平成26年 整形外科年報 安間基雄 平成26年の業務目標と総括 平成26年の業務目標は1)年間手術件数 280件突破、2)学会発表および投稿、3)第 年間手術件数 2回市民講座開催、4)第2回動画配信、で した。1)の手術件数は昨年から30件減 の、247件と目標の280件を大きく下回り ました。これには研修医の村田先生が3月 いっぱいで急遽旭川医大へ戻ることになっ たことが、大きく響いています。4月から は1名減の二人体制で外来・病棟・救外・ 手術とオジサン二人が奔走いたしました が、どうしても手術をはさんだ数時間は救 急車を断らざるを得ないことが多く、これ が手術数の減少に直結してしまいました。現在 村田先生の急な退職などに伴い、残念ながら手術件数は30件 の減少となりました。それでも二人で247件の手術を無事行 整形外科の医師募集を行って頂いております が、増員までは現行の体制で持ちこたえるしか えたのは、皆様のご支援のおかげです。 なさそうです。2)の学会発表の方は、私が第 40回骨折治療学会(「PFNA特有の合併症である、back-out 症例の検討」)でポスター発表、骨 折治療学会誌に投稿致しました。そして川村先生は例年通り、宮崎で11月に行われ た第39回日本足の外科学会で、評議委員・座長・演者として活躍しました。3)の第 2回市民講座に関しましては、6月14日に「やさしく理解する股関節・膝関節の病 気」を無事開催することが出来ました。梅雨のさなかの開催ではありましたが幸い 参加者は約130名と初回を上回り、地域に定着しつつある実感を得ました。4)の第2 回動画配信は出来ませんでしたので、平成27年早々に撮影するつもりです。 手術法の変更点としては、当科で長年使ってきたハンソンピンと、ピンに角度保 持性を持たせたTLSの平行使用を開始しました。従来のハンソンピンによる固定は 低侵襲ではあるものの固定力には限界があり、術後にしばしば骨頭回旋を来す点が 問題だったからです。また人工膝関節術後疼痛を緩和するため、術中に後方関節包 を主体とした軟部組織にステロイド剤と局麻剤を混合した「カクテル」の注射を開 始しました。術後疼痛だけでなく早期リハビリ時の疼痛も緩和している印象です。 高齢化を反映して超高齢者や重度合併症保持者の外傷が搬送されてくるようになり、全身評 価とくに心機能評価に関して循環器科の谷内・佐藤両先生には大変お世話になりました。冠動 脈や脳血管のIVRが一般化した昨今では、高度医療でなんとか一命を取り留めた方々が最後に 転倒して骨折することもしばしばであり、従来に比べて術前評価の重要性は飛躍的に高まって います。今後も内科・循環器科・麻酔科の先生方にはさまざまな面で助けていただくことにな ると思いますが、平成27年もどうかよろしくお願い申し上げます。 川村先生AOアドバンスコース受講、当科の外傷治療は国際的スタンダードです! 毎年2月には国際的骨折治療財団であるAOが骨折治療のコースを開催しますが、平成26年は そのうちのアドバンスコースに川村先生が参加いたしました。参加した川村先生のお話では、 当科でよく使用するラージディストラクターや創外固定を用いた骨折整復や、各種長幹骨に対 する低侵襲プレート骨接合術であるMIPO法、インプラント選択や術前計画などほぼ国際水準 に達しているとのことでした。セミナーでは健側を元にしてトレーシングペーパーやテンプレ ートで詳細な術前計画を行うことが推奨されていましたが、これを実際に行っていた施設は当 院だけだったとのこと。一例一例を丁寧に手術する「整形外科工房」が当科のポリシーであ り、今後も手抜かりのない術前計画でトラブルを未然に防いで参る所存です。 平成26年手術統計 大腿骨近位部骨折:35例 (うち頸部13例、転子部22例) 人工関節置換術:46例 (うち膝28例、股8例、骨頭10例) 大腿骨骨幹部骨折:0例 デブリードマン・異物除去:13例 肩関節周囲外傷:8例 脊椎:2例 下肢切断:2例 膝関節周囲外傷:8例(うち鏡視下3例) 東海大学から橋本先生が赴任され、即戦力と 骨・軟部腫瘍:4例 して外来・手術に大活躍してくれました。ラ 肘関節周囲外傷:4例(うち偽関節1例) グビー部出身のナイスガイであり、肩関節の 拔釘術:56例 スペシャリストでもあります。 