(2月号)

今月の情報
①園芸野菜 病害虫防除情報
②雪害対策について
③天敵昆虫(生物農薬)について
注意とお願い
掲載されている農薬登録内容は掲載時点の登録内容です。
農薬を使用する際には、最新の登録内容をご確認ください。
JA全農ちば
平成27年2月
営農販売企画部
営農技術情報集のカラー版や、その他の営農情報は全農ちばHP内営農情報コーナーにて公開中!
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営農情報
平成27年2月
園芸野菜 病害虫防除情報
JA全農ちば
営農販売企画部
1
はじめに
春夏作物の準備時期となりました。いずれの作物でも苗づくり(種いも消毒)が重要です。徒
長苗や病害にかかった苗をつくらないよう、適切な温度・湿度管理が大切です。特に降雨・降雪
後に気温が上がりハウス内が蒸れないよう換気に注意しましょう。
2 ジャガイモ(バレイショ) 種いも消毒
①種いも準備
種いもが届いたら、腐敗等の防止のために必ず以下の準備を行って下さい。
②種いも消毒(そうか病、黒あざ病対策)
種いもの消毒方法には粉衣処理と浸漬処理の2つの方法があります。使用方法を間違え
ないよう注意し、種いも切断と併せて行いましょう。
種いも切断は、植え付け1~2日前に 40g を目安に2~3個の芽が付くよう切断しま
しょう。腐敗防止のために、切断後は日陰で切り口を乾かしてください。
●種いも粉衣処理の場合(種いも切断後に処理)
・バリダシン粉剤DL 60gを種いも 20kg に対して粉衣する
(種いも重量の 0.3%・植付前・黒あざ病で登録)
農作業安全ハウス建設・修復時の事故、ハシゴからの転落注意!食の安全安心農薬使用後は必ず記録簿へ記帳
※ 本資料の無断使用・複写・転載を禁じます JA全農ちば
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平成27年2月
●種いも浸漬処理の場合(種いも切断前に処理)
アタッキン水和剤 40 倍液に 5~10 秒間種いも浸漬を行う
(植付前・黒あざ病、黒あし病、そうか病で登録)。
※ アタッキン水和剤を種いも消毒で使用する場合は薬害を避けるため、以下の事項に注意し
てください。
①必ず萌芽前に種いもを切断せずに処理する。(萌芽後や種いも切断後には処理しない)
②所定の浸漬時間(5~10秒)と希釈倍数(40倍)を厳守する。
③処理した種いもは長時間濡れたままにしておくと発芽が遅れる等の薬害が生じるので、
風通しの良い場所で速やかに乾燥させる。
③圃場 防除薬剤
①土壌消毒剤【いずれの剤も必ず十分な期間被覆を行う。特にクロルピクリンは被覆必須】
・クロルピクリン剤(クロールピクリン等) 1穴 2~3ml(圃場)・1回
・ガスタード微粒剤(バスアミド微粒剤) 20~30kg/10a・全面土壌混和・1回
②土壌処理剤
・フロンサイド粉剤
30~40kg/10a・植付前・全面土壌混和【粉状そうか病、そうか病】
・ネビジン粉剤
60kg/10a/10a・植付前・全面土壌混和【粉状そうか病、そうか病】
・オラクル粉剤
20kg/10a/10a・植付前・全面土壌混和【粉状そうか病のみ】
④そうか病・粉状そうか病の特徴と違い
そうか病 :放線菌
皮をむけば、品質には問題ないものの、
外観が悪いため、出荷はできない。
粉状そうか病:糸状菌
進行すると皮が破れて胞子ができる。
対策として、連作を避けるか土壌消毒を実施。
○そうか病発生条件
・高温、乾燥で発生しやすい。
・pHが低い(pH5.5以下)と発生しにくい。pH6.5以上では多発するので、
土壌診断を行い、そのような圃場では作付を控える。
○粉状そうか病発生条件
・乾燥の後の多雨や排水不良、過湿条件で発生しやすい。
農作業安全ハウス建設・修復時の事故、ハシゴからの転落注意!食の安全安心農薬使用後は必ず記録簿へ記帳
