1 正負の数

第 1 章 正負の数
発展新演習 中1数学 指導のポイント
正負の数
1
◆指導ページ P.10 ~ 13 ◆ 【指導のねらい】
★正の数と負の数の表し方と意味を理解する。
★絶対値の意味を理解する。
★数の大小を比べられるようにする。
はじめに
学習内容・補足事項など
<導入>
学習1 正負の数 ⇒A1,B1
この単元では,0 より小さい数を初
例題
めて学習する。また,それにともない ▷ 次の数を,正の符号,負の符号を用いて表せ。
さまざまな数に関する知識を学習して 0 より 7 大きい数
いくことになる。今まで小学校で学習
0 より大きい → 「+」をつけて表す → + 7
してきたものは計算が中心であったの 0 より 5 小さい数
で,中学校の数学との違いをまず知っ
0 より小さい → 「-」をつけて表す → - 5
てもらいたい。小学校でも学習したが,▷ 次の数直線上で,A,B,C,D にあたる数を答えよ。また,そのうち,自然数はどれか。
中学校で新出単語として学習するもの
A
B
C
D
もあるので,小学校とのつながりは重
視していきたい。導入としては,身近
なもので 0 より小さい数を使う例を
使って説明するとよい。生徒にどんな
0 より小さい数があるかを聞いてもよ
い。
例 気温,お金(貯金借金),
ゴルフのスコア,など
<事前確認>
学習1
数…正の数,0,負の数に大きく分け
られる。
正の数… 0 より大きい数
符号:+(正の符号)
負の数… 0 より小さい数
符号:-(負の符号)
−5
0
+5
0 より左は負の数,右は正の数を表す。
A… 0 より 4.5 左の点 → - 4.5
B… 0 より 2 左の点 → -2
C… 0 より 0.5 左の点 → - 0.5
D… 0 より 2 右の点 → + 2
自然数とは,正の整数のことなので,このうち自然数であるのは+ 2
※ 1 目盛りがいくつなのかを確認すること。
学習2 反対の性質をもつ量 ⇒A2,B2
例題
▷ 3 分後を+ 3 分と表すとき,6 分前
「 後」が「+」,「前」は「-」 → - 6 分
▷ 3.2 cm低いを-3.2 cm と表すとき,7 cm高い
「低い」が「-」,「高い」は「+」 → +7 cm
※意味が反対になる言葉を確認しておくこと。
高い⇔低い 進む⇔戻る 利益⇔損失 もらう⇔あげる など
自然数…正の整数のこと
学習3 絶対値 理解 ⇒A3,B3
※ 0 は自然数ではない
例題
▷ + 5 → 原点より 5 右の点 → 原点との距離は 5
数直線…目盛りで数を表している直線 ▷ -2.3 → 原点より 2.3 左の点 → 原点との距離は 2.3
原点:0 の位置
正の方向:右方向
負の方向:左方向
※絶対値を答える問題は,符号をとってしまえばよい。
■補足
絶対値が 3 となる数を求めよ。
学習3
絶対値が 3 となるのは+ 3 と- 3
※絶対値が同じになる数は正の数と負の数の 2 つある。絶対値が 0 となる数は 0 だけである。
絶対値…原点からの距離
絶対値を求めるときは,その数の 学習4 正負の数の大小 理解 ⇒A4,B4 ,5
例題
符号を取りさる。
▷ 次の組の数の大小を,不等号を用いて表せ。
学習4
不等号…数の大小を表すための記号。
数が大きい方に開いた方を向ける。
<:小なり
(~より小さい,未満)
>:大なり
(~より大きい)
※=は等号という。
⑴ - 4,+ 5
正の数と負の数→正の数の方が大きい
- 4 <+ 5
⑵ + 0.8,+ 1.1
正の数どうし→絶対値が大きい方が大きい + 0.8 <+ 1.1
1
5
⑶ - 3 ,- 3
1
5
負の数どうし→絶対値が小さい方が大きい - 3 >- 3
正の数の意識が強いので,強調しておきたい。
※分数どうしでの大小を比べる場合は,通分する必要がある。このとき,符号の違いを忘れ
てしまうことが多い。通分した後,必ず符号を確認することを徹底したい。
■補足
- 3,- 5,+ 2 の大小を,不等号を用いて表せ。
3 つの数の大小は,小さい順(大きい順)に並べかえてから不等号を用いる。
つまり,不等号の向きを同じにする。
小さい順にすると- 5,- 3,+ 2 より,- 5 <- 3 <+ 2
第 1 章 正負の数
発展新演習 中1数学 指導のポイント
加法と減法⑴
2
◆指導ページ P.14 ~ 17 ◆ 【指導のねらい】
★正の数と負の数の足し算の方法を理解する。
★交換法則と結合法則の使い方を覚える。
学習内容・補足事項など
はじめに
<導入>
学習1 正負の数の加法(同符号の和) 理解 ⇒A1,2,B1~3
計算問題になるため,小学校で学習 例題
した足し算のやり方からつなげていき ▷ (+ 5)+(+ 3)
たい。加法とはいっているが,計算上
=+
(5 + 3)
では引き算を行うこともあるので,や
り方を徹底することが望ましい。数直
=+ 8
共通の符号
線を使って数の大小がどうなるのかを ▷ (-4)+(- 2)
=-
(4 + 2)
確認してみるとよい。
<事前確認>
同符号の和は絶対値の和に共通の符号をつける
(慣れてきたら途中式は省いてもよい)
共通の符号
=- 6
学習1
加法…足し算のこと
学習2 正負の数の加法(異符号の和) 理解 ⇒A3,4,B1~3
例題
和…足し算の式や答えのこと
▷ (+ 3)+(- 6)
・正の数を加える
=-
(6 - 3)
→値は大きくなる
(数直線上では,右に進む)
=- 3
・負の数を加える
絶対値が大きい方の符号
異符号の和は絶対値の差に絶対値の大きい方の符号をつける
(計算より前に符号を決めるように徹底する)
▷ (- 1)+(+ 7)
→値は小さくなる
=+(7 - 1)
(数直線上では,左に進む)
=6
※同符号と異符号で符号と計算方法が変わるので,まず符号がどちらになるのかを判断してか
同符号どうしの加法
ら絶対値を決めるとよい。
・絶対値…それぞれの絶対値の和
・符号…それぞれと共通の符号
学習2
学習3 加法の交換・結合法則 暗記 ⇒A5,B4
・交換法則… a + b = b + a
・結合法則…(a + b)+ c = a +(b + c)
異符号どうしの加法
例題
・絶対値…絶対値どうしの差
▷ (+ 4)+(- 3)+(+ 2)
※差…引き算の式や答えのこと
・符号…絶対値が大きい方の符号
交換法則
=(+ 4)+(+ 2)+(- 3)
結合法則
学習3
=(+ 6)+(- 3)
加法の交換法則…加法のとき,値の順
=+ 3
番を変えてもよい。
異符号の和
▷ (+ 1.5)+(-0.8)+(+1.7)+(- 3.6)
a + b = b + a
交換法則
=(+ 1.5)+(+1.7)+(-0.8)+(- 3.6)
加法の結合法則…加法のとき,どこの
和から求めてもよい。
(a + b)
+ c = a +(b + c)
結合法則
=(+3.2)+(-4.4)
=- 1.2
異符号の和
※同符号どうしをまとめてから計算する。→異符号の和の計算の回数が少なくなる。
※異符号の和の計算はミスが出やすいので,なるべく同符号どうしをまとめてからの方がよい
が,絶対にそうしなくてはいけないわけではない。生徒によっては左から順に計算する場合
もあるので,強制的に計算順序を訂正する必要はない。利点を説明した上で生徒自身に選ば
せてよい。
■補足
異符号の和から先に計算すると楽になるものもある。
例 (+200)+(-199)+(+59)+(-59)
結合法則
=(+ 1)+ 0
=+ 1
※絶対値が近いか等しい数の異符号の和は先に計算するとよい。
ただし,原則として同符号の和を優先する。
第 1 章 正負の数
発展新演習 中1数学 指導のポイント
加法と減法⑵
3
◆指導ページ P.18 ~ 21 ◆ 【指導のねらい】
★減法の計算方法を理解する。
★加法と減法が混じった計算を解けるようにする。
★かっこをはずす方法を覚える。
はじめに
<導入>
減法も加法と同様に数直線を利用し
学習内容・補足事項など
学習1 正負の数の減法 理解 ⇒A1,B1
・減法を加法に直してから計算する。
てから値がどうなるのか説明するとよ -(+ a)⇒+(- a)
い。ただし,移動する向きが加法と逆 -(- a)⇒+(+ a)
になるため理解するのに苦労しやすい。例題
計算のしかたをしっかりと定着させる ▷ (- 4)
-
(+ 6)
必要がある。
=(- 4)
+(- 6)
-(+ a)⇒+(- a)
項については,中学校で初めて出て =-(4 + 6)
くる考え方なのでしっかりと説明した =- 10
同符号の和
い。加法に直さないで項を答えてしま ▷ (+ 5)
-(- 3)
う場合が多いので,加法の式をつくる =(+ 5)
+(+ 3)
-(- a)⇒+(+ a)
「-」がなくなることに違和感を覚える生徒もいる
ことを徹底したい。
=+(5 + 3)
=+ 8
<事前確認>
▷ (- 2.1)-(- 4.7)
学習1
=(- 2.1)+(+ 4.7)
減法…引き算のこと
=+(4.7 - 2.1)
異符号の和
= 2.6
差…引き算の式や答えのこと。
・正の数を引く…値は小さくなる。
※計算方法自体は加法と同じなので,同符号の和と異符号の和の計算方法の違いをきちんと身
につけたい。
(数直線では左に進む。)
※符号の変換を間違えてしまうことが多いので注意する。
・負の数を引く…値は大きくなる。
(引かれる数の符号を変える,引く数の符号を変えない,加法になおさないで計算するなど)
(数直線では右に進む。)
学習2 3 つ以上の数の減法 ⇒A2,B2
正負の数の減法
・すべてを加法になおす
加法の式に直してから,加法と同様 例題
の方法で計算する。
▷ (+ 3)-(- 21)-(+ 35)-(- 10)
減法を加法になおすと,引く数の符 =
(+ 3)+(+ 21)+(- 35)+(+ 10)
号が逆になる。
=
(+ 3)+(+ 21)+(+ 10)+(- 35)
学習2
交換法則
(正の数どうし,負の数どうしを隣りあわせる)
結合法則
(正の数どうし,負の数どうしの和を求める)
項…加法だけの式のとき,その和を求 =(+ 34)+(- 35)
めるための,1 つ 1 つの値のこと。 =- 1
・正の項…正の数の項
-(+ a)⇒+(- a) -(- a)⇒+(+ a)
※加法だけの式になおせば,交換法則や結合法則を用いることもできる。
・負の項…負の数の項
学習3 加法と減法の混じった計算 理解 ⇒A3,4,B3,4
学習3
加法と減法の混じった計算
・減法をすべて加法になおす(学習2)or かっこをはずして計算する。
・かっこのない式…加法の記号「+」を省略した形の式 → 加法と同じように計算できる
[解法 1]
・かっこのはずし方
減法をすべて加法になおしてから計 a +(+ b)= a + b
算する。
[解法 2]
a -(+ b)= a - b
a +(- b)= a - b
a -(- b)= a + b
例題
かっこをはずしてから計算する。
▷ (+ 6)+(- 4)-(- 3)-(+ 8)を計算せよ。
・かっこのない式
方法①:減法をすべて加法になおした場合
→加法の記号
(+)を省略した式であ (+ 6)+(- 4)+(+ 3)+(- 8)
ることを確認。
=(+ 6)+(+ 3)+(- 4)+(- 8)
=(+ 9)+(- 12)=- 3
方法②:かっこをはずして計算した場合
+ 6 - 4 + 3 - 8
=+(6 + 3)-(4 + 8)
同符号の数をまとめる
=+ 9 - 12 =- 3
※今までかっこをはずしていない形で計算してきたので,方法①を好む傾向がある。
すでにかっこがはずれている形での計算問題もあるので,方法②をおすすめしたい。
第 1 章 正負の数
発展新演習 中1数学 指導のポイント
乗法と除法⑴
4
◆指導ページ P.22 ~ 25 ◆ 【指導のねらい】
★乗法の計算方法を理解する。
★累乗と指数の計算を解けるようにする。
★乗除の混じった計算の仕方を理解する。
学習内容・補足事項など
はじめに
<導入>
学習1 正負の数の乗法 暗記 ⇒A1~3,B1
計算方法は,小学校のときとまった ・同符号の積…絶対値の積に+
く同じでよいので,加減のときより理 ・異符号の積…絶対値の積に-
解しやすい。ただし,符号の変換が加 ・符号の決定(除法でも同様)
減のときより複雑になっているため, (+)×(+)=(+)
加減と乗法で符号の考え方を区別して (+)×(-)=(-)
解くことを徹底したい。また,乗法を (-)×(+)=(-)
学習することで,加減のときの符号ま (-)×(-)=(+)
で乗法と同様の変換をしてしまうこと 例題
が多いため,加減についても復習を入 ▷ (- 6)×(- 3)
れていきたい。
同符号の 2 数の積
=+(6 × 3)
累乗の考え方も中学校で初めて学習 =+ 18
することなので,計算方法から表し方 ▷ (- 4)×(+ 5)
異符号の 2 数の積
までしっかりと理解させたい。同じ数 =-(4 × 5)
の乗法のときは簡単な式で表すことが =- 20
できる,というように「この方がいい ▷ 5 ×(- 7)
符号がない数は正の数と考える
んだ」と思わせるようにしたい。ただ =-(5 × 7)
し,計算の際の符号に関してミスが出 =- 35
やすいところでもあるので,何度も確
認する必要がある。
<事前確認>
学習1
乗法…かけ算のこと
積…かけ算の式や答えのこと
絶対値…絶対値の積
符号…同符号の積→「+」
※計算の前に必ず符号を決める。符号のミスが多発するところなので,先に符号を確認するこ
とを徹底させたい。
学習2 3 つ以上の数の乗法 理解 ⇒A4,B2~4
「符号の決定」→「絶対値の積」の順に行う
符号の決定(数が 3 つ以上の場合)
「-」が偶数個…「+」
「-」が奇数個…「-」
※乗除のときのみで,加減のときは使えないので注意する。
例題
異符号の積→「-」
▷ (- 3 )×(+ 2)×(- 4)
学習2
=+ 24
3 つ以上の数の乗法
=+(3 × 2 × 4)
「-」の個数が 2 個(偶数個)なので,符号は「+」
▷ (-6)×(-0.25)×(+ 4)×(-0.1)
・符号を先に決めてから絶対値の計 =-(6 × 0.25 × 4 × 0.1)
=-{(6 × 0.1)×(0.25 × 4)}
算を行う。
「-」の個数が 3 個(奇数個)なので,符号は「-」
交換法則 & 結合法則
・交換法則,結合法則を用いて,簡 =-(0.6 × 1)
単な数字になるものから計算する。 =- 0.6
乗法の交換法則
a × b = b × a
乗法の結合法則
(a × b)
× c = a ×(b × c)
学習3
累乗…同じ数をかけ合わせたもの。
指数…累乗の形に表したときの右上の
※計算を簡単にするための乗法とは,10 の倍数となる積や,積が一桁になるものを先に行う
ことである。
学習3 累乗と指数 暗記 ⇒A4,B 5
・an と表したときの n を指数という。
・a × a = a2(a の 2 乗または平方)
a × a × a = a3
(a の 3 乗または立方)
a × a × a × a = a4(a の 4 乗)
a × a × a × a × a = a5
(a の 5 乗)
例題
2
▷ (- 2)
小さな数。かけた数の個数を表す。
=(- 2)×(- 2)
=+ 4
▷ - 22
=-(2 × 2)
=- 4
▷ 22 × 33
= 4 × 27
(- 2)が 2 回かけ算されている
2 だけが 2 回かけ算されている
累乗の計算を優先する
= 108
※ 1 つ目の問題と 2 つ目の問題の違いをしっかりと見極めたい。1 つ目は-も 2 回かけ算して
いるが,2 つ目は-は 1 回だけで,2 だけ 2 回かけ算している。
第 1 章 正負の数
発展新演習 中1数学 指導のポイント
乗法と除法⑵
5
◆指導ページ P.26 ~ 29 ◆ 【指導のねらい】
★除法の計算方法を理解する。
★逆数を用いて除法を解けるようにする。
★乗除の混じった計算をできるようにする。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 正負の数の除法 暗記 ⇒A1
除法は,乗法と同様に符号だけ気を
同符号の商…絶対値の商に+
つければ,計算自体は小学校のときと
異符号の商…絶対値の商に-
同じなので,乗法ができるのであれば 例題
除法は簡単に理解できる。
▷ (- 8)÷(- 2)
逆数は小学校でも学習済みである。 =+(8 ÷ 2)
同符号の商
符号が変わらないことだけ指導すれば =+ 4
よい。
▷ (- 32)÷(+ 4)
乗除の混じった計算では,加減と同 =-(32 ÷ 4)
異符号の商
様に,乗法のみの式になおしてから計 =- 8
算すると楽であることを指導していき
たい。
学習2 除法と逆数 理解 ⇒A2,3 , B1
・逆数… 2 数の積が 1 になるとき,一方の数を他方の数の逆数という。逆数を求めるときは,
<事前確認>
分母と分子を入れかえればよい。逆数にしても符号は変わらない。また,0 に逆数は
学習1
ない。
除法…わり算のこと
例題
商…わり算の式や答えのこと
▷ 4
4
1
4 = 1 → 4
符号…同符号の商→「+」
2
▷ - 3
異符号の商→「-」
2
3
- 3 → - 2
学習2
▷ - 0.2
