c h o (SE) EPIないしは g r a d i e n te c h o では s わかりやすく説明するために,まず理想的な状態 (GE) EPIが用いられる.この測定法の違いにつ での原理を述べ,次に現実のデータをし、かに理想 いては,後者は大血管の大きな信号変化を拾いや 的な状態に変換するかを述べる. すいというものがある.このため特に GEEPIで 今,一瞬で薬剤の総量を体内に注入でき,通入 撮影された画像から計算された mapは皮質など された薬剤l が組織の入り口まで,拡散しないとい における大血管の高血流を強調する傾向にある う理想的な状態を考える.このとき測定組織にお ( 図3 ) . しかし,前者においても s u s c e p t i b i l i t ye f f e c tにより大血管周囲の組織の信号変化は大きく いて薬剤が到達した瞬間から連続スキャンを行っ なる傾向は小さいながらも存在する.また,パル 1 0, 000個の小さな玉として考えると,組織の測定 田 たと仮定する. トレーサーを静脈中に入れられた 1 7 4 MRを用いた脳循環測定 t i s s u e 領域中にはその領域の CBFに比例した数の玉が 0個の玉が 到達する .たとえばある 測定領域に 8 到達し,他の領域に 1 0 0個の玉が到達 したとすれ 0 :100=4:5であ ば前 者 と後者の CBFの比は 8 t ) の最初の 高 さ れ は CBFに比 る. つ まり FtR( 例す る(図 4 ) . ここで 1 0 0個の 玉が到達 した領 , 4秒 後 に 4個 , 5秒 域 に お い て ,3秒 後 に 2個 , _f α ( t) d t 0個 , 6秒後に 1 8個 の玉が組織から流出し 後に 1 C B VZ 4 Fト一 。σ) ていくと考えると, 3秒後 • I Ca ( t ) d t h( 3 )=2 /1 0 0=0 . 0 2 M廿 R( 3 )=1-0 . 0 2=0 . 9 8 4秒後 R ( 4 )=1一 ( 0 . 0 2+0 . 0 4 )=0 . 9 4 h( 5 )=1 0 /1 0 0=0. l0 R( 5)=1-( 0 . 02+0 . 0 4+0. l0)=0. 8 4 h ( 6 )=1 8 /100=0. l8 6秒後 R ( 6 )=1一 ( 0 . 0 2 + 0 . 0 4十 0. 1 0+0. l8 )=0. 66 i ....(6) CBV . MTT=記'-' CBF h( n)=hn R( n )=1一 (Eh( i) )=O n秒後 CBF 図4 .DPIにおける CBF,CBV,MTTの言十算法 1 ) か ら導き出され る. SVD法では 何れの方法も式 ( 式 ( 2 ) を行列を用いて 解く事により, F tを求める . FT法の場合 C t ( t ),C a (t )をフ ーリエ変換しその比 を,逆フーリエ変換することにより R t ( t ) を求める ) .F tが求まれば,脳の密度 pおよび血液中の ( 式3 I Fと測定組織との比が 血竣成分 k H が占める割合の A 5 ), ( 6 )よ わかれば CBFの値が求まる .さらに ( ,MTTを求める事が出来る . り CBV h( 4 )=4/1 0 0=0 . 0 4 5秒後 CBV 宇 =一 一 ぉ I R t ( t) d t となる. h ( t ) をt r a n s p o r tf u nc t i o nといい, により CBF,CBV,MTTが 算 出 す る ことが 造影剤の総量 を 1とした場合の単位時間ごとの組 可能 である . nond i 任 織から出て行く造影剤の割合である ( しかし 実際の測定では造影剤の注入には時聞 us ab let r a c e rによる脳循環測定の原理は富田の n p u t )ま がかかる上に,組織の入り 口 (入力 =i 総説川こ非常にわかりやすく説明されている). で造影剤が運ばれる時にさらに希釈されることに このとき ,組織中で測 定さ れる造影剤の濃度は関 より入力での造影剤はある程度の時間的な分布を 数 もって到達する .このため,組織で測定される造 t ) と AIFである Ca( t )(通常 影剤の 変化量 は Rt( f 即 時 1- 入力関数としては内頚動脈,中大脳動脈などの大 h勺)批 o n v o l u t i o n( 畳 きな動脈 の AIFを用いる.)の c 込み)である(図 4 ). で表され, Rt ( t )を r e si d uef u nc t i o nという まず, convo l u t i o nを除去しない見かけ上の組 ( 図4 ). 織濃度曲線のみから計算 した CBF,CBV,MTT このとき組織中の平均通過時間は以下の式で求 の画像に意味はあるのであろうか. まず, CBV まる. f は図 4式 5より相対的な値であるが求ま る事 は明 f M廿 = t .h ( t )d t" ' " R t( t)d t e i l e rの理論より 見か け上の らかで有る .一方,Z MTTはこ の曲線からで も求まり, c e n t r a lvolume p r i n c i p l eより CBFの近似値も求ま るが,こ の場 さらに注入した造影剤の総量および測定組織の 合,実際に得られた組織濃度曲線は AIFの影響 e nt r a lvolumep r i n c i p le 質量がわかれば,c 1 75 脳循環代謝第 1 4巻 第 3号 3 3議室を DJ凡 m:E I ¥ IT r BY r [mJJ y 議1 ザ i I しI r十 J 長年犠 移 1題 I 議 義母1 ぷ t ミ I I I ~ 日誌 F , : i ぷと 号 f 訴 . 手 6 4 二 三 7 r j m !t i U I ! T ! l 円 図5 . 本文中の各計算法により計算された DPI計算画像. 症例は発症 2時間後の r . tS t o r i a t o c a p s u l a ri n f a r c t i o nで MRI上右内頚動脈の閉塞が e c o n v o l u t i o nを行わない場合(最下段), MTTは造影剤の a r r i v a lt i m巴の影 ある. D 響を強く受ける.しかし,実際の血流低下領域は CBFi n d e xi m a g eにおいて明確に IFを健常側にとった場合 U:段 AIF=L),左内語、動 描出されている. SVD法では A 整流領域での血流の遅延の影響が強く. MTT延長領域, CBF低下領域は過大評価 脈j される.それに対し, FT法では健常側に AIFを取ってもそのような過大評価は見 られない.上記 mapの作成には, SVDでは O s t a r g a a r dらにより作られたプログラ ム20'を , FTi 去は D r .View' LINUX (1也化成情報システム社製)を用いた. を強く受けるために,図 5,最下段に見られる様 次に c o n v o l u t i o nを 除 去 (d e c o n v o l u t i o n ) する に MTTは主幹動脈の狭窄による流れの遅れ(造 方法であるが,現在用いられているのはフーリエ 影剤 a r r i v a ltime,図 5最 下 段 枠 内 の 一 番 右 ) の 変 換 に よ る 方 法 (FT法 川 お よ び 濃 度 曲 線 の 変 影響を大きく受ける. しかし,この比較的簡単な 化を数列とみなし連立方程式を組み立て,特異値 計算で求まる CBFの近似値(我々は CBFindex 分解 ( S i n g u l a rValueDecomposition=SVD法 201 と呼んでいる)でも,血流低下部位を画像的に確 により F t R t ( t ) の最初の高さ Ft (CBFに比例す 認でき,超急性期の脳梗塞などの早急に治療の る)を求めるものである.現時点ではどちらの方 d e c i s i o nmakingが 可 能 で あ る こ と よ り , 定 性 的 法も一長一短であり,優劣はつけがたい.著者ら な評価としての使用は可能である.我々はこの計 は通常 SVD法により CBFを計算しているが図 5 算法で得られた CBFindex低下部位が DWI陽性 B の如く SPECTの値と良好な相関を得ている. 領域より広い場合,梗塞は拡大し,最終的に CBF 図 6に各方法により計算した同一症例の画像を, indexの視覚的な低下部位と良く 表 1に DPIの 画 像 計 算 ま で の 方 法 の 選 択 と そ れ 宇致すること, ぞれの特徴をまとめた. 病 側 CBFindexの 対 側 比 は SPECTよ り 計 算 さ れた他と相関すること(図 5 A )を確認している. 2 .1 .2 S t a t i cp e r f u s i o nimaging 1 7 6 M Rを用いた脳循環測定 A . A . 。 4ir=0.915 2 1 s M鵬 r = 0 . 7 8 5 slope=0.746 S 電 R 邑1.4 2 ム68 . 1 . 8 84 2 .2 1 . 4 t6 1 .8 o 2 . 4 6 . 8 1 1 99m-HMP SPECT(Tc AO)対 側 比 E ;。 . 4 1 _ 6 1 _ 8 . 2 1 2 4 6 8 1 1 SPECT(Tc99 HMPAO)対 側 比 回目 図6 . DPIと SPECTの定量値の比較 何 れ も , 急J 性期の脳梗塞症例で MRIと SPECTを連続して測定し得たものから得た, 梗塞半球の対側との比. SVD法にて非常に良い相関が得られているのがわかる. 表 1. DPIにおける手法の選択と各々の特性 1.造影剤の選択 p i r a m i d e (Dy-DTPA-BMA) などの d y s p r o s i u m製剤の方が信号 日本では Gd造影剤が用いられるが, S の低下は強い(即ち計算画像の S/Nが良く,このためコントラストが大きい.). 2 . 撮影法の選択 1 . GE-EPI 長所:SEと同じ TRで s l i c eを稼げる. SEに比し,信号低下が強い. 