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3
平成27年2月
キャベツ[菌核病]
・被害が現れるのは収穫時期ですが、
感染は結球初期に起こります。
・防除時期を逃さぬよう注意しましょう。
菌核病は株元にも発生しますので、
薬剤散布の際には株元にもかかるよう
に散布しましょう。
○菌核病
防除薬剤
対象病害虫
菌核病
4
薬剤名
アフェットフロアブル
ロブラール水和剤
スミレックス水和剤
トップジンM水和剤
希釈倍数
2000
1000
2000~3000
1000~1500
使用時期
収穫前日
収穫 7 日前
収穫 14 日前
収穫 3 日前
使用回数
3 回以内
4 回以内
4 回以内
2 回以内
備考
予防
予防・治療
予防・治療
予防・治療
ナス [アザミウマ類]
花房の中・実の
へた部に隠れて
います
○
・被害は茎葉・実に多く見られ、銀色~銀褐色(シルバリング)のかすり状の食害として
現れます。
・食害はミカンキイロアザミウマでは葉・茎に、ミナミキイロアザミウマは花(実)に
多く見られます。
ナス アザミウマ類 防除薬剤
対象病害虫
薬剤系統
薬剤名
希釈倍数
使用時期 使用回数
ディアナSC
2500~5000 収穫前日
2 回以内
スピノシン系
スピノエース
2500~5000 収穫前日
2 回以内
顆粒水和剤
アザミウマ類
2000
収穫前日
2 回以内
(ミナミキイロアザミウ マクロライド系 アファーム乳剤
マ登録含む) その他①
モベントフロアブル※
2000
収穫前日
3 回以内
その他②
プレオフロアブル
1000
収穫前日
4 回以内
その他③
ハチハチ乳剤
1000~2000 収穫前日
2 回以内
※モベントフロアブルは、なすではマルハナバチ導入時は使用できない。また、アザミウマ卵
~幼虫対象の剤なので、使用タイミングに注意。
作成:名雪
農作業安全ハウス建設・修復時の事故、ハシゴからの転落注意!食の安全安心農薬使用後は必ず記録簿へ記帳
※ 本資料の無断使用・複写・転載を禁じます JA全農ちば
営農情報
平成27年2月
雪害対策について
JA全農ちば
営農販売企画部
平成26年2月は全国的に雪害が発生し、千葉県でも記録的な降雪による被害が生じました。
今年度も1月30日に降雪があり、今後も注意が必要です。降雪の前後対策について紹介しま
す。
1
降雪前の対策
①ハウス
昨年の雪害では、雪及び降雨の重量により、ハウスのM字型倒壊が発生しました。倒壊を
防ぐために、以下の対策を取りましょう。
・積雪荷重対策として応急補強用の支柱を設置しましょう(中柱)。またハウスの両肩をワイ
ヤーなどで引っ張るように固定すれば雪によるハウスの広がりを防止できます。
・強風対策、積雪荷重対策として根がらみを設置しましょう。ハウス主幹の地上 10cm 程度
を直管で繋ぎ補強します。直管は金具等で固定させます。
・屋根雪の滑落性の確保のため屋根表面に雪の滑落を妨げるような突起物がないか点検しま
す。特にネットなどは滑落の妨げとなりますので除去をします。ネットが外せない場合は
ポリマルチをかぶせてバンドで固定するなどして、滑落を促します。
・外張りフィルムにたるみ・損傷が無いか確認しましょう。必要に応じて補修し、ハウス
バンドのゆるみを修正しましょう。
・暖房機の動作を確認し、燃料を補給しておきましょう。
根がらみの設置
中柱の設置
図:「平成 26 年 2 月の大雪被害における施設園芸の被害要因と対策指針」 日本施設園芸協会
②露地・トンネル
・雪解け水が流れるように、排水路の確保。事前に落葉等を片付けましょう。
③果樹園
・支柱による枝、果樹棚の補強をしましょう。
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2
平成27年2月
降雪後の対策
①ハウス
・暖房機が設置されている場合は、ハウス上部に積もった雪を解かすため、内側の
