生活保護老齢加算廃止違憲訴訟京都事件上告審判決・福岡事件差戻

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◆ 2015 年 3 月 12 日掲載 新・判例解説 Watch ◆ 憲法 No.93
文献番号 z18817009-00-010931189
生活保護老齢加算廃止違憲訴訟京都事件上告審判決・福岡事件差戻上告審判決
【文 献 種 別】 判決/最高裁判所第一小法廷
【裁判年月日】 平成 26 年 10 月 6 日
【事 件 番 号】 (①事件)平成 24 年(行ツ)第 302 号、平成 24 年(行ヒ)第 355 号、
(②事件)平成 26 年(行ツ)第 214 号、平成 26 年(行ヒ)第 217 号
【事 件 名】 (①事件)生活保護変更決定取消等、生活保護変更決定取消請求事件、
(②事件)生活保護変更決定取消請求事件
【裁 判 結 果】 上告棄却
【参 照 法 令】 憲法 25 条、生活保護法 3 条・8 条、生活保護法による保護の基準(昭和 38 年厚生省告示
第 158 号。平成 16 年厚生労働省告示第 130 号による改正前のもの)
【掲 載 誌】 (①事件)賃社 1622 号 40 頁、(②事件)判例集未登載
LEX/DB 文献番号① 25504783
② 25504782
……………………………………
……………………………………
求を斥けたため、X1 らは上告した。一方、②福
岡事件一審(福岡地判平 21・6・3 民集 66 巻 6 号
2405 頁)は、X2らのうち死亡した原告について
は訴訟終了としたほか、その余の原告の請求を棄
却したが、二審(福岡高判平 22・6・14 判時 2085
号 76 頁) は、本件保護変更決定は法 56 条(不利
益変更の禁止)に反するとして、一審判決を取り
消しX2らの主張を認容した。Y2が上告したとこ
ろ、最高裁は、二審の判断には判決に影響を及ぼ
すことが明らかな法令の違反があるとして、二審
判決中X2らの請求に関する部分を破棄し、さら
に審理を尽くさせるため、同部分を原審に差し戻
した(最二小判平 24・4・2 民集 66 巻 6 号 2367 頁。
以下「4 月判決」という)。差戻審(福岡高判平 25・
12・16LEX/DB 文献番号 25502656) は、X2 らのう
ち死亡した者について訴訟終了としたほか、X2
らの主張を斥けたため、X2らが上告した。
事実の概要
生活保護法(以下「法」という) は、厚生労働
大臣(以下「大臣」という) の定める基準により
測定した要保護者の需要を基として保護を行う
こととしているが(8 条 1 項)、生活扶助の基準に
は、基準生活費と加算の制度がある。老齢加算は、
70 歳以上の者等を対象に支給されるものであっ
たが、大臣は、保護基準を改定し、平成 16・17
年に老齢加算を段階的に減額し、同 18 年 3 月に
廃止した。これにより、①京都市等において保護
を受けていたX1らは、福祉事務所長から、平成
16 ~ 18 年の間、老齢加算の減額・廃止を内容と
する保護変更決定を受け、②北九州市で保護を受
けていたX2らも、福祉事務所長より、平成 16・
18 年、老齢加算の減額・廃止を内容とする保護
変更決定を受けた。X1・X2らは審査請求等を行っ
たがいずれも棄却されたので、これらの決定が憲
法 25 条や生活保護法に照らし違憲・違法である
として、Y1ら(京都市・城陽市)及びY2(北九州
市)を相手取り、その取消しを求めて訴えを提起
した(京都事件原告X1らは、福祉事務所長らが老齢
判決の要旨
(①京都事件上告審判決・②福岡事件差戻後上告審
判決のいずれもほぼ同文であり、以下では②の判旨
を掲げる。)
加算の削減・廃止のないことを前提とする保護決定
をすることの義務付けも求めた)。
① 京 都 事 件 一 審( 京 都 地 判 平 21・12・14LEX/
1 保護基準改定の違法性
DB 文献番号 25441821)
・二審(大阪高判平 24・3・
(1) 法にいう最低限度の生活は抽象的・相対
的概念であり、その具体的な内容はその時々にお
