発展新演習 冬期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 式の計算 1 【指導のねらい】 ★多項式どうしの加減法ができるようにする。 ★単項式の乗除ができるようにし,乗除の混合計算の約分が効率よくできるようにする。 ★文字式に,数値を代入し,式の値を求められるようにする。 はじめに 〈導入〉 この課では,多項式の加減や単項式 の乗除,式の値を学習する。文字式の 四則演算は基本中の基本なので,しっ かりと定着させておきたいところであ る。とくに,複雑な式を取り扱うこと になるので,基本通りに正確に素早く 計算できるようにしたい。累乗も指数 が大きくなるため十分に演習を重ねる ことが望まれる。等式の変形は,1 次 方程式と同じ解き方をすればよいのだ が,文字になることで項の区別ができ なくなってしまう。これも十分に特訓 させたい。 ◆指導ページ P.2 ~ 5 ◆ 学習内容・補足事項など 例題 1 加法と減法 A1,A2,B1 次の計算をしなさい。 ⑵ 2(3x - y)- 3(x - 2y) 分配法則 = 6x - 2y - 3x + 6y 同類項をまとめる = 3x + 4y 減法においてかっこをはずすときには注意。符号の変換を忘れることが多い。 b ⑶ 2a 4+ b - a - 6 通分→大きい分数にする = 3(2a + b)- 2(a - b) 12 分配法則 6a + 3b - 2a + 2b = 12 同類項をまとめる 4a + 5b = 12 通分せずに分母をはらってしまうことが多い。等式でない限り分母は払えないので注意し たい。 〈要点〉 例題 1 例題 2 乗法と除法 加法と減法 次の計算をしなさい。 ⑵ 1 ab ÷ 3 a 2 4 ab 4 = 2 × 3a 2 = 3 b ・同類項…文字の部分が同じである項 ・分配法則… a (b + c)= ab + ac 例題 2 乗法と除法 ・係数どうしの積と文字どうしの積を かける (文字はアルファベット順) ・同じ文字の積…指数を使う ・累乗の指数…かけられている個数 ・単項式の除法 A ①A÷B=B 1 ②A÷B=A×B ③A÷C=A×B B C ・乗法と除法の混じった計算→わる式 を逆数にしてかける(乗法だけの式 に直す。 ) 例題 3 式の値 ①式の計算をする。 ②負の数は,かっこをつけて代入する。 例題 4 等式の変形 A3,B2 除法を乗法へ 分数のわり算は逆数のかけ算に直す。 ⑶ 18xy ÷ 3x ×(- 2y) =- 18xy × 2y 3x =- 12y2 除法を乗法へ→大きい分数にする 約分→残りをかけ合わせる 乗除混合の計算は分数形に直してから計算する。約分ミスが多いので丁寧に計算したい。 例題 3 式の値 A4,B3,B4 x = 3,y =- 2 のとき,8x2y ÷ 2xy2 の値を求めなさい。 8x2y ÷ 2xy2 8x2y = 2xy2 = 4x y 4 = × 3 -2 =- 6 約分 ここで代入 いきなり代入しても解けるが,式を簡単にしてから代入することを徹底したい。 例題 4 等式の変形 A5,B5 等式 y = 3x + 6 を,x について解きなさい。 ・y について解く… y =~の形にする。 y = 3x + 6 x + y = 4 3x + 6 = y y =- x + 4 3x = y - 6 y y x = - 6 = 3 3-2 移項なのか,両辺を割るのか,の区別をしっかりとできるようにしたい。 ( ) 発展新演習 冬期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 連立方程式 2 ◆指導ページ P.6 ~ 9 ◆ 【指導のねらい】 ★連立方程式を加減法及び代入法で解くことを身に付ける。 ★かっこを含んだり,係数が分数や小数の連立方程式も解けるようにする。 ★様々な数量関係を表現できるようにする。 はじめに 〈導入〉 この課では,2 元 1 次方程式の解法 を学び,それを利用して未知数量を求 めることを学習する。数式それぞれを 計算し,加減法,代入法を用いて解を 求める。演習問題をある程度こなして, 習熟させてしまうことが重要である。 また,連立方程式の利用で扱う数量 は,小学校から登場している速さや割 合などである。苦手とする生徒もいる ため,適宜補足しながら進めていくの が望ましい。解を求め,題意に適合す るか吟味する。この方針は中学 3 年で 登場する 2 次方程式でも,同様である。 〈要点〉 例題 1 連立方程式の解き方 ・加減法…片方の文字の係数の絶対値 学習内容・補足事項など 例題 1 連立方程式の解き方 A1 次の連立方程式を解きなさい。 2x + 3y = 9 …① ⑴ 3x - 4y = 5 …② 加減法を用いて解くと,①× 3 -②× 2 で x を消去 9y + 8y = 27 - 10,y = 1 これを①に代入すると, 2x + 3 = 9,x = 3 x = 3,y = 1 加減法はしっかりと板書して解説をしておく。