ACAMS ニュースレター #002‐2014: November 2014 AML プロフェショナル各位 各地からは雪の便りも聞こえてくる季節となりましたが、皆様ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。 日頃より格別のご厚情を賜りお礼申し上げます。 FATF ステートメントに対応した国際テロリスト財産凍結法の動き、金融モニタリングレポート及び平成 26 事 務年度金融モニタリング方針における AML 対応の位置づけ、さらに犯収法の改正とその対応等国際社会 における日本の対策について注目が注がれている今日この頃です。 本日は、ACAMS ニュースレター#2 を配信させていただきます。 □ACAMS Moneylaundering.com から□ 「オランダの捜査官、ゲートキーパーからの報告書の増加が“非常に役立つ”ことを証明 」 オランダでは、マネーロンダリング防止規制に違反した自国の金融ゲートキーパーに対する取り締 まりが、第一線の捜査官が有益な活動を行う上で大きな助けとなっている。……. 2014 年 11 月 5 日 【全文後掲】 □お知らせ□ ▼ACAMS 無料 Webinar Seminar のご案内▼ 本年 12 月末までに次のテーマでウェブ・セミナーを開催いたします。皆様のご参加をお待ちしております。 11 月 24 日 | 12 PM – 1 PM (米国東部標準時間) Financial Institutions Can Shed Light on "Invisible" Victims of Human Trafficking and Smuggling 12 月 10 日 | Noon – 1:00 PM (米国東部標準時間) Free Live Chat: Closing out 2014: ACAMS Year End Review 参加ご希望の方は、下記東京事務所のご連絡いただくか、または参加登録リンク: http://www.acams.org/aml‐training‐and‐conferences/aml‐training‐web‐seminars/ をご利用下さい。 ▼CAMS 資格更新について▼ 本年度の更新期限は 12 月 15 日です。CAMS 資格は、3 年毎の更新が必要です。更新手続がお済でない CAMS 保有者の方は手続をお願いいたします。 手続等は http://japan.acams.org/ をご覧下さい。更新所要ポイントの確認、手続等ご不明な点がございま したら、ご連絡のほどお願いいたします。 ▼ACAMS 協力セミナー▼ 名称:「AML コンファレンス 2015」~国際社会におけるマネー・ローンダリング規制動向と課題対策(仮題) 日時: 2015 年 1 月 23 日(金) 9:00~19:30) 場所: 大手町サンケイプラザ 4F ホール〒100‐0004 東京都千代田区大手町 1‐7‐2 主催: グッドウェイ、リッキービジネスソリューション セミナー公式サイト:http://goodway.co.jp/fip/htdocs/event/aml2015/ 次回は、12 月下旬の発行予定です。 今後ともご指導御鞭撻のほどをお願い申し上げます。 日比野正彦 CAMS 日本代表 公認 AML スぺシャリスト協会| ACAMS (Association of Certified Anti‐Money Laundering Specialists) 〒160‐0011 東京都新宿区若葉 1‐6‐1‐202 ビジネスガーデン四ッ谷アネックス 電話:03‐5366‐4745|携帯:090‐7193‐9246|e‐mail : [email protected] ホーム・ページ :http://japan.acams.org/ □ オランダの捜査官、ゲートキーパーからの報告書の増加が "非常に役立つ" ことを証明 2014 年 11 月 5 日 By Kira Zalan 更新情報: 英国 U.K. ゲートキーパー監督の詳細追加 オランダでは、マネーロンダリング防止規制に違反した自国の金融ゲートキーパーに対する取り締まりが、第一 線の捜査官が有益な活動を行う上で大きな助けとなっている。 過去 2 年半にわたりオランダの検察官は、自国の金融情報機関 (FIU) が定める顧客の疑わしい取引を適切に 報告していない会計士、税理士、弁護士、不動産業者、公証人、その他職業専門家に対し約 60 件の案件を起 訴している。 マネーロンダリングやテロ資金供与事件を取り扱う検察官、Anita Van Dis-Setz 氏によると、未報告の違反に対 し裁判所により課された罰金の平均金額は、個人違反者の場合 1 件当たり約 40,000 ユーロ、法人が違反の場 合 80,000 ユーロとなっている。 こうした強制措置は、オランダのゲートキーパーがより頻繁に報告することと同時により多くの情報を提供するよ う促すものであり、捜査当局者にとってこの流れは「非常に役立っている」と、また、この 2 年間で当該セクターの さまざまな職業専門家から提出された報告書は、年間 100 パーセントから 200 パーセント以上の割合で増加し ている、と Van Dis-Setz 氏は語る。 