1
除法の別解
- 0.2 =- 5 → - 5
わる数を逆数にし,除法を乗法とし
▷ (- 5)÷(+ 3)
て計算する。
わり切れないときは,わる数を逆数にして乗法に変換する
1
=-(5 × 3 )
数のわり算のときなどはこの方法を
5
=- 3
用いる。
2
5
▷ - 3 ÷ - 6
学習3
2 6
=+ 3 × 5
累乗をふくむ乗除の計算の順序
4
①累乗
=+ 5
②符号の決定
※ 2 つの数の積が 1 のとき,一方の数が他方の数の逆数なので,+と+の積は+,-と-の積
③乗法のみの式になおす
も+となるので,逆数の符号も変わらない。逆数は,ことばの意味も問われることがあるた
絶対値…絶対値の商
( )( )
(
)
④大きい分数にする
(分数があれば)
⑤残りをかけ合わせる
め,しっかりと理解させたい。
※小数は分数にしてから逆数を求める。
学習3 乗法と除法の混じった計算 理解 ⇒A4,B2~5
例題
▷ (- 3)×(+ 2)÷(- 9)
1
=+(3 × 2 × 9 )
2
=+ 3
3 ÷(- 6)
▷ (- 2)
符号の決定→乗法のみの式になおす
累乗を優先する
=(- 8)÷(- 6)
符号の決定→乗法のみの式になおす
1
=+(8 × 6 )
4
=+ 3
※累乗の計算により,符号が変わってしまうことがあるため,符号の決定よりも前に累乗を計
算する。
第 1 章 正負の数
発展新演習 中1数学 指導のポイント
四則混合計算
6
◆指導ページ P.30 ~ 33 ◆ 【指導のねらい】
★四則混合の計算の手順を理解する。
★分配法則を利用した計算を解けるようにする。
はじめに
<導入>
正負の数の計算のまとめとなる単元
学習内容・補足事項など
学習1 四則混合 理解 ⇒A1,2,B1,2
・四則混合の計算の手順
である。今まで学習した計算方法を一
①累乗(符号が変わる可能性があるため)
から再確認しておきたい。今までもそ
②乗除
うだが,とくに符号のミスが多くなり
③加減
やすいので,絶対値の計算をする前に 例題
必ず符号がどちらになるのかを確認す ▷ 6 - 8 × 5
るように指導したい。
乗除
= 6 - 40
加減
また,分配法則は小学校でも学習済 =- 34
2 + 6 ÷(- 3)
みで,負の数が関わる以外は使い方も ▷ (- 2)
累乗
同様である。ただ,分配法則は今後も = 4 + 6 ÷(- 3)
乗除
重要になってくる法則なので,きちん = 4 - 2
と計算方法を理解させたい。
加減
= 2
※計算結果の+は省略可能
<事前確認>
学習1
四則… 加法,減法,乗法,除法をま
とめて四則という。
学習2 かっこをふくむ計算 理解 ⇒A3,4,B3
・かっこをふくむ四則混合の計算の手順
①かっこ(小→中→大)
( )→{ }→〔 〕
学習3
②累乗
分配法則…かっこ内の計算が複雑で,
③乗除
かけ算をすることで約分ができるな
④加減
ど簡単な値になるときに行う。
分配法則の逆もよく使う。
例題
▷ 5 +(- 5 + 8)× 2
小かっこ
= 5 + 3 × 2
乗除
= 5 + 6
加減
= 11
2
▷ 3 ×{2 +(3 - 6)}
2
= 3 ×{2 +(- 3)}
2
= 3 ×(2 - 3)
2
= 3 ×(- 1)
小かっこ
中かっこ
= 3 × 1 = 3
※かっこ内に累乗や乗除があった場合は,かっこ内で同様の手順で計算する。
学習3 分配法則 暗記 ⇒A5,B4
・分配法則
a ×(b + c)= a × b + a × c
(a + b)× c = a × c + b × c
例題
(
2 1
▷ 24 × 3 + 4
)
分配法則
2
1
= 24 × 3 + 24 × 4
= 16 + 6
= 22
▷ 47 ×(- 4)+ 53 ×(- 4)
=(47 + 53)×(- 4)
分配法則の逆
= 100 ×(- 4)
=- 400
※分配法則は,計算を楽にするために使うので,かっこ内の計算が簡単にできる場合は分配法
則を用いる必要はない。
※分配法則の逆は,乗法が 2 回から 1 回になるので,変形できるならしておきたい。
第 1 章 正負の数
発展新演習 中1数学 指導のポイント
正負の数の利用
7
◆指導ページ P.34 ~ 37 ◆ 【指導のねらい】
★数の集合の枠組みを理解する。
★仮平均を用いた平均値の求め方を理解する。
★正負の数の性質から正負の判定をできるようにする。
はじめに
<導入>
正負の数の応用問題に関する単元で
学習内容・補足事項など
学習1 数の集合と四則計算の可能性 ⇒A1,2,B3,4
数
整数
自然数(正の整数)…+ 2,+13 など
ある。数の集合とは,数を種類ごとに
その他の整数… 0,- 8 など
区分けしたものである。どの枠にどん
1
分数,少数…+1.4,- 3 など
な数があてはまるのかを生徒に具体的
に聞きながら説明するとよい。0 が自
例題
然数ではないことをもう一度確認する ▷ a,b が自然数であるとき,a + b,a - b,a × b,a ÷ b のうちで,計算の結果がいつも自
ことも大切である。
然数であるものをすべて選べ。
仮平均を用いた平均値の求め方は正 a,b に適当な自然数をあてはめて考える。
負の数を利用した応用問題の中でも頻 a = 3,b = 5 とすると,
出の問題である。小学校での平均の求 a - b = 3 - 5 =- 2 より,自然数ではない。
め方と比べて,仮平均を利用した方が a ÷ b = 3 ÷ 5 = 0.6 より,自然数ではない。
計算ミスが減る,小さい数での計算に よって,a + b と a × b
なるため筆算等を使う必要がない,な
※自然数にならない組み合わせが 1 つでもあれば,計算の結果はいつも自然数とはならない。
ど利点をあげて仮平均のよさを伝えて
いきたい。
<事前確認>
学習1
数の集合と四則計算の可能性
学習2 正負の数の利用 ⇒A3,4,B1
例題
▷ - 3.4 と- 5.3 の間にある整数をすべて求めよ。
- 6 <- 5.3 <- 5,- 4 <- 3.4 <- 3 より,
- 5.3 と- 3.4 の間にある整数は,- 5 と- 4 である。
数の範囲が制限されてしまうと,そ ▷ - 2.2 より小さくて,- 2.2 に一番近い整数を求めよ。
の範囲内だけで計算ができるとは限 - 3 <- 2.2 <- 2 より,- 2.2 より小さい整数で一番近いのは- 3
らない。
学習3
※数直線を用いて考えると分かりやすいが,その数がどのくらいの大きさなのかをきちんと理
解していれば数直線は必要ない。数直線なしで解けるように指導したい。
仮平均を用いた平均値の求め方
学習3 仮平均と平均値 理解 ⇒A5,B2
仮に定めた平均のことを仮平均とい 例題
い,その仮平均を決め,その値との ▷ 右の表は,A~Fの 6 人のテストのそれぞれの得
差で平均を求める方法
①仮平均を決める
②仮平均との差を正負の数で表す
③②の平均値を求める
点から,Eさんの得点をひいた差を表したものであ
る。Eさんの得点が 83 点であるとき,次の問いに
A
- 11
B
7
C
- 17
D
11
E
0
F
4
答えよ。
⑴ Bさんの得点を求めよ。
※③が実際の平均と仮平均との差 Eさんの得点を仮平均として用いる。
を表す。
(B さんの得点)=(仮平均)+ 7 = 83 + 7 = 90(点)
④実際の平均を求める
⑵ 最高点と最低点の差を求めよ。
最高点はDさんの
(仮平均)
+ 11 点,最低点はCさんの
(仮平均)
- 17 点。よって,その差は
{
(仮平均)
+ 11}
-
{
(仮平均)
- 17}
=
(仮平均)
+ 11 -
(仮平均)
-
(- 17)
= 11 -
(- 17)
= 28
(点)
※仮平均より 11 点高い人と 17 点低い人の差は 11 + 17 = 28 と考える方がよい。
⑶ この 6 人の平均点を求めよ。
(平均値)=(仮平均)+(過不足分の平均)より,
(過不足分の平均)=(- 11 + 7 - 17 + 11 + 0 + 4)÷ 6 =- 6 ÷ 6 =- 1
よって,(平均点)= 83 - 1 = 82(点)。
■補足
右の表のように,基準が 1 つに決まっていな
い場合,前の人が基準となる表となっている。 前の人との
身長の差 →だれか 1 人だけが基準となる表になおす。
A
B
C
D
E
+4
-9
-2
+6
Aを基準とすると,下の表を用いて平均を求める。
Aを基準とした
ときの身長の差
A
B
C
D
E
0
+4
+ 4 - 9 =- 5
- 5 - 2 =- 7
- 7 + 6 =- 1
第 2 章 文字と式
発展新演習 中1数学 指導のポイント
文字使用のきまり
8
◆指導ページ P.40 ~ 43 ◆ 【指導のねらい】
★文字の混じった乗法の式の表し方を理解する。
★文字の混じった除法の式の表し方を理解する。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 積の表し方 暗記 ⇒A1,2,B1,2
文字を使った式は小学校でも学習済 例題
みだが,文字式のきまりについては今 ▷ x ×(- 3)
回初めて学習する。文字はあくまで数 =- 3x
字の代わりなので,同様に式をつくる ▷ b × 1 × a
ことは可能である。ただし,表し方に = 1ab
きまりがあるので,そのきまりをしっ = ab
数字は文字の前にかく
数字は前&アルファベット順
1 は省く
かりと学習させたい。文字式の表し方 ▷ a ×(- 1)×(x + y)
数字は前
にきまりがあるのは乗除だけで,加減 =- 1a(x + y)
1 は省く
はそのままであることも徹底して指導 =- a(x + y)
したい。
※(x + y)は全体で 1 つの文字とする。
▷ x × x × x
<事前確認>
= x3
学習1
▷ (a - b)×(a - b)
2
=(a - b)
積の表し方
同じ文字は累乗
同じ文字は累乗
①×は省く
※(a - b)は全体で 1 つの文字とする。
例 3 × a = 3a
▷ - m × m × b
②数字は前
=- bmm
例 b × 4 = 4b
=- bm2
アルファベット順
同じ文字は累乗
③アルファベット順
例 c × b × a = abc
学習2 商の表し方 暗記 ⇒A3,B3,4
④ 1 は省く
例題
例 (- 1)× x =- x
▷ a ÷ 3
÷は分数
a
= 3
▷ (x + y)÷ z
逆数にして÷を×に
1
=(x + y)× z
x+y
= z
※逆数を使うと,何が分母にくるのかが分かりやすくなる。
1
逆数を使わない場合は,1 ÷ 3 = 3 のように,わる数が分母になるとすればよい。
分子には+以外の計算がないので,かっこは必要ない。
⑤同じ文字は累乗で表す
例 y × y × y = y3
学習2
商の表し方
÷は分数で表す
2
例 2 ÷ x = x
学習3
四則混合の表し方
学習3 四則混合の表し方 理解 ⇒A4,B5,6
・乗除は上記のきまりを守る。
・乗除…×,÷を使わないで表せる
・加減は何もきまりがないので,その ・加減…+,-は省けない
ままにしておく。
例題
▷ x × y ÷ z
逆数にして÷を×に
1
= x × y × z
xy
= z
▷ a ÷ 2b × c
1
= a × 2b × c
ac
= 2b
▷ 2 ÷ x - a × a
1
= 2 × x - a × a
乗法のみ変換(-は省けない)
2
= x - a2
※+や-は省けない。乗除のみ変形する。+,-を省いてしまうミスが多いので注意する。
※項ごとに符号が間違っていないかどうか確認する。例えば,- x × x は- x2 である。+ x2
としないよう注意を促したい。
第 2 章 文字と式
発展新演習 中1数学 指導のポイント
文字式の計算⑴
9
◆指導ページ P.44 ~ 47 ◆ 【指導のねらい】
★代入をできるようにし,式の値を求めることができる。
★項と係数,1 次式の意味を理解する。
★同類項を理解し,1 次式の加減の計算をできるようにする。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 式の値 理解 ⇒A1~3,B1~4
正負の数でも項については学習した 例題
が,ここでも項について説明しておく ▷ x =- 3 のとき,次の式の値を求めよ。
必要がある。意味は同じだが,文字が ⑴ 4x
つくことによって混乱することがある = 4 × x
ため,数と文字を合わせて項というこ = 4 ×(- 3)
x に- 3 を代入
とを強調しておきたい。また,係数に =- 12
も注意が必要。分数になったり,省略 ⑵ 3 + 2x2
されている 1,符号についてはよく指
= 3 + 2 × x2
導すること。
= 3 + 2 ×(- 3)
2
文字式のきまりでは,加減(+,-) = 3 + 2 × 9 = 21
※負の数を代入するときは,かっこをつけて途中式をかかせるように指導する。
は条件がそろえればできることを説明 ⑶ 6
x
したい。なぜ加減の計算ができるのか
6
= - 3
を説明しておくこと。
=- 2
は省略できないと説明をしたが,計算
<事前確認>
学習1
学習2 項と係数・1 次式 ⇒A4
代入…文字に数をあてはめること。 例題
式の値…文字に数を代入し,まとめ ▷ x2 - 2x + 4 の式の項と係数を答えよ。
た値。
学習2
x2 - 2x + 4 = x2 +(- 2x)+ 4 より,
項は x2,- 2x,4
x2 の係数は,x2 = 1 × x2 より,1
項…加法だけの式にしたとき,+で - 2x の係数は,- 2x =- 2 × x より,- 2
※数の項は,文字を含んでいないので,係数はない。ここで 4 を係数と答えることが多いので
結ばれた 1 つ 1 つの式。
注意する。
係数…文字をふくんだ項の数の部分。
1 次式… 1 次の項だけ,また 1 次の ▷ 5x,- 8,2x - 1,xy + x,x2 - 3x + 1 の式のうち,1 次式はどれか。
項と数の項の和でできている式。
学習3
同類項…文字の部分が同じ項。分配
法則を利用してまとめることがで
きる。
分配法則
ax + bx =
(a + b)x
5x … 5x は 1 次の項なので,1 次式。
- 8 …- 8 は数の項なので,1 次式ではない。
2x - 1 … 2x は 1 次式,- 1 は数の項より,1 次の項と数の項の和より,1 次式。
xy + x … xy は文字が x と y の 2 個なので 1 次の項ではない。よって,1 次式ではない。
x2 - 3x + 1 … x2 は x が 2 個なので 1 次の項ではない。よって,1 次式ではない。
ゆえに,1 次式は 5x と 2x - 1
学習3 項をまとめる 理解 ⇒A5,B5
例題
▷ 2x + 3x
=(2 + 3)x
分配法則
= 5x
▷ a + 2a - 4a
=(1 + 2 - 4)a
=- a
▷ 5x + 1 - x - 3
= 5x - x + 1 - 3
=(5 - 1)x - 2
= 4x - 2
※省略されている係数の 1 を忘れずに計算するように指導する。
※文字の項と数の項を計算してしまうミスが続出する。計算に慣れるまで,項ごとに分けて途
中式をかくように指導したい。ここでの計算ミスは,項と係数をきちんと理解できていない
と起こりやすいため,同類項の意味を理解するまで反復して訓練させるようにする。
第 2 章 文字と式
発展新演習 中1数学 指導のポイント
文字式の計算⑵
10
◆指導ページ P.48 ~ 51 ◆ 【指導のねらい】
★ 1 次式の加減の計算をできるようにする。
★分配法則を利用した文字式の乗除の計算をできるようにする。
★かっこ,分数をふくんだ 1 次式の計算をできるようにする。
はじめに
<導入>
1 次式の計算をここでは学習する。
学習内容・補足事項など
学習1 1 次式の加法と減法 理解 ⇒A1,2,B1~4
・かっこをはずしてから同類項をまとめる。
文字式のきまりはすでに学習している 例題
ので,すべての式がそのきまりを用い ▷ (a + 3)+(2a - 4)
た表し方になっている。それを忘れず = a + 3 + 2a - 4
に問題を解いていきたい。
かっこのはずし方②
= 3a - 1
かっこを用いた式が多く出題されて ▷ (2x - 5)-(3x + 2)
いるが,かっこ内が同類項ではないも = 2x - 5 - 3x - 2
かっこのはずし方③
のが多い。よって,かっこ内が計算で =- x - 7
きないため,分配法則を用いての計算
となる。分配法則を行った後,同類項
※かっこのはずし方④を利用した問題が最もミスが多い。数より符号を優先するように指導し
たい。
ではないものどうしを計算してしまう
ことが多いので,注意して指導してい 学習2 1 次式と数の乗法・除法 理解 ⇒A3
きたい。
例題
▷ 3(4x - 3)
<事前確認>
= 3 × 4x - 3 × 3
学習1
= 12x - 9
x+1
▷ 2 × 6
(x + 1)× 6
=
2
=(x + 1)× 3
1 次式の加法と減法
かっこのはずし方
①a+
(b + c)= a + b + c
②a+
(b - c)= a + b - c
③a-
