ディゼル機関における表面蒸発燃焼に関する基礎実験: 加熱面温度と油

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ディゼル機関における表面蒸発燃焼に関する基礎実験 :
加熱面温度と油滴ならびに油膜の蒸発の測定と算定
赤木, 盈; 林, 重信
室蘭工業大学研究報告. Vol.4 No.1, pp.183-196, 1962
1962-06-30
http://hdl.handle.net/10258/3170
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Muroran Institute of Technology
ディゼル機関における表面蒸発
燃焼に関する基礎実験
加熱面温度と油滴ならびに油膜の蒸発の測定と算定
赤 木 盈 *. 林 重 信
A Study of Surface Combustion in Fuel 1njection Engine
(
1
)
Fundamental Experiment i
n Evaporation of
Fuelon Heated Surface
Mitsuru Akagi and Shigenobu Hayashi
Abstract
The“
D
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.
I 緒 面
直接噴射式ディゼノレ機関において,噴射燃料と燃焼室中の空気との混合の分布状態がその
性能に大きく影響をもつので,燃焼室の型状の設計にあたり,噴霧の型状に注意し,燃焼室壁、
に噴霧があたると燃焼の中断を起し侠E媒の蓄積の原因となるので,壁面にあたる乙とを極力さ
けるよう努力して来た。また燃料の若火遅れ時間が大きい程着火までに;燃焼室内に噴射される
p/d
αは
燃料は多くなり一部の燃料が着火すると同時に今まで噴射された燃料が燃焼を起し d
持
玉川学園大学工学部教授
(
1
8
3
)
1
8
4
赤木投・林重信
非常 l
て大きくなってディゼ Jレノックの原因となる。これに反し予燃焼烹式機関等では噴射され
た燃料は一日副室内で壁而にあたり気化して主燃焼室内に噴出しながら燃焼を続けるので比較
的緩慢燃焼を行ないスム{ズな運転が出来る。然し大型機関では設計上副室式にすることは多
くの困難があり,
これの対策として
M
.
A
.
N
.社の M
e
u
r
e
r氏が壁面での蒸発時間を与えること
により混合気の成生を緩やかに爆発させる方法として新らしく表面蒸発方式を採用して良い成
績を得たことを報告して居る。詳細なるデ{ターは分らないがラこの場合噴霧の壁ζ
l対する方
K
I温度,または空気洞流の強さ方向等 l
とより性能に著しい影響を有すると考えられる。
向や壁 I
本実験では噴霧が壁面で油膜を型成した場合壁面温度[とより蒸発時間に何如なる影響?をおよぼ
すかを基礎的な実験にて計算による推定を行なった。
1
1
. 噴霧の蒸発と着火
燃焼需に噴射された燃料は霧化してその一部が蒸発をし斎火に適する混合比の出来た部分
から荒火の核が出来て火焔を発し,一度火焔が発生すれば未蒸発部分も急激に蒸発を起し火焔
滴 の高出常気中での蒸発および燃焼に関しては多くの報告がな
は拡がって行くものである。油 i
されて居る。また噴油の何如なる部分が岩火し易いかという乙とに関しては一定の位置的関係
は定め難いが,筆者の以前の実験によればボッシュの噴射装置でインパルススタ{タを使用し
た場合,
ノヅノレの先端から 20mm以内では全く着火し得ず 30mmの距離で主噴霧の稜線の外
側において着火率が一番大であった。普通のカム装置の場合はこの距離も大となると思われ
る
。
壁面 l
と燃料をフィノレム状 l
こ噴射し,乙れが蒸発をして混合気を作る場合主噴霧が壁面に衝
突する以前に着火すれば,燃焼の中断という現象を起し炭煤 l
佳積を生ずるので好ましくないが
その芳火時期が膜の蒸発部分にて形成される混合気によるものが良いかどうかは問題であるが
長尾教授の報告では蒸発部分の蒼火が主なものと思われる。
