必修新演習 夏期テキスト 社会中2並 指導のポイント 世界のさまざまな地域 1 ◆指導ページ P.2 ~ 5 ◆ 【指導のねらい】 ★大陸と大洋,地球上での位置の決まり方,世界の地域区分について理解させる。 ★さまざまな自然環境での人々の生活について理解させる。 ★世界の各地域の自然環境や産業について理解させる。 重要事項の確認 補足知識・留意事項など 1 世界のすがた 1 世界のすがた ⑴ 大陸と海洋 ⑵ 緯度と経度 ・六大陸…ユーラシア大陸,アフリカ大陸,北アメリカ大陸, 南アメリカ大陸,オーストラリア大陸,南極大陸 ・三大洋…太平洋,大西洋,インド洋 ⑵ 緯度と経度 ・緯線…赤道を 0 度として南北にそれぞれ 90 度。 ・経線…北極と南極を結ぶ線。本初子午線を 0 度として東西に それぞれ 180 度。 ⑶ 世界の国々 ・国家…領土,国民,主権(政府) ・世界の地域区分…アジア,ヨーロッパ,アフリカ,北アメリ カ,南アメリカ,オセアニア ⑷ 人々の生活と環境 ・寒帯…北極海沿岸のカナダ北部にイヌイット 夏は皮のテント,冬は雪を固めたイグルーに住み,狩 り中心の生活→近年は定住化が進む。 短い夏にこけが育つツンドラが広がる。 赤道が通る場所を確認する。アフリカではギニア湾,アジアで はインドネシア,南アメリカではエクアドル(国名はスペイン 語で「赤道」の意味),ブラジルのアマゾン川河口付近を通る。 ⑶ 世界の国々 ・国境の決め方 自然物を利用…スウェーデンとノルウェー→山脈 アメリカとメキシコ→河川 緯線・経線を利用…アフリカ大陸に直線の国境が多い。 ヨーロッパ諸国の植民地支配のなごり。 ⑷ 人々の生活と環境 ・寒帯…定住化が進んだ現在はスノーモービルで狩り。 ・冷帯…シベリアのタイガの下には永久凍土がある。 ・温帯…大陸西岸は,暖流と偏西風の影響で同緯度の大陸東岸 の地域よりも温暖になっている。 ・熱帯…赤道周辺に熱帯雨林気候が広がり,それをとりまくよ うにサバナ気候が広がる。 ・冷帯…夏と冬の気温の差が大きい。シベリアには針葉樹の森 ・乾燥帯…世界最大のさばくであるサハラさばくの南に接する サヘルでは遊牧が行われる→近年,さばく化が進む。 林タイガが広がる。 ・温帯…四季の変化がはっきりしている。 温帯 (温暖)湿潤気候…季節風(モンスーン)の影響 西岸海洋性気候…偏西風の影響 地中海性気候…夏は乾燥,冬に降雨 ・熱帯…一年じゅう気温が高い。一年じゅう雨が多い地域に熱 帯雨林,雨季と乾季がある地域に草原(サバナ)。 ・乾燥帯…一年を通してほとんど雨が降らない地域にさばく→ オアシスで農業。 少量の雨が降る地域に草原(ステップ)→遊牧 ・高地…アンデス山脈など ⑸ 人々の生活と宗教 ・仏教…アジア。釈迦が開く。経典は経。 ・キリスト教…ヨーロッパ,南北アメリカ,オセアニアなど。 イエス=キリストが開く。経典は聖書。 ・イスラム教…西アジア,北アフリカなど。ムハンマドが開く。 経典はコーラン。 ・ヒンドゥー教…インドの民族宗教。 2 世界の諸地域 ⑴ アジア…世界の約 6 割の人口。中国で一人っ子政策。 ・産業…中国沿岸部に経済特区 (経済特別区)。インドで情報技 術産業,自動車工業。西アジアで石油の産出。 ⑵ アフリカ…かつてヨーロッパ諸国の植民地。 ・産業…カカオなどプランテーション農業,レアメタルの産出 ⑶ ヨーロッパ…EU (ヨーロッパ連合),共通通貨ユーロ ・農業…地中海式農業,混合農業,酪農 ⑷ 北アメリカ…アメリカでヒスパニックが増加。 ・産業…大規模な農業,適地適作。サンベルトでハイテク産業 ⑸ 南アメリカ…アマゾン川流域で焼畑農業。パンパで牧畜。ブ ラジルでバイオエタノール (バイオ燃料)の生産。 ⑹ オセアニア…オーストラリアにアボリジニ,ニュージーラン ドにマオリ。多文化社会。 ・高地…アンデス山脈ではインディオの人々がリャマやアルパ カといった家畜を飼育。 ⑸ 人々の生活と宗教 ・イスラム教…1日 5 回聖地のメッカに向かって礼拝。金曜日 にモスクでいのりをささげる。イスラム暦の 9 月(ラマダン)に断食。豚肉,酒は禁止。 ・ヒンドゥー教…牛は神聖な生き物。 2 世界の諸地域 ⑴ アジア ・ASEAN(東南アジア諸国連合) …東南アジア諸国が地域協力のために結成。 ・NIES(新興工業経済地域) … 1970 年代以降,急速に工業化。韓国,台湾,ホンコン, シンガポール ・OPEC(石油輸出国機構) …サウジアラビアやアラブ首長国連邦など産油国が結成 ⑶ ヨーロッパ ・EU … 1967 年にEEC(ヨーロッパ経済共同体),EURATO M(ヨーロッパ原子力共同体),ECSC(ヨーロッパ石炭 鉄鋼共同体)の3つの組織が合併してEC(ヨーロッパ共同 体)が結成され,1993 年に発効したマーストリヒト条約に よりEUとなった。 ⑸ 南アメリカ ・焼畑農業 …森林や草原を焼き払い灰を肥料として作物を栽培。数年た つと,場所を移動して焼畑を行う。移動をくりかえすうち に焼畑を行った場所は再び草原や森林となる。 ・バイオエタノール …とうもろこしなど植物からつくられるアルコール燃料。 ⑹ オセアニア ・オーストラリアでかつて白人以外の移民を制限する白豪主義。 必修新演習 夏期テキスト 社会中2並 指導のポイント 2 日本のすがた,世界から見た自然・人口 ◆指導ページ P.6 ~ 9 ◆ 【指導のねらい】 ★世界から見た日本の位置と領域を理解させる。 ★標準時や時差の計算方法を理解させる。 ★世界と日本の地形や気候,人口問題を理解させる。 重要事項の確認 1 日本のすがた ⑴ 国土の位置 ・オーストラリアの北,ユーラシア大陸の東 ⑵ 日本列島 ・最南端…沖ノ鳥島,護岸工事 ・最北端…択捉島,ロシアと北方領土問題 補足知識・留意事項など 1 日本のすがた ⑴ 国土の位置…日本はヨーロッパから見て東のはしにあるこ とから極東とよばれる。 ⑵ 日本列島 ・北方領土…歯舞群島,色丹島,国後島,択捉島 ⑶ 国土 ・最西端…与那国島 ・領土をめぐる問題…韓国と竹島,中国と尖閣諸島 ・最東端…南鳥島 ・経済水域…干潮時の海岸線から 200 海里以内で,沿岸国に ⑶ 国土 ・領土・領海(12 海里)・領空 ・経済水域… 200 海里,沿岸国は水産資源・鉱産資源を利用で きる。 ⑷ 標準時と時差 この水域内の水産資源や鉱産資源を利用する権 利が認められている。 ⑷ 標準時と時差 ・時差…地球は 24 時間で1回転することから,経度 15 度に つき1時間の時差が生じる。例題を出しながら,確認する ・標準時…日本の標準時子午線は東経 135 度(兵庫県明石市) とよい。 ・時差…経度 15 度につき1時間,2地点間の経度の差÷ 15 例1)東京が午後 10 時のとき,ロンドンは何時か。 ⑸ 地方区分 ・47 都道府県。北海道,東北,関東,中部,近畿,中国・四国, 九州。 (135 -0)÷ 15 = 9(時間) ロンドンは東京より西 にあるので,9 時間遅らせる→午後1時。 例2)カイロ(東経 30 度)が午前 10 時のとき東京は何時か。 (135 - 30)÷ 15 = 7(時間) 東京はカイロより東に 2 自然と人口 ⑴ 造山帯…アルプス・ヒマラヤ造山帯と環太平洋造山帯 あるので時刻を7時間進める→日本の時刻は午後 5 時 (17 時)。 ⑵ 自然災害…火山の噴火,地震による津波,集中豪雨による洪水, 冷害,干ばつ ● ロンドン ⑶ 日本列島…国土の約4分の3が山地。環太平洋造山帯に属する。 カイロ ● 135−30=105度 ⑷ 地形 ・リアス海岸…出入りの激しい海岸,三陸海岸など 0° ・河川がつくる地形…扇状地 (山地→平地に出るところ) 三角州 (河口付近) ⑸ 海流 135−0=135度 30° ● 東京 ● 135° 2 自然と人口 ⑵ 自然災害 ・太平洋側 暖流…日本海流 (黒潮) ・冷害…東北地方の太平洋側では,夏に寒流の千島海流(親 寒流…千島海流 (親潮) 潮)の上を吹いてくる北東風であるやませの影響で ・日本海側 暖流…対馬海流 気温が上がらず冷害となることがある。 寒流…リマン海流 ⑹ 気候 ・世界…熱帯,乾燥帯,温帯,冷帯,寒帯。 ・日本…大部分は温帯。季節風 (モンスーン)の影響。 ⑷ 地形 ・リアス海岸 …三陸海岸,志摩半島,若狭湾などに見られる。山地の谷 だった部分に海水が入りこんでできた複雑な海岸地形。 北海道…冬の寒さが厳しい。 ・扇状地…水はけがよく,果樹園などに利用される。 日本海側…冬に降水量が多い。 ・三角州…水もちがよく,水田などに利用される。 太平洋側…夏に降水量が多い。 中央高地…降水量が少なく冷涼。 ⑸ 海流 …暖流の日本海流(黒潮)と寒流の千島海流(親潮)がぶつか 瀬戸内…降水量が少なく温暖。 る潮目となっている三陸沖は魚のえさとなるプランクト 南西諸島…年中,比較的高温。 ンが豊富でよい漁場となっている。 ⑺ 人口 ・世界…アジア,アフリカの発展途上国などで人口爆発。 ・日本…少子高齢社会,三大都市圏で過密,農村部で過疎。 ⑺ 人口 ・日本の人口 …東京・大阪・名古屋の三大都市圏に集中している。この 地域の過密とは対照的に,農山村などでは,著しく人口 が減少して社会生活が不便になる過疎に悩まされている。 ・日本の人口ピラミッド …富士山型→つりがね型→つぼ型へと変化。 必修新演習 夏期テキスト 社会中2並 指導のポイント 3 世界から見た資源・産業,世界との結びつき ◆指導ページ P.10 ~ 13 ◆ 【指導のねらい】 ★日本の資源・エネルギ−問題を理解させる。 ★産業の特色を理解させる。 ★日本の交通網,貿易の発達について理解させる。 重要事項の確認 1 世界から見た資源・産業 ⑴ 資源 ・石油…ペルシャ湾岸,カスピ海沿岸など ・石炭…世界各地で産出 ⑵ エネルギ− ・日本の電力…水力,火力,原子力 太陽光,風力など再生可能エネルギーの利用。 ⑶ 農業 補足知識・留意事項など 1 世界から見た資源・産業 ⑴ 資源 ・おもな資源の輸入先(2011 年) 石油…サウジアラビア,アラブ首長国連邦,カタール 石炭…オーストラリア,インドネシア,カナダ 鉄鉱石…オーストラリア,ブラジル,南アフリカ共和国 ⑵ エネルギ− ・発電所の立地 ・規模…北海道をのぞき規模が小さい,生産性は高い。 水力発電所…内陸部の山地 ・稲作…平野部中心 火力発電所…原料の輸入に便利で,電力需要の多い大都市に ・近郊農業…大都市周辺で,野菜,牛乳などを生産。 ・施設園芸農業…ビニールハウスなどを利用。 ・促成栽培…出荷時期を早める栽培方法。 ・抑制栽培…出荷時期を遅らせる栽培方法。 ・課題…低い食料自給率,後継者不足。 ⑷ 漁業 ・経済水域設定→遠洋漁業衰退→育てる漁業へ ・養殖漁業…魚や貝などを人工的に大きくなるまで育てる漁業。 ・栽培漁業…たまごからふ化させた稚魚を海や川に放流して大 きくなってからとる漁業。 ⑸ 林業 ・林業従事者の高齢化,安い輸入木材を輸入。 ⑹ 工業 ・太平洋ベルトを中心に工業地域が形成。交通網の整備→内陸 部の空港・高速道路沿いに工業団地。 ⑺ 商業・サービス業 ・商業…卸売業と小売業からなる。働く人は減少。 ・サービス業…情報サービス業などで働く人が増加。 2 世界との結びつき ⑴ 輸送 ・海上輸送…機械類など大型で重いもの ・航空輸送…ICなど小型で軽いもの ⑵ 通信 ・海底ケーブルや通信衛星→インターネット,国際電話の普及 ⑶ 交通 ・地球規模で航空交通網,海上交通網の整備→移動にかかる時 間が短縮。 ⑷ 貿易 ・日本の貿易…加工貿易 (原材料を輸入,製品を輸出)→近年, 機械類の輸入増。 ・世界貿易機関 (WTO)…貿易摩擦などの課題を話し合う。 近い臨海部 原子力発電所…人口の密集地から離れた海岸部 ・日本の発電は火力が中心。原子力発電の安全性などに対する 問題から太陽光や風力など再生可能エネルギ−への期待が高 まっている。 ⑶ 農業 ・果樹栽培…扇状地や台地などでさかん。東日本でりんご,西 日本でみかん,中央高地でぶどう。 ・畜産…北海道や九州で大規模経営。 ⑸ 林業 ・日本の木材の輸入先(2011 年) …カナダ,アメリカ,ロシア ⑹ 工業 ・臨海部では,鉄鋼業・石油化学工業などが発達し,内陸部で は,交通網の発達により,ICや機械工業などが発達してい る。 ・かつて,京浜,中京,阪神,北九州の4つの地域を四大工業 地帯としていたが,北九州の地位が低下したため,京浜,中 京,阪神が三大工業地帯となっている。 ⑺ 商業・サービス業 ・産業の分類 第一次産業…農業,漁業,林業 第二次産業…鉱業,建設業,製造業など 第三次産業…商業,金融業,サービス業など 2 世界との結びつき ⑷ 貿易 ・日本の貿易 …かつて,欧米諸国と貿易摩擦→欧米諸国で現地生産。近年 は賃金の安いアジアへ進出。安い外国製品の輸入が増加。 必修新演習 夏期テキスト 社会中2並 指導のポイント 古代・中世の日本 4 ◆指導ページ P.14 ~ 17 ◆ 【指導のねらい】 ★古代の日本の重要事項を理解させる。 ★中世の日本の重要事項を理解させる。 重要事項の確認 1 古代の日本 ⑴ 文明のおこり ・エジプト文明 (ナイル川)…象形文字・太陽暦 補足知識・留意事項など 1 古代の日本 ⑴ 文明のおこり ・エジプト文明とメソポタミア文明のおこった地域は,ヨー ・メソポタミア文明 (チグリス川・ユーフラテス川) ロッパから見て「太陽の昇る土地」という意味でオリエント …くさび形文字・ハンムラビ法典 とよばれた。 ・インダス文明 (インダス川)…モヘンジョ・ダロ ・中国 殷…黄河流域,甲骨文字 周…後半(春秋・戦国時代)に孔子が儒教 秦…始皇帝が中国統一,万里の長城,兵馬俑 漢…シルクロード (絹の道)でローマ帝国と交易 ⑵ 旧石器時代…打製石器,狩りや採集の生活 ⑶ 縄文時代…縄文土器,貝塚,土偶,三内丸山遺跡(青森県) ⑷ 弥生時代 ・稲作・金属器 (鉄器・青銅器)の伝来,吉野ヶ里遺跡(佐賀県) ・小国の分立 紀元前後…倭に 100 あまりの国 1 世紀…奴国が漢から金印(漢委奴国王) 3 世紀…邪馬台国の卑弥呼が魏に使い ⑸ 大和政権 (ヤマト王権) ・中国には多くの王朝があるが,教科書に出てくる王朝は年代 順に覚えさせる。中国の古代王朝について説明する際は,当 時の日本のようすについてもふれておくとよい。殷のころの 日本は縄文時代。周の後半の春秋・戦国時代に日本に稲作が 伝わった。漢の光武帝は日本の奴国に金印を授けた。三国時 代には,日本の邪馬台国の女王卑弥呼が魏に使いを送った。 ⑵ 旧石器時代 ・日本では,1949 年に相沢忠洋が赤土の地層(関東ローム層) から打製石器を発見したことがきっかけとなって岩宿遺跡が 発掘され,日本にも旧石器時代があったことが証明された。 ⑷ 弥生時代 …大陸から稲作が伝わると,人々は定住するようになり,むら がつくられるようになった。むらどうしが争いをくり返すな ・大王中心に豪族が連合政権 かで,有力なむらがまわりのむらを従え国がつくられるよう ・古墳文化…前方後円墳,古墳のまわりにはにわ になった。 ・大陸との関係…渡来人が文化・技術を伝える ⑹ 飛鳥時代 ・聖徳太子…十七条の憲法,冠位十二階,遣隋使(小野妹子) ・大化の改新 中大兄皇子・中臣鎌足ら→蘇我氏打倒 ・壬申の乱 天智天皇の死後,皇位争い→天武天皇即位 ・大宝律令 (701 年)…班田収授法,租・庸・調 ⑺ 奈良時代 ・平城京… 710 年,唐の都長安にならう ・聖武天皇の政治 東大寺・国分寺の建立,天平文化 ・墾田永年私財法 743 年,新たに開墾した土地の永久私有を 認める→私有地(荘園)の発生 ⑻ 平安時代 ⑸ 大和政権(ヤマト王権) …中国や朝鮮半島からやって来た渡来人は,漢字,儒教,土木 工事の技術,鍛冶,養蚕などを伝えた。 ⑹ 飛鳥時代 ・飛鳥文化 法隆寺…聖徳太子,現存する最古の木造建築物 ⑺ 奈良時代 ・天平文化 建築…東大寺正倉院(聖武天皇の愛用品など) 歌集…万葉集 歴史書…古事記・日本書紀 ⑻ 平安時代 ・国風文化…かな文字→紫式部『源氏物語』 清少納言『枕草子』 ・建築…寝殿造(貴族の邸宅) ・平安京… 794 年,桓武天皇が都を京都に移す ・浄土信仰…念仏をとなえ阿弥陀仏にすがる→極楽浄土 ・東北平定のため坂上田村麻呂が征夷大将軍に任命される 平等院鳳凰堂,中尊寺金色堂 ・摂関政治…藤原道長・頼通のとき全盛,国風文化 ・院政…白河上皇 ・平清盛…太政大臣,日宋貿易(兵庫の港) 2 中世の日本 ⑴ 鎌倉時代 ・源頼朝が征夷大将軍 (1192 年)→北条氏の執権政治 ・承久の乱…後鳥羽上皇が挙兵→六波羅探題を設置 ・御成敗式目 (貞永式目)…北条泰時 ・元寇…文永・弘安の役(1274・1281 年) ・御家人の窮乏→徳政令→鎌倉幕府の衰退 ⑵ 室町時代 ・建武の新政 (後醍醐天皇)→足利尊氏 (幕府を開く) ・足利義満…勘合貿易 ・応仁の乱…将軍足利義政,守護大名の相続争い→下剋上 ・社会のようす 惣 (自治組織)→寄合で村のおきてをきめる 農業…二毛作の広まり 商工業の発達…座,土倉・酒屋,問・馬借 ・一揆…正長の土一揆,山城国一揆,加賀の一向一揆 2 中世の日本 ⑴ 鎌倉時代 ・鎌倉文化 文学…平家物語(琵琶法師),徒然草,方丈記 建築…東大寺南大門,彫刻…金剛力士像 ・仏教…浄土宗(法然),浄土真宗(親鸞),時宗(一遍) 日蓮宗(日蓮),禅宗(栄西,道元) ⑵ 室町時代 ・室町文化 文学…お伽草子,美術…水墨画(雪舟) 建築…金閣(足利義満),銀閣(足利義政,書院造) その他…能楽(観阿弥・世阿弥),狂言,茶の湯 必修新演習 夏期テキスト 社会中2並 指導のポイント ヨーロッパとの出会いと天下統一 5 ◆指導ページ P.18 ~ 21 ◆ 【指導のねらい】 ★中世ヨーロッパ世界の重要事項を理解する。 ★織田信長,豊臣秀吉の政治を理解する。 重要事項の確認 1 ヨーロッパとの出会い ⑴ キリスト教世界 ・カトリック教会…ローマ教皇中心に勢力,西ヨーロッパ諸 国と結ぶ。 ・イスラム勢力…地中海から東南アジアにいたる勢力 ・十字軍…イスラム勢力がキリスト教聖地エルサレムを占領。 ↓ ローマ教皇の呼びかけで十字軍が遠征したが失敗。 ↓ イタリア商人とイスラム商人の貿易が進む。 ・ルネサンス (文芸復興)…古代ローマやギリシャの文化を見 直す動き ・宗教改革…ルターやカルバンがローマ教皇の免罪符販売を 批判→プロテスタント カトリック教会→イエズス会を結成 ⑵ 新航路の開拓 ・コロンブス…西インド諸島に到達 ・バスコ=ダ=ガマ…インドに到達 ・マゼラン船隊…世界一周 ⑶ ヨーロッパとの出会い ・鉄砲伝来…ポルトガル人が種子島に伝える。 ・キリスト教伝来…宣教師ザビエルが来日。 ・南蛮貿易…ポルトガル人,スペイン人との貿易 銀を輸出,生糸や絹織物などを輸入 2 天下統一 ⑴ 織田信長 補足知識・留意事項など 1 ヨーロッパとの出会い ⑴ キリスト教世界 ・ルネサンス …早くからイスラム文化と接したイタリアの都市から始まっ た。この時期には,火薬や羅針盤が実用化,活版印刷術が 発明された。 美術ではレオナルド=ダ=ビンチ,ミケランジェロら,科 学ではコペルニクス,ガリレオ=ガリレイなどが活躍した。 ・宗教改革 プロテスタント…抗議する人という意味。 イエズス会…ロヨラがつくった組織で,カトリック教会の改 革の中心となり,アジアなど海外布教に力を入 れた。日本にキリスト教を伝えたザビエルもイ エズス会の宣教師。 ⑵ 新航路の開拓 ・マゼラン船隊 …マゼランはスペインを出航したが,航海の途中,フィリピ ンで原住民に殺された。その後は部下が航海を続け無事に スペインに帰った。 ⑶ ヨーロッパとの出会い …ヨーロッパ人が日本に来航した背景として,15 世紀末から の新航路の発見と,16 世紀の宗教改革がある。新航路の発 見により,海路によるアジア・アメリカへのルートが確立さ れた。また,宗教改革により,カトリック側はアジア・アフ リカでの布教に力を入れるようになった。 2 天下統一 ⑵ 豊臣秀吉 ・桶狭間の戦い…今川義元を破る。 ・桃山文化 建物…安土城,大阪城 ・室町幕府を滅ぼす…足利義昭を京都から追放。 美術…ふすま絵(狩野永徳・山楽) ・長篠の戦い…織田・徳川連合軍が武田軍を破る。 茶の湯…千利休がわび茶を完成 ・本能寺の変…明智光秀にそむかれ自害。 ・楽市・楽座…商工業の発展のため,市の税を免除し,座を 廃止。 ・キリスト教…仏教勢力をおさえるために保護。 ⑵ 豊臣秀吉 ・天下統一…明智光秀をたおす→ 1590 年に全国統一 ・政策 太閤検地…全国の田畑を調査→収穫量を石高で表す。 刀狩…農民から武器を取り上げる。 ↓ 兵農分離…武士と農民の身分を区別する。 ・キリスト教…宣教師を追放。 ・朝鮮侵略…明を征服するため2度にわたって出兵。 かぶき踊り…出雲の阿国が始める ・政策…秀吉は,検地と刀狩によって農民の身分を確定し,兵 農分離を進めた。太閤検地によって,古代からの荘園 がなくなった。 ・朝鮮出兵… 2 度目の出兵の際に秀吉が病死したことから全軍 を朝鮮から引き上げた。 このころ来日した多くの陶工が日本に陶磁器づく りを伝えた。 必修新演習 夏期テキスト 社会中2並 指導のポイント 江戸幕府の成立と鎖国 6 ◆指導ページ P.22 ~ 25 ◆ 【指導のねらい】 ★江戸幕府のしくみや人々の身分を理解する。 ★江戸幕府の外交政策を理解する。 重要事項の確認 1 江戸幕府の成立 ⑴ 江戸幕府の成立 ・関ヶ原の戦い… 1600 年,徳川家康が石田三成らに勝利。 → 1603 年,征夷大将軍となり幕府を開く ・大阪の陣…大阪冬の陣(1614 年),大阪夏の陣(1615 年)で豊臣氏を ほろぼす。 ⑵ 幕藩体制の確立 ・幕藩体制…幕府と藩が全国の土地と人民を支配。 補足知識・留意事項など 1 江戸幕府の成立 ⑵ 幕藩体制の確立 ・幕藩体制 …幕府の直轄地は約 400 万石で,家臣の領地を合わせ ると全国の約4分の1の土地を支配していたことに なる。 ・大名の配置 …江戸のまわりや重要な地域には親藩や譜代大名を配 ・大名…1万石以上の領地をあたえられた者 置し,東北や九州など江戸から離れた地域には外様 親藩:徳川一門 大名と譜代大名を組み合わせて配置した。 { 譜代大名:古くからの家臣 外様大名:関ヶ原の戦い前後からの家臣 ・武家諸法度…大名統制 ・参勤交代…大名が1年おきに江戸と領地を往復。 3代将軍徳川家光が制度化。 ⑶ さまざまな身分 ・武士…名字・帯刀の特権 ・百姓…本百姓 (土地を持つ)と水のみ百姓(土地を持たない) 村役人(名主・組頭・百姓代)が村の自治。 ・武家諸法度 …大名を統制するために徳川家康の命令で2代将軍徳 川秀忠が制定。 ⑶ さまざまな身分 ・百姓…人口の約 85%を占めた。3代将軍徳川家光の ころに百姓に生活の心得を示すために慶安の御触書が 出された。 ・えた・ひにん …えたは農業を行い年貢を納めたが,死んだ牛馬の処 五人組で犯罪防止や年貢納入の連帯責任を負わせる。 理や皮革の製造などを行った。また,犯罪者の逮捕 ・町人…商人,職人。幕府や藩に営業税。 や牢番なども行った。ひにんは役人の下働きや芸能 ・えた・ひにん…ほかの身分から差別。 などに従事した。えたもひにんもほかの身分の人々 から差別され,住む場所や職業なども制限された。 2 鎖国 ⑴ 朱印船貿易…徳川家康が貿易のために朱印状を発行。 京都,大阪,福岡などの商人や大名が朱印船貿易。 ↓ 東南アジア各地に日本人居住地として日本町 ⑵ キリスト教の禁止 ・鎖国までの流れ 1612 年 禁教令が出される 1624 年 スペイン船の来航禁止 1635 年 日本人の海外渡航・帰国を禁止 2 鎖国 ⑴ 朱印船貿易 ・海外へ渡航した日本人のなかにはシャム(タイ)国王に 重く用いられた山田長政のような人物もいた。 山田長政は,シャムのアユタヤの日本人町にわたって, 日本人町の指導者となり,後にシャムの役人になった。 しかし,王室の内紛に巻きこまれて毒殺された。 ⑵ キリスト教の禁止 ・徳川家康は当初,貿易の利益のためにキリスト教を容 1637 年 島原・天草一揆 認していたが,そのためにキリスト教徒が増えたこと 1639 年 ポルトガル船の来航禁止 やキリスト教の教えが幕府の考えに反していたこと, 1641 年 オランダ商館を出島に移す→鎖国 スペインやポルトガルよりあとに日本との貿易に参加 ・キリスト教徒発見…絵踏,宗門改め ⑶ 鎖国下の対外関係 ・中国…長崎に唐人屋敷,唐船風説書 ・オランダ…長崎の出島に商館,オランダ風説書 ・朝鮮…国交回復,将軍の代替わりごとに江戸に朝鮮通信使 したオランダがスペインやポルトガルが布教によって 日本の領土をうばう野心があることを幕府に告げたこ となどから,禁教を強化するようになった。 ・キリスト教徒の発見 …幕府は宗門改めによって寺院にキリスト教徒でない ・琉球王国…薩摩藩に征服,江戸に琉球使節 ことを証明させ,キリスト教徒を発見するために, ・蝦夷地…松前藩がアイヌとの交易を独占。 キリストやマリアの絵を踏ませる絵踏を行った。 アイヌに不利な交易にシャクシャインが蜂起。 ⑶ 鎖国下の対外関係 ・出島…長崎港内を埋め立ててつくられた人工島。当初 はポルトガル人が置かれたが,ポルトガル船の 来航が 1639 年に禁止されると,1641 年にはオ ランダ人が移された。 必修新演習 夏期テキスト 社会中2並 指導のポイント 江戸時代の産業と幕政改革 7 ◆指導ページ P.26 ~ 29 ◆ 【指導のねらい】 ★江戸時代の産業や文化について理解する。 ★江戸時代の政治の動き,幕政改革について理解する。 