短所:大血管の信号が強く描出される. a i r b o n ea r t i f a c tに弱い. 2 .S E-EPI 長所:大血管の信号の影響が弱い. GEに比し a i r b o n ea r t i f a c tに強い. 短所:GEに比し信号低下が弱い. 3 . yf i t t i n gの有無 yf i t t i n gにより s e c o n dp a s sの影響を防ぐことが出来る. 4 .d e c o n v o l u t i o nの有無 1 .d e c o n v o l u t i o n (-) 長所.計算が簡単・早い.脳梗塞急性期の評価は充分可能. 短所:定量性が低い. 2 . SVD法 長所:元画像の S/Nが低くても定量性が保たれる. t ( t ) の問に d e l a yや d i s p e r s i o nがあると CBFが過小評価される. 短所:AIFと C 3 . FT法 長所 AIFの S/Nが充分に良ければ d e l a y,d i s p e r s i o nの影響を受け難い. 短所:元画像の S/Nが低いと定量性が落ちる. CBFmapは CBVの影響を受ける. 一方,組織内には漏出しないものの,造影剤注 測する手法である.この特性を生かし,脳内に流 入後毛細血管に trapされ,緩和時間を変化させ れ込んで、くる血液のスピンにあらかじめ操作を加 る物質を用いれば, CBVの経時的測定が可能で える事により変化させる事が出来る.このとき, ある.現時点では動物実験への応用のみであるが, この画像と流入する血液のスピンに変化を加えて Magnetite (Fe304) いない画像との差分をとれば,脳組織の信号は相 な ど の superparamagnetic iron-oxidenano-particlesを用い, CBVを経時的 殺され,スピンの変化しているもの,即ち流れ込 1,2 2 > に追った報告が見られる 2 んでくる血流のみを画像化出来る.実際には通常 の MRI画像中の血流の占める部分は極わずかな 2 . 2 . 動脈血中の水を標識する方法 MRは実際には種々の分子のスピンの挙動を観 ので,差分を積算しなければならず, EPIの実用 177 lJ必循環代謝第 ト - Td J 1 4巻 第 3ぢ TE一一一一一-j AAwA ? r e a do u t ‘ 一 四 ト ' + 血I I I のスピン 観測組・のスピン o f VOI . . + nuU FAIR x30= 図7 . FAIRi 去の原理 発症 3U ; rI l J の左│人l i j l r . i 動脈問答 f y l ) . 比較として DPIによる CBFmapを載せた. 化により始めて│臨床への応用が聞けた. の向上がまだなされるべき測定法であり,原理上, この測定法の原理を現在臨床にて使射され始め Jを使用 マルチスライスの侃影が難しいが,造影斉I た FAIR( Fl ow-sensi t iveal t e r n a t i n gi nv e r s i o nr e - しない CBF測定法として則待がもたれている. I J G I7).基本的に coveryZ 3 ) ) を用いて説明する ( 他にも,原理は同様であるが,測定スライスの上 は通常の撮影パルスシークエンスの前に 1 8 0I 支反 e c h o 下に交互に反転パルスをかける EPISTAR ( 転パルスを付加し,スピンを反転させることによ p l a n a rimagi ng ands i g n alt a r g e t ing w i t h al t e r - ( l l流のスピンを操作する . まず, i [ J J I定スライス りJ に直 n a t i n gr a d i of r e q u ency2 4 1),測定スライス而 i 8 0)支反転パルスをかけ, 厚と同じスライス厚で 1 交して流れる水に対 し , 弱い RFパルスを持続的 しばらく ( 図 7の Td)待 った後に通常の測定を にかける司Iにより 生 じる adi a b a ti cf a s tpassage 行う .こ のときスライス中のスピンは 1 8 0度反転 により血流巾の水パルスが 1 8 0度反転する性質を しているが,待ち時間 Tdの聞にスライス内に流 利用し,マルチスライスを比較的 S/ N良く取る 入してくる血液のスピンは反転していない.次に 事 を 可 能 に し た CASL ( c o n t i nuousa r t巴r i a ls p i n 測定スライス厚より厚いスライス厚でパルス反転 l abel i ng却などの方法も試みられている ( 1 き1 8 ). を行 った測定を行う . このとき,血液の流入側の これらの方法を用い CBFの定量 を待ょうとする 隔では血液,組織ともスピンの反転が ある 一定の l 試みも見られている 加が , I~~I{; 床においては,現 H守 起きているので,測定スライス内に流入している 点ではその S / Nの低さより定性的な評価に用い 血液もスピンは反転している事になる.この二つ られている . 流のみを反映した の画像の 差分を取る事により 泊l 画像が得られるが,図 7に見られるように 一つの 終わりに / Nが悪いので,画像の加算を行 差分だけでは S い評価に耐え得る画像を得る.現時点では S! N -1 7 8一 以上, MRIを J . I .Jいた脳循環測定法の原理I Iと方 MRを用いた脳循環測定 法を紹介した. MRI (ないしは MRS) はその測 定方法により種々の分子の状態を観測することが 可能なため,脳循環測定へのアプローチも多岐に 渡る. MRI測定自体はほぼ無侵襲である事と, 最近の M Rの高性能化により現時点では実験的 な手法に留まっているものも,将来臨床への応用 が期待される. 文 献 1 )M a n s f i e l dP: M u l t i p a n a rimagef o r m a t i o nu s i n g NMRs p i ne c h o e s .J o u r n a lo fP h y s i c a lC h e m i s t r y : ,1 9 7 7 S o l i ds t a t ep h y s i c s1 0 :155-158 e r l i n e rRW: M e a s u r e 2 ) AuklandK,BowerBF,B mento fl o c a lb l o o df l o ww i t hh y d r o g e ng a s .C i r c R e s . 1 4 ,1 6 4 一1 8 7 ,1 9 6 4 3 ) KetySS: Thet h e o r ya n da p p l i c a t i o n so ft h ee x c h a n g eo f i n e r tg a sa tt h el u n g sandt i s s u e s .P h a r .1 9 5 1 m a c o lR e v .3 :1-41 o l i n s e kJ,H a n k i e w i c zJ,DujovnyM, 4 )F i a tD,D AusmanJ:D e t e r m i n a t i o no fr e g i o n a lc e r e b r a l oxygenc o n s u m p t i o ni nt h ehuman: 1 70n a t u r a l a b u n d a n c ec e r e b r a lm a g n e t i cr e s o n a n c ei m a g i n g ands p e c t r o s c o p yi naw h o l ebodys y s t e m .N e u r o l R e s .1 5 : 2 3 7 2 4 8 .1 9 9 3 e r k l eH,H e n d r i c hK,StaewenRS, 5 )R o s sBD,M GarwoodM : S p a t i a l l yl o c a l i z e di nv i v o1H magn e t i cr e s o n a n c es p e c t r o s c o p yo fa ni n t r a c e r e b r a l r a tg l i o m a .MagnResonMed.2 3 :96-108,1 9 9 2 ,L i g e t iL,R u t t n e rZ,LyonRC,S i n n w e l l 6 )P e k a rJ e l d e r e n p,F i a t D, Moonen CT, TM,van G M c L a u g h l i nAC: I nv i v omeasuremento fc e r e b r a loxygenc o n s u m p t i o nandb l o o df l o wu s i n g1 7 o magnetic resonance imaging. Magn Reson Med.21:313-319,1 9 9 1 , AE skeyCJ,K o r e t s k yAP:Measurement 7 )D e t r eJ o fc e r e b r a lb l o o df l o wi nr a tb r a i nby1 9F-NMR d e t e c t i o no ft r i f l u o r o m e t h a n ew a s h o u t . Magn ,1 9 9 0 ResonMed.1 5: 45-57 ,S i n n w e l lT,L i g e t iL,C h e s n i c kAS,Frank 8 )P e k a rJ A ,M c L a u g h l i nAC:S i m u l t a n e o u smeasurement J o fc e r e b r a loxygenc o n s u m p t i o nandb l o o df l o w u s i n g1 70and1 9Fm a g n e t i cr e s o n a n c ei m a g i n g . JC e r e bB l o o dFlowM e t a b .1 5 :312-320 ,1 9 9 5 t u d yo ft h ep r o t o nt r a n s f e ri n 9 ) MeiboomS,NMRs w a t e r , JChemP h y s .3 4: 375-388,1 9 6 1 h a r a g u n d l aSR,SongHK,ReddyR, 1 0 )R i z iRR,C S t o l p e nAH,S c h n a l lMD,L e i g hJ S: P r o t o nT 1 .9T .J r h o d i s p e r s i o ni m a g i n go fr o d e n tb r a i na t1 M a g n e t i cR e s o n a n c eI m a g i n g . 