筆算の際に符号ミスが多いので注意する。 y = 3x - 5 …① ⑵ 2x + 3y = 7 …② 代入法を用いて解くと,①を②に代入して 2x + 3(3x - 5)= 7 2x + 9x - 15 = 7 11x = 22,x = 2 これを①に代入すると, y = 6 - 5 = 1 x = 2,y = 1 多項式を代入するので,かっこを必ずつけるように指示する。 をそろえ,2 式で加減を行い文字を 消去する方法。 ・代入法…片方の式を 1 つの文字につ いてとき,その値をもう片方の式に 代入することで文字を 1 つ消去する 方法。 例題 2 いろいろな連立方程式 A2,B1 次の連立方程式を解きなさい。 x - y = 3 …① 3 ⑵ 2 0.1x - 0.3y = 1.3 …② ①× 6 より,3x - 2y = 18 …③ ②× 10 より,x - 3y = 13 …④ 例題 2 ③-④× 3 より,- 2y + 9y = 18 - 39,7y =- 21,y =- 3 いろいろな連立方程式 これを④に代入すると, ・分配法則… a (b + c)= ab + ac x + 9 = 13,x = 4 x = 4,y =- 3 ・係数が分数⇒分母の最小公倍数をか ける (分母をはらう) 分母をはらったり,小数を整数にしたりするとき,もともと整数になっている項にも値を かけることを忘れずに。 ・係数が小数⇒両辺を 10,100 …倍な どして,整数のみにする。 ・A = B = C ⇒ A = B,B = C,A = C のうちどれか 2 つで連立方程式を解く。 例題 3 連立方程式の利用⑴ ・ (速さ) = (道のり)÷(時間) ・ (道のり) = (速さ)×(時間) ・ (時間) = (道のり)÷(速さ) 例題 3 連立方程式の利用⑴ A5,B2 A 町から B 町を通って C 町まで 17 km の道のりを歩いた。A 町から B 町までは時速 4 km, B 町から C 町までは時速 5 km で歩き,全体でちょうと 4 時間かかった。A 町から B 町ま でと,B 町から C 町までの道のりをそれぞれ求めなさい。 求めたいものを x,y とする→ AB 間の道のり… x km,BC 間の道のり… y km 道のりについて,x + y = 17 …① y かかった時間について, 4x + 5 = 4 …② ①,②を連立方程式として解くと,x = 12,y = 5 よって,A 町から B 町… 12 km,B 町から C 町… 5 km 例題 4 連立方程式の利用⑵ ・割合の表し方 a%⇒ a 100 a 割⇒ a 10 例題 4 連立方程式の利用⑵ A4,A6,B3,B4,B5 10%の食塩水と 6%の食塩水を混ぜて,7%の食塩水を 800g つくりたい。10%と 6%の食塩水 をそれぞれ何 g 混ぜればよいですか。 10%の食塩水の重さ… x g,6%の食塩水の重さ… y g とすると, 食塩水の重さについて,x + y = 800 …① 10 6 7 食塩の重さについて, 100 x + 100 y = 100 × 800 …② ①,②を連立方程式として解くと,x = 200,y = 600 よって,10%の食塩水… 200 g,6%の食塩水… 600 g 発展新演習 冬期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 1 次関数⑴ 3 【指導のねらい】 ★ 1 次関数の変化の割合を理解する。 ★グラフを書けるようにし,またそれを利用して x の変域に対応する y の変域を求める。 ★傾き,切片,通る点などが与えられた直線の式を求められるようにする。 はじめに 〈導入〉 この課では,1 次関数について取り 扱う。中学 1 年で学習した比例の延長 にあたる。変化の割合という概念が登 場するが,この量は中学 3 年の 2 次関 数でも取り扱うのでしっかりと身に付 けておきたい。また,1 次関数の課で は,連立方程式の解が,それを与える 2 本の 1 次関数の交点に対応すること も学習する。連立方程式の解法を確認 しておきたい。 また,直線の式の求め方は,常にグ ラフとの対応を考えるとよい。計算も 効率的になったりミスも減ったりする。 この先も意識していきたい。 〈要点〉 例題 1 ◆指導ページ P.10 ~ 13 ◆ 学習内容・補足事項など 例題 1 1 次関数のグラフ A1,A2 次の 1 次関数のグラフをかきなさい。 1 ⑴ y = 3 x - 1 切片が- 1 なので,(0,- 1)を通る。 1 また,傾きが 3 なので,点(0,- 1)から右へ 3,上へ 1 進んだ点(3,0)を通る。 ⑵ 5 ⑴ −5 O 5 よって,2 点(0,- 1),(3,0)を通る直線を引けばよい。 ⑵ y =- 2x + 3 −5 切片が 3 なので,(0,3)を通る。 また,傾きが- 2 なので,点(0,3)から右へ 1,下へ 2 進んだ点(1,1)を通る。 よって,2 点(0,3),(1,1)を通る直線を引けばよい。 