iCAP シリーズ ICP発光分光分析装置による エタノール中の微量金属分析

Technical Note EL14004
iCAP シリーズ ICP発光分光分析装置による
エタノール中の微量金属分析
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社
キーワード
表1:メソッドパラメーター
ICP-OES /エタノール100% /揮発性有機溶媒/微量不純物
概要
このテクニカルノートでは、
Thermo Scientific™ iCAP™ 7000シリーズを用いたエ
タノール中の不純物分析について、
その検出性能を報告します。
パラメーター
高周波出力
1300 W
プラズマガス流量
12 L/min
補助ガス流量
ネブライザーガス流量
ポンプチューブ
測光方向
試験の目的
代表的な不純物金属元素6元素について、エタノール試料を直接
導入した場合のメソッド検出限界を求めました。
積分時間
繰り返し測定回数
ネブライザー
スプレーチャンバー
測定試料
設定
センターチューブ
Ar:O2=90:10の混合ガス 0.15 L/min
0.40 L/min
サンプルチューブ:使用せず
ドレインチューブ:バイトン
軸方向
低波長 15秒 高波長 10秒
n=5
ガラス同軸型
揮発性溶媒試料用 冷却チャンバー
揮発性溶媒試料用 1.0 mm
下記の3試料を調製しました。
・ブランク試料:エタノール99.4%液性
・0.5 mg/L標準試料:エタノール99.4%液性に Cd, Cu, Fe, Mn,
Pb, Zn(0.5 mg/L )を添加したもの
・1 mg/L標準試料:エタノール99.4%液性に Cd, Cu, Fe, Mn,
Pb, Zn(1 mg/L )を添加したもの
試験内容と手順
ブランク、
0.5 mg/L標準試料、1 mg/L標準試料の3点で検量線
を作成 後、ブランクを10回 繰り返し測 定し、メソッド検出 限 界
(3 σ)を算出しました。
装置と機器構成
測定には iCAP 7600 Duoモデルを使用し、軸方向測光にて微量
元素を測定しました。試料導入系には揮発性溶媒試料用キット
を用い、スプレーチャンバーは冷却しました。また、補助ガスにア
ルゴン・酸素混合ガスを導入することによってプラズマに酸素を
導入し、ススの 生 成を防ぐとともに分 子 発 光によるバックグラ
ウンドレベルの上昇を抑えました。主な試料導入系の構成と、機
器パラメーターを表1に示します。
表 2:エタノール100%におけるメソッド検出限界
元素
波長 (nm)
MDL (µg/L)
Cd
Cu
Fe
Mn
Pb
Zn
214.438
224.700
238.204
257.610
220.353
202.548
0.12
1.20
0.60
0.15
1.80
0.06
Technical Note EL14004
結果
表 2に、各元素の測定波長とメソッド検出限界(n=10のブランク
測定の3 σ)を示します。いずれの元素についても µg/Lオーダー
の検出限界値が得られ、水溶液ベースとほぼ同等の検出性能が
確認されました。
図1に、代表的な検量線およびプロファイル(Cd, Zn )を示しまし
た。
まとめ
iCAP 7000 シリーズ ICP-OESは、その強靭なプラズマにより、
エタノール、メタノール、ケトンなどの揮発性溶媒を直接安定導入
して、水溶液と同等の非常に優れた検出性能をご提供します。
電子冷却チャンバーの例
① Cd 214 .438 nm
② Zn 202 .548 nm
図1:エタノール直接導入における検量線とサブアレープロット
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