PDF タマネギベと病等の発生状況と防除対策

平成 26 年度農作物病害虫発生予察技術資料第9号
~ タマネギべと病等の発生状況と防除対策について ~
平成 27 年(2015 年)3月 17 日
山 口 県 病 害 虫 防 除 所
平成 27 年3月 12、13 日に実施した県内一斉のタマネギべと病等発生調査(144 地点)
結果を下記のとおり取りまとめたので、防除の参考にしてください。
記
1 調査結果及び今後の発生予想
病害名
発生現況
平年比 前年比
べと病
平年並
多
白色疫病
平年並
前年並
腐敗病
やや多
少
軟腐病
平年並
前年並
発生状況
べと病越年り病株の発生ほ場率は 2.8%
(平年 3.1%)、発病株数は 0.2 株/a(平年
0.1 株/a)で平年並みであった。
発生ほ場率は 7.6% (平年 11.4%)、発病
株数は 0.7 株/a(平年 4.6 株/a)で平年並
みであった。
発生ほ場率は 6.3% (平年 4.2%)、発病株
数は 0.2 株/a(平年 0.2 株/a)で平年に比
べやや多かった。
発生ほ場率は 0% (平年 0.9%)、発病株数
は 0 株/a(平年 0.0 株/a)で平年並みであ
った。
今後の
発生予想
平年並
平年並
やや多
平年並
2 今後の対策
(1)べと病
・ 越年り病株(写真1)の発生を認めた場合は、早期に抜き取る。
・ 予防防除(殺菌剤コードM1~5、21、29 等を含む薬剤)を徹底する(表1)。
・ 二次感染株(写真2)の発生を確認した場合は、治療効果がある薬剤(殺菌剤コード
4、40 等を含む薬剤)で直ちに防除を行う(表1)。
(2)腐敗病、軟腐病
・ 排水不良は発病を助長するので、ほ場の排水を良好にする。
・ 伝染源となる発病株(写真3、4)を早期に抜き取り、ほ場外に持ち出し適正に処分す
る。
・ 現在、本病の発生が認められるほ場では、薬剤防除を徹底する(表2)。
・ 貯蔵中の発病を防ぐため、収穫は晴天日に行い、玉を傷つけないよう注意する。
3 防除上注意すべき事項
耐性菌発生防止のため、異なるFRAC(殺菌剤)コードの薬剤を輪番使用する。
【FRAC(殺菌剤)コードとは?】
1種類の薬剤に対して耐性を獲得すると同時に別の種類の薬剤に対する耐性も獲得する薬剤
を同一系統グループに分類し、グループごとに指定してつけられた固有の番号、記号のこと。
同一番号、記号の薬剤を連用すると耐性を獲得する可能性が高い。
写真1 タマネギべと病越年り病株(中央)
写真2 タマネギべと病二次感染株
写真3 タマネギ腐敗病の発病株
写真4 タマネギ腐敗病の抜き取り株
表 1 タ マ ネ ギ べ と 病 及 び 白 色 疫 病 の 防 除 薬 剤 一 覧 ( 平 成 27 年 2 月 現 在 )
ー
系統
殺
菌
剤
コ
一般名
商品名
べ 白
と 色
病 疫
病
希釈倍数・使用量
散布液量
使用時期
使用回数 使用方法
(収穫前日数)
成分含む
使用回数
ド
酸アミド,-
4 メタラキシルM・TPN水和剤 フォリオゴールド顆粒水和
800~1000倍,100~400リットル
○ ○ /10a
剤 (普)(A,C)
M5 3.3,32%
有機硫黄,
酸アミド
M3 マンゼブ・メタラキシルM水 リドミルゴールド
MZ(普)(B,A)
4 和剤 64,3.8%
ストロビルリン
11
ストロビルリン,
-
収穫7日前まで
3回以内
散布
メタラキシムM4回以内
(種子粉衣は1回以内、
は種後は3回以内)
,TPN6回以内
○ ○ 1000倍、100~300L/10a
収穫7日前まで
3回以内
散布
マンゼブ5回以内,メタラ
キシルM4回以内(但
し、種子への処理は1回
以内、は種後は3回以
内)
○
2000倍,100~300リットル/10a
収穫前日まで
4回以内
散布
アゾキシストロビン4回