14LEX/DB 文献番号 25480929) はいずれもその請
vol.7(2010.10)
vol.17(2015.10)
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度緩和されたものと評価することができるなど、
ける経済的・社会的条件等との相関関係において
本件改定による減額が被保護者の生活に看過し難
判断決定され、これを保護基準において具体化す
い影響を及ぼしたものとまで評価することはでき
るには、高度の専門技術的な考察とそれに基づい
ない。
た政策的判断を必要とする(堀木訴訟最高裁判決・
最大判昭 57・7・7 民集 36 巻 7 号 1235 頁を引用)。
2 保護基準改定と憲法 25 条
保護基準改定に際し、老齢加算に係る特別な需要
「……大臣が老齢加算を数次の減額を経て廃止
の存否等の判断には、大臣に専門技術的・政策的
する保護基準の改定として行った本件改定は、
見地からの裁量が認められる。また、被保護者の
……憲法 25 条の趣旨を具体化した〔法〕3 条又
期待的利益に配慮するため、激変緩和措置の要否
は 8 条 2 項の規定に違反するものではない以上、
等を含めた廃止の具体的方法に係る判断について
も、大臣は同様の見地からの裁量権を有している。 これと同様に憲法 25 条に違反するものでもない
と解するのが相当であり、このことは、前記大法
(2) (1) の専門技術的な政策的判断と、各種統
計や専門家の作成した資料等に基づき、特別な需
廷判決の趣旨に徴して明らかというべきである
要に係る推計等がされた経緯等に鑑みると、
「老
(前記第三小法廷判決参照)」。
齢加算の廃止を内容とする保護基準の改定は、①
当該改定の時点において 70 歳以上の高齢者には
判例の解説
老齢加算に見合う特別な需要が認められず、高齢
一 裁量統制判断の枠組み
者に係る当該改定後の生活扶助基準の内容が高齢
1 基本姿勢
者の健康で文化的な生活水準を維持するに足りる
先行して出された 2 月・4 月各判決は1)、(ⅰ)
ものであるとした〔大臣〕の判断に、最低限度の
老齢加算に係る「特別な需要」の存否と加算廃止
生活の具体化に係る判断の過程及び手続における
の具体的方法の決定について、大臣に専門技術
過誤、欠落の有無等の観点からみて裁量権の範囲
的・政策的裁量があることを前提に(判決の要旨
の逸脱又はその濫用があると認められる場合、あ
1(1))
、(ⅱ)加算廃止に至る判断過程・手続に係
るいは、②老齢加算の廃止に際し激変緩和等の措
る過誤・欠落の有無の判断過程審査・手続審査と、
置を採るか否かについての方針及びこれを採る場
合において現に選択した措置が相当であるとした (ⅲ)加算廃止が被保護者の生活に及ぼす影響と
いう判断結果・影響に対する実体審査を行うべき
同大臣の判断に、被保護者の期待的利益や生活へ
ものとし、その際、(ⅳ)統計等の客観的数値等
の影響等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又は
その濫用があると認められる場合に、〔法〕3 条、 との合理的関連性や、専門的知見との整合性の観
8 条 2 項の規定に違反し、違法となるものという
点から審査すべきことを示した(判決の要旨1(2)・
2)
(3)) 。なお 2 月・4 月各判決では、保護基準改
べきである〔最三小判平 24・2・28 民集 66 巻 3
号 1240 頁(以下「2 月判決」という) 及び 4 月判
定に法 56 条(不利益変更の禁止)が適用されるか
決を引用〕
」
。
も争われたが、本件では論点とされていない。
「生活保
(3) 老齢加算廃止の方向性を示した、
(ⅱ)で示された判断過程審査については、一
(厚生労働省
護制度の在り方に関する専門委員会」
般に、判断過程の合理性ないし過誤・欠落の審査
社会保障審議会福祉部会内に平成 15〔2003〕年に設
(判断過程合理性審査)と、考慮要素に着目した審
置された委員会。以下「専門委員会」
という)の意見は、
査(考慮要素審査) があり、本件で最高裁は前者
