Obesity-related glomerulopathy が考えられる症例

Obesity-related glomerulopathy
が考えられる症例
藤田保健衛生大学病院、腎臓内科
下郷紗智子、長谷川みどり、佐々木万祐、
富田亮、鍋島邦浩、比企能之、杉山敏
症例:25歳 男性
主訴:健診で蛋白尿を指摘
職業:コンビニ店員
既往歴:7歳 アデノイド摘出
10歳 両側大腿骨骨折(事故)
家族歴:祖母 肝腎疾患(詳細不明)
嗜好品:タバコなし、アルコールなし
現病歴:小学校低学年の頃より肥満、蛋白尿を指
摘されていたが、特に精査はしなかった。今回会
社の健診で再度肥満、蛋白尿を指摘され、他院
へ入院。入院時身長176cm、体重
138kg(BMI44.5)、血圧150/100mmHg、尿蛋白
8.56g/日、BUN/Cr15/1.1mg/dl、総蛋白6.3g/dl、
アルブミン3.9g/dl、食事療法、ARB開始後も尿蛋
白3.35g/日のため精査目的にて当院転院となった。
入院時現症:
体重130kg(BMI41.9)、血圧110/80mmHg(ARB内
服)、胸部:ラ音なし、心雑音なし、腹部:軟らかい
が脂肪厚い、下腿浮腫なし
検査所見1
検尿:
生化学:
PH 6.0
TP
蛋白 (3+) , 2.58 g/日
Alb
潜血 (-)
BUN
糖 (-)
Cr
沈渣: 白血球
0∼2/1 UA
顆粒円柱 3/全視 Na
上皮円柱 4/全視 K
脂肪円柱 0‐2/10 Cl
硝子円柱 0-2/10 GOT
GPT
OFB
(+)
γGTP
尿中FDP 176 ng/ml
ChE
末梢血:
WBC 6800
RBC 531
Hb
16.1
Ht
46.2
Plt
17.6
/μ l
万 /μ l
g/dl
%
万 /μ l
7.0
g/dl
4.2 g/dl
11
mg/dl
1.0 mg/dl
7.7 mg/dl
140 mEq/l
4.5 mEq/l
104 mEq/l
28
IU/L
43
IU/L
44
IU/L
5906 IU/L
LDH
249 IU/L
CPK
313 IU/L
T.bil
0.7 mg/dl
T.cho
172 mg/dl
HDLcho 46 mg/dl
TG
143 mg/dl
FBS
192 mg/dl
HbA1c
8.9 %
腎機能:
24時間Ccr
NAG
尿β2MG
97ml/min
11.9 U/l
47 μg/l
検査所見2
血清学:
IgG
955 mg/dl
IgA
143 mg/dl
IgM
144 mg/dl
IgE
398 IU/ml
C3
120 mg/dl
C4
20 mg/dl
CH50 43.2 U/dl
RF
<20
ANA
( -)
レニン活性
2.07 ng/ml/h
アルドステロン 58 pg/ml
レプチン 15.7ng/ml
凝固線溶系:
PT
93 %
APTT 32.2秒
FDP 3.6 μg/ml
D-dimer 0.4 μg/ml
Fib.
324 mg/dl
感染:
HBs-Ag
HCV-Ab
(-)
(-)
胸部XP:異常なし
ECG:W.N.L.
腹部超音波:poor image
脂肪肝、
腎可視範囲内異常なし
眼底:異常なし
IgG
IgA
IgG
IgM
C3
C1q
C4
Fib.
昨年のORGの症例
症例:24歳 男性
主訴:蛋白尿
職業:大学院生 ラクビー部
既往歴:10歳時、溶連菌感染後急性糸球体腎炎
にて他院に入院歴あり。その後は尿蛋白陰性、潜血陰性。
高校よりラクビー部に所属(体重70Kg)大学になり運動量
が減り徐々に体重増加あり、現在までに28Kg増加。
現病歴:20歳より尿蛋白(2+)、尿潜血(-)が持続し、5年
間近医にて経過観察されていた。今回、診断目的に
て腎生検を希望し入院。
入院時現症:身長170cm、体重98.7Kg、(BMI34)
血圧124/80mmHg、脈拍66回/分、肺野ラ音なし、
心雑音なし、腹部軟、下肢浮腫なし。
検査所見1
検尿:
蛋白 2.0g/日
潜血 (-)
糖
(-)
末梢血:
WBC 7400/μl
RBC 522万/μl
Hb
15.8g/dl
Ht
35.4%
Plt
21.8万 /μl
生化学:
TP
7.7 g/dl
Alb
4.8g/dl
BUN
15mg/dl
Cr
0.8mg/dl
Na
142 mE/l
K
4.4mE/l
Cl
104 mE/l
Ca
9.4 mg/dl
P
3.8mg/dl
HCO 328.7mmol/L
GOT
40 IU/L
GPT
48 IU/L
LDH
224 IU/L
Tbil
0.7mg/dl
T.Cho 195mg/dl
TG
182mg/dl
HDL 33mg/dl
ChE
8415 IU/L
CRP
(−)
腎機能:
24hCcr
144ml/分
NAG
13.3U/L
尿中β2MG 29341μg/L
220μg/L
問題点
1.腎病変に関してObesity-related glomerulopathy
の範疇に入る病理像と考えてよいでしょうか。
2.昨年の重松カンファランスで、本症例と比べると、
肥満程度が軽い、スポーツをしていた男性の
FGSをご教示いただきました。その症例は
hyalinosis主体の病変でした。obesity-related
glomerulopathyは種々な病因病態の総称と考
えればよいでしょうか。この2症例の病理の違い
は、stageの違いなのか、機序の違いなのかご
教示いただければと思います。