8:1 0 9 0- 1 0 9 6, -179- 1 9 9 8 RS t o l p e nAH ,C h a r a g u n d l aS , RI n s k oE, K 1 1 ) Reddy, L e i g hJ S:1 7O d e c o u p l e d1H d e t e c t i o nu s i n ga d o u b l e t u n e dc o i . lM a g n e t i cR e s o n a n c eI m a g i n g . 9 9 6 14:1073-1078,1 o p k i n sAL,B e l l i v e a uJW,C h e s l e r 1 2 ) KwongKK,H c K i n s t r y RC:F i n e l l i DA DA,PorkkaLM,M H u n t e rG ] .MooreJ B .B a r rR G .P r o t o nNMRi m s i n gH2 ( 1 7 )O . a g i n go fc e r e b r a lb l o o d丑owu MagnResonMed.2 2 :154-158,1 9 9 1N o v . 1 3 )A r a iT,NakaoS,MorikawaS,I n u b u s h iT,Y o k o i h i m i z u, KM o r iK: Measuremento fl o c a lc e r e T,S b r a lb l o o df l o wbym a g n e t i cr e s o n a n c ei m a g i n g: i nv i v oa u t o r a d i o g r a p h i cs t r a t e g yu s i n g1 70 l a b e l e dw a t e r .B r a i nResB u l . l4 5 :451-456 ,1 9 9 8 .L i g e t iL,S i n n w e l lT,MoonenCT,Frank 1 4 )P e k a rJ J A ,M c L a u g h l i nAC:1 9 Fm a g n e t i cr e s o n a n c ei m a g i n go fc e r e b r a lb l o o df l o ww i t hO .4 c cr e s o l u t i o n .JCerebB l o o dFlowMetab1 4 :656-663, 1 9 9 4 1 5 )Z i e l e rKL: T h e o r e t i c a lb a s i so fi n d i c a t o rd i l u t i o n methodsf o rd e t e r m i n gb l o o df l o wandv o l u m e . C i r cRes1 0: 3 9 3 4 4 7 .1 9 6 2 h e s l e rD,BoxermanJL,R o s e n 1 6 )W e i s s k o f fRM,C BR: P i t f a l l si nMRmeasuremento ft i s s u eb l o o d f l o ww i t hi n t r a v a s c u l a rt r a c e r s:which mean t r a n s i tt i m e ? MagnR e s o nMed.2 9 :553-558, 1 9 9 3 e n f i e l dA,B a i r dAE,S i e w e r tB, 1 7 )S c h l a u gG,B L o v b l a dKO,P a r k e rR, AE delmanR, R WarachS: Thei s c h e m i c penumbra:o p e r a t i o n a l l yd e f i n e d byd i f f u s i o nandp e r f u s i o nMR I .N e u r o l o g y .5 3: ,1 9 9 9 1528-1537 1 8 ) 富田稔.脳循環測定の理論.脳卒中ハンドプツ 9 3 ク.佐野圭司監修.アイピーシー.東京. 1 2 1 4 ,1 9 8 9 i k eJR: Ad e c o n v o l u t i o nmethodf o r 1 9 )G o b b e lGT,F e v a l u a t i o ni n d i c a t o r d i l u t i o nc u r v e s .PhysMed ,1 9 9 4 B i o l .3 9 :1833-1854 e i s s k o 妊 R, C h e s l e rDA , G y l d e n 2 0 )O s t e r g a a r dL,W s t e dC,R o s e nBR: H i g hr e s o l u t i o nmeasurement o fc e r e b r a lb l o o df l o wu s i n gi n t r a v a s c u l a rt r a c e r b o l u sp a s s a g e s .P a r t1:M a t h e m a t i c a la p p r o a c h ands t a t i s t i c a la n a l y s i s .MagnR e s o nMed.3 6: 9 9 6 7 1 5 一7 2 5,1 a s a m a t aM,J e n k i n s 2 1 )Z a h a r c h u kG,YamadaM,S BG,MoskowitzMA,RosenBR:I sa l lp e r f u s i o n w e i g h t e dm a g n e t i cr e s o n a n c ei m a g i n gf o rs t r o k e e q u a l ?Thet e m p o r a le v o l u t i o no fm u l t i p l ehemodynamicp a r a m e t e r sa f t e rf o c a li s c h e m i ai nr a t s 巴l a t e dw i t he v i d e n c eo fi n f a r c t i o n .JC e r e b c o r r B l o o dFlowM e t a b .2 0: 1341-1351,2 0 0 0 脳循環代謝第 1 4巻 第 3号 2 2 ) MuramatsuH,I g a r a s h iH,OkuboS,KatayamaY: M o n t e p l a s er e d u c e si n f a r c tvolumeandh e m o r r h a g i ct r a n s f o r m a t i o ni nr a tmodelo fe m b o l i c s t r o k e .N e u r o l o g i c a lR e s e a r c h, I nP r e s s , 2 0 0 2 s e k o s NV, Ashe ]:M u l t i s l i c e 2 3 ) Kim SG, T f u s i o n b a s e df u n c t i o n a lMRIu s i n gt h eFAIR p巴r t e c h n i q u e: c o m p a r i s o no fCBFandBOLDe f f e c t s . NMRi nB i o m e d i c i n e . 1 0 :1 9 1 1 9 6 . 1 9 9 7 l yBM,S c h l a u gG,DarbyDG,T h a n 2 4 )S i e w e r tB,B o m p a r i s o no f g a r a jV,WarachS,EdelmanRR:C t h eBOLD-andEPIST A R t e c h n i q u ef o rf u n c t i o n a lb r a i ni m a g i n gbyu s i n gs i g n a ld e t e c t i o n -180一 t h e o r y .M a g n e t i cR e s o n a n c ei nM e d i c i n e .3 6: 92 5 5,1 9 9 6 2 4 2 5 )W i l l i a m sDS,D e t r e]A,L e i g h] S,K o r e t s k yAP: M a g n e t i cr e s o n a n c ei m a g i n go fp e r f u s i o nu s i n g s p i ni n v e r s i o no fa r t e r i a lw a t e r .PRONAS.8 9: ,1 9 9 2 212-216 2 6 ) WongEC,BuxtonRB,FrankLR:A t h e o r e t i c a l ande x p e r i m e n t a lc o m p a r i s o no fc o n t i n u o u sand p u l s e da r t e r i a ls p i nl a b e l i n gt e c h n i q u e sf o rq u a n t i t a t i v ep e r f u s i o ni m a g i n g .M a g n e t i cR e s o n a n c e 9 9 8 i r iM e d i c i n e .4 0 :348-355,1 .