(b + c)= a - b - c
④a-
(b - c)= a - b + c
法になおして計算する。
学習3
約分を優先する
= 3x + 3
▷ (15x + 10)÷ 5
= 15x ÷ 5 + 10 ÷ 5
= 3x + 2
1
3
5
・文字をふくむ項と数の積や商は,文 ▷ 3 x - 4 ÷ 12
字の項の係数と数の積や商を求める。 = 1 x - 3 × 12
3
4
5
・かっこがある場合は,分配法則を用
1
12 3 12
= 3 x × 5 - 4 × 5
いて計算する。
4
9
= 5 x - 5
・分数の積は,約分を優先する。
・分数における除法は,逆数にし,乗
学習2
分配法則
(
(
)
)
逆数にして÷を×に
学習3 いろいろな計算 理解 ⇒A4,5,B5
・分配法則を用いて,かっこをはずしてから同類項をまとめる。
例題
・かっこのある 1 次式の計算は,分配 ▷ 2(x + 2)- 4(2x - 1)
法則でかっこをはずすことを優先す = 2 × x + 2 × 2 - 4 × 2x - 4 ×(- 1)
る。
・分数形の 1 次式の計算
= 2x + 4 - 8x + 4
=- 6x + 8
x + 3 2x - 1
▷ 2 - 3
②通分した際に,分子にはかっこを
解き方が 2 通りある
つけて整数倍する。
①大きい分数のまま通分
※小さい分数に分けて計算する方法
3(x + 3) 2(2x - 1)
=
-
もある。
6
6
3(x + 3)- 2(2x - 1)
=
6
3x + 9 - 4x + 2
=
6
- x + 11
=
6
②小さい分数に分けて計算する。
x
3 2x 1
= 2 + 2 - 3 + 3
3x 4x 9 2
= 6 - 6 + 6 + 6
x
11
=- 6 + 6
①通分してから計算をする。
分配法則(符号に注意)
第 2 章 文字と式
11
発展新演習 中1数学 指導のポイント
文字式の利用⑴
◆指導ページ P.52 ~ 57 ◆ 【指導のねらい】
★数量や数量の間の関係を,数のかわりに文字を用いて表すことができるようにする。
★代金,速さ,割合などを文字を用いて表すことができるようにする。
★数の規則性を文字を使って表すことができるようにする。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 数量と文字式 ⇒A1,B1,2
文字を用いた式をつくる単元である。 ・ことばの式をつくってから,そのことばに数や文字をあてはめる。
今までは数字を用いて式をたてていた 例題
が,この単元からは文字を用いること ▷ 1 冊 120 円のノートを x 冊買って 1000 円札を出したときのおつりを,文字を用いた式で表せ。
になる。数字の代わりに文字を用いる (おつり)=(出した金額)-(ノートの代金)
が,基本的には数字のときと同様の式 (ノートの代金)= 120 × x = 120x(円)より,
のつくり方ができることを理解させた 1000 - 120x(円)
い。
▷ 身長が a cm,b cm,c cm の 3 人の身長の平均を,文字を用いた式で表せ。
規則性の問題に関しては,1 番目, (平均)=(合計)÷(個数)
c cm)より,
2 番目,3 番目…とどのように増えて (3 人の合計身長)= a + b + (
a
+
b
+
c
いるのかを見て,どのような規則があ (a + b + c)÷ 3 =
(cm)
3
るのかを予想する必要がある。1 番目
から順に数を並べて考えることが近道 学習2 単位の表し方 暗記 ⇒A2
例題
である。
▷ a m を〔cm〕で表せ。
<事前確認>
1 m = 100 cm より,a m = 100 cm × a = 100a cm
学習1
▷ x 分を〔秒〕で表せ。
代金・数量の表し方
1 分= 60 秒より,x 分= 60 秒× x = 60x 秒
ことばの式をつくってから,そのこと ▷ b g を〔kg〕で表せ。
ばに数や文字をあてはめる。
・
(代金)
=
(1 個の値段)×(個数)
・
(平均)
=
(数量の合計)÷(個数)
学習2
距離の単位
・1 km = 1000 m
・1 m = 100 cm
・1 cm = 10 mm
質量の単位
・1 kg = 1000 g
・1 g = 1000 mg
時間の単位
・1 時間= 60 分
・1 分= 60 秒
体積の単位
・1m3 = 1000 L
・1 mL = 1 cm3
・1 L = 10 dL = 1000 mL
学習3
速さの表し方
(速さ)
=
(道のり)÷(時間)
(道のり)
=
(速さ)×(時間)
(時間)
=
(道のり)÷(速さ)
学習4
割合
1
a
・1%= 100 → a%= 100
b
1
・1 割= 10 → b 割= 10
・1 分= 1%
1
1 kg = 1000 g より,1 g = 1000 kg
1
1
よって,b g = 1000 kg × b = 1000 b kg
学習3 速さの表し方 暗記 ⇒A3,B1,2
例題
▷ 時速 3 km で x 時間進んだときの道のり(km)を,文字を用いた式で表せ。
(道のり)=(速さ)×(時間)より,3 × x = 3x(km)
▷ y m の道のりを分速 a m で進んだときにかかる時間(分)を,文字を用いた式で表せ。
y
(時間)=(道のり)÷(速さ)より,y ÷ a = a(分)
▷ a km の道のりを 3 時間かかって歩いたときの時速(km)を,文字を用いた式で表せ。
a
(速さ)=(道のり)÷(時間)より,a ÷ 3 = 3
a
よって,時速 3 km
学習4 割合の表し方 暗記 ⇒A4,B1,2
例題
▷ x g の 3 %を,文字を用いた式で表せ。
3
3x
3 %= 3 より,x g の 3 %は,x × 100 = 100(g)
100
▷ a 円の y 割を,文字を用いた式で表せ。
y
y
ay
y 割= 10 より,a 円の y 割は,a × 10 = 10(円)
学習5 規則性と文字式 ⇒A5,B3
例題
▷ 右の図のように,マッチ棒を並べて正方形をつくっていく。
……
⑴ 正方形を 10 個つくるとき,マッチ棒は何本必要か。
右下の図のように,1 本のマッチ棒に 3 本加えることで正方形
……
を 1 つ作っていると考えると,10 個の正方形を作るには 3 × 10 本必要。
よって,1 + 3 × 10 = 31(本)
……
⑵ 正方形を n 個つくるとき,マッチ
棒は何本必要か。
⑴同様に,n 個の正方形をつくるに
は 3 × n 本のマッチ棒が必要。
よって,1 + 3 × n = 3 n + 1(本)
3本
3本
3本
10 組
3本
第 2 章 文字と式
発展新演習 中1数学 指導のポイント
文字式の利用⑵
12
◆指導ページ P.58 ~ 61 ◆ 【指導のねらい】
★等号や不等号を用いて数量の関係を表すことができるようにする。
★面積や体積などの公式を文字を使って表すことができるようにする。
学習内容・補足事項など
はじめに
<導入>
学習1 等式の表し方 ⇒A1,B1
この単元では,等式・不等式の表し 例題
方,また図形の公式を文字式で表すこ ▷ 1 個 a 円のみかん 5 個の代金と,1 個 b 円のりんご 3 個の代金は等しい。この関係を等式で
とを学習する。
表せ。
今まで学習したものの中では,等号 1 個 a 円のみかん 5 個の代金= 5a(円)
や不等号を用いて数量の関係を表した 1 個 b 円のりんご 3 個の代金= 3b(円)
ことはあまりないので,どのように= よって,5a = 3b
や<,>などを使ったらいいのかが重 ▷ x 本の鉛筆を 6 人の子どもに 1 人 y 本ずつ配ったら,2 本余った。この関係を等式で表せ。
要になってくる。
(配った鉛筆の本数)+(余った本数)=(合計本数)より,
図形の公式は,今まで「三角形の面 配った鉛筆の本数= 6 × y = 6y(本),合計本数= x 本なので,
積=底辺×高さ÷ 2」というように言 6y + 2 = x
葉で覚えてきたものを,文字におきか ※問題文の「は」や「が」の前後が式を表していることが多いので,どこを注意して読むかを
指導したい。また,「等しい」の他に「大きい」「小さい」といった表現にも注意させたい。
える問題である。図形の公式をまずは
復習することから始めるとよい。とく ※等式や不等式のときは単位はつけない。
に,台形やひし形,円周と円の面積な
どは忘れていることが多いので,きち 学習2 不等式の表し方 ⇒A2,B2
例題
んと思い出させる必要がある。
▷ 次の数量の関係を不等式で表せ。
<事前確認>
・x は 7 以上である。
学習1
「~以上」は,その数もふくむので,≧
・等式…数量の間の関係を等号(=)を よって,x ≧ 7
・y は 10 未満である。
用いて表した式
左辺…=や<,>の左側の式
「~未満」を表す不等号は<
右辺…=や<,>の右側の式
よって,y < 10
両辺…左辺と右辺を合わせて
・a は 15 以下である。
「~以下」を表す不等号は≦
学習2
よって,a ≦ 15
・不等 式…数量の間の関係の不等号 ・a と b の和は 20 より小さい。
(<,>,≦,≧)
を用いて表した式。 「~より小さい」を表す不等号は「~未満」と同様に<
>…~より大きい
よって,a + b < 20
<…~より小さい,~未満
※不等式は左辺と右辺が逆になると不等号の向きも逆にしなくてはいけないので,問題文の順
≧…~以上
番通りに式をつくることで不等号の向きが間違いにくくなる。
≦…~以下
学習3 面積・体積の公式 ⇒A3,B3
学習3
・円周率= 3.1415926535 …と無限に続いてしまうので,円周率をπ(パイ)を使って表す。
図形の公式
例題
・円周率…π
(パイ)を使って表す。
▷ 底辺が a cm,高さが h cm の三角形の面積 S cm2 の公式をつくれ。
・長方形の面積=縦×横
ことばの公式に文字をあてはめる。
・正方形の面積= 1 辺× 1 辺
・平行四辺形の面積=底辺×高さ
1
(三角形の面積)=(底辺)×(高さ)× 2 より,
・三角形の面積=底辺×高さ÷ 2
1
S = a × h × 2
・円周の長さ=直径×円周率
(円周の長さ)=(直径)×(円周率)より,
・円の面積=半径×半径×円周率
直径=半径× 2 = r × 2 = 2r(cm),円周率=πなので,
・直方体の体積=縦×横×高さ
ℓ= 2r ×π
・立方体の体積= 1 辺× 1 辺× 1 辺
= 2πr
・~柱の体積=底面積×高さ
※円周率πは文字として扱う。数字よりは後にかくが,もとは数字なので,文字よりは前にかく。
ah
・台形の面積=
(上底+下底)
×高さ÷ 2 = 2
・ひし形の面積=対角線×対角線÷ 2 ▷ 半径 r cm の円の周の長さℓcm の公式をつくれ。
第 3 章 方程式
発展新演習 中1数学 指導のポイント
1 次方程式
13
◆指導ページ P.64 ~ 67 ◆ 【指導のねらい】
★方程式とその解の意味について理解する。
★等式の性質を用いて方程式を解くことができるようにする。
★移項による 1 次方程式の解き方を理解する。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 方程式とその解 ⇒A1,B1
方程式は,今まで学習してきた計算 例題
をくつがえす方法である。計算方法さ ▷ - 1,0,1,2 の中から,方程式 2x - 3 = x - 2 の解となるものを選べ。
え理解してしまえば,複雑だった文章 左辺と右辺が等しくなるときの値を探す。
問題なども容易に解けるようになる。 x =- 1 のとき(左辺)= 2 ×(- 1)- 3 =- 5(右辺)=- 1 - 2 =- 3→成り立たない。
ここで学習するのは,等式の性質を x = 0 のとき(左辺)= 2 × 0 - 3 =- 3 (右辺)= 0 - 2 =- 2
→成り立たない。
利用した方程式の解法と,移項を利用 x = 1 のとき(左辺)= 2 × 1 - 3 =- 1 (右辺)= 1 - 2 =- 1
→成り立つ。
した方程式の解法である。
→成り立たない。
x = 2 のとき(左辺)= 2 × 2 - 3 = 1 (右辺)= 2 - 2 = 0
等式の性質は,今後にかかせない性 よって,この方程式の解は x = 1
質なので,今のうちに完璧にしておき ※方程式の解を代入によって求めようとすると,何通りかの計算をしなければならないことが
たい。特訓していくうちに,等式の性
分かる。第 2 章の文字と式でも確認しているが,負の数を代入するときは( )をつけて代入
質を使っているという意識をせず,用
すること。
いることができるようにしたい。
移項は,等式の性質を応用した考え 学習2 等式の性質と方程式の解き方 理解 ⇒A2,3,B2,3
方だが,これを利用した方が式の変形 ・方程式の解き方… x =□という形に変形する。
が簡単になるので,しっかりと身につ 例題
けておきたい。符号のミスが多く出や ▷ 次のそれぞれの方程式を x =□の形に変形するとき,どのような等式の性質を使ったか説明
すいので,最初のうちは途中式を書か
せよ。
せることを必須事項として指導したい。 ⑴ x - 2 = 7 → x = 9
x - 2 = 7
<事前確認>
x - 2 + 2 = 7 + 2
学習1
左辺の- 2 をなくすには,両辺に 2 をたす
x = 9
・方程式…式の中の文字に,ある値を よって用いた性質は,「等式の両辺に同じ数をたしても等式は成り立つ」。
代入すると成り立つ等式のこと。 ⑵ x + 2 =- 3 → x =- 5
・解…代入すると方程式が成り立つよ x + 2 =- 3
うな値を方程式の解という。
x + 2 - 2 =- 3 - 2
・方程式を解く…方程式の解を求める こと。
左辺の+ 2 をなくすには,両辺から 2 をひく
x =- 5
よって用いた性質は,「等式の両辺から同じ数をひいても等式は成り立つ」。
⑶ 2x = 16 → x = 8
学習2
2x = 16
左辺の 2 をなくすには,両辺を 2 でわる
・等式 の性質… A = B のとき以下の 2x = 16
2
2
ことが成り立つ。
x = 8
① B = A
よって用いた性質は,「等式の両辺を 0 以外の同じ数でわっても等式は成り立つ」。
② A + C = B + C
⑷ x =- 3 → x =- 6
2
③ A - C = B - C
x
2 =- 3
④ AC = BC
A
B
x
⑤ C = C
2 × 2 =- 3 × 2
左辺の 2 をなくすには,両辺に 2 をかける
x =- 6
学習3
よって用いた性質は,「等式の両辺に同じ数をかけても等式は成り立つ」。
・移項…項を,符号を変えて他方の辺 ※⑶,⑷は等式の性質④と⑤を用いて,両辺に x の係数の逆数をかけた,と説明してもよい。
に移すこと。
・1次方程式… ax = b の形で表すこ 学習3 移項による方程式の解き方 理解 ⇒A4,B4
とができる方程式。
・方程式を解く手順
①文字の項を左辺,数の項を右辺に移項。
②整理し ax = b の形にする。
③両辺を x の係数でわる。
例題
▷ 6x - 2 = 6 + 2x
6x - 2x = 6 + 2
4x = 8
x = 2
①左辺の- 2 と右辺の 2x を移項
②両辺を整理する
③両辺を 4 でわる
第 3 章 方程式
発展新演習 中1数学 指導のポイント
1 次方程式の解き方
14
◆指導ページ P.68 ~ 73 ◆ 【指導のねらい】
★かっこのある方程式,小数,分数をふくむ方程式を解けるようにする。
★比例式の解き方を理解する。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 かっこをふくむ方程式 ⇒A1,B1
この単元では,さまざまな形の方程 ①分配法則(かっこをはずす)
式の解き方を学習する。
②文字をふくむ項を左辺,数の項を右辺に移項
文字式での計算方法はもちろん,等 ③整理し,ax = b の形にする。
式の性質を使って式を変形させてから ④両辺を a でわる。(a の逆数をかける)
解くということが基本となる。
例題
小数や分数をふくむ方程式は,その ▷ 2(x - 4)= 6x - 4
①分配法則
ままでは計算が面倒である。とくに分 2x - 8 = 6x - 4
②- 8 と 6x を移項
数の場合は通分をしなくてはいけない 2x - 6x =- 4 + 8
③整理する
ため,計算ミスが多くなりやすい。な - 4x = 4
ので,小数や分数を整数に直してから
④両辺を- 4 でわる
x =- 1
計算することを説明したい。整数の方
が計算が簡単であることと,整数に直 学習2 小数をふくむ方程式 理解 ⇒A2,B2
しても解が同じであることを解説して 例題
おくとよい。
▷ 0.3x - 0.4 = 0.1x
比例式の解き方は,小学校で学習し 3x - 4 = x
た解き方を確認した上で,外項と内項 3x - x = 4
両辺を 10 倍する
の積の関係を説明したい。理由を説明 2x = 4
してもよいが,文字で説明するには 2 x = 2
年生で学習すること(文字での約分な ▷ 0.2 - 0.02x = 0.03x
ど)が必要なので,こういう解き方が 20 - 2x = 3x