重要事項の確認 1 江戸時代の産業 ⑴ 産業 ・農業…新田開発,農具の改良,商品作物の栽培 補足知識・留意事項など 1 江戸時代の産業 ⑴ 産業 ・農具の改良 ・漁業…九十九里でいわし漁,紀伊・土佐で捕鯨やかつお漁 備中ぐわ…深く耕すことができる ・鉱業…採掘,製錬技術の進歩 千歯こき…脱穀の道具 ・商業…商人は株仲間を結成,営業を独占 ⑵ 交通…五街道の整備 ⑶ 都市 ・江戸…将軍のおひざもと ・大阪…天下の台所,諸藩の蔵屋敷が置かれる。 ・京都…文化の中心 ⑷ 江戸時代の文化 ・元禄文化…上方(京都,大阪)中心 浮世草子(小説)…井原西鶴 人形浄瑠璃…近松門左衛門 俳諧…松尾芭蕉 装飾画…俵屋宗達,尾形光琳 浮世絵…菱川師宣 ・化政文化…江戸中心 小説…十返舎一九,滝沢馬琴 浮世絵…葛飾北斎,歌川広重,喜多川歌麿 川柳,狂歌…幕政批判,皮肉 俳句…与謝蕪村 ・学問 国学…本居宣長が「古事記伝」を著し国学を大成。 蘭学…杉田玄白らが「解体新書」を出版。 伊能忠敬が正確な日本地図を作製。 寺子屋…庶民の教育機関,「読み・書き・そろばん」 藩校…諸藩の教育機関 2 幕政改革 ⑴ 徳川綱吉の政治…儒学の奨励,生類憐みの令 ⑵ 新井白石の政治…長崎での貿易の制限 ⑶ 享保の改革… 8 代将軍徳川吉宗 公事方御定書…裁判の基準 目安箱の設置…庶民の意見を取り入れる。 上米の制…江戸にいる期間を短縮→米を献上させる。 ⑷ 田沼意次の政治…株仲間の結成を奨励,長崎での貿易を拡大。 ⑸ 寛政の改革…老中松平定信 旗本や御家人の借金を帳消し 農村に米をたくわえさせる 朱子学以外の学問を禁止 ⑹ 天保の改革…老中水野忠邦 株仲間を解散 江戸・大阪周辺の農村を幕領に→失敗 ⑺ 社会の変化 ・貨幣経済の広がり ・工業…問屋制家内工業→工場制手工業 (マニュファクチュア) ・民衆の抵抗…農村で百姓一揆,都市で打ちこわし ・大塩の乱…元役人の大塩平八郎を民衆を救うために蜂起 ⑻ 外国船の接近 ・19 世紀,ロシアやイギリス船などが日本沿岸にあらわれる →異国船 (外国船) 打払令 ・株仲間 …同業者ごとにつくられた組合で,幕府や藩に冥加金と よばれる税を払い,独占的な営業が認められた。新し い加入者を制限したり,価格をつり上げるなど自由な 商業の妨げになることもあった。 ⑵ 交通 ・五街道 …江戸を中心として,東海道(江戸〜京都),中山道(江 戸〜京都),奥州道中(江戸〜白河),日光道中(江戸〜 日光),甲州道中(江戸〜甲府)の5つの街道が整備さ れ,宿場が設けられた。また,箱根など街道の要所に は関所が設けられた。 ・海上交通 …江戸と大阪間でしょう油などを運ぶ菱垣廻船,酒を運 ぶ樽廻船が整備された。また,東北地方の米などを日 本海側をまわって大阪に運ぶ西廻り航路,太平洋側を まわって江戸に運ぶ東廻り航路が整備された。 ⑷ 江戸時代の文化 ・蘭学…杉田玄白,前野良沢が人体の解剖をした際にその 説明を行ったのは差別された身分の人々だった。杉田玄 白らはオランダの解剖書「ターヘル・アナトミア」を翻 訳して「解体新書」を出版した。 2 幕政改革 ⑴ 徳川綱吉の政治 …綱吉が政治を行っていたころには,上方を中心にはなや かな元禄文化が栄えた。 ⑺ 社会の変化 ・問屋制家内工業 …問屋が製品をつくるのに必要な原料や道具を農民に貸 し出し,出来上がった製品を安く買い取る。 ・工場制手工業 …問屋や地主が道具を備えた工場をつくり,農民らをや とって工場で製品をつくらせる。 ⑻ 外国船の接近 ・異国船(外国船)打払令 …外国船が入港した場合には打ち払ってもよいとしたが, 1840 年におこったアヘン戦争で清がイギリスにやぶ れたことをきっかけに,幕府は寄港した外国船にまき や水をあたえるようにした。
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