原著 ラット脳虚血再潅流モデルにおける Tempolの脳保護効果 加藤徳之,谷申請之,兵藤行志二本間一弘*,永瀬宗重ぺ 平山 暁",松村 明,兵頭明夫,能勢忠男 要 0 = . 回 中大脳動脈虚血再 i 墓流モデルにおいて,微小透析法を用い 2 ふDHBA ( d i h y d r o x y b e n z o i ca c i d ) を測 定することにより,虚血再潅流中のヒドロキシルラジカルの産生時期を測定解明した.また,ヒドロキ シルラジカル消去能を有する 4 H y d r o x y 2, 2, 6, 6 , T e t r a m e t h y l p i p e r i d i n e N O x y I( T e m p o I ) の脳保護 h i o b a r b i t u r i ca c i dr e a c t i v es u b s t a n c e s (TBARS) と脳梗塞体 効果について,脂質過酸化の指標である t 産流時の生理食塩水投与群 ( n= 8 ),再i 整流 1 5分前の Tempol( 2 0mg/kg) 積を測定し比較検討した.再i 投与群 ( n=8),再濯流時の TempoI投与群 (n=8) の 3群で 1時間虚血,再潅流後 4時間にて評価し , 3-DHBAは虚血周辺部で再潅流早期に上昇し ( p < 0 . 0 5 ),再 j 産流早期のヒドロキシルラジカルの た. 2 関与が示唆された.再i 産流時の Tempol投与群が生理食塩水投与群と比べ有意に TBARS値が低く,脳 pく 0 . 0 5 ).再潅流前 1 5分投与では脳保護効果は認めなかった.再 i 産流時には 梗塞体積が小さかった ( ヒドロキシルラジカル産生が克進し, Tempolの再潅流時投与が脳保護効果を有することが証明された. (脳循環代謝 1 4:1 8 1 1 8 9,2 0 0 2 ) キーワード:虚血再潅流,ヒドロキシルラジカル,脂質過酸化,微小透析法,サリチル酸 ジカルが関与することが報告されておりトペ活 はじめに 性酸素ラジカル種の中で特にヒドロキシルラジカ ルの細胞障害性が高く,細胞膜脂質を過酸化して 脳虚血後に栓子の融解などにより血流が再開さ 細胞死を誘導すると考えられている.このヒドロ れると虚血脳細胞に多量の酸素化血液が供給され キシルラジカルを消去することにより脂質過酸化 る.この際活性酸素種のフリーラジカルが生成さ を抑制し,虚血再謹流による細胞障害を軽減する れる.正常脳細胞であればラジカル消去が正常に ことが期待される. なされるが,虚血脳細胞においては,フリーラジ 4 h y d r o x y l 2 , 2 , 6 , 6 , t e t r a m e t h y l p i p e r i d i n e N ・ o x y l カルによる細胞障害が前面に出ることになり再謹 (Tempo l)はピペリジン環をもっニトロキシル化 流障害が進行する.この再i 藍流障害にはフリーラ 合物であり(図 1 ),E l e c t r o nParamagneticR e s o - nance (EPR) を用いたラジカル測定分野ではス 筑波大学臨床医学系脳神経外科 *産業技術総合研究所 ..筑波大学臨床医学系腎臓内科 干3 0 5 8 5 5 8 茨城県つくば市天久保 ピンラベル剤として用いられており,ヒドロキシ ルラジカルを捕捉することが知られている.ニト 1-3-1 ロキシル化合物は, 1 ) ヒドロキシルアミンへの -181 脳循環代謝第 1 4巻 第 3号 T e m p o l ( 4 h y d r o x y 2, 2 , 6, 6 匝甘副n e t h y l p i p e r i d i n e N o x y l ) 減期の短い Tempolの投与時期による脳保護効果 の違いにつき検討を行った.まずヒドロキシラジ H カルの発生時期を知るため,虚血・再潅流時にお けるヒドロキシルラジカル発生量を微少透析法を H3 CH 3 H3 CH 3 用いて分析した.次いで Tempol投与,非投与群 で虚血・再潅流モデルを用いて患側大脳半球での 過酸化脂質量 ( t h i o b a r b i t u r i ca c i dr e a c t i v es u b - s t a n c e s:TBARSとして検出)ならびに脳梗塞 体積を測定し比較検討を行った. e m p o lの化学構造式 . ニトロキシル化合物 T 図1 対象ならびに方法 可逆反応においてスーパーオキサイドディスム 実験動物として体重 250~350 g( 約 8週齢)の ターゼ様にスーパーオキサイドを消去する. 2 ) 雄性 Sprague-Dawleyラット(株式会社チヤール フェントン反応における Fe を酸化するため, スリバー)を用いた.ザイラジン 13mg/kg,ケ 2 過酸化水素と反応する Fe +を減少しヒドロキシ タラール 87mg/kgの混合静注麻酔薬にて導入 ルラジカルの産生を抑制する.これらスーパーオ 後 , 70%笑気, 2%ハロセンの吸入麻酔で全身麻 2 + キサイド消去からのヒドロキシルラジカル産生抑 酔を維持して中大脳動脈塞栓の手術を施行した. 制,フェントン反応からの産生抑制に加え,ニト 手術中ならびに薬剤投与前後は血圧,直腸温,動 ロキシル化合物とヒドロキシルラジカルとの直接 脈血ガス分析をモニターした. 反応による消去系からもヒドロキシルラジカル産 生を抑制すると考えられている日) 量を検討するために,中大脳動脈塞栓モデルに微 Tempolは心筋虚血障害の抑制8),肺浮腫の軽 小透析法を組み合わせて,ヒドロキシルラジカル 減ぺ NO合 成 系 へ の 関 与 か ら 高 血 圧 の 改 善 効 虚血・再濯流時のヒドロキシルラジカルの産生 とサリチル酸の反応物質である 2, 3 d i h y d r o x y - 果1へまた多臓器不全への効果ωなどの生体保護 b e n z o i ca c i d( 2, 3-DHBA) を測定し間接定量を 効果が多く報告されている.脳虚血の分野では n=1 0 ) . 行った ( ラット中大脳動脈閉塞モデルでの脳梗塞抑制効果 続いて,ヒドロキシルラジカル補足消去能を有 が証明されている 12) また砂ネズミ一過性全脳虚 する Tempolの投与時期による脳保護効果の検討 血モデルにおける脳浮腫,過酸化脂質産生の抑制 のために,中大脳動脈塞栓モデルを以下の 3群で ならぴに海馬における好中球集積抑制効果ペウ 比較した.再擢流時に生理食塩水を投与した群: サギ脳塞栓モデルにおいては組織プラスミノーゲ Group1 ( n=8 ),再 i 藍流時に Tempo120mg/kg ンアクチベターに起因する脳出血の抑制効果が報 投与群:GroupI I( n=8 ),再濯流前 1 5分に Tem- 告されたベ I I( n=8 ) とし, pol20mg/kg投 与 群 :GroupI Tempolは細胞膜透過性を有するとされてお 虚血 1時間後に再謹流し,再j 墓流後 4時間の時点 り,細胞膜,蛋白質,核酸,糖質など細胞内構成 で各群の TBARSと脳梗塞体積を測定し比較検討 成分すべてに核酸律速に近い速さで反応する.そ した.薬剤投与はすべて右大腿静脈経由としシリ して Tempolは生体内で還元反応からヒドロキシ ンジポンプを用いて約 1 0分間で静脈内投与を ルアミンとなり,加えて経時的な排世により生体 行った. Tempol投与量は 25mg/kg以上の投薬 内では数分から数十分以内にその EPRシグナル が観察されなくなると報告されている附)今回 では体血圧を低下させるという報告からペ 20 mg/kgを選択した. 我々は Tempol投与による脳保護効果の検討と半 -182一 本研究での動物実験は,筑波大学動物実験倫理 ラット脳虚血再潅流モデルにおける Tempolの脳保護効果 定器を用い Bregmaから1.25mm前方,矢状縫 委員会の承認のもと施行した. 合から 2.6mm側方,頭蓋骨外板から 2.5mm腹 1 ) 中大脳動脈塞栓モデル作成 塞栓糸による中大脳動脈閉塞は小泉らによって 側の線状体へプローベ用ガイドを設置した.手術 報告され,人間の脳塞栓症に近いモデルとして多 i 、イド設置術の侵襲に伴う脳 操作から回復させ ,i くの基礎研究で用いられている 17.1副.塞栓糸の加 内伝達物質系への影響を最小限にするために 2 , 3 - 工法には 4 ー 0ナイロンの先端を熱により球状に変 DHBA測定実験の約 1週間前にガイドを設置し -0ナイロン糸を用いるものなどの変 えるもの, 3 た.使用した微小透析用プローベは CMA/Mi ・ 法の報告があるが,我々は 4 ー 0ナイロン糸の先端 c r o d i a l y s i s社(スウェーデン)製 CMA12で 透 部にシリコンコーティングを施した塞栓糸を作成 析 膜 は 直 径 0.5mm,長さ 4.0mmで,実験前日 し使用した 19-2九仰臥位にて頚部正中切聞を行い の約 2 4時間前に経ガイド的に挿入し,これに実 右総頚,外頚,内頚動脈を露出し,外頚動脈の分 . 5時間前から人工髄液を濯流させ,先述の 験約 2 枝である上甲状腺動脈,後頭動脈を凝固切開し, 一過性局所脳虚血モデルを用いて虚血・再潅流を 内頚動脈の分枝である翼突口蓋動脈を結紫の後, n=1 0 ) . 