両辺を 100 倍する
あるんだと覚えさせた方が混乱しなく - 2x - 3x =- 20
- 5x =- 20
てよい。
x = 4
<事前確認>
学習1
かっこをふくむ方程式
※すべての小数が整数となるようにしたいので,小数点以下の位が最も低いものを基準にして
10,100,1000 倍…する。
※ 0.2 - 0.02x = 0.03x は,式を変形させたとき,0.2 だけ 10 倍にしてしまい,2x - 2 = 4x と
してしまうことがあるため,注意しておきたい。
・分配法則を用いてかっこをはずして
から移項する。
学習2
小数をふくむ方程式
学習3 分数をふくむ方程式 理解 ⇒A3,B3,4
・方程式の中に分数がある→両辺に,分母の最小公倍数をかけて,分母をはらう。
例題
1
x-1
3 =2 x+2
1
x-1
の式を整数の式に変形してから解く。 3 × 6 = 2 x × 6 + 2 × 6
2(x - 1)= 3x + 12
学習3
2x - 2 = 3x + 12
・両辺を 10 倍,100 倍…して,小数
▷ 両辺に 6(2 と 3 の最小公倍)をかける
分配法則
分数をふくむ方程式
- x = 14
・両辺に分母の最小公倍数をかけて分 x =- 14
母をはらい,分数の式を整数の式に ※最小公倍数でなくても分母をはらえるが,最小公倍数で分母をはらうように説明する。
変形してから解く。
学習4
比の値・比例式
※分数の項にのみ最小公倍数をかけてしまうことが多いので,すべての項にかけることを促す。
学習4 比の値・比例式 暗記 ⇒A4,B5
・a:b = c:d のとき ad = bc
a
例題
・比の値… a:b →比の値は b
・比の性質…内項の積と外項の積は等 ▷ 18:15 の比の値を求めよ。
a
18
6
a:b = b より, 15 = 5
しい。
▷ 比例式 x:4 = 12:8 を解け。
x:4 = 12:8
8 × x = 4 × 12
8x = 48
x = 6
外項は x と 8,内項は 4 と 12
第 3 章 方程式
15
発展新演習 中1数学 指導のポイント
1 次方程式の応用⑴
【指導のねらい】
★解と方程式について理解する。
★方程式の立て方を理解し,文章題の解を求めることができるようにする。
★年齢や平均に関して方程式をたてることができるようにする。
はじめに
<導入>
この単元では,解と方程式,方程式
の文章問題について学習する。
解と方程式については,x について
の方程式といわれたら,解が x の値を
示していることを理解すれば難しくは
ない。解を x に代入し,他の文字につ
いての方程式と思って解くとよい。代
入は今後も重要になってくるので,今
のうちに確認しておくべきである。
文章問題は,文章通りに式をたてる
ことができるかが重要である。求めた
いものを x とし,文章の指示通りに等
式をたてられるようにしたい。方程式
の解が問題に合っているかどうかを確
認するのを忘れずに行うことを徹底し
たい。
<事前確認>
学習1
・解が m → x = m を代入
学習2
・文章問題を解く手順
①求めたいものを x とする。
② x を使った方程式をたてる。
③方程式を解く。
④方程式の解が問題に合っているか
を確かめる。
学習3,
4
・代金と個数
① 50円が 3 個→ 50 × 3
50円が x 個→ 50x
② A と B 合わせて 20 個
A が x 個→ B は(20 - x)個
◆指導ページ P.74 ~ 79 ◆ 学習内容・補足事項など
学習1 解と方程式 ⇒A1
・x に方程式の解を代入し,求めたいものを方程式の考え方を使って解く。
例題
▷ x についての方程式 ax + 2 = 3x + 3a の解が- 4 のとき,a の値を求めよ。
a ×(- 4)+ 2 = 3 ×(- 4)+ 3a
…方程式に x =- 4 を代入
- 4a + 2 =- 12 + 3a
…これを a についての方程式として解く
- 4a - 3a =- 12 - 2
- 7a =- 14
a = 2
学習2 数についての問題 ⇒A2,B1
・求めたいものを x として方程式をたてる。
例題
▷ ある数の 2 倍から 4 をひいたら,もとの数より 8 大きくなった。ある数を求めよ。
ある数を x とすると,
…求めたいものを x とする
2x - 4 = x + 8 …方程式をたてる
2x - x = 8 + 4
…方程式を解く
x = 12
x はある数なので,ある数は 12 …方程式の解が問題に合ってるかを確かめる
学習3 代金と個数に関する問題 ⇒A3,B2
・未知数が 2 つ以上ある→片方を x とし,もう片方を x を使った式で表す。
例題
▷ 1 個 40 円のみかんと 1 個 80 円のりんごを合わせて 15 個買い,840 円はらった。みかんとり
んごをそれぞれ何個買ったか。
みかんの個数を x 個とすると,りんごの個数は(15 - x)個となる。
(みかんの代金)+(りんごの代金)=(合計)
1 つの値段
個数
代金
40x + 80(15 - x) = 840
みかん
40
x
40x
これを解くと,x = 9
りんご
15 - x 80
(15 - x)
80
よって,みかんは 9 個,りんごは 15 - 9 = (
6 個)
合計
-
15
840
学習4 分配に関する問題 ⇒A4,B2
例題
▷ 長さ 130 cm のリボンがある。これをA,Bの 2 人で分けたところ,Aさんの長さはBさん
の長さの 2 倍より 20 cm 短くなった。Aさん,Bさんのリボンの長さを求めよ。
Aさんのリボンの長さはBさんのリボンの長さの 2 倍より 20 cm 短い。
→Bさんのをもとにしているので,Bさんのを x cm とする。
すると,Aさんのは 2x - 20(cm)となり,
(Aさんのリボンの長さ)+(Bさんのリボンの長さ)=(全体)より,2x - 20 + x = 130
これを解くと,x = 50 よって,Bさんのリボンの長さは 50 cm,Aさんのは 130 - 50 = 80
(cm)
学習5 過不足に関する問題 ⇒A4,B2
例題
・過不足
足りない…今ある数は,ほしい数か ▷ りんごを何人かの子どもに配るのに,1 人に 3 個ずつ配ると 5 個余り,1 人に 4 個ずつ配る
と 2 個不足する。子どもの人数とりんごの個数を求めよ。
ら足りない分をひく。
子どもの人数を x 人とすると,
あまる…今ある数は,ほしい数にあ
「1 人に 3 個ずつ配ると 5 個余る」→(りんごの数)= 3x + 5 …①
等しい
まる分をたす。
「1 人に 4 個ずつ配ると 2 個不足する」→(りんごの数)= 4x - 2 …② 3x + 5 = 4x - 2 → x = 7
学習6
これを①か②に代入 ①のとき,3 × 7 + 5 = 26 よって,子ども 7 人,りんご 26 個
・年齢
学習5
x 年後→
(現在)+ x
x 年前→
(現在)- x
・平均
(合計)
(平均)
=
(個数)
(合計)
=
(平均)×(個数)
学習6 年齢や平均に関する問題 ⇒A5,B3
例題
▷ A,B,Cの 3 人の走り幅とびの記録の平均は 3.9 m である。これにDさんが加わると,4
人の走り幅とびの記録の平均は 4 m になるという。Dさんのとんだ距離を求めよ。
3 人の平均が 3.9 m なので,3 人の合計は 3.9 × 3 = 11.7(m)
4 人の平均が 4 m になるので,4 人の合計は 4 × 4 = 16(m)
Dさんの距離を x m とすると,11.7 + x = 16
これを解くと,x = 4.3 よって,Dさんの距離は 4.3 m
第 3 章 方程式
16
発展新演習 中1数学 指導のポイント
1 次方程式の応用⑵
◆指導ページ P.80 ~ 85 ◆ 【指導のねらい】
★速さ,割合に関して方程式をたてることができるようにする。
★単位をそろえて方程式をつくることを理解する。
★濃度,増減に関する方程式をたてることができるようにする。
はじめに
<導入>
この単元では,速さ,割合について
の方程式の文章問題を学習する。
速さに関しては,道のり・速さ・時
間の関係を用いることはもちろん,単
位をそろえることが重要になる。速さ
の単位変換は難しいので,道のりと時
間の単位を変換できるかどうかを確認
する必要がある。
割合に関しては,百分率の表し方に
ついて確認し,それを分数で表せるよ
うにしたい。小数より分数の方が乗除
が楽なので,そういう指導をする必要
がある。
増減は,増加なのか減少なのかを
しっかりと読み,その増減の量で方程
式をたてるとよい。
濃度に関しては,濃度が割合,食塩
水の量がもとにする量,食塩の量が比
べる量となる。必ず食塩の量を用いて
方程式をたてることを徹底したい。
<事前確認>
学習1,
2
・速さ
(道のり)
=
(速さ)×(時間)
(道のり)
(速さ)
=
(時間)
(道のり)
(時間)
=
(速さ)
学習3
・割合
5
百分率… 5%→ 100
8
歩合… 8 割→ 10
学習4
・増減
(増加量)
=
(もとの量)×(+増加率)
(減少量)
=
(もとの量)×(-減少率)
(増加後の量)
=
(もとの量)×(1 +増加率)
(減少後の量)
=
(もとの量)×(1 -減少率)
学習5
・濃度
(食塩の量)
(濃度%)
=
× 100
(食塩水の量)
学習内容・補足事項など
学習1 速さに関する問題①―時間の方程式をつくる ⇒A1,B1
・時間の式にする→道のりを x とする。
例題
▷ A地から 10 km 離れたB地まで歩いて行った。A地
速さ
個数
から途中の峠のP地までは毎時 3 km の速さで歩き,P
x
A~P
3
地からB地までは毎時 5 km の速さで歩いた。A地を出
3
発してB地に着くまでにかかった時間は 3 時間であった。
10 - x
P~B
5
5
このとき,A地からP地までの道のりを求めよ。
A地からP地までを x km とすると,P地からB地までは(10 - x)km
(時間)=(距離)÷(速さ)より,
x
10 - x
時間はA地からP地までが 3 時間,P地からB地までが
時間である。
5
x
10 - x
3 +
= 3 これを解くと,x = 7.5 よって 7.5 km
5
距離
x
10 - x
学習2 速さに関する問題②―道のりの方程式をつくる ⇒A1,B1
・道のりの式にする→時間を x とする。
例題
▷ Aさんが,学校から 2 km 離れた駅に向かって学校を出
速さ 時間
距離
発してから,10 分後にBさんが自転車で同じ道を追いか
A 80
x + 10 80(x + 10)
けた。Aさんの歩く速さは毎分 80 m,Bさんの自転車の
B 240
x
240x
速さは毎分 240 m であったとすると,Bさんは学校を出
発してから何分後に追いつくか。
Bさんが追いつくまでにかかった時間を x 分とすると,Aさんが歩いた時間は(x + 10)分
よって,Aさんの歩いた距離は 80(x + 10)m,Bさんの追いかけた距離は 240x m である。
2 人の距離は等しいので,80(x + 10)= 240x
これを解くと x = 5 よって,追いつくのは 5 分後
学習3 割合に関する問題 ⇒A2,B2
・(定価)=(原価)×(1 +割増率)
・(売価)=(定価)×(1 -割引率)
例題
▷ 原価の 3 割の利益を見込んで定価をつけた商品を,定価の 1 割引きで売ったら 17 円の利益
を得た。この商品の原価はいくらか。
1
3
原価を x 円とすると,定価= x × 1 + 10 →売価= x × 1 + 3 × 1 - 10
10
1
3
(売価)-(原価)=(利益)より x × 1 + 10 × 1 - 10 - x = 17
これを解くと,x = 100 よって,原価は 100 円
(
(
)
)(
(
)
)(
)
学習4 増減に関する問題 ⇒A3,B2
例題
▷ ある中学校の去年の生徒数は男女合わせて 1500 人であった。今年の生徒数は去年に比べて,
男子が 5 %増加し,女子が 3 %減少して 1527 人になった。去年の男子の生徒数を求めよ。
去年の男子を x 人とすると,去年の女子は(1500 - x)人
5
3
増えた男子は 100 x 人,減った女子は 100(1500 - x)人
合計の増加数は 1527 - 1500 = 27(人)なので,
5
3
100 x - 100(1500 - x)= 27 これを解くと,x = 900 よって,去年の男子は 900 人
※今年の男子は去年の 105%,女子は去年の 97%,合計が 1527 人として計算してもよいが,
数字が大きくなるので,ミスがでやすい。
学習5 濃度に関する問題 ⇒A4,B3
例題
▷ 4 %の食塩水 300 g に,食塩を加えて,10 %の食塩水を作った。加えた食塩の量は何 g か。
加えた食塩の量を x g とすると,
食塩水の量 濃度
食塩の量
4
4 %の食塩水にふくまれる食塩= 300 × 100
4 %の
4
4
300
300 × 100
食塩水
100
10
10 %の食塩水にふくまれる食塩=
(300 + x)
× 100 より 加えた
x
-
x
食塩
4
10
300 × 100 + x =(300 + x)× 100
10
10
10 %の
300 + x
100 (300 + x)× 100
これを解くと,x = 20 よって,加えた食塩は 20 g 食塩水
第 3 章 方程式
17
発展新演習 中1数学 指導のポイント
1 次方程式の応用⑶
◆指導ページ P.86 ~ 89 ◆ 【指導のねらい】
★図形,規則性に関する方程式をたてることができるようにする。
★図形の性質を理解し,規則性を読みとることができるようにする。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 図形に関する問題① ⇒A1,B1
この単元では図形,規則性について ▷ 横の長さが縦の長さより 2 cm 長い長方形があって,周の長さは 20 cm である。縦,横の長
の方程式の文章問題を学習する。
さをそれぞれ求めよ。
( + 2 )c m
図形や規則性など,前の単元で学習 縦の長さを x cm とすると,横の長さは(x + 2)cm である。
したことを応用して方程式をつくるこ 長方形のまわりの長さ=(縦+横)× 2 より,
とが必要になる。
2(x + x + 2)= 20
図形は,公式などを利用したものも 2(2x + 2)= 20
あるので,12 課で確認した公式をこ
2x + 2 = 10
こでもう一度確認したい。
2x = 8
規則性も,11 課で学習したものを
x = 4
cm
両辺を 2 でわる
利用して方程式をたてることになる。 よって,縦の長さは 4 cm,横の長さは,4 + 2 = 6(cm)
11 課のことがわかっていれば難しく
ないが,計算ミスが起きないよう丁寧 学習2 図形に関する問題② ⇒A2,B2,3
に解いていくことを指導したい。
▷ 右の図のような長方形 ABCD がある。点 P は辺 AD 上を
A から D まで毎秒 2 cm の速さで動く。次の問いに答えよ。
<事前確認>
学習1
・長方形の周りの長さ
=
(縦+横)
×2
⑴ PD の長さが 12 cm となるのは,点 P が A を出発して
から何秒後か。
20cm
A
P
10cm
点 P は毎秒 2 cm の速さで動くので,x 秒後の AP の長
C
B
さは 2x cm
よって,PD = AD - AP = 20 - 2x(cm)より,
学習2
12 = 20 - 2x
・
(距離)
=
(速さ)×(時間)
20 - 2x = 12
・
(三角形の面積)
- 2x =- 8
=
(底辺)
×
(高さ)÷ 2
x = 4
したがって,4 秒後
⑵ 三角形 ABP の面積が 70 cm2 となるのは,点 P が A を出発してから何秒後か。
⑴同様,x 秒後の AP の長さは 2x cm,AB の長さは 10 cm なので,
1
(三角形の面積)=(底辺)×(高さ)× 2 より,
1
70 = 2x × 10 × 2
70 = 10x
x = 7
よって,7 秒後
学習3 規則性に関する問題 ⇒A3,4,B4
▷ 右の図のように,全体の形が正三角形になるように,マッチ棒
1 段目
を並べていく。次の問いに答えよ。
2 段目
⑴ 3 段目の下に,マッチ棒を何本加えると,4 段目ができるか。
右下の図のように,3 段目の下に,1 辺がマッチ棒 1 本の正三角
形を(3 + 1)個加えると 4 段目ができるから,加えるマッチ棒の
3 段目
本数は,3 ×(3 + 1)= 12(本)
※ 1 段目,2 段目…とマッチ棒の数を表にして考えてもよい。
段数
1
2
3
マッチ棒の数
3
6
9
4
1 段目
2 段目
このように,マッチ棒の数は 3 の倍数になっているので,
4 段目のときのマッチ棒の数は 3 × 4 = 12(本)
3 段目
⑵ n 段目の下に,マッチ棒を 48 本加えると,(n + 1)段
目ができる。このとき,自然数 n を求めよ。
⑴と同様に考えると,(n + 1)段目をつくるのに必要な
(n + 1)段目をつくるときに加えたマッチ棒は 48 本なので,
よって n = 15
+
4 段目
