今月のPick Up!

今月のPick Up!
JIMTOF2014
第 27 回日本国際工作機械見本市に見る注目技術(中)
渡部技術士事務所 渡部 厚夫* *わたなべ あつお:所長,技術士(機械部門)国内工作機械メ
ーカーで工作機械の開発,設計,製造に携わり,現在コンサルティング業に従事。
長時間無人運転&複合加工による究極の工
程の集約
フライス加工の他に旋削加工と研削加工を加え,
3 つの機能を 1 台に集約している。この結果,こ
の複合 MC はリードタイムの短縮を実現し,工程
集約を可能にする。また,ワークのワンチャッキ
(1)5 軸複合マシニングセンタ(MC)
松浦機械製作所は,図 14 に示すように,5 軸
ングにより工程間の段取り替えや芯出し作業が不
要になり,ワークの取り付け誤差が解消されるた
MC に旋盤と研削盤を集約する複合機を展示した。 め,高精度加工を実現した。さらに,旋盤の 3 つ
図 15 に示すように,(a)
は立旋盤による旋削加工
爪チャックでは掴みにくい四角形のワークや異形
が で き,旋 削 モ ー ド 時 の 旋 削 主 軸 の MAX は
のワーク,薄物ワークも加工できる。
3,000 min-1(MC は MAX200 min-1)である。
(b)
は
横旋盤による端面の旋削加工,
(c)は立研削盤に
複合加工による工程の集約
よる内研加工,(d)
は端面の研削加工である。
これによって,工程間の段取りや芯出し作業を
不要にし,5 軸 MC による 5 軸ミーリング加工や
(1)複合円筒研削盤
図 16 に示す岡本工作機械製作所の高精度複合
円筒研削盤は,3 種類の砥石を装備し,3 種類以
上の研削加工を行う。ATC 装置には,テーパシャ
ンクツールの MC 方式とタレット割り出しの NC
旋盤方式があるが,この研削盤のツール交換方式
は後者に類似している。
図 17 に示すように,3 種類の砥石台は,プレ
ーン,アングル,内径加工用であり,3 種類の砥
石台が 120°自動旋回と割り出し,自動クランプに
より高精度に位置決めする。図 17(a)はねじ部の
研削加工,図 17(b)は内径の研削加工,図 17(c)
は外径と端面の研削加工を行う。したがって,ワ
ークをワンチャッキングした状態でねじ山,内径,
外形と端面などの研削加工ができるため,高精度
の真円度,同芯度の要求に応えることができる。
図 14 5 軸複合マシニングセンタ「CUBLEX 35」(松
浦機械製作所)
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また,ロケータと定寸装置(オプション)を直接
搭載することで,複合加工+機上測定が可能とな
機 械 設 計