全身麻酔下に実験を行い血圧 行った ( 外頚動脈を可能な限り遠位にて凝固遮断切離し 測定・動脈血ガスをモニターした.ヒドロキシル た.総頚動脈ならびに内頚動脈をクリップにて一 ラジカルを検出するためにサリチル酸 (5mM) 時遮断しつつ,外頚動脈の断端に小孔を作成しそ を混入した潅流液で約1.0 μl / minの速度でプロー 0 こから内頚動脈に向けてナイロン栓糸を約 2 ベ内を潅流させ,虚血導入 1時間前から再謹流後 m mほど遠位へ進め固定した.解剖学的に約 2 0 m m挿入部が中大脳道動脈分岐を越え前大脳動脈 側カミらの血流遮断とともに内頚動脈から中大脳動 2時間 3 0分まで,検体を回収した.検体は 1 5分 5 μ lを回収し 1検体とし, BAS社(日本) 間隔で 1 製 HPLC装 置 (BASPM6 0,CMA2 4 0 ) を用い 電気化学的検出 (BAS検 出 器 LC4C) にて 2 , 3 - 脈への順行性血流が遮断され中大脳動脈の虚血を 0分後は再度 DHBAを定量した.再潅流 2時間 3 得ることができる. 1時間虚血の後この栓糸を引 ザイラジン,ケタラールの静注にて麻酔後,断頭 き抜くことで再濯流させた.本モデルでの虚血の により脳組織を摘出し 2%塩化テトラゾリウム へ栓糸が挿入された位置で前交通動脈を介した対 再現性は 4時間後の脳梗塞体積, TBARS検討で ( 2,3 ,5t r i p h e n y l t e t r a z o l i u mc h l o r i d e:TTC) 染 は 5頭 ( 17%) が術後の麻酔覚醒下で麻癖の所見 色を行い脳梗塞の有無を確認し,この際プローベ , 3 ・ DHBA測定で が認められず除外した.また 2 先端の位置が脳梗塞の中心部 ( n=5 ) ,辺縁部 ( n は持続麻酔のため症状からの判定ではなく,測定 =5) に位置するかで 2群に分け, 2 , 3-DHBA量 終了後断頭により摘出した脳の TTC染色にて脳 の比較検討を試みた. ・ 梗塞の認められなかったものが 4頭 (28%)あり, 3 ) TBARS測定 全体で 3 4 / 4 3頭 (79%) に脳梗塞を認めた. 組織から遊離する TBA反応性物質と TBAの 2 )2 ,3DHBA測定 反応で生じる赤色色素の定量により,脂質の過酸 ヒドロキシルラジカルはサリチル酸との反応に 化度を測定する方法であり,当初 TBARSは脂質 より安定な 2 , 3-DHBAと 2 , 5 ・ DHBAを生じる. 2, ヒドロベルオキシドから遊離するマロンジアルデ 5 ・ DHBAは生体内でチトクローム系からも産生さ れるので 2 , 3 ・ DHBA治宝ヒドロキシルラジカルと ヒドだけと考えられていたが,その後の研究によ サリチル酸の反応に特異的と考えられている.サ ヒド類,さらにはある種の脂質酸化生成物とタン リチル酸トラップによるヒドロキシルラジカルの パク質の酸化生成物も含まれることが判明した. 定量には過去の報告に従い,以下の部位,プロー そのため TBARS測定は脂質過酸化物に非特異的 ・ り脂質ヒドロベルオキシド, MDAを含むアルデ ベ,解析機器を選択した盟国)前述のキシラジン, ではあるが高感度,簡便であり,組織全体の酸化 ケタラールの混合静脈麻酔下に定位脳手術頭蓋固 度に対する指標として有用で、あり 24田},現在様々 -183 脳循環代謝第 1 4巻 第 3号 2, 3-DHBAI { 直 800 700 600 一←虚血周辺部 一・一虚血中心部 200 1 0 0 。 再潅流 1 5 分/目盛り 図2 . 虚血中心と周辺部での 2 ふDHBA産生量 ふDHBAの上昇が認められる.再語主流後は早 虚血中心部ならびに周辺部で虚血中の 2 ふDHBAの産生が大きく充進し,虚血中心部との統計学的比較で 期に虚血周辺部で 2 < O . 0 5 ) . 有意差を認めたい p な研究報告で広く用いられている制. TBARS測 積を算出した. 定法は比色法による組織中の過酸化脂質の定量法 脳浮腫の因子を取り除くための Swansonの補 に準じ施行した回.摘出脳切片が徴量であるた 韮流 4時間であり染色標本 正については今回,再i め,摘出脳切片の患側半球全てを検体とし湿重量 の脳浮腫は強く認められなかったため本研究では を測定し, 9倍量の1.15%KClを加え,テフロン 施行しなかった. ホモジナイザーを用い組織のホモジネートの作成 5 ) 統計 を行った.次いでホモジネートの 0.2mlに,脂 実験結果は,すべて平均値±標準偏差 (mean u t y l a t e d h y d r o x y t o l u e n e 質過酸化の防止のため B 土S D) 1 0凶を添加した剖.ここに TBA試 薬 を 加 え た two-wayANOVA ( A n a l y s i so fv a r i a n c e ) を用い 後,加熱反応により発色させ吸光度を測定した. て検討を行った.TBARS値,脳梗塞には one-way で表示し, 2, 3 ・ DHBA値の群間比較には ホモジネートのかわりに 0.2mlの1.15%KClを ANOVAを 用 い 検 定 し た . 群 聞 の 比 較 に は e t r a m e t h o x y p r o 用いたものを盲検,また 2mlt ANOVAに加え Dunnettの多重比較検定での検 pane標準液を用いたものを標準試料として上記 討を加え,危険率 p<0.05を有意と判定した. の同様の操作の後,盲検を対照に 535nmの吸光 結 果 度を測定した. TBARS量は,検体の吸光度/標 準試料の吸光度 x1 0 0( nmo l /g湿重量)で算出 した. 1 ) 2,3-DHBA値 4 ) 脳梗塞体積の評価 2 , 3-DHBAの経時的測定では,虚血前の値を 再潅流 4時間後再度ザイラジン,ケタラールの 100%とした場合,虚血中に虚血中心部・周辺部 静注にて麻酔後,断頭により脳組織を摘出し,急 0 8. 1 : t6 3.5%,3 4 2. 1 : t1 50.5%までの でそれぞれ 2 速冷凍後 2mm幅のスライスを作成し, TTC染 雇流後虚血中心,辺縁部とも 2 , 上昇を認めた.再i 色液で 3 6C で 30分の染色を行った 19-21) 脳梗塞 3 ・ DHBA量は一旦は減少するが,再謹流後 30-45 巣は未染色で,正常脳組織は赤く染色されるため, 分と 75-90分 に 虚 血 周 辺 部 で そ れ ぞ れ 4 8 7 . 6土 デジタル画像に記録後,各スライスでの脳梗塞面 2 5 8 ふ 31 O. 7: t2 23.4%の増加が認められた(図 2 ) . 0 積とスライス厚を用いて三次元画像解析ソフト 虚血中心部は 200%前後で経過中推移した.特に ウェアー (NIHimage1 . 62f ) を用いて脳梗塞体 , 3 ・ DHBA 虚血周辺部での再濯流後 30-45分の 2 -184一 ラット脳虚血再濯流モデルにおける T e m p o lの脳保護効果 7 0 0 m e a n土 SD 6 0 0 b . o5 0 0 三 5 h C 4 0 0 官 〈 里 凶 四 醐 1 0 0 。 G r o u p1 G r o u pI I I I G r o u pI 図3 . 各群における平均 TBARS値 T e m p o lの再潅流時投与群 ( G r o u plI)で TBARS値の有意な低下を認めたい p < 0 . 0 5 ) . 3 5 0 3 0 0 ~ぷココ ー に u J 2 5 0 g 2 0 0 主 建 補 習 院 1 5 0 1 0 0 5 0 。 G r o u p1 G r o u pI G r o u pI I I 図4 . 各群における平均脳梗塞体積 T e m p o lの再濯流時投与群 ( G r o u plI)で脳梗塞体積の有意な縮小を認めた(卒、< 0 . 0 1 ). 値が虚血,再潅流の全経過中最大であり,統計学 3 ) 脳梗塞体積 的には虚血中心部での 2 , 3 ・ DHBA値と比較して 3 GroupI Iの 脳 梗 塞 体 積 は 1 0 0 . 5: t4 0 . 3m m で 3 Group1の 2 2 2 . 2土 8 0 . 1m m と 比 べ 有 意 に 小 さ 有意に高値を示した ( p < 0 . 0 5 ) . 2 ) TBARS値 かった ( p < O .O l ).一方. GroupI I Iでは 2 3 0 . 5: t GroupI Iの TBARS値は 3 3 9 . 0: t1 4 7 . 3 (mean 104.2mm3 と GroupIとの聞に有意差は認められ ). なかった(図 4 : tS D) nmo l /gで. Group1の 5 41 . 7: t8 4 . 7nmo l / gと比べ有意に低値を示した ( p < 0 . 0 5 ).一方, 各群間における虚血導入手術中の生理的パラ GroupIII では TBARS~直は 430.4 :t 1 9 9 . 5nmo l / g で Group1と比べて減少傾向にあったが有意差は 認めなかった(図 3 ) . メーターに関しては各群間で有意差は認めず(表 1 1 ) . Tempo120mg/kg静脈内投与による体血 圧の低下は認められなかった(表 1-2). 1 8 5 脳 循 環 代 謝 第 14巻 第 3号 一1.各群における虚血導入手術中の生理学的データ 表1 直腸温,平均動脈血圧,血液ガスデータは各群問で有意差は認めなかった. G r o u p s I 生理食塩水投与群 I Tempol投与群(再潅流時) m Tempol投与群(再潅流前 15分) Pa02 C C ) 直腸温 3 7 . 4: t0 . 3 3 7 . 2: t0 . 2 3 7 . 3: t0 . 2 PaC02 ( t o r r ) 1 51 . 1: t1 5 . 2 1 4 8. 2: t1 33 1 4 6 . 4: t2 04 目 目 平均動脈血圧 ( t o r r ) (mmHg) 3 3 . 7: t3 . 6 t2 . 8 3 6 . 2: . 1 3 5 . 9土 2 1 2 2 . 5: t8 . 4 1 1 7 . 