マッチ棒の数は 3(n + 1)本である。
3(n + 1)= 48 これを解くと,n = 15
D
(3+1)
個
第 4 章 比例と反比例
発展新演習 中1数学 指導のポイント
関数の意味,比例
18
◆指導ページ P.92 ~ 95 ◆ 【指導のねらい】
★関数の意味を理解する。
★比例関係を理解し,比例を式で表せるようにする。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 関数,変数と変域 ⇒A1,2,B2,3
この単元では,関数をあつかい,そ ・2 つの値が関わっているとき,その 2 つの数は互いに関数である。
例題
の中でも比例について学習する。
小学校でも学習した比例だが,文字 ▷ 縦が x cm,横が y cm の長方形の周の長さを 30 cm とする。これについて,次の問いに答えよ。
式のきまりを使って表すため,代入時 ⑴ 上のことがらのうち,変数はどれか。
にミスをしてしまうことがある。関数 いろいろな値をとる文字を変数という。
は,代入ができればある程度解けるの 縦の長さである x が変われば,横の長さの y も変わるので,
で,そこを徹底しておきたい。
変数は x,y である。
関数については,どういうものが関 ⑵ y は x の関数といえるか。
数ではないのかを知っておくとよい。 x が決まれば y も 1 つ決まるという関係を関数という。
方程式のときと同様に,等式のたて方 縦 が 1 cm,2 cm …のとき,横は 14 cm,13 cm …と 1 つの値に決まるので,y は x の関数
といえる。
も確認すべきである。
⑶ x と y の関係を式で表せ。
比例については,x が 2 倍,3 倍,4
(縦+横)× 2 =(長方形の周の長さ)より,
倍 に な る と,y も 2 倍,3 倍,4 倍 に
(x + y)× 2 = 30 よって,x + y = 15
なることが基本となるが,ここでは比
⑷ x の変域,y の変域をそれぞれ求めよ。
例の式 y = ax を使って解いていきた
⑶より,縦と横を合わせて 15 cm なので,x,y ともに 0 cm より大きく 15 cm 未満でなくて
いので,式のたて方を理解することが
はいけない。
大切である。
よって x の変域は,0 < x < 15,y の変域は,0 < y < 15
<事前確認>
学習1
・変数…いろいろな値をとる文字
・定数…決まった数
・変域…変数の範囲
・関数… x と y の 2 つの値において,
x が 1 つ決まると,y も 1 つ決ま
るという関係。
学習2
・比例…変数 x,y の間に y = ax とい
う関係が成り立つ。
・比例定数… y = ax の a のこと
学習3
y
・比例定数の求め方… a = x
学習2 比例 理解 ⇒A3,4,B1,4
・一般式:y = ax(a:比例定数)
・x が 2 倍,3 倍…→ y も 2 倍,3 倍…
×2
×3
x
1
2
3
4
5
y
4
8
12
16
20
×2 ×3
※比例定数は
4
例題
▷ 次のような関係について,y が x に比例することを示せ。また,その比例定数を求めよ。
⑴ 水そうに,1 分間に 5 L の割合で水を入れるとき,水を入れ始めてから x 分後の水そうの
中の水の量を y L とする。
y が x に比例する⇔ y = ax より,y = ax の形の式がつくれれば y は x に比例することがわ
かる。
(水の量)=(1 分間に入る水の量)×(時間)なので,
y = 5x よって,y は x に比例し,比例定数は 5
⑵ 定価 x 円の品物を 10 %引きで買ったときの代金を y 円とする。
(代金)=(定価)×(1 -減少率),10 %= 0.1 より,
y = x ×(1 - 0.1)= 0.9x よって,y は x に比例し,比例定数は 0.9
学習3 比例の式 理解 ⇒A5,B5
・比例の式を求める→比例定数を求める
例題
▷ y は x に比例し,x = 3 のとき y = 12 である。次の問いに答えよ。
⑴ 比例定数を求めよ。
y
12
比例定数 a = x より,a = 3 = 4 よって,比例定数は 4
⑵ y を x の式で表せ。
比例定数が 4 なので,y = 4x
⑶ x =- 3 のときの y の値を求めよ。
x =- 3 を y = 4x に代入
y = 4 ×(- 3)=- 12
⑷ y = 32 のときの x の値を求めよ。
y = 32 を y = 4x に代入
32 = 4x
x = 8
第 4 章 比例と反比例
発展新演習 中1数学 指導のポイント
座標
19
◆指導ページ P.96 ~ 99 ◆ 【指導のねらい】
★点と座標の表し方を理解する。
★中点や,座標平面上の図形の面積を求めることができるようにする。
学習内容・補足事項など
はじめに
学習1 点と座標・点の移動 暗記 ⇒A1,2,B1
この単元では,座標について学習し, ・原点から右へ a,上へ b 移動した点の座標は(a,b)と表せる。
5
それを応用した問題を解けるようにす 例題
A
C
▷ 右の図の点 A,B の座標を求めよ。
ることが目的である。
B
点 A は,原点から右へ 4,上へ 3 移動した点なので,A(4,3)
O
−5
5
座標の表し方をしっかりとできるよ
点 B は,原点から左へ 2,上下は移動していない点なので,B
(- 2,0)
うにすることが重要となる。
−5
▷ 右の図の点 C(1,2)を右へ 2,上へ 3 だけ移動した点 D の座標を求
座標においての注意点として,x と
めよ。
y を逆に考えてしまうこと,横と x,
右へ 2 移動→ x 座標を+ 2 するので,x 座標は 1 + 2 = 3
縦と y の関係を間違って覚えてしまう
上へ 3 移動→ y 座標を+ 3 するので,y 座標は 2 + 3 = 5
ことがあげられる。これはしっかり身
よって,D(3,5)
につくように,何度も確認すること。
※座標の表し方が(x 座標,y 座標)となることを徹底したい。座標を読むときに,必ず横から
中点は,今後とても重要になるもの
読むように指導することがいいだろう。とくに,座標軸上の点を答えるときに,y 軸上の点
なので,今のうちに定着させておきた
を(0, )と答える問題でミスが出やすい。先に 0 ではない数を読もうとする意識がはたら
い。座標どうしで計算するとき,x 座
くからである。気をつけて指導したい。
標,y 座標をそれぞれ分けて考えるこ
<導入>
とができるように指導したい。
学習2 真ん中の点の座標 暗記 ⇒A2,B2
(
)
座標平面上の図形の面積を求める場 ・2 点 P(a,b),Q(c,d)の真ん中の点の座標は, a + c , b + d である。
2
2
合,既習の図形の面積の公式をそのま 例題
ま使えないことがあるので,どのよう ▷ 2 点 A(3,4),B(5,2)がある。点 A と点 B の真ん中の点の座標を求めよ。
にして求めるのかを説明する必要があ x 座標と y 座標,それぞれ分けて求める。
る。座標平面上ならではの求め方なの
4+2
3+5
x 座標= 2 = 4,y 座標= 2 = 3 よって,(4,3)
で,座標の特徴を説明しながら解き方
※図で考えてもよいが,値が分数になる場合もあるので,計算で求められるようにしておきたい。
を解説するとよい。
※ x 座標どうし,y 座標どうしの和を 2 で割るが,座標が負の数になっているとき,わざわざ
正の数にしてから足してしまうミスがある。正の数でも負の数でも関係なく足すように指
<事前確認>
導したい。
学習1
・x 軸
(横軸)
…横の数直線
右が正の方向
・y 軸
(縦軸)
…縦の数直線
学習3 図形の面積 理解 ⇒A3,B1~3
・三角形の面積の求め方…分割して考える,もしくは長方形から余計な部分を引く。
上が正の方向
・座標軸… x 軸と y 軸の総称
(−2,
3)
・原点… x 軸と y 軸の交点O
・座標平面…座標軸の書いている平面。
・座標 …
(a,b)という形で表す。a を
8
(1,5)
(1,0)
(3,−2)
1
6
7
9
1
例題
▷ 座標平面上で,3 点 A(- 2,4),B(- 4,- 2),C(4,- 3)を頂点
A5
とする三角形の面積を求めよ。ただし,座標の 1 目もりを 1 cm とする。
学習2
右の図のように,点 A,B,C から軸に平行な線を引き,△ABC を
・中点… 2 点の真ん中の点
O
ち ょうど囲む長方形をつくる。この長方形から,余分な三角形を引 −5
B
いて求める。
−5
学習4
長方形の面積= 7 × 8 = 56
・平行四辺形…向かい合う辺は平行で 余分な 3 つの三角形= 6 × 7 ÷ 2 + 8 × 1 ÷ 2 + 2 × 6 ÷ 2 = 21 + 4 + 6 = 31
長さが等しい。
よって,求めたい△ABC の面積は 56 - 31 = 25(cm2)
※辺の長さは目もりを数えてもよいが,計算で出せるようにしておくとよい。
長方形の縦= 4 -(- 3)= 7,長方形の横= 4 -(- 4)= 8
x 座標,b を y 座標という。
5
C
学習4 座標と平行四辺形 ⇒A4,B4
例題
▷ 平行四辺形 ABCD において,A(- 2,3),B(- 4,- 1),C(1,2)
D
である。頂点 D の座標を求めよ。
5
A
向かい合う辺が平行で長さが等しいので,B → C と A → D の移動は
C
同じである。
O
−5
5
B → C が右へ 5,上へ 3 なので,D は A から右へ 5,上へ 3 移動し
B
た点である。
−5
よって,D(- 2 + 5,3 + 3) ゆえに D(3,6)
第 4 章 比例と反比例
発展新演習 中1数学 指導のポイント
比例のグラフ
20
◆指導ページ P.100 ~ 103 ◆ 【指導のねらい】
★比例のグラフをかけるようにする。
★グラフから比例の式を求めることができるようにする。
★比例のグラフの特徴を理解する。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 比例のグラフ 理解 ⇒A1,B1
この単元では,比例のグラフについ ・a > 0 … x が増加すると y も増加する。
て学習する。
・a < 0 … x が増加すると y は減少する。
グラフは丁寧にかかないとずれてし 例題
まうので,きちんと通る点をとってか ▷ y =- 2x のグラフをかけ。
らグラフをかくようにする。
解法①
5
比例のグラフの特徴は,直線である x に対応する y の値を求めて,下のような表をつくり,対応する x,
ことと,比例定数によって,右上がり
y の値の組を座標とする点をとり,それらの点を直線で結ぶ。
か右下がりかが決まることが大切であ
x
-2
-1
0
1
2
3
る。これは式を見ただけで判断できる
y
4
2
0
-2
-4
-6
−5
5
O
−5
ので,あまり正負の符号を気にして点 解法②
をとる必要がないことを伝えておきた 比例定数 a = y なので,比例定数を分数で表すと- 2 =- 2 より,x = 1,y =- 2 を通る。
x
1
い。
また,比例のグラフは原点を通る直線なので,x が 1 増加すると y が 2 減少することがわか
比例のグラフの式は,x 座標,y 座
るので,座標平面上に端まで点を打つ。その端と端の点を結ぶように直線を引く。
標ともに整数になっている点を探せば,
※
(1,- 2)と原点を結ぶだけでも直線は引けるが,近い点どうしを用いると,グラフがずれ
あとは 18 課で学習した式の求め方を
てしまうことが多いので,座標平面上でなるべく端と端の点を求めて,その 2 点を通るよう
用いてすぐにだせる。
にグラフを書くのがよい。
比例のグラフと図形については,19
課の学習3のように三角形の面積を求
められるようにしておくことが大切で
ある。座標から底辺や高さを求められ
るようにしておきたい。
<事前確認>
学習1
・比例のグラフ
①直線
②原点を通る
③ a > 0 のとき右上がり
a < 0 のとき右下がり
④ a の絶対値が大きい
→傾きが急
a の絶対値が小さい
→傾きがゆるやか
学習2
学習2 比例のグラフの式 理解 ⇒A2,3,B2,3
・比例の式を求める→比例定数を求める。
・座標を 1 点だけ読み取り,その点から比例定数を求める。
例題
⑴
▷ 右のグラフの式を求めよ。
⑴ グラフは点(1,- 4)を通るので,
-4
a = 1 =- 4
よって,式は y =- 4x
⑵ グラフは(5,3)を通るので,
3
a = 5
3
よって,式は y = 5 x
5
⑵
O
−5
5
−5
※ y = ax に代入してもよいが,方程式において a が右辺にあるだけで解けないと思う生徒も
y
いるため,a = x を用いて比例定数を求めた方がよい。
※グラフが右上がりか右下がりかで比例定数の符号が決まる。グラフが右下がりなのに求めた
式の比例定数が正の数になっていたりするので,求めた式の符号とグラフの傾きをよく見る
ようにする。
・比例のグラフの式…比例定数を求める。 学習3 比例のグラフと図形 ⇒A4,B4
y
例題
比例定数 a = x
▷ 右の図について,点 P の x 座標が 6 のとき,三角形 POQ の面積を求めよ。
3 点 P,O,Q の座標を求める。点 O は原点なので O
(0,0)
1
点 P は x 座標が 6 で,y = 3 x のグラフ上の点なので,P
(6,2)
点 Q も x 座標が 6 で,y =- x のグラフ上の点なので,
P
Q(6,- 6)
これより,底辺を PQ とする三角形と考えると,
底辺= 2 -(- 6)= 8,高さ 6 より,
△POQ = 8 × 6 ÷ 2 = 24
▷ 右の図について,点 Q の y 座標が- 9 のとき,PQ の長さ
を求めよ。
点 Q の y 座標が- 9 なので,y =- x より,x = 9
これより,点 P の x 座標も 9 なので P(9,3)
よって,PQ = 3 -(- 9)= 12
1
= 3
O
Q
=−
第 4 章 比例と反比例
発展新演習 中1数学 指導のポイント
反比例とそのグラフ
21
◆指導ページ P.104 ~ 109 ◆ 【指導のねらい】
★反比例の関係を理解し,反比例の式をかけるようにする。
★反比例のグラフをかけるようにする。
★グラフから反比例の式を求めることができるようにする。
はじめに
学習内容・補足事項など
<導入>
学習1 反比例 暗記 ⇒A1,B1
この単元では,反比例について学習 ・y が x に反比例する→ y = ax(a:比例定数)
する。
例題
比例同様に,特徴,一般式,グラフ
▷ 36 km の道のりを毎時 x km の速さで進むときにかかる時間を y 時間として,次の問いに答
などを理解することが重要である。
えよ。
反比例の関係については,比例との
⑴ y を x の式で表せ。
区別を重視したい。反比例の関係を質
36
(時間)=(距離)÷(速さ)より,y = x
問したときに,比例の関係を答えるこ
とが多々あるので,違いをしっかりと ⑵ y は x に反比例するといえるか。
a
y = x の関係になっているので,y は x に反比例する。
理解したい。
反比例の式については,比例同様に ⑶ 毎時 4 km の速さで進むと何時間かかるか。
一般式があるため,その形を覚えるこ x = 4 なので,代入すると,
とが重要である。比例定数の求め方も y = 36 = 9(時間)
4
違うので,それぞれ理解するように促
⑷ x の変域が 3 ≦ x ≦ 9 のときの y の変域を求めよ。
したい。
x = 3 のとき y = 12,x = 9 のとき y = 4 なので,4 ≦ y ≦ 12
反比例のグラフは,比例とは違い曲
※反比例の式は xy = a という形でもよい。上の関係の場合は xy = 36
線
(双曲線)
になる。慣れるまでは,比
例同様に座標をなるべく多くとらせ,
丁寧にかくように指導したい。
・反比例の式を求める→比例定数を求める。
例題
<事前確認>
▷ y は x に反比例し,x =- 4 のとき y = 6 である。次の問いに答えよ。
学習1
⑴ 比例定数を求めよ。
・反比例
a =- 4 × 6 =- 24
a
一般式… y = x
⑵ y を x の式で表せ。
関係… x が 2 倍,3 倍…になる
1 1
→ y が 2 , 3 …となる。
学習2
比例定数 a = xy
24
a =- 24 より,y =- x
⑶ x = 3 のときの y の値を求めよ。
24
24
y =- x に x = 3 を代入すると,y =- 3 =- 8
⑷ y =- 10 のときの x の値を求めよ。
24
24
12
y =- x に y =- 10 を代入すると,- 10 =- x ,x = 5
※⑷は xy =- 24 に代入した方が計算がわかりやすい。- 10x =- 24 → x = 12
5
学習3
グラフの形…双曲線
特徴…座標軸と交わらない
>0 のとき
学習2 反比例の式 理解 ⇒A2,B2,3
<0 のとき
学習3 反比例のグラフ 理解 ⇒A3,4
5
例題
6
▷ y = x のグラフを書け。
O
O
x と y の組を座標とする点をとり,それらを滑らかな曲線でむすぶ。