I
I
I
. 実験装置と実験方法
本実験では壁面担度による油滴の蒸発時聞をまず測定し,この熱伝達率より噴射燃料の壁
面での油膜の蒸発時間を各稀のノヅノレ角度に対し推定せんとするもので 2段階に分けて実験を
行なった。
1
) 油滴の蒸発時間の測定
油j
商の皿両での蒸発時間に関しては棚沢教授が詳細に報告されて居るが,われわれの場合
は金属壁面での蒸発を実験するため装置も同氏の場合より僅か異なる。
そ の 装 置 を 図-1に示す。
皿 αはア jレミニュウムで,
に保つようにスライダック bi
C
.て電流を調整する。
(
1
8
4
)
ζ
れを電熱炉 l
乙て加熱し一定の温度
この油滴を 8mmカメラにて 8ppsの駒数
1
8
5
ディゼノレ機関における表面蒸発燃焼に関する基礎実験
にて撮影すると同時に肉眼 l
こて秒時計で測定
a萄 発 皿
b スライヲ¥ソつ
c8粍力;メラ
した。油滴はピペットにて滴下させるが 1回
d電 気 炉
e}¥ィロメーヲ
毎の僅かの誤差を生ずるので 1
0滴の量を測
り
,
これを 30回繰りかえして平均を求めそ
の1
/
1
0を 1滴の量とした。
これより泊滴が
球 形 と な る も の と の 仮 定 で 平 均 径 d。を決定
9m mであるの 壁温は皿
した。 その値は1.6
f
i
l度になる如く調整し, l
I
I
l
の
の中心で決めた i
図-1 蒸 発 実 験 装 置 図
一点にて熱電対をつけて乙れを監視した。
2
) 噴射燃料に関する測定
噴射された燃料が壁面化当った場合, そ
の速度 l
とより一部は反射して噴霧となって空
反射~R
こ附
気中に浮遊し, 一部は壁面にフィノレム状 l
j
苦するが,
ー
ヤ
ト
その 1回の噴射量に対する反射ま
たは附着の割合はノヅノレ角度とノブ jレから壁
而までの距離により変る筈であるのでその関
図 2 噴射実験装置図
係 を 図 -2のような装置にて測定した。
使用噴射ポンプは BoschA 2T,~ 単筒用噴射ポンプで, ノヅ jレは
NDN4SDで
,
燃料は A 重
油および軽油とし,
1回の全噴射量は一定重量の脱脂綿に 5回 i
噴射して外部への飛散量が知い
ようにして秤量し,
/
5を 1回の噴射量として 30日のものの平均を取った。
その 1
その値は約
1
0
1mgである。 つぎに壁 i
南に重量の既知の薬包紙を密蒼させとれに燃料を噴射させて 5枚を
秤量して平均して 1回の附蒼量を測定した。同時に薬包紙 l
こ附若した燃料の面積を測定した。
噴射燃料の噴出速度は噴射圧力をストレイング{ヂ圧力計で測り, )正力からの計算と,噴射を
000ppsi
Cて撮影し両者より推定した。
高速度カメラ 3,
I
V
. 実 験経 過
1
) 初めに油 i
商の蒸発時間を7]<., ア Jレコーノレ,水とアノレコ~)レの混合液,軽油
n-- へプタ
ン i
ーオクタン, ペンゼン, 重油につき測定しだ。 8mmカメラによる写真の例を写真 1(乙示
す
。 その結果を tーが(ライフタイムー温度)曲線にしたものが図 -3である。同機な l
曲線は棚沢
教授の実験結果にも得られて居る。
こ到るまで低温から温度が上昇するに従
これによれば各燃料ともその沸点より僅か高温部 l
って tは急激に減少して居る。
ζ
の最小の tを Max.b
o
i
l
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gr
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t(
M
.
P
.
) と名づけられて
居る。 この点から再び tは増加し或る温度で最大となり再び減少する。
(
1
8
5
)
r
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乙の点を Leidenf
1
8
6
赤木盈・林重信
p
o
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t(
L
.P
.