以内
11 アゾキシストロビン・TPN水 アミスターオプティフロアブ
○
ル(普)(B,C)
M5 和剤 5.1,40%
1000倍,100~400リットル/10a
収穫7日前まで
4回以内
散布
アゾキシストロビン4回
以内,TPN6回以内
アゾキシストロビン水和剤 アミスター20フロアブル
20%
(普)(B)
ストロビルリン,
酸アミド
11
7
ピラクロストロビン・ボスカリ
シグナムWDG(普)(C,A)
ド水和剤 6.7,26.7%
○
1500倍,100~300リットル/10a
収穫7日前まで
3回以内
散布
ピラクロストロビン4回
以内(定植前は1回以
内、定植後は3回以内),
ボスカリド4回以内(定
植前は1回以内、定植
後は3回以内)
-,ストロビル
リン
27
11
シモキサニル・ファモキサ
ドン水和剤 30,22.5%
ホライズンドライフロアブル
(普)(A,C)
○ ○ 2500倍,100~300リットル/10a
収穫3日前まで
3回以内
散布
シモキサニル3回以内,
ファモキサドン3回以内
-
21
シアゾファミド水和剤 9.4%
ランマンフロアブル(普)(A)
○ ○ 2000倍,100~300リットル/10a
収穫7日前まで
4回以内
散布
シアゾファミド4回以内
-・-
21
27
アミスルブロム・シモキサ
ニル水和剤 17,30%
ダイナモ顆粒水和剤
(普)(C,A)
○
2000倍,100~300リットル/10a
収穫3日前まで
3回以内
散布
アミスルブロム3回以内,
シモキサニル3回以内
-,-
27 シモキサニル・TPN水和剤
ブリザード水和剤(普)(A,C) ○
M5 24,60%
1200倍,100~300リットル/10a
収穫7日前まで
3回以内
散布
シモキサニル3回以
内,TPN6回以内
-,-
27
40
シモキサニル・ベンチアバ
ベトファイター顆粒水和剤
リカルブイソプロピル水和
(普)(A,A)
剤 24,10%
○ ○ 2000倍,100~300リットル/10a
収穫7日前まで
3回以内
散布
シモキサニル3回以内,
ベンチアバリカルブイソ
プロピル3回以内
-
29
フルアジナム水和剤 50%
収穫7日前まで
5回以内
散布
フルアジナム6回以内
(苗根部浸漬は1回以
内、散布は5回以内)
○ ○ 1000倍,100~300リットル/10a
収穫7日前まで
3回以内
散布
ベンチアバリカルブイソ
プロピル3回以内,TPN6
回以内
レーバスフロアブル(普)(A)
○ ○ 2000倍,100~300リットル/10a
収穫前日まで
2回以内
散布
マンジプロパミド2回以
内
カンパネラ水和剤
(普)(A,B)
○
750倍,100~300リットル/10a
収穫7日前まで
3回以内
散布
ベンチアバリカルブイソ
プロピル3回以内,マン
ゼブ5回以内
収穫7日前まで
3回以内
散布
フルオピコリドは3回以
内、ベンチアバリカルブ
イソプロピル3回以内
1500~2000倍,100~300リットル
収穫7日前まで
/10a
3回以内
散布
アメトクトラジン3回以
内,ジメトモル3回以内
-
-
散布
銅-
収穫7日前まで
5回以内
散布
ノニルフェノールスルホ
ン酸銅5回以内
収穫3日前まで
5回以内
散布
マンゼブ5回以内
収穫前日まで
5回以内
散布
キャプタン6回以内(但
し、種子粉衣は1回以
内、は種後は5回以内)
収穫7日前まで
6回以内
散布
TPN6回以内
○
フロンサイド水和剤(普)(C)
1000~2000倍,100~300リットル
/10a
○ 1000倍,100~300リットル/10a
-,-
40 ベンチアバリカルブイソプ プロポーズ顆粒水和剤
M5 ロピル・TPN水和剤 5,50% (普)(A,C)
酸アミド
40
-,有機硫
黄
40
