サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 Technical Note EL14008 セラミック D-Torchと iCAP シリーズ ICP発光分光分析装置 による有機溶媒中の微量シリコン分析 キーワード 装置と機器構成 D-Torch / ICP-OES /有機溶媒/微量シリコン D-Torchと iCAP 7400(または7600)Duoモデルを 使 用しまし た。センターチューブは有機溶媒用 I.D. 1.0 mmを使用し、測光 概要 セラミックス製の D-Torchは、 石英チューブを短時間で傷める高塩濃度のサンプル測 定時や、 石英チューブが損傷を受けやすいエンジンオイル中の金属分析などに適した トーチです。石英製のアウターチューブよりも耐久性に優れているため、コストパ フォーマンスの向上に貢献するだけでなく、石英に由来するバックグラウンドが問題 方向は高感度測定に適している軸方向を選択しました。 有機溶媒由来の分子発光干渉とススの生成を抑制するために、 補助ガスには10%酸素混合アルゴンガスを使用しました。 主な試料導入系の構成と、機器パラメーターを表1に示します。 となる微量シリコンの測定にも威力を発揮します。 このテクニカルノートでは、 セラミックス製 D-TorchとThermo Scientific™ iCAP™ 7000シリーズを用いた有機溶媒中のシリコン分析について、その検出性能を報告し ます。 試験の目的 表1:メソッドパラメーターの例(DMFの場合) 有機溶媒中のシリコンの微量分析は、有機溶媒の主成分である パラメーター 設定 炭素や酸素に起因する多原子イオン( C O )の干渉があるため、 測定元素 Si ICP質量分析でも難しいアプリケーションです。この試験では、 測定波長 251.611 nm 12 16 D-Torchと ICP発光分光分析を使用した場合の有機溶媒中のシ リコンの検出限界を求めました。 高周波出力 プラズマガス流量 補助ガス流量 測定試料 各種有機溶媒でシリコンの検量線用標準試料を調製しました。 ・ブランク試料:各有機溶媒 ・標準試料:有機溶媒ベースにシリコン標準溶液を添加して調製 ジメチルホルムアミド(DMF )、ジメチルアセトアミド(DMAc )、 プ ロ ピ レ ン グ リコ ー ル モ ノメ チ ル エ ー テ ルア セ テ ート (PGMEA )、N-メチルピロリドン(NMP )、ジメチルスルドキシド (DMSO )の5種には関東化学社製 Si 1000 mg/L標準溶液を 希釈して添加 メチルイソブ チル ケトン(MIB K )、キシレン( Xylene )には CONOSTAN社製オイルベース標準溶液 S-21 500 ppmを希 釈して添加 セラミック D-Torch ネブライザーガス流量 1150 W 12 L/min Ar:O2=9:1の混合ガス 0.45 L/min 0.4 L/min ポンプ速度 40 rpm 測光方向 軸方向 トーチ インジェクター チャンバー ネブライザー ポンプチューブ D-Torch 有機溶媒試料用 1.0 mm 有機溶媒用バッフル付サイクロンチャンバー ガラス同軸型 サンプル用 無 ドレイン用 ファーメドチューブ 有機溶媒 DMF DMAc PGMEA 元素 MIBK 波長 [nm] Si 251.611 測光方向 軸方向 標準偏差σ 検出限界 DL(3 σ ) 定量下限 QL(10 σ ) 0.503 1.510 5.03 0.661 1.983 6 .61 0.487 1.60 4.87 0.914 2 .742 9.14 Xylene NMP DMSO 0.687 2.061 6.87 0.804 2 .412 8 .04 0.655 1.965 6 .55 Technical Note EL14008 表 2:有機溶媒直接導入によるシリコンのメソッド検出限界 (単位:µg/L) 試験内容 標準溶液を測定して検量線を作成後、未知試料としてブランクを 10回繰り返し測定して、標準偏差(σ)、検出限界 DL(3 σ)、定量 下限値 QL(10 σ)を求めました。有機溶媒7種類について検討 しました。 結果 表 2に、DMFをはじめとする各種有機溶媒中のシリコンの検出限 界を示します。いずれの溶媒種についても3 µg/L 以下の検出限 界値が得られ、水溶液ベースとほぼ同等の検出性能が確認できま した。図1には、 DMFの検量線およびプロファイルを示しました。 まとめ iCAP 7000シリーズ ICP-OESは、セラミックス製 D-Torchと組 み合わせて使用することで、有機溶媒直接導入においても、非常 に優れたシリコンの検出限界性能と分析値をご提供します。 D-Torchにより、難しいテクニックを要することなく有機溶媒中の 微量シリコンの測定が可能です。 図1:有機溶媒DMF中のSi 251.611 nm の検量線とサブアレー Ⓒ 2014 Thermo Fisher Scientific K.K. 無断複写・転載を禁じます。 ここに掲載されている会社名、製品名は各社の商標、登録商標です。 ここに掲載されている内容は、予告なく変更することがあります。 サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 分析機器に関するお問い合わせはこちら TEL 0120-753-670 FAX 0120-753 -671 〒221-0022 横浜市神奈川区守屋町3 -9 E-mail : [email protected] www.thermoscientific.jp E1406
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