4: t4 . 7 . 1: t6 . 3 1 1 5 表 1-2. 各群における虚血導入手術中の生理学的データ 直腸温,平均動脈血圧,血液ガスデータは各群聞で有意差は認めなかった. G r o u p s 薬剤投与前 平均動脈血圧 (mmHg) 薬剤投与後 平均動脈血圧 (mmHg) 1 21 .7: t8 . 2 t4 . 3 1 1 8 . 3: t7 . 9 1 2 2 . 6: I 生理食塩水投与群 I Tempol投与群(再潅流時) m Tempol投与群(再瀧流前 15分) 1 1 6 . 8: t6 . 5 1 1 7 . 6: t5 . 8 . 1: t5 . 8 1 1 7 ダーゼ (PCOOH),コレステルエステルベルオ 考 察 キシダーゼ (CEOOH) などより特異的な指標で の検討,ならびに細胞分画ごとの検討も行ってい 本研究で虚血・再濯流早期にヒドロキシルラジ きたいと考えている. カル量が増加することが示された.ヒドロキシ J レ 本研究では 4時間の再謹流後に評価を行った ラジカルの消去能を有する Tempolは,再潅流時 が,今後より長時間の観察での実験を追加し, 投与にて TBARS量を抑制し,脳梗塞体積を縮小 Tempolが脳梗塞の増大を一時的に抑制したの した.今回の実験からは再濯流 1 5分前での Tem- か,または最終的に脳梗塞体積を減らしたのか解 p o l投与では,未治療群と比べ TBARSの生成量 明する必要がある.また,微小透析法の実験から 及び、脳梗塞体積に有意差は認めなかった. 虚血周辺部で虚血・再i 墓流早期にヒドロキシルラ Tempolの生体内での薬物効果は数十分である との報告があるが14415},再謹流前投与では,薬理 ジカルの産生が克進することが確かめられたが, Tempolの投与により 2 , 3-DHBA産生が抑制され 効果が時間経過により失効するため,再i 藍流後多 るかどうかも今後検討すべきと思われる.いくつ 量の活性酸素種が発生する時期にその効果が発揮 かの課題を残すが,本研究では再潅流早期のヒド されなかったと考えた.今後は再謹流 30~45 分 ロキシルラジカル産生量の経時的追跡を行えた点 の時期に一致した薬剤投与による脳梗塞イ材責縮小 ならぴに Tempolの脳保護効果が投与時期によっ 効果を検討する必要があるが, Tempolの投与時 て変化するという点を見いだした点は特筆に値す 期としては虚血中の投与よりも再瀧流後のヒドロ ると考えられた. キシルラジカルが多く産生される時期にできるだ 臨床では,脳梗塞急性期にウロキナーゼや組織 け近い時期の投与が効果的であると推測できた. プラスミノーゲンアクチベータ一等を用いた血栓 また,再 i 藍流後 2 , 3 ・ DHBA測定を可能な限り延 溶解術によって,より短時間で虚血脳に血流再開 長して経時変化を追跡することを追加検討してい させることが可能となった 28剖.しかし血流再開 きたい. により生じる再濯流障害に対する予防策は未だ確 今回脂質過酸化の指標として TBARSを選択し 立されていない.本研究により,再擢流時にヒド たが,今後はフォスファチジルコリンベルオキシ ロキシルラジカルが多く産生されることが判明し -186- ラット脳虚血再潅流モデルにおける Tempolの脳保護効果 たが,脳血栓症の急性期治療として血栓洛解剤と ヒドロキシルラジカル消去能を有する薬剤とを併 用することにより,血流再開とともに起こる再濯 流障害を軽減することが期待でき,脳梗塞治療に 対する新たな可能性が示唆された. 結 語 虚血周辺部では再i 草流後早期にヒドロキシルラ ジカル量が増加することが示された. Tempol投与により脳組織中での脂質過酸化を 抑制し,脳梗塞体積を減少させることが示され, Tempolの投与時期として,再瀧流前よりも再潅 流時が効果的であった. 謝辞 本研究は三井生命福祉事業財団基金の研究助成 のもと施行した.また TBARS測定法に関して筑 波大学臨床医学系腎臓内科下津技官に御指導いた だいた. 文 献 1 ) McCord JM:O x y g e n d e r i v e df r e er a d i c a l si n p o s t i s c h e m i ct i s s u ei n j u r y .NewE n g lJMed3 1 2: 1 5 9 1 6 3 . 1 9 8 5 e c 2 )E g a s h i r aT .TakayamaF .YamanakaY: D巴t t i o nandc h a r a c t e r i z a t i o no ff r e er a d i c a l s .r a d i c a l s c a v e n g i n ga c t i v i t y .andl i p i dp e r o x i d e si nc e r e b r a li s c h e m i a r e p e r f u s i o ni n j u r ybye l e c t r o ns p i n r e s o n a n c e and c h e m i l u m i n e s c e n c eh i g h p e r f o r mancel i q u i dc h r o m a t o g r a p h y .J p n .JP s y c h o p h a r m a c o l 1 7 :1 5 3 1 5 8 . 1 9 9 7 3 ) KurodaS .S i e s j oBK: Rep巴r f u s i o ndamagef o l l o w i n gf o c a li s c h e m i a:p a t h o p h y s i o l o g yand t h e r a p e u t i cw i n d o w s .C l i n i c a lN e u r o s c i e n c e4:1992 1 2 .1 9 9 7 4 )C u z z o c r e aS .McDonaldMC.MazzonE .S i r i w a r d e n aD .C o s t a n t i oG .F u l i aF .C u c i n o t t aG .G i t t oE . C o r d a r oS .B a r b e r i1 .S a r r oA .C a p u t iAP.T h i e c t so ft e m p o l . amembranemermann C:E妊e p e r m e a b l er a d i c a ls c a v e n g e r .i nag e r b i lmodelo f 6 1 0 6 .2 0 0 0 b r a i ni n j u r y .B r a i nRes8 7 5・9 5 ) HanJ Y .T a k e s h i t aK .UtsumiH:Noninvasived e 巴r a t i o ni nl u n gby t e c t i o no fh y d r o x y lr a d i c a lgen d i e s e le x h a u s tp a r t i c l e s .F r e eRadB i o lMed3 0・ 5 1 6 5 2 5 . 2 0 0 1 -187 .KrishnaMC.DeGraffWG. 6 )M i t c h e l lJ B .SamuniA AhnMS.SamuniU .R u s s oA: B i o l o g i c a l l yA c t i v e M e t a l I n d e p e n d e n tS u p e r o x i d eD i s m u t a s eMimi c s .B i o c h e m i s t r y2 9: 2 8 0 2 2 8 0 7 .1 9 9 0 7 )C h a l o u xC .P a u lM.L o i s a n c eD .A s t i e rA: I n h i b i t i o no fh y d r o x y lr a d i c a lp r o d u c t i o nbyl a c t o b i o n a t e .a d e n i n e .andtempo . lF r e eRadB i o lMed1 9・ 6 9 9 7 0 4 . 1 9 9 5 8 ) McDonaldMC.Z a c h a r o w s k iK .BowesJ .C u z z o c r e aS .ThiemermannC: Tempolr e d u c e si n f a r c ti nr o d e n tm o d e l so fr e g i o n a lm y o c a r d i a l i s c h e m i aandr e p e r f u s i o n .F r e eRadB i o lMed2 7: 4 9 3 5 0 3 .1 9 9 9 9 ) ZhangS .MaHLL.T r i m b l eCE.KuppusamyP . o l y n i t r o x y l a l u b u m i n H s i a C]C. Carden DL:P (PNA) p l u sTempola t t e n u a t el u n gc a p i l l a r yl e a k e l i c i t e d by p r o l o n g e di n t e s t i n a li s c h e m i a and r e p e r f u s i o n .F r e eRadB i o lMed2 9: 4 2 5 0 .2 0 0 0 1 0 )B e s w i c kRA .ZhangH.MarableD.CatravasJD. H i l lWD.WebbRC: Long-Terma n t i o x i d a n ta d m i n i s t r a t i o na t t e n u a t e sm i n e r a l o c o r t i c o i dh y p e r t e n s i o nandr e n a li n f l a m m a t o r yr e s p o n s e .H y p e r 8 1 7 8 6 . 