熊本市では、2009年に長期 的な都市計画の方向性を示した たために都市機能 が衰退し、地域で 生活する人たちの 利便性が低下して いるという認識が の整備を両輪として全体構想が形 徴は都市づくりと公共交通機関 ン」を策定したが、その大きな特 や住民の戸建て志 ゼーションの進 展 市では、モータリ 熊本市に限らず 地方の中核的な都 ある。 成されていることにある。中心市 向などで市域が拡 市が、公共交通機関と一体にな ったまちづくりを標ぼうする背景 要があるとの考えに立つ。 交通機関でネットワークされる必 地と地域拠点、生活拠点が公共 欠であり、そのためには中心市街 が豊かなまちづくりのために不可 階的な都市構造を作っていくこと って居住圏が形成されるような段 それらの拠点を中心に外側に向か 点に都市機能を集中させ、さらに れば、子どもや高 齢 者などの交 交通サービスの維持ができなくな 交通機関の利用者が減少し公共 加することが考えられ、また公共 医療難民と言われる人たちが増 迷すれば、いわゆる買い物難民や 住圏で商店街や病院の利用が低 下が懸念されるようになった。居 税収不足による行政サービスの低 市街地の空洞化や 齢化の影響で既成 大したが、少子高 づくりだ。中心市街地をはじめ地 たキーワードが、「多核連携都市」 こうした事態に陥らないように するための処方箋として考えだし スができなくなる恐れもある。 中で住民に期待される行政サービ 社会保障費のニーズが年々高まる りかねない。税収が伸びなければ、 通弱者を作ってしまうことにもな 26 Zaikai Kyushu / FEB.2015 交通空白地には 〝デマンド型タクシー〟 を活用 熊本市 生法の枠組みを活用しながら熊本型コンパクトシティ を目指していく。 いる熊本市。今後は、14年9月に施行された改正都市 再生特別措置法、同年11月の地域公共交通活性化・再 段階的都市構造を持つ 豊かなまちづくり 公共交通機関で 「多核連携都市」 づくり 地域の を公共交通機関で結ぶことで、住民の誰もが移動しや すく暮らしやすい〝多核連携都市〟づくりに取り組んで 「第2次熊本市都市マスタープラ 街地とその周辺にある の地域拠 には、ここ数年で市街地が拡大し 15 変 わっていく 都市機能が集積した中心市街地とそれを取り巻くよ うに配置された地域拠点、さらにその周辺の居住地域 BUS TAXI RAILWAY 熊本市が目指す多核連携都市づくりのイメージ バス網再編で大きな役割担う都市バス 地域拠点と居住圏はデマンド型タクシーで結ぶ 目指そうとしている。 換、熊本型のコンパクトシティを 暮らしやす都市づくりに方向転 活性 化し、誰もが移動しやすく 域拠点などの都市機能を維 持・ 支えているが、これらの公共交通 JR九州、市電などが地域交通を 水準の低下が懸念されるためだ。 向上を図る一方、公共交通利用促 ICカードの導入などで利便性の 社が出資した熊本都市バスのほか、 車や自転車とバスの乗り継ぎ強化、 熊 本 市では現 在、九州産 交バ ス、熊本電鉄バス、熊本バスと3 進キャンペーンなどにも民間事業 具体的には、バス優先レーンや バスロケーションシステムの導入、 り組んでいる。 機 関の利 用 者は、 クに年々減少しており、特に市内 本都市圏を運行する乗り合いバス 民間バス事業者の経営を直撃、熊 離れた地域いわゆる公共交通空白 ると、バス停から1000㍍以上 いる。前述のように市の調べによ 通に市電、幹線バスなどを位置づ ざるを得なくなる。全国の乗り合 こうなると、バス事業者として も不採算路線などを廃止・減便せ ている。そこで予約制のタクシー ㍍)には3万5000人が生活し 交通不便地域(500〜1000 カ所ある公共交通空白地において とする。さらに、現在も市内に7 用しやすい生活交通網を確立する かりやすく再 編し、生活 者が利 居住圏に向けてもバス路線網を分 のは避け られない。熊 本 市 内で 民 間バスの路 線 廃 止で、公 共 交 通 空白 地・不 便 地域が生じる 及ぶ。 延長距離は約1万1000㌔にも までの6年間で廃止した路線の総 した。同タクシーのルートは、今 1回200円で移動できるように トの停留所から目的の停留所まで を運行してあらかじめ定めたルー や 路線にまで広がっている。 もあいのりタクシーなどコミュニテ は、バス停から1㌔以上離れた空 500〜1000㍍離れたエリア ィ交通を活用することで空白地や 標に掲げている。 こうした現状を踏まえて市は、 公共交通ネットワークの強化に取 に住んでいる人を3万5000人 に上ると推計している。 