解答例

2014 年度 地盤工学Ⅰ 演習課題 [2014.6.30 出題]
問題
地表面に設置された幅:B=10.0 m,長さ:L=20.0 m の長方形基礎を持つ構造物の極限
支持力について,以下の問いに答えよ。ただし,形状係数は α=0.25 として計算せよ。
構造物は偏心が無く,水平力は作用していないものとする。
(1) この基礎を,γt =18.0 kN/m3,φ=35°の砂地盤上に設置するとき,極限支持圧 qf を
求めよ。
(2) この基礎を,γt =16.0 kN/m3,c =25.0 kN/m2,φ=18°の粘土地盤上に設置するとき,
極限支持圧 qf を求めよ。
(3) 粘土が UU 条件(γt =16.0 kN/m3,cu =50.0 kN/m2,φu=0°)のとき,この基礎の極
限支持圧 qf を求めよ。
解答例
いずれの条件においても根入れがないので p0=0 である。
深さ係数は d=1,傾斜係数も i =1 として扱う。
(1) 砂地盤の支持力係数と長方形基礎の形状係数は,
(
N q =K p e πtan ϕ=tan 2 45∘+
35∘ π tan 35
e
=33.30 より,
2
)
∘
N γ ≒ 2(N q +1) tan ϕ=2×(33.30+1)×tan 35∘=48.03
s γ =1−α
B
10.0
=1−0.25×
=0.875
L
20.0
よって極限支持圧は,c=0 より,
q f=
γt B
18.0×10.0
N γ s γ=
×48.03×0.875=3782 ( kN/m 2)
2
2
(2) 粘土地盤の支持力係数と長方形基礎の形状係数は,
(
N q =K p e πtan ϕ=tan2 45∘ +
18∘ π tan 18
e
=5.26
2
)
∘
N c =( N q−1)cot ϕ=(5.26−1)×cot 18∘=13.11
N γ ≒ 2(N q+1) tan ϕ=2×(5.26+1)×tan 18∘=4.07
s c=1+
Nq B
5.26 10.0
=1+
⋅
=1.20
Nc L
13.11 20.0
s γ =1−α
B
10.0
=1−0.25×
=0.875
L
20.0
よって極限支持圧は,
q f =c N c s c +
γt B
N γ sγ
2
=25.0×13.11×1.20+
16.0×10.0
×4.07×0.875=393.3+ 284.9=678 ( kN/ m 2 )
2
(3) UU 条件の支持力係数は,表-9.1 より,Nc=5.14,Nq=1.00,Nγ=0 である。
関係する形状係数は, s c=1+
Nq B
1.00 10.0
=1+
⋅
=1.10
Nc L
5.14 20.0
よって極限支持圧は,c=cu として,
q f =c N c s c =50.0×5.14×1.10=283 ( kN/ m 2)
補足
今回の演習を通じて,砂地盤と粘土地盤の支持力の違いを確認してほしい。
新潟地震以降,砂地盤は液状化の恐れがあり,悪い地盤というイメージがついているが,
古来,砂地盤は良い地盤という認識があった。その要因は,一般的に砂地盤のせん断抵抗角が粘
土より高いことにあり,それが支持力係数の違いとして大きく影響していることが,演習結果か
ら確認できる。
UU 条件では特に支持力が小さくなったが,このことは,粘土地盤上で急速施工する場合に十
分注意を払う必要があることを示唆している。