2 0 0 1 t e n s i o n3 7・7 1 1 )C u z z o c r e aS .McDonaldMC.MazzonE .F i l i p e HM.C e n t o r r i n oT .L e p o r 巴V .T e r r a n o v aML.C i c .CaputiAP.ThiemermannC: B e n e f i c i a le f c o l oA 巴m po , l am embrane-permeabler a d i c a l f e c t so ft 'eb yzymos c a v e n g e r .o nt h em u l t i p l eo r g a nf a i l u1 t .C r i tC a r eMed2 9 :102-111 .2 0 0 1 s a ni nt h er a 1 2 ) RakR .ChaoD L .P l u t aRM.M i t c h e l lJ B .O l d f i e l d E H .WatsonJ C :N e u r o p r o t e c t i o nbyt h es t a b l en i 1 ' o x i d eTempold u r i n gr e p e r f u s i o ni nar a tmodel t r o s u r g9 2: 646o ft r a n s i e ntf o c a li s c h e m i a . ] .N巴u .2 0 0 0 6 51 'm a1 3 ) LapchakPA.ChapmanDF.Z i v i nJA:Pha1 c t so ft h eS p i nT1'a pAgentsN t c o l o g i c a lE旺e B u t y l P h e n y l n i t r o n e(PBN)and2 .2 . 6 .6 .-T e t r a m e t h y l p i p e r i d i n e N O x y l (TEMPO) i naR a b b i t Thromboembolic S t r o k e Model. C o m b i n a t i o n S t u d i e sWitht h eTh1'o m b o l y t i cT i s s u eP l a s m i n o genA c t i v a t o r .S t r o k e3 2 :1 4 7 1 5 3 .2 0 0 1 t oT . 1 4 ) TadaM.YokoyamaH .ToyodaY .OhyaH .I n OgataT :S u r f a c e-c o i l t y p er e s o n a t o r sf o1' i v i v otempo1'a lESRmeasurementsi nd i f f , 巴 1 ' e n t01'g a n so fn i t r o x i d e t r e a t e dr a t s .ApplMagnR e s o n 1 8 :5 7 5 5 8 2 .2 0 0 0 1 5 ) KuppusamyP .羽TangP .S h a n k a rRA .MaL .T r i m b l eC E .H s i aC J .Z w e i e rJ L :I nv i v ot o p i c a lEPR 1 ' o s c o p yandi m a g i n go fn i t 1 ' o x i d ef 1 'e e1'a d i s p e c t c a l sandp o l y n i t r o x y l a l u b u m i n .MagnResonMed 4 0 :8 0 6 8 1 1 . 1 9 9 8 .D e l u c aAM.B a c h e rJ D . 1 6 ) HahnSM.S u l l i v a nFJ 脳循環代謝第 1 4巻 第 3号 L i ebmannJ .K r i s h n aMC,C o f f i nD,M i t c h e l l ] B : Hemodynamice f f e c to ft h en i t r o x i d es u p e r o x i d e d i s m u t a s em i m i c s .F r e eRadB i o lMed2 7: 5 2 9 9 9 9 5 3 5,1 1 7 ) LongaEZ,W e i n s t e i nPR,C a r l s o nS,CumminsR: R e v e r s i b l eM i d d l eC e r e b r a lA r t e r yO c c l u s i o n , 1 W i t h o u tC r a n i e c t o m yi nR a t s .S t r o k e2 0・84-9 1 9 8 9 1 8 ) Koizumi],Y o s h i d ay,NakazawaT,OonedaG: E x p e r i m e n t a ls t u d i e so fi s c h e m i cb r a i nedema,1: anewe x p e r i m e n t a lm o d e lo fc e r e b r a le m b o l i s m i nr a t si nwhichr e c i r c u l a t i o nc a nb ei n t r o d u c e di n t h ei s c h e m i ca r e a .]pn]S t r o k e8 :1-8 ,1 9 8 6 1 9 ) YanakaK,CamarataP ],S p e l l m a nSR .McCarthy ]B,F u r c h tLT,LowWC,H e r o sRC: S y n t h e t i c五 f i b r o n e c t i np e p t i d e sandi s 舵c h 詑 巴 e m i cb r a 創i ni n j u r ya f t e rt r a n s i e n tmi 泊 d d l ec e r e b r a l訂 a r t 旬e r 巧yo c c l u s i o ni n r a t 飴s .]Ne 凹u r 宙 u r 昭g8 筋5 :1 2 お5 一1 3 鈎0 ,1 9 9 6 2 0 ) YanakaK .CamarataPJ .S p e l l m a nSR .McCarthy ]B,F u r c h tLT,LowWC: A n t a g o n i s mo fl e u k o c y t ea d h e r e n c ebyas y n t h e t i cf i b r o n e c t i np e p t i d e Vi nar a tm o d e lo ft r a n s i e n tf o c a lc e r e b r a li s c h e miai nr a t s .N e u r o s u r g e r y4 0 :557-563,1 9 9 7 2 1 ) YanakaK .NoseT: H e p a r i nr e d u c e sb r a i ni n j u r y byi n h i b i t i n gl e u k o c y t ea c c u m u l a t i o n .S t r o k e2 7: 2146-2147,1 9 9 7 2 2 ) Teismannp,F e r g e rB: Thes a l i c y l a t eh y d r o x y l a t i o na s s a yt om e a s u r eh y d r o x y lf r e er a d i c a l si n d u c e dbyl o c a la p p l i c a t i o no fg l u t a m a t ei nv i v oo r i n d u c e dbyt h eF e n t o nr e a c t i o ni nv i v o .B r a i nR e s P r o t5: 204-210 ,2 0 0 0 -188 2 3 )L a n c e l o tE,C a l l e b e r t, ] R evaudML,B o u l uRG, P l o t k i n eM : D e t e c t i o no fh y d r o x y lr a d i c a l si nr a t s t r i a t u md u r i n gt r a n s i e n tf o c a lc e r e b r a li s c h か m i a: p o s s i b l ei m p l i c a t i o ni nt i s s u ed a m a g e .N e u r o s c iL e t t1 9 7: 85-88,1 9 9 5 2 4 )Y a g iK: AS i m p l ef l u o r o m e t r i ca s s a yf o rl i p o p e r o x i d ei nb l o o dp l a s m a .BiochemMed1 5: 2122 1 6 ,1 9 7 6 2 5 ) OhkawaH,O h i s h iN,Y a g iK: Assayf o rl i p i dp e r o x i d e si na n i m a lt i s s u ebyt h i o b a r b i t u r i ca c i dr e a c t i o n .A n a lBiochem9 5: 351-358 ,1 9 9 7 2 6 ) Yavuz0,TurkozkanN,B i l g i h a