【長崎市】 公による住民サービス考える契機に/県営バス「撤退エリア」

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Zaikai Kyushu / FEB.2015
公による住民サービス考える契機に
通局は撤退の要因
のと言える。県交
の違いが表れたも
県営バス
「撤退エリア」
に民間バス参入
道路整備に伴い住民要望
利用者の利便性考え参入
で参入し維持困難
として、長 崎バス
長崎市では県交通局が「県営
バス」を、
民間の長崎自動車が「長
になったことをあ
が安価な自社運賃
崎バス」を運行しており、極力路
住民へのサービス
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長崎市
せるケースになった。
スの撤退地を民間バス事業者がカバーする〝あべこ
べ〟の状況は、地域公共交通機関の存在意義を考えさ
げているが〝地域
〟という観点から
す
なされてきた。
考えれば、それが
たえたものであった。
ここで長崎バスが同地域に参入
した経緯について振り返ってみる。
校、保護者たちの熱烈な要望にこ
4万5000人が生活している県
長崎バスは、車両通行可能な道路
県営バス、蛍茶屋から先は長崎バ
特に長崎南高の通学に関して
は、以前は矢上から蛍茶屋までは
営バスの単独運行地域だった。市
が整備されたことに伴い、 年
月にバス空白地帯だった同地域の
換えの必要ない路線を設置したこ
スに乗り換えねばならず、大変不
数は多いものの、地域内の支線の
年 月には、これも新しい道路
分程度短くな
ったほか、月の定期代も 万円程
とで所要時間は
蛍茶屋 ─ 矢上間に路線を延伸・
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が整備されたのに伴い長崎南高─
同地域での県営バスの撤退と長
崎バスの参入は、公共交通機関と
度安くなるなど利用者の利便性
の運行だった。
茂木─ 飯香の浦─ 矢上間に参入。 便なものだった。長崎バスが乗り
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客数は少なく、赤字を抱えながら
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開設した。いずれも地域住民や学
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して地域の足を守ろうとする姿勢
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地域の
このエリアは今まで長崎県営バスが運行していたのだ
が、大幅減収を見越して撤退したためである。公営バ
線が重複しないように棲み分けが
東 長 崎 地 域は長 崎 市 中 心 部
のベッドタ ウンとして 発 展 して
地域住民に受け入
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中心部と結ぶ幹 線 路線沿いの客
は明白だ。
きたエリアで、東 長 崎 地 区( 同
月末
れられるかどうか
年
市東長 崎支所管内)の人口は約
万 9 0 0 0 人(
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現在)
。 周 辺 ま で 合 わ せる と 約
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変 わっていく
14年4月、長崎自動車が住民の強い要望を受け、長
崎市東部の東長崎地域でバス運行をスタートさせた。
BUS
TAXI
RAILWAY
地域住民の要望にこたえ東長崎地域で運行を開始した長崎バス
14年3月末で東長崎地域
から撤退した長崎県営バス
長崎バスは経営努力で日本一安い運賃を維持
費を削減したり、中古バスの購入
なされたが実現には至らなかった
統である。住民からは「利用者無
地─東望道など
は埋められなかった。
経費削減に務めてきたが、その差
割高 感はある。県 交 通局も人件
と経済性は格段に向上した。一方、 年 月末で廃止されたのは、
支線にあたる潮見町─矢上、卸団
で車両購入費を抑えたりするなど
のである。安価な運賃の長崎バス
視で身勝手」と、怒りの声が上が
県営バス側にも路線新設の要望は
運行系
が参入したことで同地域での運賃
っていた。県交通局は〝長崎地域
してほしい」としているが、
「公に
で「大変申し訳ない。事情を理解
字の拡大が見込まれたためである。 のローカル路線廃止のお知らせ〟
関しては雇用や設備投資に充てる
からだろう。同社は「バス事業に
通機関の役割に対する意識が高い
交通局の1・5億減収試算
補助金見込めず撤退決断
県交通局は同地域で運賃を長
崎バスに合わせて値下げした場合、
日本一安価な運賃体系は
億5600万円の減収になると
「地域の足としての役割」
試算。路線維持と値下げを両立
させるため、 年から市に赤字路
運賃面では長崎バスに歩がある
線に対する財政負担を求めていた。 のは確かだ。 ㌔㍍当たりの基準
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費税増税時に
円値上げして以
る場合に限って検討すべきであり、 来、値上げはしておらず、 年
月の %の引き上げ時にも値上げ
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業施設などのバス事業以外で確保
しているという。地域の足として
の役割を果たすことが最優先とい
うわけだ。
路線撤退で全国的に路線距離
が減 少 傾 向にある中、むしろ 路
線が延伸しているのもその表れで、
狭小道路や利用者の少ない路線に
は小型バスを導入したりするなど
替バスになるのでは」とし、県交
の求めも一切ないし、長崎バスが代
自助努力で頑張っている。補助金
ないのではないかと考えている」
るバス会社が多い中、補助金は全
行政からの補助金で路線を維持す
者が少ない路線も運行しているが、 果が奏功しているためだ。さらに、
と回答。また、
「長 崎バスは利用
く受けていないというから驚きだ。
はもちろん、コスト意識の徹底効
は見送っている。利用者数の多さ
でおり、それらが信頼獲得と利用
安全面への取り組みにも力を注い
全教育センター」を開設するなど、
また、経費削減に取り組む一方、
運転手の実技と教育を行う「安
取り組んでいる」という。
わないためにできる限りのことに
「利用者の利便性向上、信頼を失
通局の求めを暗に拒否。補助金の
一方、県営バスは 円 銭で全
国の大手177社中 番目の安さ
ている。
率向上につながっているとみられ
見込みがなくなったことから県交
ではあるが、長崎バスと比べると
公的支援を行う状況には至ってい
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代替手段がないなど特殊事情があ
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できれば」としており、収益は商
よる住民サービスとは何か」を問
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分を確保し、最低限の収益を維持
路線
値下げの要望はさらに強まり、赤
長崎バスが低運賃で路線を維持
できるのは、経営トップの公共交
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いかける出来事になった。
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賃率は 円 銭で「日本一安い」
しかし、市は「公的支援は他事
業者の参入が見込まれない場合や、 と言われている。1997年の消
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通局は路線廃止に踏み切った。
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