オランダ法の下、銀行でない職業専門家は不動産、税務アドバイス、会社設立や移転に関連する通常でない取 引について、FIU に報告書を提出する義務がある。それ故、当局が法執行機関での利用が可能な、疑わしい取 引に関する報告書の提出数を増やすことができる仕組になっていると、Van Dis-Setz 氏は語る。 パリに本拠を置く金融活動作業部会 (FATF) は、疑わしい取引報告を指定非金融業者及び職業専門家 (DNFBP) に要請するよう長らく加盟国に提唱しているが、関連セクターを取り締まるこうしたオランダ国内の動き は、規制を遵守する業界から生まれたものであると言えるだろう。 オランダ弁護士会は 2013 年、現金支払い状況を開示しなかったことを理由に、弁護士 Bram Moszkowicz 氏か らその資格を剥奪した。 また Van Dis-Setz 氏によると、公証人協会は公平性を保つ努力の一環として、規制を 遵守していない会員を訴追するよう、規制当局に圧力をかけたという。 FATF は先月、事業体の真の受益者報告勧告を含む DNFBP の顧客デューデリジェンスに関する更新ガイダン ス を公表した。 FATF は 10 年前に初めて DNFBP 関連のガイダンスを発表したが、欧州諸国は FATF の基準 に適合させるため、つぎはぎだらけの法律を採用してこれに間に合わせてきた。 グローバルな採択における限界 オランダでは捜査官がゲートキーパーに対する取締りから成果を得ることに成功しているが、一方他国政府では 成果は得られていない。 たとえば、ロンドンを拠点とする Transparency International 社、エグゼクティブ・ディレクター、Robert Barrington 氏によると、英国では FATF 基準が EU 第 3 マネーロンダリング指令下で導入・実施されており、ま ったく異なる展開を見せているという。 報告義務は 10 年前から実施されているものの、疑わしい取引報告書を提出しない理由として弁護士・依頼者間 の秘匿特権の有効性が認められる判決が下された 2005 年以降は、英国内法律事務所による報告書提出が継 続的に減少していると、Barrington 氏は指摘する。 ロンドンの Skadden Arps のパートナー弁護士であり、マネーロンダリングとそのレポーティングの責任者を務め る Douglas Nordlinger 氏は、英国事務弁護士は法律上の特権によって保護されていない情報に遭遇した場合 は、疑わしい取引について報告する義務があると話す。 2012 年に起きた HSBC 顧客の同銀行に対する訴訟が、疑しい情報を当局に提出することをさらに思いとどまら せることになった可能性があったとも、Nordlinger 氏は話す。 この訴訟で原告は、問題視されている疑わしい取 引報告書を捜査官が調査している間、銀行に電信送金取引を凍結され、損害を被ったと主張した。 「報告書を書かないと刑務所へ行かなければならないのなら、どんなことについても報告書を提出するようになる だろう」と Nordlinger 氏話す。 「Shah 対 HSBC 裁判の後、ほとんどの関係者は SAR の提出にはダウンサイド があると考えたはずだ」。 英国国家犯罪対策庁 (NCA) はここ数年で SAR の提出が減少していることを「不満」としており、事務弁護士規 制委員会は、事務弁護士が適所で適切なコンプライアンス管理を確実に実施するよう、国内法律事務所への監 査を実施することを計画していると Nordlinger 氏は話す。 英国 FIU によると、2012 年から 2013 年にかけて国内弁護士による SAR の提出は、国内合計 316,527 件の 1.24 パーセントであり、また同期間中、会計士による提出は全体の 1.71 パーセントであった。。 ゲートキーパーの監督に苦労しているのは、なにも英国だけではない。 「そうした国々の金融関係機関、特に捜査官と話をすれば、おそらくいずれからも同じような返事が返ってくるだろ う。つまり、実際に見られるケースの多くは、ごく一部の反抗的な弁護士や会計士、信託会社によるものだが、そ れらの者を違法取引を可能にさせた 罪に問うことは非常に難しいことだ」と、最近ワシントンで開かれたイベント で、世界銀行 Stolen Asset recovery Initiative 法律顧問、Emile van der Does de Willebois 氏は語った。 法律的対立 先月、国際法曹協会 (IBA)、アメリカ法曹協会 (ABA) 及び 欧州弁護士会評議会は、法律セクターが報告規則遵 守を自主規制することを政府が強力に後押しするマネーロンダリング検知のための業界ガイダンスを発表した。 「"EU"型の強制的な規制が弁護士・依頼者間の秘匿特権、顧客秘守義務、弁護士と顧客の関係全体に悪影響 を及ぼすことを懸念している」と Venable LLP の不動産専門弁護士兼 ABA のゲートキーパー規制特別委員会 議長、Kevin Shepherd 氏は語る。 