nA,D o g u l uF, AykolS: Thee 旺e c to f2 c h l o r o a d e n o s i n eo nl i p i d p e r o x i d el e v e ld u r i n ge x p e r i m e n t a lc e r e b r a l i s c h e m i a r e p e r f u s i o ni ng e r b i l s .F r e e Rad B i o l Med22:3 3 7 一3 4 , 11 9 9 7 a g a s eS,G o t o hM,TakemuraK, 2 7 ) HirayamaA,N TomidaC,UedaA,A o y a g iK .TeraoJ .Koyama A: H e m o d i a l y s i sd o e sn o ti n f l u e n c et h ep e r o x i d a t i v es t a t ea l r e a d yp r e s e n ti nu r e m i a .Nephron8 6: 436-440,2 0 0 0 2 8 ) YanakaK .KujiraokaY,OkazakiM,AsakawaH, K a t oN .MatsumaruY .NoseT: C u r r e n ta n df u t u r et h e r a p i e sf o ri s c h e m i cc e r e b r o v a s c u l a rd i s e a s e .DrugsToday3 6: 807-815,2 0 0 0 2 9 ) YanakaK,S u g i m o t oK,YasudaM,AsakawaH, KamezakiT,K a t oN,MatsumaruY,N o s eT C u r r e n t and f u t u r et h e r a p i e sf o ri s c h e m i cc e r e b r o v a s c u l a rd i s e a s e .1 1 .S u r g e r yandnewt r e a t mentso nt h eh o r i z o n .DrugsToday3 7: 75-84, 2 0 0 0 目 田 ラット脳虚血再潅流モデルにおける T e m p o lの脳保護効果 A b s t r a c t S t a b l en i t r o x i d eTempola m e l i o r a t e sl i p i dp e r o x i d a t i o nandb r a i n i n j u r yi nar a tmodelo ft r a n s i e n tf o c a lc e r e b r a li s c h e m i a i y o y u k iYanaka,K o j iHyodoへK a z u h i r oHomma',S o u j iNagaseへ * N o r i y u k iK a t o,K AkiH i r a y a m a " ,A k i oHyodo,A k i r aMatsumuraandTadaoNose Departmento fN e u r o s u r g e r yandDepartmento fN e p h r o l o g y *, * I n s t i t u t eo fC l i n i c a lM e d i c i n e,U n i v e r s i t yo fTsukuba,I b a r a k i,] a p a n N a t i o n a lI n s t i t u t eo fAdvancedI n d u s t r i a lS c i e n c eandT e c h n o l o g y( A I S T ) ' s p e c i a l l yh y d r o x y lr a d i c a l s,h a v eb e e ni m p l i c a t e di nt h ep a t h o g e n e s i s O x y g e n d e r i v e df r e er a d i c a l s,e ,2 ,6 ,6 , o fc e r e b r a li s c h e m i aandr e p e r f u s i o ni n j u r y .T h i ss t u d yi n v e s t i g a t e st h ee f f e c to f4 h y d r o x y2 t e t r a m e t h y l p i p e r i d i n e n o x y l( T e m p o l ),as t a b l en i t r o x i d eandamembranep e r m e a b l ef r e er a d i c a ls c a v ・ e n g e r,o nb r a i np r o t e c t i o ni nar a tmodelo ft r a n s i e n tf o c a lc e r e b r a li s c h e m i a .Wemeasuredt h e2 , 3 ・ DHBA l e v e la sameasureo fh y d r o x y lr a d i c a lp r o d u c t i o nu s i n gam i c r o d i a l y s i st e c h n i q u ew i t hs a l i c y l i ca c i dt r a p ,3-DHBAi nt h ei s c h e m i cpenumbrawasi n c r e a s e dd u r i n gi s c h e m i aandr e p e r f u s i o n, p i n g .Thel e v e lo f2 e s p e c i a l l yd u r i n ge a r l yr e p e r f u s i o ns t a t e .Tempolwasa d m i n i s t e r e di n t r a v e n o u s l ya tt h et i m eo fr e p e r f u 5m i n u t e sb e f o r er e p e r f u s i o ni na n o t h e rg r o u pt od e t e r m i n et h eo p s i o ni nonee x p e r i m e n t a lg r o u p,and1 t i m a lt i m i n go fa d m i n i s t r a t i o n .Thec o n c e n t r a t i o no fc e r e b r a lt h i o b a r b i t u r i ca c i dr e a c t i v es u b s t a n c e s e p r e s e n t i n gt h ee x t e n to fl i p i dp e r o x i d a t i o n,andt h evolumeo fc e r e b r a li n f a r c t i o nweremeas ・ (TBARS),r u r e d .Thei n t r a v e n o u sa d m i n i s t r a t i o no fTempola tt h et i m eo fr e p e r f u s i o nr e d u c e dt h ec e r e b r a lTBARS . tTempoladministered1 5m i n u t e sp r i o r l e v e landd e c r e a s e dt h es i z eo ft h ec e r e b r a li n f a r c t i o n .I nc o n t r a s t or e p e r f u s i o nr e d u c e dn e i t h e rt h eTBARSl e v e ln o rt h es i z eo ft h ei n f a r c t i o n .Thep r o d u c t i o no fh y d r o x y l d m i n i s t r a t i o nd u r i n gr e p e r f u s i o na m e r a d i c a l si n c r e a s e dd u r i n gt h ee a r l yr e p e r f u s i o ns t a t e,andTempola l i o r a t e dt h ei s c h e m i cb r a i ni n j u r yandi n h i b i t e dl i p i dp e r o x i d a t i o n . Theser e s u l t sr e c o m f i r mt h a th y d r o x y lr a d i c a l sp r o d u c e de a r l yd u r i n gr e p e r f u s i o np l a yap i v o t a lr o l e i nt h ed e v e l o p m e n to fi s c h e m i cb r a i nd a m a g e . y d r o x y lr a d i c a . ll i p i dp e r o x i d a t i o n,m i c r o d i a l y s i s,s a l i c y l i ca c i d Keywords; i s c h e m i aandr e p e r f u s i o n,h 司 司 -189-
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