ロピル・マンゼブ水和剤
M3
酸アミド,-
43
40
フルオピコリド・ベンチアバ
ジャストフィットフロアブル
リカルブイソプロピル水和
(普)(B,A)
剤 33,12%
○ ○ 3000倍,100~300リットル/10a
-,-
45
40
アメトクトラジン・ジメトモル ザンプロDMフロアブル
フ水和剤27.0%,20.3%
(普)(-,A)
○
銅
M1
有機硫黄
マンジプロパミド水和剤
23.3%
ベンチアバリカルブイソプ
3.75,70%
銅水和剤 84.1%
ドイツボルドーA(普)(B)
ノニルフェノールスルホン
酸銅水和剤 40%
ヨネポン水和剤(普)(B)
M3 マンゼブ水和剤 80%
○ 500倍,100~300リットル/10a
○
500倍,100~300リットル/10a
○
400~600倍,100~300リットル
/10a
ジマンダイセン水和剤
(普)(B)
400~500倍,100~300リットル
○ /10a
ペンコゼブ水和剤(普)(B)
-
M4 キャプタン水和剤 80%
オーソサイド水和剤80
(普)(C)
-
M5 TPN水和剤 40%
ダコニール1000(普)(C)
○
400~600倍,100~300リットル
/10a
○ 600倍,100~300リットル/10a
○
1000倍,100~300リットル/10a
表2タマネギ腐敗病及び軟腐病の防除薬剤一覧(平成 27 年2月現在)
ー
系統
殺
菌
剤
コ
軟 腐
腐 敗
病 病
一般名
商品名
希釈倍数・使用量
散布液量
使用時期
使用回数 使用方法
(収穫前日数)
成分含む
使用回数
ド
シュードモナス ロデシア マスタピース水和剤
9
(-)(-)
水和剤 5×10 CFU/g
非病原性エルビニア カロト
バイオキーパー水和剤
ボーラ水和剤 5×
(-)(-)
10
10 CFU/g
ストレプトマイシン水和剤
マイシン20水和剤(普)(A)
25%
○
1000~2000倍、100~300リットル
/10a
○
500~2000倍,150~300リットル
/10a
○
1000倍
26
バリダマイシン液剤 5%
バリダシン液剤5(普)(A)
○ ○
31
オキソリニック酸水和剤
20%
スターナ水和剤(普)(A)
有機銅水和剤 40%
水酸化第二銅 46.1%
生物農薬
25
抗生物質
-
無機,銅
散布
シュードモナス ロデシア
-
発病前~発病初期
-
散布
非病原性エルビニア カ
ロトボーラ-
収穫7日前まで
5回以内
散布
ストレプトマイシン5回
以内
500倍,100~300リットル/10a
収穫3日前まで
5回以内
散布
バリダマイシン5回以内
○
1000倍,100~300リットル/10a
収穫7日前まで
5回以内
散布
オキソリニック酸5回以
内
キノンドー水和剤40
(普)(C)
○
600倍,100~300リットル/10a
収穫14日前まで
3回以内
散布
有機銅3回以内
コサイド3000 (普)(B)
○
1000~2000倍,100~300リットル
/10a
散布
水酸化第二銅-
Zボルドー(普)(B)
○
500倍,100~300リットル/10a
コサイドDF(普)(B)
○
1000倍
-
-
銅水和剤 76.8%
コサイドボルドー(普)(B)
○
ノニルフェノールスルホン
酸銅水和剤 40%
ヨネポン水和剤(普)(B)
○
500倍,100~300リットル/10a
収穫7日前まで
5回以内
散布
ノニルフェノールスルホ
ン酸銅5回以内
○
1000倍,150~500リットル/10a
収穫前日まで
-
散布
炭酸水素ナトリウム-,
無水硫酸銅-
銅水和剤 58%
銅
-
M1 銅水和剤 61.4%
NC 炭酸水素ナトリウム・銅水 ジーファイン水和剤
(普)(A,C)
M1 和剤 46,30%
塩基性硫酸銅-
水酸化第二銅-