x
-6
-3
-2
-1
y
-1
-2
-3
-6
0
1
2
3
6
6
3
2
1
−5
5
O
−5
学習4 比例と反比例のグラフ ⇒A5,B4
例題
6
▷ 右の図において,①は y = ax のグラフ,②は y = x のグラフで
ある。①と②が図のように 2 点 A(2,3),B で交わっているとき,
①
A
次の問いに答えよ。
⑴ 点 B の座標を求めよ。
点 A と点 B の中点は原点 O なので,B(- 2,- 3)
⑵ a の値を求めよ。
y
3
y = ax の比例定数は a = x より,A(2,3)を代入する。a = 2
O
②
B
②
第 5 章 平面図形
発展新演習 中1数学 指導のポイント
直線と角
22
◆指導ページ P.112 ~ 117 ◆ 【指導のねらい】
★直線,線分,半直線について学び,2 直線の位置関係を理解する。
★角の表し方や三角形について理解する。
★円の弦や弧,中心角について理解する。
はじめに
<導入>
この単元では,図形の特徴や表し方
について学習する。
基本事項が多いが,今までとは違っ
た表し方が多く出てくるので,きまり
をしっかりと守るように指導したい。
直線については,直線,線分,反直
線の意味と表し方を理解することが重
要である。とくに反直線は記号の順番
で意味が変わってしまうので,注意し
たい。
学習内容・補足事項など
学習1 直線・線分・半直線 暗記 ⇒A1,B1
A
直線 AB
B
線分 AB A
B
半直線 AB A
B
A
半直線 BA
例題
A
⑴
▷ 右の図の点 A ~ D について,次の問いに答えよ。
B
⑴ 直線 AC をひけ。
A
⑵ 線分 BD をひけ。
⑶ 半直線 CD をひけ。
C
C
直 線 AC は,A と C を通り,その 2 点より先を両方
D
とも限りなくのばした線をかく。
線分 BD は,B と D を結び,それ以上のばさない線をかく。
半直線 CD は,C と D を通り,D の方向だけ限りなくのばした線をかく。
B
B
⑵
D
⑶
直線の関係については,垂直と平行
学習2 垂直と平行,距離 ⇒A2,B3
・AB と CD が垂直に交わる… AB⊥CD
方だけ確認する。ただ,距離について
・ℓとm が平行…ℓ//m
は,その距離の名称と意味を説明する
・① 2 点 A,B 間の距離 ② 点Aと直線ℓの距離 ③ 平行線ℓ,m の距離
必要がある。
A
ℓ
角や三角形については,∠ABC,
A,
B 間の距離
ℓ, の距離
A とℓの距離
B
A
△ABC のように,3 文字で表すよう
の意味はすでに学んでいるので,表し
ℓ
にしたい。角の表し方は,表したい角
の頂点が真ん中にくることをきちんと 例題
▷ 右の図について,次の問いに答えよ。ただし,方眼の 1 目もりを 1 cm とする。
説明することが大切である。
円は,用語の名称と記号をしっかり ⑴ 垂直な直線はどれとどれか。記号を用いて表せ。
と覚え,その特徴を理解することが大 2 直線の交点でできる角が直角になっているとき,2 直線は垂直である。
よって,a ⊥ e,c ⊥ e
切である。とくに接線の特徴は今後重
A
⑵ 平行な直線はどれとどれか。記号を用いて表せ。
要になるので,今のうちにきちんと理
2 直線がどこまでも交わらないとき,2 直線は平行である。
解させたい。
よって,a // c,b // d
B
⑶ 2 点 A,B 間の距離を求めよ。
<事前確認>
線分 AB の長さは 4 cm なので,2 点 A,B 間の距離は 4 cm
学習1
・直線…限りなく伸ばしたまっすぐの線。
・線分…ある 2 点間を結んだまっすぐ
学習3 角と三角形の表し方 ⇒A3,B4
・半直線…片方だけ限りなく伸ばした
まっすぐの線。
A
辺
の線。
O
頂点
辺
B
辺
角 AOB を∠AOB,∠O,∠a などと表す。
三角形 AOB は,△AOB と表す。
例題
▷ 右の図について,角 a,角 b を角を表す記号と O,A ~ C の文字を用
A
いて表せ。
B
学習2
頂点を真ん中にかき,それをはさむ点 2 つを用いて「∠」を使って表す。
D
・垂直…直角に交わること。
角 a … A と B にはさまれた,頂点が O の角より,∠AOB
C
O
・平行…延長しても交わらない 2 直線 角 b … B と C にはさまれた,頂点が O の角より,∠BOC
の関係。
▷ 右の図について,線分 OA を 1 辺とする三角形を,三角形を表す記号を用いてすべて答えよ。
OA の 2 文字を用いる三角形は△OAB,△OAC,△OAD の 3 つである。
学習4
・中点…線分の真ん中にあたる点。
・弧…ある 2 点間における円周の一部分。 学習4 円の弦と弧,接線 ⇒A4,B5
・弦…円周上の 2 点間を結んだ線分。 ・A から B までの円周の部分…弧 AB または A⌒B
・接線…円と 1 点でしか交わらない直線。 ・円周上の 2 点 A,B を結んだ線分…弦 AB
・接点…接線と円が交わった点。
・接線ℓと半径 OM の関係…ℓ⊥OM
A
͡
AB
B
弦AB
O
O
ℓ
M
接点
接線
例題
▷ 右の図 1 で,∠AOB =∠BOC で,弧 AB の長さが 3 cm のとき,弧 AC の長さを求めよ。
∠AOB =∠BOC より弧 AB =弧 BC よって,弧 AC = 6 cm 図 1 A
B
図2
▷ 右の図 2 で,直線ℓが半径 5 cm の円 O と点 A で接して
O
C
いる。中心 O と直線ℓとの距離は何cmか。
O
ℓ
(中心と接線との距離)=(円の半径)= 5 cm
A
第 5 章 平面図形
発展新演習 中1数学 指導のポイント
平面図形の移動
23
◆指導ページ P.118 ~ 121 ◆ 【指導のねらい】
★平行移動,対称移動,回転移動の方法を理解する。
★移動前と移動後の図形の関係を理解する。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 平行移動 理解 ⇒A1,B1,2
この単元では,平面図形における, 例題
図形の平行移動,対称移動,回転移動 ▷ 右の図で,△DEF は△ABC を平行移動したも
について学習する。作図問題も出題さ
A
のである。このとき,次の問いに答えよ。
れるので,その方法までしっかりと説 ⑴ 点 A に対応する点を答えよ。
明したい。
移動によって重なり合う点を対応する点という。 B
導入としては,平面図形というもの よって,点 A に対応する点は点 D である。
を確認し,その移動方法が 3 つあるこ ⑵ ∠C と大きさの等しい角はどれか。
とを伝えればよい。
D
C
平行移動,対称移動,回転移動どれ
F
E
対応する角の大きさは等しい。対応する角は対
応する頂点における角なので,∠C に対応する角は∠F である。
においても共通することは対応する辺 ※対応する角の大きさだけでなく,辺の長さも等しい。
や角は等しいということなので,移動 AB = DE,BC = EF,CA = FD
前と移動後で,どの点がどこに移動し ⑶ AD,BE,CF の間にはどんな関係があるか。記号を用いて表せ。
たのかを見分けられるようにする必要 平行移動は,図形の各点を一定の方向に一定の長さだけずらしたものなので,A,B,C の
がある。複雑に移動するものでなけれ
位置は,D,E,F に移動しても変わらない。よって,AD,BE,CF の辺の長さは等しく,
ば難しくないはずなので,それを利用
AD,BE,CF は平行である。
して問題を解くことを指導する。
AD = BE = CF,AD // BE // CF
<事前確認>
学習2 対称移動 理解 ⇒A2,B1~3
学習1
例題
・平行移動…平面上で,図形の各点を ▷ 右の図で,△DEF は△ABC を,直線ℓを対
一定の方向に一定の長さだけずら
称の軸として対称移動したものである。このと
して,その図形を移すこと。
き,次の問いに答えよ。
ℓ
A
D
⑴ 点 A に対応する点を答えよ。
E
対称の軸は直線ℓである。△ABC を,直線ℓ B
・対称移動…平面上で,図形の各点を,
を折り目として折り返すと,点 A は点 D と
学習2
直線ℓを折り目として折り返して,
重なるので,点 A と対応する点は点 D であ
その図形を移すこと。
る。
C
F
・対称の軸…対称移動における折り目 ⑵ 辺 AC と対応する辺はどれか。
とした直線のこと。
点 A と対応する点は D,点 C と対応する点は F なので,辺 AC と対応する辺は辺 DF
⑶ 線分 AD,BE,CF と対称の軸ℓとの間には,どんな関係があるか。記号を用いて表せ。
学習3
対称の軸は,対応する点どうしのちょうど真ん中にあり,対応する点どうしを結んだ直線と
・回転移動…平面上で,図形の各点を,
対称の軸は垂直に交わる。
定点 O を中心として一定の角度
よって,AD⊥ℓ,BE⊥ℓ,CF⊥ℓ
だけ回して,その図形を移すこと。 ※対称の軸ℓは対応する頂点どうしを結んだ線分の垂直二等分線となっている。
・回転の中心…回転移動における定点
O のこと。
学習3 回転移動 理解 ⇒A3,B1,2
例題
▷ 右の図で,△DEF は△ABC を,点 O を回転の中心と
D
して回転移動したものである。次の問いに答えよ。
⑴ 点 A と対応する点はどれか。
移動によって重なり合う点を対応する点という。
A
C
よって,点 A に対応する点は点 D である。
⑵ 線分 OB と長さの等しい線分はどれか。
対 応する点どうしは,回転の中心 O からの距離が等
しい。
F
B
よって,点 B と対応する点は点 E なので,OB と長さ
が等しい線分は OE
⑶ ∠AOD = 60°のとき,∠COF の大きさを求めよ。
対応する点と回転の中心を結んでできる角の大きさはすべて等しいので,
∠AOD,∠BOE,∠COF のは回転の角ですべて等しい。
∠COF =∠AOD = 60°
E
O
第 5 章 平面図形
発展新演習 中1数学 指導のポイント
おうぎ形
24
◆指導ページ P.122 ~ 127 ◆ 【指導のねらい】
★おうぎ形の弧の長さや面積の求め方を覚える。
★おうぎ形をふくんだいろいろな図形について,周の長さや面積を求めることができるようにする。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 おうぎ形と中心角 ⇒A1
この単元では,おうぎ形の弧の長さ 例題
や面積について学習する。
▷ 右 の 図 の 円 O で, ∠AOB = 40°, ∠BOC = 80°, ∠COD = 120°
導入としては,おうぎ形の弧の長さ
である。次の問いに答えよ。
⌒
⌒
や面積が中心角に比例することを確認 ⑴ B
C の長さは,A
B の長さの何倍か。
⌒
⌒
⌒
BC の中心角は 80°,A
B の中心角は 40°なので,B
C の中心角は,
し,そこから公式を説明する。
おうぎ形の弧の長さと面積は,円周
40°
80° O
⌒
A
B の中心角の 2 倍である。よって,弧の長さも 2 倍となる。
の長さや円の面積から中心角の割合だ ⑵ おうぎ形 OCD の面積は,おうぎ形 OAB の面積の何倍か。
け得るという方法で求めることができ お うぎ形 OCD の中心角は 120°,おうぎ形 OAB の中心角は 40°な
る。そのため,まずは円周や円の面積
A
B
120°
C
D
ので,おうぎ形 OAB の中心角は,おうぎ形 OBC の中心角の 3 倍である。
の求め方を確認することから始めると よって,面積も 3 倍となる。
よい。
⑶ おうぎ形 ODA の面積は,おうぎ形 OBC の面積の何倍か。
おうぎ形を用いた問題に関しては, おうぎ形 ODA の中心角は,∠AOD = 360°-(40°+ 80°+ 120°)= 120°
半径もしくは直径とおうぎ形の中心角 よって,おうぎ形 ODA の中心角は,おうぎ形 OBC の中心角の 3 倍である。
2
がいくつになっているかを確認するこ
3
よって,面積も 2 倍となる。
とが重要である。どのようなおうぎ形
であるかをしっかり見るように指導し
たい。
<事前確認>
学習1
学習2 おうぎ形の弧の長さ・面積 暗記 ⇒A2
・おうぎ形の半径を r,中心角を a°,弧の長さをℓ,面積を S とすると,
a S =πr2 × a
ℓ= 2πr × 360
360
例題
ℓ
°
・おうぎ形と中心角…おうぎ形の弧の ▷ 半径 6 cm,中心角 30°のおうぎ形の弧の長さと面積を求めよ。
長さや面積は,中心角に比例する。 公式にあてはめて計算する。
30
30
弧の長さ= 2π× 6 × 360 =π(cm) 面積=π× 62 × 360 = 3π(cm2)
学習2~4
・中心角 a°
のおうぎ形の弧の長さ
=円周× a
360
・中心角 a°
のおうぎ形の面積
a
=円の面積× 360
学習3 いろいろな図形の周の長さ・面積 ⇒A3,B1~3
A
・おうぎ形の半径を r,弧の長さをℓ,面積を S とすると,S = 12 ℓr
例題
C
▷ 右の図のように,OA を半径とするおうぎ形から,OC を半径とする
おうぎ形を切り取った図形がある。次の問いに答えよ。
O
⑴ この図形の周の長さを求めよ。
60°
3cm D 3cm
B
おうぎ形 OAB,OCD ともに中心角は 60°で,半径はそれぞれ 6 cm,3 cm である。
60 + 2π× 3 × 60 + 3 + 3
⌒
⌒
周の長さ= A
B+C
D + AC + BD = 2π× 6 × 360
360
= 2π+π+ 3 + 3 = 3π+ 6(cm)
⑵ この図形の面積を求めよ。
(おうぎ形 OAB の面積)-(おうぎ形 OCD の面積)
= 12 × 2π× 6 - 12 ×π× 3 = 6π- 32 π= 92 π(cm2)
※弧の長さが分かっている場合は,S = 12 ℓr を用いると計算が楽になる。
学習4 図形の回転と長さ・面積 ⇒A4,B4,5
例題
▷ AB = 3 cm,AC = 6 cm,∠B = 90°,∠C = 30°の直角三角形 ABC が右の図のように,
C
直線ℓ上を㋐~㋓の状態まで,すべることなく転がっ
て 1 回転する。頂点 A がえがく線の長さを求めよ。
頂点 A がえがく曲線は右の図のようになる。
よって,求める線の長さは,おうぎ形 BAA′の弧と
おうぎ形 C′
A′
A″
の弧の長さの和である。
弧 AA′= 2π× 3 × 90 = 3 π(cm)
360
2
150
弧 A′A″= 2π× 6 × 360 = 5π(cm)
よって, 32 π+ 5π= 13
2 π(cm)
ℓ
A㋐ B
㋑
C
30°
A′
ℓ
A㋐ B
㋓
㋒
B
30°
㋑ C′ ㋒
A″㋓
第 5 章 平面図形
発展新演習 中1数学 指導のポイント
基本の作図
25
◆指導ページ P.128 ~ 133 ◆ 【指導のねらい】
★コンパスと定規を使って図をかけるようにする。
★垂直二等分線,角の二等分線,垂線,接線の作図方法を理解する。
学習内容・補足事項など
はじめに
<導入>
学習1 三角形のかき方 ⇒A1
この単元では,平面図形における作 例題
図方法の基本について学習する。
▷ AB = 4 cm,BC = 5 cm,∠B = 60°
の△ABC をかけ。必要ならば,分度器を用いてもよい。
ここで学習する基本の作図は,垂直 この三角形は条件ⅱにあてはまるので,作図することができる。
②
③ A
二等分線,角の二等分線,垂線である。 ① BC = 5 cm をひく。
導入としては,作図する線がどうい ② B から∠B = 60°となる半直線をひく。
4cm
う線なのかを説明し,そこから作図方 ③ B を中心として,半径 4 cm の円をかく。
法に入る。とくに垂直二等分線と角の ④ ②の半直線と③の円の交点を A とする。
B
二等分線はもとの意味の他にも重要な ⑤ A と C を結ぶ。
60°①
5cm
C
特徴をもつので,しっかりと説明して
おきたい。
学習2 垂直二等分線の作図 理解 ⇒A2,B1
作図の方法は,基本的にはコンパス ・垂直二等分線の特徴… 2 点間からの距離が等しい点の集合である。
で行う。コンパスの扱いが苦手な生徒 例題
もいるので,きれいに円をかく方法な ▷ 右の図で,線分 AB の垂直二等分線を作図せよ。
どを一度教えてもよい。
B
A
手順は以下の通りである。
②
① ①
C
作図の問題は,コンパスでつけた印 ① 線分の両端 A,B をそれぞれ中心として,等しい半径の円をか
が意味あるものであれば,作図の結果
き,その 2 つの円の交点を C,D とする。
が多少ずれていても問題はない。コン ② 直線 CD をひく。
パスのあとを消してしまうことがある 四 角形 CADB は,直線 CD を対称の軸とする線対称な図形にな
ので,それだけは絶対にしないように
指導したい。
A
B
M
るから,直線 CD は線分 AB の垂直二等分線である。
D
※ 2 点 A,B からの距離が等しい点は,線分 AB の垂直二等分線上
にある。
<事前確認>
学習1
学習3 角の二等分線の作図 理解 ⇒A3,B2,4,5
・三角形のかき方
・角の二等分線の特徴… 2 直線間からの距離が等しい点の集合である。
三角形が 1 つに決まる条件
例題
A
②
ⅰ 3 辺の長さが決まっているとき。 ▷ 右の図の∠AOB の二等分線を作図せよ。