統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門
の手法を採用し、かつ、「看過し難い過誤、欠落」
的知見との整合性に欠けるところはない。そして、
ではなく「過誤、欠落」のみを問題とし、審査を
加算に見合う特別な需要が認められないなどとし
厳格化したとされる3)。(ⅲ)については、生活
への影響が「看過し難い」か否かを問題とし(こ
た大臣の判断は、専門委員会の意見に沿って行わ
の点でやや緩やかな審査といいうるが)
、堀木訴訟
れ、その判断の過程及び手続に過誤、欠落がある
のように「著しく」合理性を欠くことの明白性ま
と解すべき事情はうかがわれない。また、老齢加
でを要求しない点で、やや厳密な審査であるとい
算を 3 年間かけて減額・廃止したことも、段階的
な措置により被保護者世帯に対する影響は相当程
われる4)。ここでは、「特別な需要」の存否は司
2
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新・判例解説 Watch
新・判例解説 Watch ◆ 憲法 No.93
法審査が当然及ぶべき事実認定の問題であり、ま
た、改定を行った大臣には専門技術的・政策的
な広い裁量が認められるものの、保護基準が憲
法 25 条を具体化したものであることや老齢加算
に係る被保護者の信頼等に照らし、一定の司法審
査を及ぼすべき必要性が高いことなども留意され
たようである5)。結果的に、朝日訴訟(最大判昭
42・5・24 民集 21 巻 5 号 1043 頁)に比べ、綿密な
いし整序された裁量統制の枠組みが示された6)。
2 本件各判決の枠組み
①判決は 2 月・4 月各判決の趣旨をほぼ踏襲し
た。一方、福岡事件では、差戻前控訴審が、専門
委員会の「中間取りまとめ」中の記述(「ただし書」
として保護基準の中で高齢者の最低生活水準が維持
されるよう引き続き検討する必要性と、激変緩和措
置を採る旨の記載) の考慮不尽等を問題視して大
臣の裁量権の逸脱・濫用を認めたが、これに対し
4 月判決は、上記(ⅱ)・(ⅲ)の観点からの審理
不尽を指摘し差し戻した。差戻審は、上記(ⅱ)
・
(ⅲ)の観点から大臣の裁量の逸脱・濫用の有無
を審査し、統計等の客観的数値等との合理的関連
性や専門的知見との整合性において欠けるもので
はないなどとした。②判決もこれを踏襲し、結局
いずれも、2 月・4 月判決同様の判断となった。
多元的諸利益にかかわる政策判断を伴う裁量の司
法審査については、判断過程における要考慮事項
等の抽出が判定者(裁判所)の価値判断に左右さ
れる部分がありうるとの指摘があるが7)、最高裁
は、差戻前控訴審が、多種多様な相対立する諸利
益から、法の裏付けもなく、被保護者の利益と
なる事項(代替措置の導入)に優先的価値を認め、
これを一般的に重視した点を問題としたようであ
る8)。
本来的に裁量統制の余地が乏しいものという認識
10)
が前提にあるかのようである 。確かに、判断
過程統制審査において、要考慮要素ないし優先順
位が実定法の趣旨等から明確でない場合、司法審
11)
査は抑制的になされる可能性はあろう 。しか
し、生存権は「本来的に不確定的なものではなく、
法律の制定を待つことなく核となる内実をもつ」
12)
はずである 。法は憲法 25 条に基づき制定され
(法 1 条)
、かつ、保護基準は法 8 条 2 項の事由を
遵守すべきものであり、それは、「結局には憲法
の定める」最低生活保障に適うものでなければな
らない(朝日訴訟)。つまり、法は、そもそも憲
法的価値と密接不可分であって、かつその運用は
憲法的要請に適うことが本来予定され、かつ要求
されているのではないか。
最高裁は、保護基準が「憲法 25 条 1 項の趣旨
を具体化したものである」ことを前提に、司法的
13)
裁量統制の実質化を図ったようであり 、確か
にそれは、綿密な枠組みを示したものと評しうる。
また、法運用の経緯等に鑑みれば、最低生活の内
実をなす需要は(個別具体的というより)被保護世
帯の消費水準として抽象的に把握される面があ
