お 客 さ ま 訪 問 JA大井川(大井川農業協同組合)さま 「箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大 井川」と江戸時代に唄われた大井川。南アル プスを源流とし、全長 168㌔の大河。当時は大 雨が降るごとに氾濫し、下流から河口には肥 沃な大地が広がることとなった。 今回訪問したJA大井川は、平成 5 年に 6 つ のJAが合併して誕生した。ここは静岡県の ほぼ中央にある地域で、現在は藤枝市、焼津市、 島田市、川根本町を管内としている。 大井川の恩恵を受けた土地には、ミカン、 イチゴ、トマトといった様々な農産物が作ら れている。中でもお茶は、平成 25 年に静岡県 茶品評会(てん茶の部)で市之瀬茶農業協同 組合が「農林水産大臣賞」を受賞するなど、 茶所として名高い静岡県内でも、トップレベ ルの農業技術者が多く存在する。 JA大井川の代表理事組合長・池谷薫さん から、現在のJAの多様な取り組みについて うかがった。 「農産物は年中同じものを形も均一に、と いった時代がありましたが、今は個性が求め られるようになってきたと感じています」。 お話をうかがった 代表理事組合長・池谷薫さん 新しい品種が続々と登場する昨今。イチゴ の新品種「きらぴ香」は、静岡県農林技術研 究所が開発し、2014 年 11 月から東京都と静岡 県で試験販売が始まった。「酸味が少なく、み ずみずしい口当たりが特徴で、『紅ほっぺ』と いう品種に糖度の高い別の品種を掛け合わせ ています。光沢があり、香りも高く、高級感 のあるイチゴです。2018 年には県内生産の 8 割に増やして、県産イチゴの出荷総額を 2 割増 やそうという計画があります」。 高糖度で、コクがあるアメーラも「付加価 値の高い農産物を」との思いから、静岡県で 開発されたトマトだ。 JA 大井川では、農産物集出荷場によって、 花とイチゴ、レタスを完全コールドチェーン 化している。例えば摘み取られた花は、すぐ に水が入ったバケツにいれて出荷され、低温 倉庫で保管し、さらに専用低温トラックで運 ばれることで鮮度が保たれる。 今回お話をうかがった本店は、平成 17年に 竣工し、太陽光発電、風力発電を利用して環 境に優しい建物となっている。さらにJA大 井川管内の13の店舗・集荷場などでは、 電力デマンド監視システムも稼働して いる。総務部 課長の小林鉄夫さんは、 「デマンド監視システムを入れた大き な動機は、電気料金の節約ですね。デ マンドに気を付けるだけで電気料金が 1 1お茶はJA大井川の基幹作物。広大なお茶畑が広がっている2収穫されたみ かんは光センサー式選果機で選別出荷されるため、品質・味ともに抜群3JA 大井川 本店外観 2 4 電気と保安 2015.1・2 3 花卉専用トラックで低温輸送され、鮮度を 保ったまま出荷される 4 5 4園芸・花卉センターで次々と仕分けされる花々5「まんさいかん」 で新鮮な花がお値打ちに販売されていた6組合員から続々と入荷され る野菜や果物(まんさいかん) 6 食 育 の 一 環 と し て、 小 学生や幼稚園児に農作 業を体験してもらう活 動を行っている 大きく違うわけですから。また、モニターによっ て電気の使用量が見えるということが、職員の 意識を大きく変えてくれました。電力デマンド 監視システムは、節約ももちろんですが、省エ ネの意識を職員みんなで共有できることが良い と思います」と話す。 JA大井川管内で、4 つの 店舗があるファーマーズマー ケット「まんさいかん」。新 鮮で安全な地元の農産物をお 値打ちに提供している。開店 前には行列ができるほどの大 繁盛店だ。売上情報は、最新 POS システムを導入している ため、携帯電話やメールなど で出荷者に情報が届く。「80 歳を超える高齢者の方々もタ ブレットを使って、出荷情報をチェックしてい ますよ」とにっこり。 「日本の食糧自給率はカロリーベースで約 40% ですが、他方では廃棄される食品が問題になっ 7 78まんさいかん藤枝外観。 大井川 の気候がおいしいお茶を作る。まんさ いかんには、様々な地域で作られた お茶が並んでいた 8 ています。この矛盾をどうするか。本当に必要 なものを、必要な人たちに届けることが大事な のでは。そのためにも地産地消や食農教育が大 事だと感じています」と池谷さん。消費者へダ イレクトにアプローチするJA大井川の攻めの 姿勢が、新しい農業の形となっていくのだろう。 JA大井川 本店 静岡県藤枝市緑の丘1番地1 TEL054-646-5111 HP http://ooigawa.ja-shizuoka.or.jp/ 電気と保安 2015.1・2 5
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