ABA は 2012 年、弁護士に強制的な義務を課す顧客デューデリジェンス規則の制定に反対する旨の意見書を米 国財務省に提出し、議会でもゲートキーパー法制定に反対するロビー活動を展開している。 米国の弁護士は、 現行法の下では疑わしい取引について報告する義務はない。 一方、他国政府は比較的容易に FATF の勧告を受け入れられる状況にあると言える。 シンガポールは先週、会計士や会計事務所向けに、強化された KYC 及び報告書提出義務を採択した。 これを 遵守しない事務所は、規制当局による調査の対象となる可能性があると、当局者はガイダンスの中で述べている。 「有力者の後ろ盾や某国の腐敗当局の "庇護" の下にあったとしても、それらに付き従っていけば結局は自身の 資源の浪費をもたらすだけに終わるだろう。大局の中では、所詮彼らもちっぽけな存在にしか過ぎないからだ」と 世界銀行の van der Does de Willebois 氏は述べる。 「しかし実際、大局の中にそうした小さな問題が多々存在 している。 それらに焦点を当てて対処していく必要があるだろう」。 Copyright © 2014 Alert Global Media. 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[email protected] (MH_E-Mail_11.21.2014) ACAMS ニュースレター #001‐2014: August 2014 AML プロフェショナル各位 立秋とは名ばかり、暑さがつづく毎日ですが、皆様ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。日頃より 格別のご厚情を賜りお礼申し上げます。 さて、今月より当協会東京より、AML/CTF や金融犯罪対策に関するグローバルな情報をタイムリーに皆様 にお知らせすることを目的に、「ACAMS ニュースレター」を配信させていただきます。記事、情報は、協会が グローバルに提供しております ACAMS Moneylaundering.com, ACAMS Today や様々な白書等からご案内 させていただきます。 □ACAMS Moneylaundering.com から□ 「その時がついに到来、FATCA は期限切れにどう対応? 」 米国の金融機関は火曜日、富裕な米国人口座保有者の情報提供に同意していない外国銀行への 支払い送金に対し、最高 30% の源泉徴収を開始した。…………………………………… 2014 年 7 月 1 日 【全文:末尾掲載】 □お知らせ□ ▼ACAMS 主催「第5回東京AML/CTFセミナー: 継続的なマネー・ローンダリング/テロ資金供与/金融犯罪対策 ‐ 現状と課題」を開催いたします。▼ 本セミナーでは改正犯収法施行後約1年6ヶ月時点での評価・問題点・継続的課題について当局・実務担 当者・有識者各々の立場からの知見・ベストプラクティス・要望等を議論し、また日本への影響が予測される 世界における課題を議論し、参加者皆様と情報の共有を計る図る事ができればと存じます。 日時: 2014年9月10日(水)12時45分から18時 会場: ホテルオークラ東京 別館2階 メイプルルームI & II 対象: ACAMS 会員、金融機関、官公庁等の AML ご担当者 (ACAMS 会員には継続的履修ポイント3ポ イントが付与されます) セミナー・申込詳細 : http://japan.acams.org/ ▼CAMS 資格更新について▼ CAMS 資格は、3 年毎の更新が必要です。現在、本年度(12 月 15 日まで)に更新期限が到来する CAMS 保 有者の更新手続を受付ております。手続等は http://japan.acams.org/ をご覧下さい。更新所要ポイントの 確認、手続等ご不明な点がございましたら、ご連絡のほどお願いいたします。 今後、本ニュースレターの内容の充実に努めてまいります。これからもご指導御鞭撻のほどをお願い申し上 げます。 日比野正彦 CAMS 日本代表 公認 AML スぺシャリスト協会| ACAMS (Association of Certified Anti‐Money Laundering Specialists) 〒160‐0011 東京都新宿区若葉 1‐6‐1‐202 ビジネスガーデン四ッ谷アネックス 電話:03‐5366‐4745|携帯:090‐7193‐9246|e‐mail : [email protected] ホーム・ページ: http://japan.acams.org/ □ 「その時がついに到来、FATCA は期限切れにどう対応? 」 2014 年 7 月 1 日 Colby Adams, Kira Zalan 米国の金融機関は火曜日、富裕な米国人口座保有者の情報提供に同意していない外国銀行への 支払い送金に対し、最高 30% の源泉徴収を開始した。 その日は外国口座税務コンプライアンス法 (FATCA) に基づく最初の規制開始期限とされていた。 