Technical News ●クライオ(冷却)Ar イオンミリング法によるセパレータ断面の TN432 SEM 観察 Cross-sectional SEM Observation of Separator Using Cryo-Ar Ion Milling Technique [概 要] Li イオン電池電極などの複合材料における SEM 観察用断面試料の作製には、一般的に断面 Ar イオンミリ ング法が用いられます。しかし、有機材料などの熱に弱い試料では、Ar イオンビーム照射時の発熱によって 微細構造が変形する場合があり、良好な断面試料を作製するためには加工時に生じる熱ダメージを抑制する ことが重要となります。ここでは Li イオン電池用セパレータをクライオ(冷却)断面 Ar イオンミリング法 で加工し、SEM 観察をした事例を紹介します。 [クライオ断面 Ar イオンミリング法の概要] 断面 Ar イオンミリング法は遮蔽板から突出したサンプル面に Ar イオンビームを照射し、スパッタリング 現象を用いて断面を作製する手法です。機械的応力による試料変形がなく、広い領域で平滑な断面を得るこ とができます。さらに、遮蔽板を介して試料の冷却を行うクライオ条件下では、熱ダメージを低減させた断 面加工が可能です。 図 1 クライオ Ar イオンミリング加工 [事 例] Li イオン電池用セパレータの断面観察 Li イオン電池用セパレータには一般的に、ポリオレフィン系の多孔質フィルムが利用されています。この ような有機材料は軟化温度が低く、常温条件での断面 Ar イオンミリング加工では細孔構造の溶融・変形が発 生する場合があります。クライオ条件下での Ar イオンミリング加工では、適切な前処理法と組み合わせるこ とでイオン加工時の熱ダメージを低減させ、セパレータ本来の細孔構造を正確に観察することができます。 5 μm 図 2 クライオ加工によるセパレータ断面の SEM 像 1 μm 図3 細孔構造の拡大像 [キーワード] ソフトマテリアル、アルゴンイオンミリング、クライオ加工、熱ダメージ 作成:筑波事業所 (TH1404)2-BB-(66) 当社ホームページはこちらから: http://www.scas.co.jp/ その他技術資料も用意致しております: http://www.scas.co.jp/analysis/
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