14)
り 、その限りでは最高裁の判断枠組みも不当
とはいい難いかもしれない。しかし一方で、最高
裁は、憲法 25 条の観点から保護基準減額改定に
厳格な司法審査を妥当させること(制度後退禁止
15)
原則・生存権の自由権的効果)には否定的であり 、
憲法を直截に拘束する規範と解さず、結果として、
「適法性審査と合憲性審査がほぼ同一」の地平で
16)
展開されている 。
2 裁量統制の方向性
今後は、具体化立法から独立した憲法的価値を
見据えつつ、社会保障行政に係る裁量統制につい
て、憲法的観点から、もう少し踏み込んだ司法審
査のあり方を検討することも求められるのではな
いか。人間の具体的生への配慮を目途とすること
17)
が憲法 25 条の趣旨であるとすれば 、法 1 条・
8 条 2 項・9 条等が、保護基準設定・改定に際し、
被保護者の「個別的生活実態」に十分配慮するこ
18)
とを求める規定と解する余地がある 。したがっ
て、①判断過程統制(判決の要旨1(2) ①)におい
ては、要考慮要素として「生活実態ないし需要」
に重み付けを与える(ないし調査不尽を問題とする)
19)
ほか 、専門委員会の「中間取りまとめ」の記
二 憲法論の在り処
1 憲法的価値への配慮
4
しかし、問題は、以上の枠組みが、憲法とは基
4 4 4
本的に別建てで構築されている点にあるように思
われる(判決の要旨2参照)。朝日・堀木訴訟によ
れば、憲法 25 条 1 項の最低生活保障とは極めて
抽象的・相対的概念であり、その具体化措置は
政治部門の裁量に委ねられることから、本件でも
大臣の極めて広範な裁量が承認された9)。そこに
は、
「憲法ランクの実体権」が 25 条には存在せず、
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vol.17(2015.10)
3
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述も、以上の憲法的価値を重視し、差戻前福岡事
件控訴審のように、その考慮不尽等を問題視する
20)
余地はあったようにも思われる 。また、②被
保護者の期待的利益への影響・配慮(判決の要旨
1(2) ②)については、老齢加算廃止の仕方によっ
ては、それが高齢者の生活に看過し難い影響を及
ぼし、かつ、
「高齢者の人間性」を損なう点で憲
法 13 条に反するおそれがありうる点を軽視して
はならない(4 月判決の須藤正彦裁判官意見参照)。
「中間取りまとめ」発表から短期間で実質的な加
算廃止決定がなされたことについては、専門委員
会の審議経緯等も含め、より慎重な吟味が求めら
21)
れたように思われる 。すでに生活扶助基準の
見直しが平成 25 年 8 月から段階的に開始され、
これらの違法性等を争う訴訟も提起されたようで
22)
あるが 、憲法的価値を踏まえた、司法的裁量
統制のさらなる深化を期待したい。
前掲注1)曹時 65 巻 10 号 227~228 頁)。
4)常岡・前掲注1)175 頁。
5)岡田・前掲注1)曹時 65 巻 9 号 243 頁、同・前掲注1)
曹時 65 巻 10 号 225~226 頁。
6)新田・前掲注1)354 頁、片桐・前掲注1)5 頁。
7)川神裕「裁量処分と司法審査(判例を中心として)」判
時 1932 号 11 頁、15 頁。山本隆司「日本における裁量
論の変容」判時 1933 号 11 頁、15 頁は、この問題は裁
量統制方法それ自体に由来するものではなく、この方法
を用いる経験の積み重ねの途上にある点によることを示
唆する。
8)岡田・前掲注1)曹時 65 巻 10 号 229~230 頁。菊池馨実・
判評 629 号 2 頁、6 ~ 7 頁等は、この点で差戻前控訴審
を疑問視する。関連して川久保寛・北法 62 巻 1 号 156 頁、
146~143 頁参照。
9)岡田・前掲注1)曹時 65 巻 9 号 232~233 頁。
10)太田健介「憲法学から見た行政裁量とその統制」東京
大学法科大学院ローレビュー5 巻 25 頁、43 頁注 99。