①C
ⅱ 2 辺の長さと,その間の角の大き 手順は以下の通りである。
さが決まっているとき。
ⅲ 1 辺の長さと,その両端の角の大
きさが決まっているとき。
① 頂点 O を中心として,適当な半径の円をかき,辺 OA,OB との
交点を C,D とする。
O
③
E
①
②
B
D
② C,D を中心として,等しい半径の円をかき,その交点を E とする。
③ 半直線 OE をひく。四角形 OCED は,直線 OE を対称の軸とする線対称な図形になるか
学習2
ら,半直線 OE は∠AOB の二等分線である。
・垂直二等分線…線分の中点を通り, ※ OA,OB から等しい距離にある点は,角の二等分線上にある。
その線分に垂直な直線。
学習4 垂線の作図 理解 ⇒A4,B3
学習3
例題
・角の二等分線… 1 つの角を 2 等分す ▷ 直線ℓ上の点 P を通る垂線を作図せよ。 ▷ 直線ℓ上にない点 P を通る垂線を作図せよ。
P
る半直線。
ℓ
P
上の 2 つの図は点 P の位置が異なるが,作図方法はまったく同じである。図としての違いは
ℓ
③
あるが同じであると考えたい。
②
②
C
手順は以下の通りである。
① 点 P を中心として円をかき,直線ℓとの交点を A,B とする。
② A,B を中心として,等しい半径の円をかき,その交点の 1 つ
を C とする。
ℓ
A
①
B
P
③ 直線 CP をひく。
直線 CP が,点 P を通り直線ℓに垂直な直線である。
P
③
ℓ
A
C
② ②
①
B
第 5 章 平面図形
26
発展新演習 中1数学 指導のポイント
作図の利用
【指導のねらい】
★いろいろな角度の角を作図することができるようにする。
★いろいろな作図に垂直二等分線,角の二等分線,垂線を応用することができるようにする。
はじめに
◆指導ページ P.134 ~ 139 ◆ 学習内容・補足事項など
<導入>
学習1 角の作図 ⇒A1,B1
この単元では,垂直二等分線や角の ・垂線…交点が 90°
二等分線,垂線をさまざまな作図に応 ・正三角形… 1 つの角が 60°
例題
用できることを学習する。
X
25 課で学習した直線の特徴だけで ▷ 右の図の直線 XY を用いて,次の角を作図せよ。
なく,その他の図形の特徴を理解する ⑴ ∠POX = 90°
必要があるため,作図方法の前に,ど 点 O を通り,直線 XY に垂直な直線 PO を作図すれば,
のような特徴をもつ直線を作図するの ∠POX = 90°となる。
⑵ ∠QOY = 45°
かを確認してから進めたい。
∠POY = 90°を利用する。∠POY の二等分線 OQ を作図すれば,
角の作図において重要になるのは垂
∠QOY = 45°となる。
X
線と正三角形,角の二等分線の作図で
ある。正三角形は 25 課で説明してい
ない作図なので,一度確認しておくと
よい。
円の作図,折り返しの作図は垂直二
Y
O
P
Q
90° 45°
O
Y
学習2 円と作図 ⇒A2,B2
・円の中心は,円周上の点から等しい距離にある
→ 2 点から等しい距離にある点の集合の作図→垂直二等分線
A
例題
▷ 右の図で,3 点 A,B,C を通る円 O を作図せよ。
で利用することは,あまり覚えられな
中心 O は A,B,C から等しい距離にある点なので,線分 AB の垂直二
B
いので,なぜ垂直二等分線なのかをき
等分線をかき,その後線分 BC の垂直二等分線をかく。
ちんと説明したい。
2 つの垂直二等分線の交点は A,B,C から等しい距離にある点なので, A
中心 O となる。
<事前確認>
あとは,O を中心として半径 OA の円をかけばよい。
学習1
※ AB,BC 以外にも AC の垂直二等分線で中心 O を見つけてもよい。
B
・垂線や角の二等分線の作図を利用し
等分線を利用する。とくに,円の作図
C
O
C
て,90°
,45°などの角を作図するこ 学習3 三角形の内接円と内心,外接円と外心 ⇒A3,B3,4
とができる。
例題
・正三角形を作図することにより,60°
, ▷ 右の△ABC の内接円を作図せよ。また,△DEF の外接円を作
図せよ。
△ABC の内心は,3 つの辺 AB,BC,CA から等しい距離にあ
る点なので,△ABC の 3 つの角の二等分線の交点である。
その交点を I とし,I から BC に垂直な直線を作図し,その交点 B
学習2
を R とすると,R が接点となる。よって,△ABC の内接円は,
・円の中心は,弦の垂直二等分線上に
中心 I,半径 IR の円である。
ある。
△DEF の外心は,3 点 D,E,F から等しい距離にある点なので,
辺 DE,EF,FD の垂直二等分線の交点である。その交点を O
学習3
とし,OD を半径とする円が△DEF の外接円である。
・内接円…図形のすべての辺と接する
A
円。内接円の中心を内心という。
D
・外接円…図形のすべての頂点を通る
I
円。外接円の中心を外心という。
O
E
F
B
C
R
A
30°などの角を作図することができ
る。
C
D
E
F
学習4 いろいろな作図 ⇒A4,B5
例題
A
▷ 右の図の長方形 ABCD を,頂点 A が頂点 C に重なるように折り返す
とき,折り目の線を作図せよ。
点 A と C が折って重なるということは,A と C が線対称な関係に
B
なっているということなので,その対称な軸を作図すればよい。
D
線対称な図形は,対応する頂点を結んだ線分は A
A
対称の軸によって垂直に二等分されるという特
徴がある。よって,線分 AC の垂直二等分線が
対称の軸となることがわかる。
C
B
(A)B
(B)
D
C
D
C
第 6 章 空間図形
27
発展新演習 中1数学 指導のポイント
直線や平面の位置関係
◆指導ページ P.142 ~ 147 ◆ 【指導のねらい】
★空間における平面と直線について理解する。
★直線と平面の位置関係について理解する。
はじめに
<導入>
この単元では,空間における直線や
平面の位置関係について学習する。
空間における位置関係は,頭では分
かりづらいので,実際に目で見てわか
るようにしたい。道具を使って説明で
きるようならそれが一番よい。
特に平面の決定は,覚えてしまえば
簡単だが,理解しようとするとなかな
か想像しにくい。丁寧に説明したい。
直線どうし,直線と平面,平面どう
しの位置関係は,説明をとばしていき
学習内容・補足事項など
学習1 平面の決定 理解 ⇒A1
・次の①~④のうちどれか 1 つが与えられれば,平面は 1 つに決まる。 ①
① 同一直線上にない 3 点 ② 1 直線とその直線上にない 1 点
③ 交わる 2 直線 ④ 平行な 2 直線
③
例題
▷ 空間において,次のような平面はいくつあるか。
⑴ 2 点 A,B をふくむ平面
2 点をふくむ直線は 1 つだが,その直線をふくむ平面は無数にある。
⑵ 1 直線上にない 3 点 A,B,C をふくむ平面
条件①より,1 つである。3 点が一直線上にあるときは無数にある。
⑶ 1 直線ℓをふくむ平面 ⑴同様に無数にある。
⑷ 交わる 2 直線ℓ,m をふくむ平面 条件③より,1 つである。
②
④
A
C
B
ℓ
なり質問してもよいだろう。そこでね 学習2 直線と直線の位置関係 理解 ⇒A2,B1
同じ平面上にある
②平行
①交わる
じれの位置のときに答えに悩むはずな
ので,これが空間における特別な関係
なのだと説明するとよい。
③ねじれの位置
ℓ
ℓ
ℓ
共有点がない
<事前確認>
例題
D
学習1
▷ 右の図の直方体 ABCD–EFGH について,次の問いに答えよ。
・平面…平らに限りなく広がっている面。 ⑴ 辺 AE と平行な辺をすべて答えよ。
A
同じ平面上にあり,交わらない辺は,辺 BF,辺 DH。
H
学習2
また,辺 DH と平行である辺 CG も辺 AE と平行である。
・直線と直線の位置関係
⑵ 辺 AE とねじれの位置にある辺をすべて答えよ。
E
同一平面上にない,交わらない 2 直線をねじれの位置にあるという。
①交わる
よって,辺 HG,辺 BC,辺 DC,辺 FG
②平行
⑶ 辺 AE と垂直な辺をすべて答えよ。
③ねじれの位置
直方体はすべての面が長方形なので,辺はすべて垂直に交わっている。
よって,辺 AE と交わっているのは,辺 AB,辺 AD,辺 EF,辺 EH
学習3
・直線と平面の位置関係
①交わる
②平行
③含む
・点と平面との距離…点から平面に垂
線を引き,点とその交点までが点
と平面との距離である。
学習4
・平面と平面の位置関係
①交わる
②平行
学習3 直線と平面の位置関係 理解 ⇒A3,B2~4
①
P
ℓ
交わる
②
P
平行である
ℓ
B
G
F
ℓ
③
ℓ
P
直線が平面にふくまれる
C
A
P
・右の図のとき,ℓ⊥m,ℓ⊥n ならばℓと面 P は垂直である。
例題
▷ 右の図の直方体 ABCD–EFGH について,次の問いに答えよ。
⑴ 辺 AE と垂直な面をすべて答えよ。
AE⊥AB,AE⊥AD より,辺 AE と面 ABCD は垂直である。
AE⊥EF,AE⊥EH より,辺 AE と面 EFGH は垂直である。
⑵ 面 AEFB に平行な辺をすべて答えよ。
面 AEFB と交わらない辺は,辺 CD,DH,HG,GC
O
C
D
A
B
H
E
G
F
学習4 平面と平面の位置関係 理解 ⇒A4,B1,3,4
P,Q のつくる角 ① 交わる ② 平行である
・右の図において,∠AOB を平面 P,Q のつくる
A
角といい,∠AOB = 90°
のとき,P⊥Q である。 P
O
B
例題
Q
▷ 右の図は,直方体を 2 つに切ったときにできる 1 つの立体を表したものである。これについ
て,次の問いに答えよ。
H
E
⑴ 面 ABCD と平行な面を答えよ。
交わらない面は面 EFGG
A
D
⑵ 面 ABCD と垂直な面をすべて答えよ。
G
F
直方体なので,交わる面はすべて垂直である。
B
C
よって,面 AEFB,AEHD,BFGC,DHGC
⑶ 面 ABCD と面 ABFE のつくる角の大きさを求めよ。
⑵で面 ABCD と面 ABFE は垂直であると答えているので,つくる角は 90°である。
第 6 章 空間図形
発展新演習 中1数学 指導のポイント
立体の見方
28
◆指導ページ P.148 ~ 153 ◆ 【指導のねらい】
★いろいろな立体の名称や性質を理解する。
★面や線を動かしてできる立体について理解する。
★投影図をかけるようにする。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 多面体 ⇒A1,B1
この単元では,いろいろな立体につ 例題
▷ 次の表を完成させて,あとの問いに答えよ。
いて学習する。
三角柱 五角柱 n 角柱 四角錐 五角錐 n 角錐
導入としては,小学校で学習した立 ⑴ 六角柱は何面体か。
面の数
体の名称や性質を覚えているか確認し, 多面体の面,頂点,辺の
数は右になる。
頂点の数
他にも特徴的な立体があることを説明
よって,六角柱の面の数
辺の数
するとよい。
は6+2=8
角柱,円柱は小学校でも学習したの
三角柱 五角柱 n 角柱 四角錐 五角錐 n 角錐
ゆえに八面体
で,確認程度でよい。角錐,円錐につ
5
7
n+2
5
6
n+1
⑵ 八角錐は何面体か。八角錐の面の数は, 面の数
いて特徴を理解させたい。とくに,角
頂点の数
6
10
2n
5
6
n+1
8 + 1 = 9 より,九面体
辺の数
9
15
3n
8
10
2n
錐は底面で名称が決まるが,側面が三 ⑶ 頂点の数が 8 の角柱・角錐の名まえを
角形なので,どの角錐でも「三角錐」
答えよ。
と答える生徒がいる。きちんと底面が 2n = 8 より,n = 4 なので四角柱 n + 1 = 8 より,n = 7 なので七角錐
どこなのかを見極めるように指導した ⑷ 辺の数が 18 の角柱・角錐の名まえを答えよ。
い。
3n = 18 より,n = 6 なので六角柱 2n = 18 より,n = 9 なので,九角錐
正多面体については,特徴を説明し,
全部で 5 つしかないことを覚えてもら 学習2 面や線を動かしてできる立体 ⇒A2,B3
う。これは,そこまで難しくなく証明 例題
▷ ∠C = 90°の直角三角形 ABC がある。この三角形を次のように
できるので,説明してもよい。
動かしてできる立体の名まえをいえ。また,見取図をかけ。
投影図は,立面図と平面図を見て立
⑴ △ABC
を,その面に垂直な方向に h cm だけ平行に動かす。
体の名称を答えられるようにしておき
たい。立面図と平面図を逆にかかない 三角形を面に平行な方向に動かす→三角柱(見取図は図 1)
⑵ △ABC を,辺 AC を軸として 1 回転させる。
ようにも注意したい。
回転体→底面が円
直角三角形の回転体なので円錐(見取図は図 2)
<事前確認>
学習1
学習3 投影図 ⇒A3
例題
▷ 右の図は,立体の投影図である。次の問いに答えよ。
という。
②
①
⑴ ①,②の立体の見取図をかけ。
・~錐… 1 つの頂点から,放射状にの ⑵ それぞれの立体の名まえを答えよ。
びる直線によってつくられる立体。 ①は円柱,②は四角錐である。
底面が多角形のものを角錐という。
が多角形になっているものを角柱
C
A
図1
C′
A′
A
B
①
図2
B′
C
C
B
B
︵立面図︶︵平面図︶
・~柱…柱状になっている立体。底面
A
B
A
C
②
学習4 正多面体 暗記 ⇒A4,B2
例題
・回転体…ある平面図形を 1 つの直線 ▷ 正八面体の辺の数を答えよ。
を軸に 1 回転させてできた立体。 面が正三角形で 8 つの面に囲まれているので,辺は 3 × 8 = 24(本)
・母線…回転体における側面をえがく ただし,1 つの辺には正三角形の辺が 2 本重なっているので,24 ÷ 2 = 12(本)
▷ 正八面体の頂点の数を答えよ。
線分。
辺同様に,頂点は 3 × 8 = 24(個)
ただし,1 つの頂点に 4 つの面が集まっているので,24 ÷ 4 = 6(個)
学習3
D
C
・投影図…立体を真正面からと真上から
学習5 立体の切り口 ⇒A5,B4
A
B
見た図の組み合わせで表したもの。
例題
H
M
▷ 右の図の立方体で,点 M,N はそれぞれ辺 BF,EF の中点である。こ
G
学習4
の立方体を線分 AC をふくむ次のような平面で切るとき,切り口はどのよ E
・多面体…いくつかの平面で囲まれて
F
N
うな図形になるか。
つくられた立体。
D
D
C ⑵ 3 点 A,C,N を 通 る
⑴ 3 点 A,C,M を 通 る 平
C
B
B
A
・正多面体…合同な多角形のみでつく
面切り口は右の図のように
平面切り口は,右の図の A
なる。AM = CM なので,
よ う に,A,C,N 以 外
られた多面体。
H
H
G
△ACM は AM = CM の二
に A,C,N を 通 る 面 と
M
M G
P
E
F
等辺三角形である。
辺 FG との交点を P とす E N F
る点を通る。よって,切
り 口 は AC // NP の 台 形
である。
学習2
第 6 章 空間図形
29
発展新演習 中1数学 指導のポイント
立体の表面積と体積⑴
◆指導ページ P.154 ~ 159 ◆ 【指導のねらい】
★角柱,円柱の表面積と体積を求めることができるようにする。
★角錐,円錐の表面積と体積を求めることができるようにする。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 角柱・円柱の表面積と体積 暗記 ⇒A1,B1,4
この単元では,空間図形における表 ・柱体の底面積を S,底面の周の長さをℓ,高さを h とすると,
面積や体積の求め方を学習する。
表面積= 2S + hℓ,体積= Sh
角柱,円柱の表面積と体積は小学校 例題
でも学習するが,注意点がいくつかあ ▷ 右の図1の三角柱の表面積と体積を求めよ。
図1
るため,もう一度覚えているかどうか 表面積= 2 ×(3 × 4 ÷ 2)+ 5 ×(3 + 4 + 5)= 72(cm2)
を確認しておきたい。
体積=(3 × 4 ÷ 2)× 5 = 30(cm3)
図2
5cm
5cm
8cm
体積は公式を覚えることが重要であ ▷ 右の図 2 の円柱の表面積と体積を求めよ。
る。とくに角錐,円錐は,ただ公式を 表面積= 2 ×(4 × 4 ×π)+ 8 ×(8 ×π)= 96π(cm2)
覚えるだけでなく,同じ底面積,高さ 体積=(4 × 4 ×π)× 8 = 128π(cm3)
3cm
4cm
4cm
をもつ角柱や円柱と比較するなどして,
なぜ 1 になるかを感覚的にでも実感さ 学習2 角錐・円錐の表面積 理解 ⇒A2,3,B1
3
・おうぎ形の面積=半径×弧の長さ× 12
せたい。
表面積に関しては,徹底してほしい ・ 側面の中心角 = 底面の半径
360°
円錐の母線
のが展開図をかいて考えることである。
例題
角柱や角錐の場合は展開しなくても計
▷ 右の図 1 の正四角錐の表面積を求めよ。
算できるが,円柱や円錐は展開しては
側面は底辺 6cm,高さ 10cm の三角形が 4 つなので,
じめて求め方が分かる。面倒だという
(側面積)= 6 × 10 × 1 × 4 = 120(cm2)
