米ぬかによるヒメタイヌビエの発芽·伸長抑制メカニズム ○Cheon Hwan Park 1) ・棚町弘一郎 1) ・松尾一宏 2) ・Chetphilin Suriyasak 2) ・石橋勇志 1,2) ・井上眞理 1,2) ( 九州大院生資環・ 九州大農) 1) 2) H2O2 が抑制されていることが示唆された(Fig.2)。 【目的】 玄米を精米する過程で約 10%の米ぬかがとれ, 米ぬかに含まれる活性酸素分解酵素 APX, CAT, 年間日本では 100 万トン, 韓国で 60 万トンほどで GR, GPX, SOD に着目した結果についても合わせ ある。 米ぬかには, 窒素 3.1%, リン酸 2.7%, カ て報告する。 リウム 1.9%だけでなく, 微量の様々なミネラル が含まれており, 水稲作における肥料として使用 されている。 米ぬか抽出物によりヒメタイヌビ エとタカサブロウの発芽と生育が抑制されたとい う報告があり(Kuk et al. 2001), 150kg/10a の米ぬか 処理したときに 83%まで雑草の発生を抑制する という報告もある(Nakai and Toritsuka 2009)。 し かし, 雑草防除のメカニズムは確立されていない ことから, 必ずしも再現性は得られていない。 抗酸化物質であるアスコルビン酸(AA)が種子の 発芽と成長抑制には効果的であるという報告があ る(Ishibashi and Iwaya-Inoue 2006)。 本研究では, 米ぬかには AA 以外にも抗酸化物質が多く含ま Fig.1 各品種の米ぬかによるヒメタイヌビエの伸長抑制効果 れていることから(Ko et al. 2011), 抗酸化物質に *1%水準で有意差あり 着目し, 水田雑草の防除メカニズムの解明を目的 とした。 【材料および方法】 供試材料として水田雑草ヒメタイヌビエ (Echinochloa crus-galli L. P. Beauv. var. formosensis Ohwi)また, 米ぬか用の品種は‘さがびより’, ‘元気 つくし’, ‘アサムラサキ’(黒米)を使用して各品種 の成分及び抗酸化物質による発芽率と伸長に及ぼ す影響を調べた。 米ぬかの濃度は 5%, 25℃ 12h(L) / 12h(D)のインキュベーターに試料を置き 7 日後に乾物量を測定した。 ヒメタイヌビエの実生の ROS(H2O2)と ROS 分解 酵素(APX, CAT, GR, GPX, SOD)の測定には, ‘元気 Fig.2 米ぬかによるヒメタイヌビエ実生の ROS 濃度 つくし’(5%の米ぬか溶液)で 3 日間処理したもの *1%水準で有意差あり をサンプリングした。 【結果および考察】 【引用文献】 米ぬかは, ヒメタイヌビエの発芽そのものより も伸長を大きく抑制した。 ‘さがびより’より‘元 Kuk et al. (2001) Kor. J. Environ. Agric. 20: 15-19. Nakai and Toritsuka (2009) J. Weed Sci. Technol. 気つくし’が効果的であった。 ‘アサムラサキ’に 54: 233-238. よるヒメタイヌビエの伸長抑制の差はさらに大き Ishibashi and Iwaya-Inoue (2006) Plant Prod. Sci. くなった(Fig.1)。 有色米である黒米に多く含ま 9: 172-175 れている成分は, 抗酸化物質であるアントシアニ Ko et al. (2011) Food Engineering Progress 15: ンであり, これがヒメタイヌビエの発芽に必要な 195-202 ROS を抑制したと考えられる。 さらに,‘元気 つくし’の米ぬか処理によりヒメタイヌビエの ─ 19 ─ p019-28postercs6.indd 19 2014/07/31 16:44:44
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