) と称する。 M.P.までは油滴はレンズ状を呈し対流による熱移動が行なわれる。
M.P.を越えると核沸騰状態となり尚進んで膜沸騰状態となるが油滴の形状は不安定で,
時l
と
より急激に細分して消失したり,球状をなしつつ運動を続けながら蒸発したりするもの等が出
来て一定しない。特 i
こ
壁
一l
i
J
i
の粗さが大きい場合とか壁面ζ
l不純物が附差して居るとラそとで急
激に油滴は拡がり瞬間に蒸発して消失することが多い。
。
品
5
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壁面温度
図 3a
4曲
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曲線
ヲ0
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K
L
L
壁画温度 (
O
C
l
図-3b t-O 曲 線
(
1
8
6
)
,
0
0
ディゼノレ機関における表面蒸発燃焼に関する基礎実験
写真
1
8
7
1
これに反してL.P
.以 kでは常に安定な球状をなし,
滴下の条件ーによっては運動するが大
体静止の状態を保ちつつ膜沸騰を起しながら蒸発して行く。
4のようになり,
写真 1による油滴径との時間の関係を線図に示すと図比例すると見ることが出来た。
(
1
8
7
)
ほぼ径が時聞に
1
8
8
赤 木 盈 ・林
写真 一 2
8
)
(
18
重信
1
89
デイ ゼノレ機関における表面蒸発燃焼に関する基礎実験
図 -4
a
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7
"
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尺 長z v、
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、
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時間 c
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図 -4b
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図 4c
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時間 (
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図 -4d
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時間 C
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)
(1
89
)
1
0
1
9
0
赤木盈・林重信
乙の場合の傾向として,純粋燃料の場合は M
.P.とL.P
.の聞には明らかな差があるが混合
燃料の場合ラすなわち種々の炭素数を有する成分からなる石油系統の場合は重質になる程その
.以下では球状になり難く拡がる傾向にあり重油において
両者の差異が明らかでなくなる。L.P
最も甚しい。
2
) 噴射燃料の壁面への附着率および反射率
o;ji.面壁に燃料を高速度であてると高速度で衝突するため,壁面にて燃料の間で干渉を起す
けれども,一種の弾性反射を起して霧散する。他の部分はフィノレム状 l
乙附着して壁面に残る。
こ
その附差した量を測定した。この場合空気の渦流は考えて居ない。ノヅ Jレから噴出して壁凶 l
1
0
0
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¥
柑
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図 -5a
1
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間相
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到
4
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図 5b
(
19
0
)
1
9
1
ディゼノレ機関における表面蒸発燃焼に関する基礎実験
0
.
1
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B1
____.----。一一一-O~___
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,
日
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0
' 4Q。列。
ノツル魚度
ω
・ 70'
ノザル局産
図-5d
図 5c
衝突し霧化して行く様子を写真一2I
C示して居る。
この結果を分散率に対しノツソレからの距離と角度に関し点を求めると図 -5の如くなる。
これから分る如く距離を一定にして噴射角度を変えて行くと分散率は増大して行くが距離
が大きい程増大の割合が大きい。 距離が小さい場合は角度が 0 のときも分散率は大きいが角
0
度の増大にてその増加は比較的少なく,装置の関係で実験し得なかったが 700~800 あたりでは
再び減少するものと思われる。距離が大きい時角度の増大で分散率が増加するのは壁面まで到
達する以前に霧化して飛散するものが増大するものと考えられる。角度が小さい場合距離と共
に分散率が減少するのは噴射の速度が減少するため反動力も減少するためであると考えられ
る。油膜面積及び油膜厚さは図 -5c,図 -5dの織になる。
V. 実験結果とその考察
1
) 油滴の蒸発に対する平均熱伝達率
.
P
.以下では極部的な対流と考えられるがヲ
泊滴への伝票中 M
乙れは今問題としないでそ
れ以上について熱伝達率を計算して見る。この場合微少部分での多くの因子が作用する筈であ
るが,巨視的に一般の熱伝達の式を適用して平均熱伝達率を計算した。
熱伝達の一般式
dQ=α.
J
t
/S
dt
(1)
にて α は時間と共に変化しないものとし ,.
J
t
Jは壁加とその燃料の j
弗点の差とし面積 Sは時間
と共に変化するが,その時間的平均を取る。球の下半面を伝達面積とする。
そうすれば (
1
)式
は
Q
=
;
J
d =ιj;1dtzα4
仇 d
t
a
.
J
t
/
杭 t
j
(2)
ここでんは油滴のライフタイムで,油滴の表面積は径が時間に比例する故その時間的な平均表
面積は
(
1
9
1
)
1
9
2
赤木盈・林重信
d(D)
ρ
dt
~1
D =- C
,
t+C
2
tニ O のとき
D =D
o
t=ん の と き D
ニ
O
D= D
o
(
l
t
/
t)
,
(3)
ら二去~:'幼=宇
(4)
以上の式より
α= Q
/(T - T
)Smt
,
l
l
(5)
叩
この場合 Q は祉I
i
商の蒸発熱であるからその重量 m と蒸発潜熱 rが分ればその積として表わさ
6
れ,純粋焼料では値を求める乙とが出来る。この様にして求めた熱伝達率を図に表わすと図 のようになる。
L
.P
.以上の i
@度では各燃料共一定 l
乙近づいて居る。またライフタイム曲線の如き変山点も
1
0
"
3
>
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1
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宝
引 AMO︺ 持 州 市 川 ) 荘
4
5
X
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水
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1
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l
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0
0
2
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0
壁画温度
図 -6
(
19
2
)
,
0
0
(
'
C
)
"
0
4
0
0
4
5
0
1
9
3
ディゼノレ機関における表面蒸発燃焼ζ
l 関する基礎実験
~i!tい。この糠な膜沸騰領域で熱伝達率 lζ 差がある ζ とは燃料の物理的性状の熱特性が異なるか
らであろう。 しかしプランドノレ数の聞には一定の関係は見出されなかった。
2
)L
.