FATCA は、5 万ドル以上の資産のある米国人口座保有者の名前、住所、納税者番号、残高を毎年 報告するよう参加外国金融機関 (参加 FFI) に要求している。 法律では明確な期間は定めはないが、それにもかかわらず FATCA は数百ページにもおよぶ複雑な 規則を定め、「徴収すべき税は世界中から残らず吸い取ろう」としていると、また「これは非常に巨大 なプロジェクトだ」と国際法律事務所 K&L Gates のパートナー、Roger Wise 弁護士は話す。 この火曜日の期限は次の 4 ヶ年に向けての最初の期限だが、プロジェクトの範囲を巡ってこれまで に 3 度延期されている。同プロジェクトには未定のところを含め 8 万を超える金融機関が対象になる とみられる。5 月に米財務省は、この規則の施行に鑑み 2014 年と 2015 年を移行期間とすると発表 していた。 「今のところは良いが、そのうち問題が起こるのではないかと思う」と不参加 FFI と繋がりがあるニュ ーヨークを拠点とするグローバル銀行のあるコンプライアンス担当役員は話す。また、米国内国歳入 庁(IRS) が「規則を完璧に仕上げていない」ために、どのように遵守するかが理解しにくくなっている と、この匿名の人物は続ける。 また、外国金融機関に開設され、米国への投資やその他間接的な源泉から収益を受け取っている 様々な口座について言及しながら、「私が最も知りたいのは、我々が受動的外国口座に対して何を しなければならないかということなのだが、その疑問に当局は本当に答えてくれていない」とも話す。 7 月 1 日の期限は、保険会社や投資会社、外国為替、市場金融商品、有価証券、コモディティなどを 扱う会社だけでなく、米国人に代わって資金を投資したり管理している個人を含む幅広い分野に適 用される。 少なくとも 80 カ国は FATCA の代わりに、銀行が IRS か自国政府のどちらかへの報告を義務付ける 2 つの政府間協定モデルの1つに基づき、米国人顧客の詳細を開示することに同意している。無論、 自国政府に報告する場合も同様に、米国との間で情報が共有されることになる。 ロシア、中国、ケイマン諸島などいくつかの法域では、FATCA に準拠するための法律を通過させた り制限時間ぎりぎりの協定を締結した。 1 最初の期限が今到来したことで、金融のプロたちは「何かよくわからないがもうすぐやってくる“大災 害”モードから、履行のための行動を伴う実務モードへとシフトしている」と、KPMG ロシアのコンプラ イアンス担当ディレクターDmitry Chistov は、電子メールの中で述べている。 今後、コンプライアンスはより厳しい状況となる可能性がある。銀行は 12 月 31 日までに、100 万ド ル以上の残高を有する既存口座のデュー・デリジェンスを完了する必要があり、また 2017 年以降、 米国の銀行は不参加外国銀行に対する総支払金額の一部を源泉徴収しなければならなくなる。 「今お金が米国を離れて外国の金融機関に入った途端、米国人-米国の源泉徴収義務者-は巡回中 の警官のようになっている」とニューヨークを拠点とする Dechert LLP の Michael Hirschfeld 弁護士 は、6 月 25 日にワシントン D.C.に本部のある米国銀行協会 (ABA) 主催のウェビナーで話した。 ABA の Fran Mordi 上級税務顧問によると、国外拠点のない米国の銀行も FATCA を遵守するため の措置を講ずる必要があるという。 「残念ながら、最近の法規は“眼球テスト”を省いているので、比較的小規模の銀行ですら法規に基 づいてチェックし、外国金融機関から源泉徴収する必要があるかどうかを確認しなければならないの だ」と、また「外国支店や外国企業口座を持たない銀行に FATCA について心配するなと口で説くの は容易いことだが、心配しなくてよいと云うのは 100% 正しいとは言えない」と Mordi 顧問は話す。 この件に関する IRS の指導にもかかわらず、多くの米国銀行のコンプライアンス担当役員は、いった いどの外国企業体や外国金融機関に対して源泉徴収をすべきなのかという疑問を依然として抱い ていると、Mordi 顧問は続ける。また、「“空が落ちる”ような大惨事は決して起きないだろうが、なんら かの問題が必ず生じるに違いない」と話す。 一方、GE キャピタル·インターナショナルのチーフ・コンプライアンス・オフィサー兼 ACAMS 諮問委員 会メンバー、Markus Schulz 氏によると、世界最大規模の金融機関からは FATCA についてほとんど 質問が出されていないという。 「何を誰に報告するかは必ずしもはっきりしていないかもしれないが、何をすべきかという原則は何 年も前から非常に明確になっている」と、Schulz 氏は話す。「もし混乱して良くわからないというなら、 いったいそういう人たちはこの 3 年間何をしていたのかと逆に聞きたい」。 Copyright © 2014 Alert Global Media. 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