前腕・手関節周囲外傷:16例 手外科・外傷:22例 下腿・足関節周囲外傷・足外科:31例 (計247件) Asia Pasific Stability in Motionに招待参加 4月には福岡で開催された国際シンポジウムに参加いたしました。このシンポジウムは DePuy Synthes社が主催したもので、日本国内だけでなく中国・韓国からも人工膝関節を専門 とする医師を広く集めて開催されました。国内の主立った 大学病院・自治体病院などはほぼ漏れなく招待されていた ようですが、山近記念病院からは川村先生と私の2名が招待 されました。私達のようなこ ぢんまりとした施設から2名も 呼ばれたということは、当院 の将来性が評価されたという ことかも知れず、そうであれ ば嬉しい限りです。当日は DePuy社が「社運をかけた」 とする、中間屈曲位での安定 性を目指した新しいコンセプト 福岡で開催されたシンポジウム風景、国内主 の人工膝関節が紹介され、当科 要機関および中国・韓国からの参加者が熱の でも昨夏から導入を開始、大 こもったディスカッションを行いました。 変良い印象を持っておりま 整形外来を支えてくれている山口・脇両看護 す。 師さま。難聴・徘徊・クレームなどに対応し つつも、いつも笑顔で頑張ってくれていま す。お二人の貢献が定時手術を縁の下から支 えてくれています、有り難うございます! 昨年に引き続き、市民講座の第2弾を開催! 昨年から当科では市民講座を開催しております が、私としてはなんとか毎年開催したいと考えてお りました。幸い6月に小田原市民文化会館で第2回 の健康公開講座、「ひざ・股関節の痛みに困って いたら」を開催することが出来ました。今年は川 村先生入魂の「軟骨代謝の基礎」から、昨今話題のサプリメントまで、練りに練った内容でお 届けいたしました。当日は雨にもかかわらず大盛況で、参加者は130名以上にのぼりました。 前半は私と川村先生でレクチャーを行い、後半はリハビリの松田先生にも参加していただいて 要望の多かった膝体操の実演も行いました。松田先生の「語り」も大人気でしたので、看護師 の山口君ともども是非常連メンバーになっていただこうと思っています。西湘地区の市民の 方々に直接語りかけることが出来るこの会を、今後も大事に育てていきたいと思います。院内 の皆様もぜひ応援に来て下さい! 昨年要望が多かったため、今年は四頭筋訓練を実演 おいで頂いた市民の方々は健康への関心が旺盛で、 するコーナーも設けました。松田先生の指導の下、 非常に熱心に聞いていただけました。平成27年は 参加者全員で真剣にやっております。 さらにパワーアップします! 増大する書類作成業務、医事課の皆様にはいつも助けられています! 2名の医師が毎日2診の外来を開けるわけですから、一人ずつの書類作成数は膨大な量になり ます。普通の科でも作製するレセプト・入院証明・介護保険・紹介元への経過報告などに加 え、整形外科ではさらに自賠責・交通事故保険・後遺症診断書・身体障害認定・装具証明など など、作製する書類も多岐にわたります。一昨年より医事課の古谷さんには格段のご配慮を頂 き、お陰様で自賠責関連の書類などの負担はずいぶん楽になりました。古谷さん以外の医事課 の皆様方にも大変助けられ、なんとか日々の業務をこなせている状況です。医事課の皆様方、 今後もどうかよろしくお願い申し上げます。 平成27年業務目標、悲願の常勤医増員 平成26年は全身状態の不良な高齢者が多数入院し手術を受けましたが、関連各科と病棟看護 師の皆さんにあの手この手で助けていただき、なんとか乗り切れました。本当に有り難うござ いました。さすがに常勤2名では限界に来てお 350 年間入院患者数 り、増員は悲願です。平成26年の業務目標は、 300 1)年間手術件数250件再突破、2)学会発表お よび論文投稿、3)第3回市民講座開催、4)第2 250 回動画配信、としたいと思います。どうか皆様の 200 整形外科へのお力添えを、今年もよろしくお願い 150 申し上げる次第です。 100 50 0 平成18 19 20 21 22 23 24 25 26
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