11)川神・前掲注7)15 頁参照。
12)佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011 年)366 頁。
13)岡田・前掲注1)曹時 65 巻 9 号 242 頁、同・前掲注1)
●――注
曹時 65 巻 10 号 224 頁。
1)全体的検討として、井上亜紀「生存権訴訟の可能性」
14) 太 田 匡 彦・ ジ ュ リ 1420 号 53 頁、55 頁。 同 論 文 は、
大石眞先生還暦記念『憲法改革の理念と展開(下巻)』
(信
現行の制度運用を本文引用のように述べつつ、その「基
山社、2012 年)405 頁、遠藤美奈・自正 65 巻 5 号 8 頁、
礎にある思考自体〔の〕再検討」の余地も示唆する。
葛西まゆこ・大東 23 巻 1 号 143 頁、木下秀雄・法時 84
巻 2 号 79 頁、 笹 沼 弘 志・ 賃 社 1529 = 1530 号 10 頁、
15)岡田・前掲注1)曹時 65 巻 9 号 234~237 頁。
豊島明子・法時 85 巻 2 号 29 頁、長尾英彦・中京 45 巻
16)葛西・前掲注1)ジュリ 1453 号 27 頁。
3 = 4 号 113 頁、前田雅子・ジュリ 1453 号 38 頁など参
17) 尾 形 健『 福 祉 国 家 と 憲 法 構 造 』( 有 斐 閣、2011 年 )
127~130 頁。
照。東京事件につき石井昇・法セ 689 号 125 頁、榎透・
18)駒村圭吾『憲法訴訟の現代的転回』
(日本評論社、2013 年)
同 691 号 152 頁、岡田幸人・ジュリ 1449 号 94 頁、同・
183 頁。
曹時 65 巻 9 号 209 頁、葛西まゆこ・ジュリ 1453 号 26 頁、
19) 前 田・ 前 掲 注 1)40 頁。 葛 西・ 前 掲 注 1) ジ ュ リ
片桐由喜・判評 646 号 2 頁、新田秀樹・季刊社会保障研
1453 号 27 頁、遠藤・前掲注1)12~13 頁、尾形健「老
究 48 巻 3 号 349 頁、村上裕章・法政研究 80 巻 1 号 205 頁、
尾形健・判例セレクト 2012- Ⅰ(法教 389 号)12 頁、同・
齢加算廃止違憲訴訟をめぐって」同法 64 巻 7 号 773 頁、
新判例解説 Watch(法セ増刊)11 号 35 頁などが、福岡
787~788 頁も参照。
事件につき石森久広・判評 650 号 2 頁、岡田幸人・曹時
20)太田・前掲注 14)55 頁は、差戻前福岡事件控訴審の
65 巻 10 号 207 頁、豊島明子・新判例解説 Watch(法セ
手法が判断過程統制方式から外れているとはいい難いと
増刊)13 号 35 頁、常岡孝好・民商 148 巻 2 号 159 頁な
しつつ、「中間取りまとめ」中の記述が独自の意味を持
つことを疑問視する。
どがある。
21)村上・前掲注1)214 頁。
2)常岡・前掲注1)165 頁、常岡孝好「生活保護基準改
22)社会保障審議会生活保護基準部会『社会保障審議会生
定の合理性と必要即応の原則に基づく特別基準設定申請
活保護基準部会報告書』(平成 25 年 1 月 18 日)。森田基
権(一)
」自研 90 巻 2 号 35 頁、35~37 頁。
彦「生活扶助基準引下げの問題点」自正 65 巻 5 号 22 頁、
3)村上・前掲注1)211 ~ 212 頁、常岡・前掲注1)173
25 頁参照。
~ 175 頁。村上裕章「判断過程審査の現状と課題」法時
85 巻 2 号 10 頁、12 ~ 13 頁も参照。
「看過し難い過誤」
の審査例として、伊方原発訴訟(最一小判平 4・10・29
同志社大学教授 尾形 健
民集 46 巻 7 号 1174 頁)、家永教科書検定第一次訴訟(最
三小判平 5・3・16 民集 47 巻 5 号 3483 頁)
。最高裁は、
本文(ⅱ)
・(ⅲ)いずれも「論証過程の統制」と解する
ようである(岡田・前掲注1)曹時 65 巻 9 号 246 頁、
同・
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