P
.に関する考察
.
P
.およびL.P
.の各点が生ずる原因について沸騰肢の厚さと, *品射熱の
各燃料について M
二つに分けて考察した。微小膜中での対流は無視して, 水とア jレコーノレにつきその肢の厚さ δ
を常に一定と仮定して両者に対する熱伝導の式
, 。
計
算 1直
Q"= Aα
(
(
}
θ
α )S.t
α
/
δ
1
0
メ実測値
Q叩 エ ん (θ-θ叩)Stw/δ
G
同式より
ベ
:
l
x
~
」ム」
斗
0
.
6
、
マ
ー
Q
"
、
Q" ん
t
叩 - Q叩 ん
ん
θθw
" 0
4
一
、
θ
(
}
"
~ーア。
。
ω
ピ
,
X、
!
卜
0
2
この式から水とアルコーノレζ
l対してん/んの値
"
)
5
0
2
5
0
1
7
0
4
5
0
壁;昆 (
'
0
)
を温度に対し求めると図7の実線のようになる。
図~7
これに対し実測値より求めたものは図中の×印の如
くその計算値とは一致しない。したがって乙の油肢
/ψ~O
乙油膜
の厚さが変るものと仮定して,伝熱量から逆 l
の厚さを計算して見る。すなわち
δ
(5
E
04
れ
0
3
.
/
也
E
三
生
J(
t1ーん )S.t
1
出
¥
応
,
口2
署
長
!
。
明
Qw
から δの大きさを各壁混について求めてみると図-
p
ぷト-主
¥
三
三
之
:
:
、y
w
-M
ψ~O.6
ψ~01
日
1
7
壁 j
昆 (
'
0
)
8のようになる。これからいえば油膜の厚さは温度
図 8
と共に無限に上昇しなければならない ζ とになるが
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一
一
乙幅射による伝熱量を計算してみると幅射伝
次i
MW
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油の蒸気膜の厚さは限度があると考えられる。
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3
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均
壁温
S: 受熱面積(総面積× ψ とし V は面積ファク
('0)
図 9
タ~)
これより各温度にて幅射による伝熱量を計算すると図 9のようになる。
i
云熱面の i
面積係
.
5の場合は球の下半面のみを伝熱面と考えた場合に相当
数により幅射熱量は差があるがラ炉二 0
(
1
9
3
)
1
9
4
赤木盈・林重{言
するが,実際の場合はこれ以上と考えられるので,乙の値を差し引いた残を油膜の伝熱 l
こより
伝わるものとすれば各 V につき油膜の厚さを計算すれば図 -8の曲線群のようになる。
これにより分ることは,油膜の厚さの限界は O.15mmから O.19mmの も の で あ る と 推 定
出来る。
3
) 噴射油膜に関する考察
加熱面 l
と燃料が噴射された場合一部は油院を作って壁面で蒸発するが,本実験で用いた装
置においては,噴霧が壁面で飛散するため写真測定も肉眼測定も困難を感じた。したがって油
滴の場合の熱伝達率を適用出来るものと見て計算による蒸発時間の推定を行なって見た。また
燃料は一般大型デイゼノレ機関では重油を使用するので重油について行なったが,まえに述べた
如し複合燃料の蒸発熱,熱伝達率および沸点は一定して居ないので,数値的にこれを使用出
来ないからそれ等の値は油膜のときも泊摘のときも変らないと見て両者の場合の熱伝達の式
Q'l=αdJTdS
,
n
t
d
(
油摘に対するもの)
Qfニ αfTfSft
(
油膜に対するもの)
にて両者の比
Qf
Sd
t= t
,
・f
l~' S
αd.
J7'd = αf.
JTf とし
ここで
Qf=1nf
.
r Qd=1nd.r (
rは蒸発熱 ,1nは重量)
t=
1
n
,
〓 =
nt, S
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ノツツレ魚度 ("c)
図-11
(194)
1
9
5
ディセソレ機関における表面蒸発燃焼に関する基礎実験
この式から噴射面での蒸発時間を求め各ノツ)レ角に対し一定壁面損度でのライフタイムを
求 め る と 図1
0,図1
1のようになる。
0
これによればノツソレ角 30
までは角度による変化が大であるが,
それを越した場合はほぼ
一定となって来る。重油の場合温度が高い程短くなって居るが軽油の場合 3000C あたりで最も
短くなって居る。一般的に軽油の場合の方が蒸発時聞は短い乙とが予想される。
実際の機関では壁面の熱のみによる蒸発と一旦燃焼した火焔面からの熱伝達および熱幅射
によるものが大きく影響して来る故蒸発時間の絶対値は大きく減少して来るであろう。
VI . 結 論
本実験では Meurer燃焼の一部を受けもつ壁面での燃料の蒸発が如何なることに影響され
るかの基本について測定したもので蒸発に対する壁温またはノツ、 jレの角度距離との関係を求め
たもので,実際機関についてはもっと複雑である。つぎの段階で火焔が発した場合および空気
渦流のある場合につき研究の予定であるが,現段階にて得られた結果からの結論を述べると
1
)
加熱面で油滴が蒸発する際
M
.