2
ことで展開図をかかないで解こうとす
る生徒がいるが,これは徹底した方が (底面積)= 6 × 6 = 36(cm2)
よい。
図1
図2
10 cm
5cm
6cm
6cm
よって,(表面積)=(側面積)+(底面積)= 120 + 36 = 156(cm2)
3cm
球の表面積と体積は公式を覚える必 ▷ 右の図 2 の円錐の表面積を求めよ。
要がある。~錐と同様に,なぜその 側面はおうぎ形で,弧の長さは底面の円周と等しい。
公式になるのかの説明は難しいため, (底面の円周の長さ)= 6 ×π= 6π(cm)より,
(側面積)=(半径)×(弧の長さ)× 1 = 5 × 6π× 1 = 15π(cm2)
しっかり暗記するように指導する。
2
2
(底面積)= 3 × 3 ×π= 9π(cm2)
<事前確認>
よって,(表面積)= 15π+ 9π= 24π(cm2)
学習1
・底面積… 1 つの底面の面積
※中心角を求めてからおうぎ形の面積を求めてもよいが,円錐の場合,おうぎ形の弧の長さが
底面の円周と等しいので,上記の求め方の方がよい。
・側面積…側面全体の面積
・表面積…立体の表面全体の面積
学習3 角錐・円錐の体積 暗記 ⇒A2,3,B1,2
・角柱,円柱の表面積
例題
…
(側面積)+(底面積)× 2
▷ 右の図 1 の四角錐の体積を求めよ。
図1
1
5cm
(体積)=(底面積)×(高さ)× 3
=(3 × 4)× 5 × 13 = 20(cm3)
▷ 右の図 2 の円錐の体積を求めよ。
4cm
(体積)=(3 × 3 ×π)× 4 × 13 = 12π(cm3)
・角柱,円柱の体積
…
(底面積)×(高さ)
学習2
・角錐,円錐の体積
…
(底面積)×(高さ)× 13
学習3
・角錐,円錐の表面積
…
(側面積)+(底面積)
学習4
・球の表面積と体積
半径を r とすると,
(表面積)
= 4πr2
4
(体積)
= 3 πr3
図2
4cm
3cm
3cm
学習4 球の表面積と体積 ⇒A4,B1,3
例題
▷ 半径 6 cm の球の表面積と体積を求めよ。
半径を r とするとき,
表面積= 4πr2 より,
4π× 62 = 144π(cm2)
また,体積= 43 πr3 より,
4
3 π× 63 = 288π(cm3)
6cm
第 6 章 空間図形
30
発展新演習 中1数学 指導のポイント
立体の表面積と体積⑵
◆指導ページ P.160 ~ 165 ◆ 【指導のねらい】
★展開図を利用して,最短経路を求めることができるようにする。
★立体や回転体の切断について理解する。
はじめに
<導入>
学習内容・補足事項など
学習1 展開図と最短経路 理解 ⇒A1,2,B1
この単元では,立体の面上にある 2 ・求める最短経路と交わる辺を切断しないような展開図をかく。
点間の最短距離,立体の切断について 例題
学習する。
▷ 右 の 図 は, 正 四 面 体 A–BCD
最短経路は,必ず展開図をかく必要
とその展開図である。頂点 A か
がある。実際の直方体などにひもを
ら辺 BC 上を通り頂点 D まで最
使って例示してもよい。
立体の切断は,実際に見せることが
短の経路で行きたい。展開図に B
残りの頂点の記号を記入し,こ
難しい。図の中での説明で理解しても
の最短経路をかき入れよ。
B
A
DA
D
A
C
らうように努力したい。導入としては, 展開図に残りの頂点を記入すると右の図のようになる。
D
B
B
28 課の学習5で学習したことを復習 2 点 A,D を結ぶ線分のうち,辺 BC と交わるように
することから始めたい。
線分 AD をひく。
投影図の利用では,見取図を想像で
A
A
C
きるかどうかが重要である。切断同様,学習2 立体の切断 ⇒A3,4,B2,3
28 課の学習3を復習しておきたい。
例題
▷ 右の図は,AB=6 cm,AD=8 cm,AE=5 cm の直方体であり,M は
<事前確認>
辺 BC の中点である。この直方体を次の平面で切り,2 つの立体に分ける
学習1
とき,小さい方の立体の体積を求めよ。
・展開図と最短経路…立体の面上にお ⑴ 3 点 M,A,F を通る平面
A
ける 2 点間の最短経路は,展開図 切断された図形は右の図のような三角錐 M–ABF となる。
の上では 2 点を結ぶ線分になる。 △ABF を底面とすると,高さは BM なので,
(体積)=(5 × 6 ÷ 2)× 4 × 1 = 20(cm3)
3
学習2
⑵ 3 点 M,E,F を通る平面
・切断後の図形の体積…立体の形を確
切断された図形は,右の図のように AD の中点 N を
認し,公式にあてはまるものは公
通る三角柱 MBF–NAE となる。
式を用いて求める。
△MBF を底面とすると,高さは AB なので,
学習3
・斜めに切断された図形の体積…その
図形と合同な図形を 2 つ重ねて,
大きな柱体として考える。
学習4
・投影図の利用…投影図から見取図を
求め,公式を用いて表面積や体積
を求める。
(体積)=(4 × 5 ÷ 2)× 6 = 60(cm3)
D
A
E
M
B
A
M
C
H
E
D
G
F
C
H
F
E
B
G
D
N
B
M
F
C
H
G
学習3 回転体の切断 ⇒A5,6,B4
例題
▷ 右の図は,底面の半径 4 cm,高さ 7 cm の円柱を,片側 5 cm のとこ
ろで切断したものである。次の問いに答えよ。
7cm
5cm
⑴ 立体の体積を求めよ。
4cm
切断後の図形を上下に重ねて,底面の半径 4 cm,高さ 12 cm の円柱
の体積を考え,その体積を半分にする。
(4 × 4 ×π)× 12 ÷ 2 = 96π(cm3)
⑵ 立体の側面積を求めよ。
5cm
7cm
⑴同様に,側面も底面の半径 4 cm,高さ 12 cm の円柱の半分になる。
12 ×(8 ×π)÷ 2 = 48π(cm2)
7cm
5cm
4cm
学習4 投影図の利用 ⇒A7,8
例題
▷ 右の図はある立体の投影図であり,立面図は長方形,平面図は円である。立面図の長方形の
投影図から,この立体が円柱であることが分かる。
底面の円の直径が 6 cm,高さが 5 cm なので,
(底面積)= 3 × 3 ×π= 9π(cm2),
(側面積)= 5 ×(6 ×π)= 30π(cm2)より,
(表面積)= 9π× 2 + 30π= 48π(cm2)
(体積)=(3 × 3 ×π)× 5 = 45π(cm3)
6cm
5cm
X
︵立面図︶ ︵平面図︶
縦が 5 cm,横が 6 cm であるとき,この立体の表面積と体積を求めよ。
Y
第 7 章 資料の整理
31
発展新演習 中1数学 指導のポイント
資料の整理⑴
【指導のねらい】
★度数分布表,ヒストグラム,度数折れ線について理解する。
★相対度数を求めることができるようにする。
★平均値を求めることができるようにする。
はじめに
◆指導ページ P.168 ~ 173 ◆ 学習内容・補足事項など
学習1 度数分布表,ヒストグラム 暗記 ⇒A1,B1,2
この単元では,度数分布表につい ・階級…資料を整理するために用いる 1 つ 1 つの区間 ・階級の幅…区間の幅
・度数…各階級に入っている資料の個数 ・階級値…階級の中央の値
て学習する。まずは,度数分布表に
例題
階級(cm) 度数(人)
関する語句とその意味を理解するこ
以上 未満
▷ 右の表は,ある中学校の生徒 20 人の垂直とびの記録を,度数分布表
44 ~ 48
1
とから始めたい。
にまとめたものである。この表について,次の問いに答えよ。
48 ~ 52
1
度数分布表を読むことはそこまで
52 ~ 56
4
⑴ 階級の幅は何cm か。
56 ~ 60
5
難しいことではなく,問題の意味を それぞれの階級は 4 cm ごとに区切ってある。
60 ~ 64
5
64
~
68
4
⑵ 記録が
60
cm
以上の生徒は何人いるか。
きちんと読みとることが重要になる。
計
20
60
cm
以上
64
cm
未満が
5
人,64
cm
以上
68
cm
未満が
4
人なので,
ヒストグラムや度数折れ線をかける
(人)
5 + 4 = 9(人)
5
ようにすることも大切である。
4
⑶ 記録が 56 cm 未満の生徒は全体の何%にあたるか。
3
相対度数は,ただの割合なので,
56 cm 未満の生徒は,1 + 1 + 4 = 6(人)なので,
2
計算間違いさえしなければ問題ない
1
6
20 × 100 = 30(%)
0 44 48 52 56 60 64 68
(cm)
が,求め方の確認をしておくこと。
⑷
この度数分布表からヒストグラムをつくれ。また,度数折れ線をかけ。
平均値は,今までの平均と同じも
階級の幅を横,度数を縦とする長方形をかくと,右の図のようになる。
のだが,度数分布表における平均値
<導入>
の求め方は階級値を用いるものなの
で,生徒は違うものとして理解する
ことになる。各階級値が 1 人あたり
の値になるのだとそのつど説明して
いきたい。
<事前確認>
学習1
・度数 分布表…調査の結果得た数値
学習2 相対度数 暗記 ⇒A2
例題
▷ 右の表は,あるクラスの生徒 40 人の朝の通学にかかる時間
を調べ,相対度数を示したものである。次の問いに答えよ。
⑴ 表のア,イにあてはまる数を求めよ。
6
相対度数の総和は 1 なので,アは 1.00 イ= 40 = 0.15
⑵ 通学に 40 分以上かかる生徒の人数を求めよ。
40 分以上かかる生徒の相対度数の和は 0.1 + 0.05 + 0.05 = 0.2
よって,40 × 0.2 = 8(人)
階級(分)
以上 未満
0 ~ 10
10 ~ 20
20 ~ 30
30 ~ 40
40 ~ 50
50 ~ 60
60 ~ 70
計
度数(人) 相対度数
8
6
40
0.15
0.30
0.20
イ
0.10
0.05
0.05
ア
の集まりをいくつかの区間に分
学習3 平均値① 理解 ⇒A3,B2,3
・平均値を求める手順
を調べて表の形に整理したもの。 ① それぞれの階級の階級値を求める。 ② (階級値)×(度数)をそれぞれ計算する。
・ヒス トグラム…階級の幅を横,度 ③ ②の合計を求める。 ④ (②の合計)÷(度数の合計)を計算する。
階級
階級値(m)度数(人) 階級値×度数
例題
数を縦とする長方形をすき間な
以上 未満
く並べてかいて,度数の分布を ▷ 右の表は,あるクラスの生徒 40 人のハンドボール
15 ~ 20
6
投げの記録を度数分布表にまとめたものである。こ
20 ~ 25
8
表したもの。
25 ~ 30
14
の度数分布表を完成させて,ハンドボール投げの記
・度数 折れ線…ヒストグラムの各長
30 ~ 35
10
録の平均値を,四捨五入して小数第 1 位まで求めよ。 35 ~ 40
2
方形の上の辺の中点を順に結ん
計
40
階級値は,上から順に 17.5,22.5,27.5,32.5,37.5
でかいたグラフ。
より,(階級値)×(度数)は,上から順に 105,180,385,325,75
よって,平均値は(105 + 180 + 385 + 325 + 75)÷ 40 = 26.75(m) よって,26.8 m
け,各区間に属する数値の個数
学習2
・相対 度数…ある階級の度数の,全
体に対する割合。
・
(相対度数)
=(その階級の度数)
(度数の合計)
学習3
・平均値=(階段値×度数)の合計
(度数の合計)
学習4
・仮の平均…目安とする値。
こ れとの誤差を求めて実際の平
均値を求める。
学習4 平均値② ⇒A4,B4
{(階級値-仮の平均)×(度数)}の合計
・(平均値)=(仮の平均)+
(度数の合計)
例題
▷ 下の表は,ある運動部員男子 30人の身長を調べた度数分布表である。仮の平均を 174 cm と
して,この度数分布表を完成させて,身長の平均値を,四捨五入して小数第 1 位まで求めよ。
①そ れ ぞ れ の 階 級 の
階級(cm) 階級値(cm) 度数(人) 階級値-仮の平均 (階級値-仮の平均)×度数
以上 未満
階級値を求める
160 ~ 164
2
(上 か ら 162,166,
164 ~ 168
4
170,174,178,182, 168 ~ 172
6
172 ~ 176
9
186)
176 ~ 180
4
②それらの階級値のう
180 ~ 184
3
ちで,平均に近いも
184 ~ 188
2
計
30
のと思われるものを
仮の平均とする。(今回は 174 と指定)
③
(階級値)-(仮の平均)をそれぞれ計算する。(上から- 12,- 8,- 4,0,4,8,12)
④
(③の値)×(度数)をそれぞれ計算し合計を求める。(上から- 24,- 32,- 24,0,16,24,
24,計- 16)
⑤(④の合計)÷(度数の合計)を計算する。(- 16 ÷ 30 =- 0.53 …→- 0.5)
⑥(仮の平均)+(⑤の結果)を計算する(174 - 0.5 = 173.5(cm))
第 7 章 資料の整理
発展新演習 中1数学 指導のポイント
資料の整理⑵
32
【指導のねらい】
★代表値
(平均値,中央値,最頻値)の意味を理解し,求めることができるようにする。
★近似値と誤差,有効数字について理解する。
学習内容・補足事項など
はじめに
<導入>
◆指導ページ P.174 ~ 177 ◆ 学習1 中央値と最頻値 暗記 ⇒A1,2,B1,2
この単元では,代表値や近似値,有 ・中央値(メジアン)の特徴…度数分布表においては,中央の値をふくむ階級の階級値を求める。
また,資料の個数が偶数のときは,中央にくる 2 つの値の平均を中央値とする。
効数字について学習する。
代表値は,平均値以外に,中央値と ・範囲の求め方…(範囲)=(資料の最大値)-(資料の最小値)
最頻値があるが,どちらもあまり知ら 例題
れていない値である。どのようなとき ▷ 下の資料は,ある中学校の男子生徒 12 人のハンドボール投げの
に用いられるのかから説明するとよい。 記録で,右の表は,これを度数分布表に整理したものである。これ
近似値は四捨五入が分かれば問題な
について,次の問いに答えよ。
いが,求め方より意味をしっかりと覚
14 20 25 28 18 26
えさせたい。
有効数字は,今までとは違った数値
の表し方になるので,特訓が必要であ
る。意味を理解しないとどこまで小数
で表していいか分からなくなるので,
何度も確認したい。
23 21 24 32 15 22 (単位 m)
⑴ 分布の範囲を求めよ。
階級(m) 度数(人)
以上 未満
10 ~ 15
1
15 ~ 20
2
20 ~ 25
5
25 ~ 30
3
30 ~ 35
1
計
12
最大値= 32 m,最小値= 14 m なので,範囲は 32 - 14 = 18(m)
⑵ 中央値を求めよ。
資料を小さい順に並べると,
14,15,18,20,21,22,23,24,25,26,28,32
資料の総和が 12 なので,6 番目と 7 番目の値の平均値を中央値とする。
23 = 22.5(cm)
22 +
2
学習1
・代表値…調べようとする資料全体の ⑶ 最頻値を求めよ。
最も度数が多い階級は 20 m 以上 25 m 未満の階級である。
特徴や傾向を表すための値。
<事前確認>
・中央値
(メジアン)…資料をその値の この階級の階級値が最頻値なので,22.5 m
大きさの順にならべたとき,中央
にくる値。
学習2 近似値と誤差 ⇒A3,B3
・最頻値
(モード)…度数分布表で,度 ・誤差の求め方…(誤差)=(近似値)-(真の値)
近似値が真の値より大きければ,誤差は正の数,小さければ負の数になる。
数が最も大きい階級の階級値。
・範囲…資料の最大の値と最小の値の差。 例題
▷ ある数 a の小数第 2 位を四捨五入した近似値が 13.6 で
真の範囲
13.55 0.05
・測定値…計器を使って測定した値。 小数第 2 位を四捨五入した近似値が 13.6 なので,真の値 a の範囲は
13.55 ≦ a < 13.65
・近似値…真の値に近い値。
学習2
ある。このとき真の値 a の範囲を不等号を使って表せ。
13.6
0.05
13.65
・誤差…近似値から真の値を引いた差。 誤差が最も大きくなるのは 13.55 のときなので,誤差の絶対値は 13.6 - 13.55 = 0.05 より,
0.05 以下である。
▷ 34 を四捨五入して小数第 1 位までの近似値で表したときの誤差を求めよ。
学習3
7
・有効数字…近似値を表す数のうち, 34 ÷ 7 = 4.857 … 小数第 2 位を四捨五入すると 4.9
信頼できる数字。
よって,誤差は
3
4.9 - 34
7 = 70
学習3 有効数字 理解 ⇒A4,5,B4,5
例題
▷ 10 g の位まで測定した 530 g の測定値を有効数字がはっきりわかる形で表せ。
有効数字の中で一番大きい位の数を一の位として小数で表す。
10 g の位まで測定したので,有効数字は 5 と 3 だから,5.3 × 102g
▷ 7.52 × 103 m の測定値は何の位まで測定したものか。
7.52 × 103 = 7520 なので,有効数字は 7 と 5 と 2 より,10 m の位まで測定したことがわかる。
※ 1 より小さい数を有効数字がわかるように表すときは以下のようになる。
1
0.023 の有効数字が下から 2 けたのとき,2.3 × 102