化に乗り出すのも、公共交通利 市が、本来は民間バス事業者に 委ねられるべき路線バス網の効率 白地に住んでいる人は6000人、 11 不便地域の解消を目指すことを目 06 6000人が居住しており、公共 け、運行本数の確保や定時性の いバス事業者が 年度から 年度 厳しい経営を余儀なくされている。 地域に市内に7地域あり、そこに 事業者(高速バス事業を除く)は 全体のバス利用者数はピーク時の 一方、地域拠点と居住圏を結ぶ 3割にまで減少している。これが、 コミュニティ交通の導入も進めて 者の枠を越えて取り組んでいる。 年 ごろピー 「公共交通グランド デザイン」 で道筋示す 同プランをベースに公共交通の あり方を示したのが、 年に策定 75 強 化を図り、また地域拠点から 同デザインでは、中心市街地と の地域拠点を結ぶ基幹公共交 イン」だ。 された「公共交通のグランドデザ 10 用者の減少で、公共交通サービス るコンパクトシティ実現を後押し 国も、財政支援を通じて地方に おける公共交通機関網の構築によ 国も地方都市の 「コンパ クトシティ化」 を後押し 10 している。そのフレームワークと Zaikai Kyushu / FEB.2015 27 15 中心市街地と地域 拠点をネットワーク スするのはバスや 市電だ 市電も基幹交通の一翼を担う なるのが、 年8月に施行された する必要があることから 年 月 た「立地適正化計 画」を策 定さ したい都市機能誘導区域を示し 業や医療・福祉機能などを集積 を促進したい居住誘導区域と、商 施行された法律で、自治体に居住 改正都市再生特別措置法は、 コンパクトな都市づくりを目的に 法だ。 トワークを再構築することを意図 ちづくりと並行して公共交通ネッ と。地方自治体が中心となってま を支援することをうたっているこ 求めた上で、それぞれの取り組み 計画の策定を自治体と事業者に 編事業や地域公共交通再編実施 構築するために、地域公共交通再 面的な公共交通ネットワークを再 改正前の枠組みと比べて大きく 違う点は、地域 全体を見 渡して に改正された。 れることになっている。 3月末には残る路線を全て移譲さ の路線移譲が着々と行われ、 年 した。 年以降、民間バス会社へ バスを民間3社による出資で設立 市営バスの受け皿となる熊本都市 に向けて検討を開始し、 年には と民間3社が市営バスの路線移譲 因にもなっていたことから、市側 朝夕の交通渋滞を引き起こす原 市営バスと民間バスの重複も多く、 ス、市営バスの4社競合状態にあ は、産交バス、電鉄バス、熊本バ せ、それに基づいて税制上の支援 している。市交通政策総室では 「立 改正都市再生特別措置法、同年 や、容積率の緩和などで支援する 地適正化計画の策定と歩調を合 都市バスは、今後のバス網再編 の担い手となることが期待されて り、中心部に向かう 幹 線 道では ことを打ち出した。 わせて、バス事業者との協議を進 月の地域公共交通活性化再生 これを受けて市は、同計画策定 のために庁 内 会 議、検 討 部 会な 年度 も同計画のたたき台を策定する方 針。市都市政策課では「 には熊本市多核連携都市推進協 いる。 年に発足した有識者らに 年度には再編プロジェクトがス でもそのことが明記されており、 よる「バスのあり方検討協議会」 08 タート、 年3月に策定した再編 実施プログラムでは 〜 年度を 13 考えだ。 九州産交の経営再建のために民間 るようになった。産業再生機構が、 どの路線網整備を行っていく方針 とで、懸案の課題として認識され 業 再生機構に支援を要請したこ を打ち出している。 ど路線の特性に合わせた階層化な の整備、基幹路線や生活路線な メドに需要に応じた路線・ダイヤ 一方、地域公共交通活性化再生 法は、地域公共交 通の活 性 化と バス事業者の経営経営を圧迫して 熊本市におけるバス網再編の動 きは、 年に九州産業交通が産 15 09 07 20 議会を設置し、たたき台をベース に素案を策定、パブリックコメン トなどの手続きを経て、同年度末 18 都市バスを中心にした バス路線網の再編推進 めていきたい」と話している。 11 どを立ち上げており、今年度中に 14 再生を効率的進めるために 年に に立地適正化計画を策定したい」 12 15 地域公共交通ネットワークを整備 +ネットワークの考え方のもとで 定められたが、コンパクトシティ 当時、市域を運行するバス会社 ためだ。 いる市営バスの路線移譲を求めた ギを握っている。 本市。バス路線の再編が成否のカ 07 28 Zaikai Kyushu / FEB.2015 14 富山などと並んでコンパクトシ ティ化の動きが注目されている熊 03 11
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