第2章 分析の構成 (A Framework for Analysis)

第 2 章 分析の構成
1
• 横軸: 労働者 1 人当たり生産要素
• 縦軸: 労働者 1 人当たり生産
第 2 章 分析の構成
• 右上がり
• 限界生産性逓減
⋆ 講義ノートは
http://www2.asia-u.ac.jp/˜ shin/lecture/growth.html にある.
⋆ 第 2 版のスライドは
http://wps.aw.com/aw weil econgrowth 2/ → Classrom ReR Slides にある.
sources → PowerPoint⃝
⋆ 第 3 版のスライドは
Figure 2
1 人当たり生産量の違いの原因
http://wps.aw.com/aw weil econgrowth 3/ → Classrom ReR Slides にある.
sources → PowerPoint⃝
2.1
シルヴァニアとフリードニアの経済
• 横軸: 労働者 1 人当たり生産要素
学: 1 つの寓話
• 縦軸: 労働者 1 人当たり生産
Tabel 1:フリードニアとシルヴァニア
フリードニア シルヴァニア
形態
民主主義国
君主国
1 人当たり GDP
8倍
1
投資
32 倍
1
投資率
4倍
1
• (a) 要素蓄積による格差
• (b) 生産性による格差
• (c) 生産性と要素蓄積による格差
2.2.2
2.2
寓話から実践へ
• 国を豊かにする要因:
所得水準から所得成長率へ
シルヴァニアが君主国からフリードニアのように民主主
義国に変わった場合,成長率はどう変わるか?
– 投入要素 (input)
– 生産性 (productivity)
• 生産性の格差
2.3
2.3.1
データから何を学ぶか?
散布図と相関
– 技術 (technology)
– 効率性 (efficiency)
散布図
2.2.1
生産関数
Figure 3
緯度と 1 人当たり所得の関係
• 生産要素 (factors of production)
• 生産関数 (production function)
生産関数
Figure 1
横軸に緯度を,縦軸に 1 人当たりの所得をとって,世界
各国のデータをプロットしたものである.緯度と 1 人当た
りの所得の間には右上がりの傾向がみてとれる.右上がり
の傾向を「正の相関」という.シンガポールのような一部
例外もあるが,大抵赤道から遠くなるほど 1 人当たりの所
得は高い.
第 2 章 分析の構成
2
X(Y ) が Y (X) の原因である
Figure 4
1 人当たり所得と人口成長の関係
• X⇄Y
一方,第 2 は,食事量と体の大きさの関係である.この 2
つの間にも正の相関がありそうだ.つまり,横軸に食事量,
縦軸に体の大きさをとって散布図を描いてみると右上がり
の傾向があるだろう.たくさん食べるほど,一般的には太
るので,この相関関係は
横軸に 1 人当たりの所得を,縦軸に人口成長率をとって世
◦
界各国のデータをプロットしたものである.1 人当たりの所
食事量 −→ 体の大きさ
得と人口成長率の間には右上がりの傾向がみてとれる.右
下がりの傾向を「負の相関」という.1 人当たりの所得が高
食事量から体の大きさへの因果関係とも解釈できる.しか
し,逆方向の因果関係も考えられる.
い国ほど人口成長率が低い.
◦
食事量 ←− 体の大きさ
つまり,そもそも体が大きいのでたくさん食べることもあ
相関係数
りうる1 .
相関関係の程度も数字で表現でき,その値を「相関係数」
という.相関係数は −1 から 1 の間の値を取り,1 に近いほ
ど正の相関が強く,−1 に近いほど負の相関が強い.0 に近
X と Y は直接に因果関係はない
ければ 2 つの変数間には相関が弱いと解釈できる.ちなみ
第 3 は,アイスクリームの消費量とサメに襲われた人の
に Figure 3 の場合,相関係数が 0.57,Figure 4 の場合,相
数の関係である.この 2 つの間には実際正の相関があるそ
関係数が −0.34 である.
うだ.つまり,横軸にアイスクリームの消費量,縦軸にサ
メに襲われた人の数をとって散布図を描いてみると右上が
• 計算式
りの傾向があるらしい.しかし,アイスクリームの消費が
∑
(x − x
¯)(y − y¯)
√∑
√∑
2
(x − x
¯)
(y − y¯)2
(2.1)
サメの攻撃の原因とは考えにくい.その逆もないだろう.
×
アイスクリームの消費 −→ サメの攻撃
ここで,x
¯ は x の平均,y¯ は y の平均である.
×
アイスクリームの消費 ←− サメの攻撃
2.3.2
では,一体どういうことか.落ち着いて考えてみたい.ア
因果関係
イスクリームの消費量とサメに襲われた人の数はどちらか
というと夏の気温と関係があるのではないか.暑い日にア
X は Y の原因である
イスクリームを食べる人は増え,海に遊びに行く人も増え
るからであろう.
• X→Y
このように,X (アイスクリームの消費量) と Y (サメに
第 1 は,雨量と傘を持ち歩く人の数の関係である.この
襲われた人の数) の間に相関関係があって,関係しているよ
2 つの間には正の相関がありそうだ.つまり,横軸に雨量,
うに見えても,実際には Z (気温) という第 3 の要因が X と
縦軸に傘を持ち歩く人の数をとって散布図を描いてみると
Y の両方に影響を及ぼしている.このとき X と Y は「見
右上がりの傾向があるだろう.雨が降れば,傘を持つ原因
せかけ相関」あるいは「擬似相関」の関係にあるという.
■ 歴史データから学ぶ
ともなるので,この相関関係は
◦
雨 −→ 傘
Figure 5
1890 年のフォーゲルの水運ネットワーク地図
雨から傘への因果関係とも解釈できる.そして,逆方向の
因果関係は考えにくい.
×
雨 ←− 傘
つまり,傘を持ち歩く人が増えると雨が降りやすくなると
は考えにくい.この例は一方通行の因果関係である.
1 実際の因果関係を確かめる方法として「グレンジャー因果性テスト
(Granger causality test)」というものがある.
第 2 章 分析の構成
2.4
3
• ultimate cause (究極的原因)
結論
⋆ memo
• factors of production (生産要素)
• economic model (経済モデル)
• scatter plot (散布図)
2.5
基本用語
• capital (資本)
• variable (変数)
• outlier (はずれ値)
• correlation (相関)
• correlation coefficienct (相関係数)
• investment (投資)
• reverse causation (逆因果関係)
• productivity (生産性)
• cross-sectional data (横断面データ)
• technology (技術)
• omitted variable (除外変数)
• effciency (生産性)
• fundamentals (基礎的条件)
• proximate cause (直接的原因)
2.6
問題
1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8