P
.点およびL.P点 が 現 わ れ る が 純 粋 燃 料 程 明 瞭 に 認
められ複合燃料は成分%により多い成分の形に近づく。したがって両点は燃料の沸点に関係す
る点であることが明瞭になった。
M
.
P
.点から温度が高くなるに従い油膜の厚さが影響すると
考えられるがその厚さの限界は 0
.15-0.19m mであるらしい。
2
) L
.P
.点の物理的意味として沸騰膜の熱伝達が大きく伝熱 l
こ支配するのと幅川によるも
のが文配する場合との境界域であると考えられる。
また安定した蒸発を生ぜしめるためには
L
.P
.点以上において得られる。両点問の調度においては蒸発時間は表面の状態すなわち相さラ
と比例
極小部分の形,異物の附着等により影響を受ける。また油消の形状変化は油消径が時間 l
して減少すると見る方がより実際的であった。
3
) 壁面への噴射燃料のフィ jレム状形成は同じ少ない噴射角度であれば一般に距離の速い
もの程附若率は大きくなるが,
0
0
0ま
その角度が大きくなる程差が少なくなり 35 あたりから 5
でを境として距離の大きいもの担分散率が増大する。これは壁面に当らないで飛散するものが
噴射速度により異るが重油
とよりラまた i
増して来るからである。油膜厚さは燃料の物理的性質 l
0
μ 程度と考えられる。
の場合ほぼ 4
蒸発速度も油滴の場合より 2倍ないし 1
0倍程度大とな
る
。
4
) 壁面にあたった燃料は面上で互に干渉し合って唐るが噴射速度が速いものは写点で観
測される如く,やはり霧状を呈するが泊粒の大きさは不明であるが充分微粒粉でディゼノレ燃焼
l
こは充分の細かさを持って居る。
以上で単純なる壁!可での燃料の蒸発過程の実験を行なってその結果を検討したのであるが
での蒸発の機構の一部は分った。
勿論この結果が直ちに実際機関 K適合は出来ないが,加熱函 l
(
1
9
5
)
1
9
6
赤木盈・林重{言
(
)
Zの段階で火焔,圧力,
1r同流速度の問題と各温度での炭煤附蒼の問題が大きな課題となる。緩
慢なる燃焼を起して如何なる時聞に燃えつくすのが最適であるかはやはり実物機関での実験に
まつ以外はない訳である。続けてこれ等の問題を解明しようと忠って唐る。
最 後 に 本 実 験 に 終 始 街j教 示 頂 い た 北 大 の 黒 岩 先 生 の 御 援 助 を 謝 す る と 共 に 本 学 学 生 宇 田 川
淳ラ堀徳生,館修の諸君ならびに内燃機関実験室の早川友吉氏のたゆまぬ測定,装置加工の御
こ厚く御礼を申します。
援 助l
(
日
前
日3
7年 3月 3
1日受理)
文 献
1
) J
.S
. Meurer: SAEGolden Anniversary Summer Meeting 1
9
5
5,Iune 1
2
1
7
、
,MTZ1954,April,
p
.1
0
5,1
9
5
5,乱i[a
r
zp
.6
3
.
2
) 赤木
主主.広大工学部研究報告, Vol
.4,No. 2,p
. 229~p. 2
3
4
.
3
) 小林清志: 日本機械学会論文集, Vo.
l20,No. 1
0
0,p
.826~p. 8
4
3
.
4
) 長尾不二夫他. 日本機械学会前刷集, No.45,p
.47~p. 5
9
.
7t
hSymposiumon combustion p
. 509~p. 5
2
2
.
5
) Tanazawa他
.W.: TheFilmVaporizationCombustor SAE,J
.1961,p
. 5~63p. 5
7
4
.
6
) Hussmann,A
7
) 其の他. 熱機関データーブック,化学便覧,機械工学便覧,内燃機関ハンドブック,Ir市r
n
a
t
i
o
n
a
lc
r
i
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i
c
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s
.
(
1
9
6
)