バイオビジネスアワードJAPAN 受賞案件の概要

バイオビジネスアワードJAPAN 受賞案件の概要
バイオビジネスアワード
安全性と有効性の高い肺サーファクタント類似 SF-10 アジュバントを用いた
経⿐接種ワクチンの医療応⽤
徳島大学
疾患酵素学研究センター
特任教授
き
ど
木戸
ひろし
博
氏
〔概 要〕
アジュバントを用いるワクチン有効性の増強は時に副作用リスクを伴うが、安
全性確保を生体アジュバントの肺サーファクタントで、有効性増強を自然ルート
の経鼻接種にすることで、生体防御機能をフルに動員した安全で強力な経鼻接種
ワクチンが開発され幅広い医療応用の展望が開けた。合成肺サーファクタントア
ジュバント SF-10、SF-11 の生産系が確立され、2015年度内に非臨床 POC を
取得して翌年から臨床試験に入る。
審査員特別賞
新規オートファジーの活性化を介したポリグルタミン病治療薬の開発
東京医科歯科大学難治疾患研究所病態細胞生物学分野
しみず
清水
〔概
しげおみ
重臣
教授
氏
要〕
ポリグルタミン病は、神経細胞にポリグルタミンを含むタンパク質が蓄積して
発症する神経変性疾患である。この度、新規オートファジー(私たちが発見した
新たなメカニズムによるオートファジー)を活性化させる低分子化合物を開発し、
ポリグルタミン病のモデルマウスに投与したところ、ポリグルタミン蓄積の軽減
と顕著な病態改善が認められた。
彩都賞(発表順)
乳酸菌を用いた繊維芽細胞を多能性細胞に転換する技術とその
リプログラミング因子
熊本大学大学院生命科学研究部
〔概
准教授
おおた
太田
くに まさ
訓正
氏
要〕
私たちは、ヒト皮膚細胞に乳酸菌を取り込ませ、三胚葉由来の細胞に分化でき
る多能性細胞を作製した。正常細胞やがん細胞に、乳酸菌から精製したリプログ
ラミング因子を作用させると細胞増殖を抑制したことから、がんモデルマウスに
リプログラミング因子を投与し、その効果を検討中である。リプログラミング因
子の解析を進めることにより、細胞の多能性獲得機構だけでなく、安全・安心な
抗がん剤の開発基盤が構築できる。
マイクロ未未未を用いた未分化型肝癌細胞を幹細胞に形質転換する技術応
用とそのリプログラミング機序の解明
鳥取大学医学部 病態解析医学講座 薬物治療学分野
准教授
みうら
三浦
〔概
のり まさ
典正
氏
要〕
ヒトがん細胞(未分化型肝癌細胞)にヒトマイクロRNA(miR-520d-5p)と
いう極めて小さな生体分子を導入し、免疫不全マウスに移植するとがん細胞ではな
い、奇形腫や正常肝組織を生ずることを、2011年に発見した。このことからが
んが派生由来正常細胞へ昔戻りしているのではないかと考え、メカニズム解析と創
薬開発に従事している。がん治療に新たな方向性を与える有望なシーズと認識し、
着実に検討を進めている。