カーテンを少し開けハウス内部の温度を高めます(15℃目安)。
・育苗ハウスでは、小トンネルなどで保温に努め、苗の低温障害に注意しましょう。
・水道管やポンプが凍結していないか確認しましょう
・降雪後に気温が上がると、ハウス内が蒸れてしまいます。温度変化に注意し、換気も
行いましょう。
②露地・トンネル
・降雪後の気温上昇に注意し、トンネルの喚起を行いましょう
・太陽熱を利用した融雪促進(雪面黒化法)
黒色は熱を集めるので、雪の表面を黒色の資材で覆うことで太陽熱による融雪を早
めることができます。すぐに作業に入る必要のある圃場では対策を取りましょう。
資材例
①堆肥 ②土壌改良資材(千葉バーク・フジミバークなど)
③石灰質資材(苦土石灰) ④リン酸資材(ようりん) など
※曇天、日陰の場所では効果が劣ります。また、石灰・りん酸資材を使用した場合は
土壌pH が上昇するので、酸性土壌を好む作物(ジャガイモ・サツマイモなど)を
作付する場合は控えてください。
③果樹園
・損傷を受けた樹は補強を行い、傷口はトップジン M ペースト等を塗布しましょう。
関係対策資料リンク
①JA全農「自然災害対策マニュアル」
http://www.agri.zennoh.or.jp/sizensaigai/index.asp
②農林水産省「平成 26 年 2 月の大雪被害における施設園芸の被害要因と対策指針」
http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/ryutu/140716_1.html
作成:名雪
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平成27年2月
天敵昆虫(生物農薬)について
JA 全農ちば
営農販売企画部
1.天敵昆虫とは
天敵昆虫とは生物農薬の一種で、主に捕食性の昆虫(餌を探して捕食する昆虫)と寄生性の
昆虫(寄主に産卵して、かえった幼虫が寄主を食べる昆虫)があり、農薬として販売・使用さ
れています。天敵昆虫は近年提唱されている ICM 技術(総合的作物管理:Integrated crop
management、IPM(総合的害虫管理)に適正栽培技術を組み合わせた考え方)における防
↑
除方法の一部です。
天
2.天敵昆虫のメリット
天敵昆虫のメリットは以下の二つがあります。
敵
入
り
の
ボ
ト
ル
① 剤抵抗性を持つ害虫にも効果が高い
同じ薬剤を連用・多用すると、その薬剤へ抵抗性を持つ害虫が発生してしまいます。しかし、
天敵昆虫は特定の害虫を捕食・寄生することで害虫を防除するため、そのような害虫に対し
ても防除効果があります。
②散布作業の軽減
圃場内に天敵を定着させて、天敵の捕食・寄生の効果を維持することで薬剤の散布を減らす
ことが期待できます。
3.天敵使用の注意点
天敵昆虫にはメリットがある反面、使用時の注意点もありますので気を付けましょう。
①放飼タイミングの調整、事前防除が必要
生き物であるため、常に店頭にある農薬ではありません。放飼が遅れないよう、注文から
配送までのスケジュールを確認します。また、放飼時に既に害虫が多発していると効果が発
揮されにくいので、事前の防除も必要です。
②効果が確認しにくい
カブリダニ等、天敵昆虫の多くは微小なため、肉眼での確認が難いです。部会・JA・
農業事務所等で巡回を実施し、複数の目で確認をすることが重要です。
③化学農薬の使用が制限される
天敵に影響のある(天敵まで防除してしまう)薬剤は導入期間内に使用ができません。病
害防除・臨機防除は天敵に影響のない薬剤で行う必要があります。
④導入成功・失敗の判断
生物農薬には化学農薬のような即効性はないので、急な対応が難しいです。天敵を導入し
ても害虫が多発生してしまった場合は、化学農薬による防除に切り替えることも必要です。
作成:川島
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