作業環境の改善と安全管理について

発注者
新庄河川事務所
施工者
株式会社オオバ
工事名
最上川中流構造物等補修ほか工事
発表者
○現場代理人
佐藤 裕介
監理技術者
渡邊 智弘
1.はじめに
本工事は、新庄河川事務所管内において、河川管理施設の機能の維持を目的に構造物等の補修
及び河道整備を施工するものである。
概要位置図
本工事の特色は、半年程の工事期間において、河川土工(河道掘削、盛土工事)、護岸補修、樋
管補修等の多種多様な工種と、十数箇所という現場数の多さにあった。
発注当初の打合せから、『できる事からこつこつとこなす』と言う目標を掲げ工事を進めるこ
ととなった。
この様な特長の工事であることから、各工種の施工計画段階で最も重要視されたのが、工種や
現場環境に合わせた安全管理計画であった。
各現場には、経験豊富な職長の配属を計画し、着手前には綿密な打ち合わせのもと、予測され
る危険を洗い出し、安全対策を講じるとともに、日々のKY活動を通して作業員に周知することと
した。
また、現場代理人や監理技術者、安全巡視員による日々の安全巡視において、目の行き届かな
い部分が発生する事も懸念されたため、作業員一人一人の意見に耳を傾ける時間を多く設け、作
業環境の改善を心掛けることとした。
2.問題点
河道掘削工事は、各組合 (農業、漁業 )との打合せを経て、工期始めの夏季に着手することと
なった。
河道掘削の安全重点対策としては、水際作業となるため、ライフジャケットの着用徹底とし
た。
7月の着手であったので、熱中症対策も重点項目とした。
河川の流れを良くするべく河床に堆積した土砂を撤去するという河道掘削であり、自分のイ
メージで、河川中州の水際の涼しげな所で作業ができると思っていたのは、あまりにも浅はかな
考えであった。
作業は、まず掘削箇所と土量を特定するための着工前測量からであった。
中州にお生茂った草は背丈よりも高く、茂みの中は当然、視界が悪く、風通しが全く無いと
言って良い状態であった。
測量、施工に必要な草の刈り払いを進めるに連れて、今度は、中州の石が炎天下にさらされ、
焼石の如く熱を放ち、周囲の気温を上昇させた。
それは、自分も含めて作業員のやる気が一気に削がれるものであった。
また、あまりの暑さで、水際作業の万が一の事態に備えて着用していたライフジャケットも、
着用するに耐え難いものがあった。
ライフジャケットを着用しての刈り払い作業
3.対策
『経験を活かした危険予知による安全対策』と『作用環境の改善』の徹底を目標に掲げた本工
事であったので、とにかく作業員からの多くの意見や要望を取り入れることにした。
決して無理することなく、多い時には30分に1回程度の休憩時間を設け、その時間は休息しな
がらもツールボックスミーティングとして、健康状態の把握、作業環境改善のための提案を出す
場とした。
熱中症対策としては、保冷剤の提供や冷却スプレーの常備、塩分補給のための梅干や塩飴の提
供、水分補給やタオルを冷やすための氷水ジャグの提供等の案を取り入れ実施した。
熱中症対策用品
塩飴
保冷剤
当初、当社で使用していたライフジャケットは、TYPE Aで小型船舶に法定備品として搭載され
ているオレンジ色のものであった。
一般的に使用されているものではあったが、厚みが有り、夏場に着用すると蒸れが酷く、また
バックホウの運転時の着用では、動き辛い等のデメリットもあった。
不測の事態に備えているはずのライフジャケットが、逆に熱中症の危険を招きかねないという
意見のもと、改善方法を検討した。それは、即座に解決に至った。
市販のもので、自動膨張式の首掛け式というものがあった。水に浸かると内臓ボンベから炭酸
ガスが出て、気密袋が膨らむ仕掛けであるそれは、非常に薄くコンパクトで、普段はタオルを首
からかけている程度の体感であった。背中の部分もベルトだけで通気性が良く、身動きもとりや
すいものだった。
TYPE A
首掛け式
4.まとめ
安全管理は、施工計画時に想定される要因の他、実際に現場で施工を行っている時に必要と
なってくる検討課題等、さまざまな場面で迅速な対応や対策の立案が必要な項目であると思われ
る。
まだまだ安全対策が十分とは言い難いですが、作業環境の改善を常に心掛け、現場の声を多く
取り入れ、無事故無災害で竣工を迎えられるよう進めてまいります。