直線をかくとき,なるべく通る点をすべて座標平面上にとり,端と端の点を結ぶように直 線を引いた方が,正確な直線をかくことができる。 例題 2 変域 A3,B1 3 1 次関数 y =- 2 x + 1 について,x の変域が- 2 ≦ x ≦ 4 の 4 ときの y の変域を求めなさい。 3 x =- 2 のとき,y =- 2 ×(- 2)+ 1 = 4 1 4 3 x = 4 のとき,y =- × 4 + 1 =- 5 O −2 2 ② (変化の割合)=(傾き) よって,x の変域が- 2 ≦ x ≦ 4 のとき, y の増加量 1 -1 3 = =- 3 = 3 1 次関数 y =- 2 x + 1 のグラフは右の図のようになるので, x の増加量 −5 その点 (0,2)から x 軸方向に+ 3, y の変域は- 5 ≦ y ≦ 4 である。 y 軸方向に- 1 だけ平行移動した 傾きが a < 0 なので,x が最大のとき y は最小,x が最小のとき y が最大となる。 1 次関数のグラフ y =- 1 3 x+2 ①切片 (0,2)を点に取る。 点を取る。 ③ 2 点を直線で結ぶ。 例題 3 直線の式の求め方 A4,A5,B2,B3,B4,B5 ⑴ 傾きが 3 で,点(1,2)を通る直線 例題 2 直線の式を y = ax + b とすると, 変域 傾きが 3 なので,a = 3 y = ax + b において,x の変域 ゆえに,y = 3x + b となる。 を- 1 ≦ x ≦ 1 としたときの y の これに(1,2)を代入すると, 変域 - a + b ≦ y ≦ a + ( b a > 0 のとき) a + b ≦ y ≦- a + ( b a < 0 のとき) 傾き a の符号で変化することに注意 (→グラフを見せて説明する。) 例題 3 直線の式の求め方 ・傾きと 1 点が与えられるとき ① y = ax + b とおく。 ② a = (傾き)を代入する。 ③②の式にその 1 点を代入する。 ・切片と 1 点が与えられるとき ① y = ax + b とおく。 ② b = (y 切片の値)を代入する。 ③②の式にその 1 点を代入する。 ・通る 2 点が与えられるとき ① y = ax + b とおく。 ② 2 点を代入し,連立方程式にする。 2 = 3 + b,b =- 1 よって,求める式は,y = 3x - 1 座標を代入するとき,x 座標と y 座標を逆に代入しないように注意をうながす。 ⑵ 2 点(1,2),(3,- 2)を通る直線 - 2 =- 2 a =変化の割合= -32- 1 ゆえに,y =- 2x + b となる。 これに(1,2)を代入すると, 2 =- 2 + b,b = 4 よって,求める式は,y =- 2x + 4 (別解) 2 点(1,2),(3,- 2)を通るので,2 = a + b …①,- 2 = 3a + b …② ①,②を連立方程式として解くと,a =- 2,b = 4 よって,求める式は,y =- 2x + 4 変化の割合を暗算で求めることができるようになれば,その方が速い。 発展新演習 冬期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 1 次関数⑵ 4 【指導のねらい】 ★与えられた 2 元 1 次方程式のグラフを y = ax + b に変形し,グラフを書けるようにする。 ★ 1 次関数で与えられる数量を x の変域に注意して,関数式を書けるようにする。 はじめに 〈導入〉 この課では,1 次関数の交点が,そ の関数の表す方程式のなす連立方程式 の解に相当することを学習する。そし て,1 次関数を用いて数量を記述する ことをする。ここでは,変域ごとに関 数の形が異なる数量を扱う。具体的数 値から実験的に試しながら一般性を見 出す能力が問われてくる。図や言葉を 用いて状況を推理していくことが望ま れる。演習問題 B までこなせば,ある 程度の演習量は確保できるはずである。 ◆指導ページ P.14 ~ 17 ◆ 学習内容・補足事項など 例題 1 2 元 1 次方程式のグラフ A1,A2,B1 2 つの方程式 4x + 3y = 6 …①,x - 3y = 9 …②について, ① 次の問いに答えなさい。 5 ⑴ 方程式①,②のグラフをかけ。 ①の式を y について解くと,y =- 4 x + 2 3 4 O −5 5 ② よって,傾き- 3 ,切片 2 の直線となる。 ②の式より,y について解くと,y = 13 x - 3 −5 よって,傾き 1 ,切片- 3 の直線となる。 3 x = 0 のときと,y = 0 のときの 2 点の座標が整数となるとき,その 2 点を結ぶ直線をか く方法もある。ただ,整数にならないときは,x,y ともに整数になる点を探す方が大変 なので,y について解いた方がよい。 〈要点〉 ⑵ 方程式①,②を連立方程式として解いたときの解を求めよ。 例題 1 ⑴の 2 つのグラフの交点の座標は(3,- 2)である。 2 元 1 次方程式のグラフ よって,①,②を連立方程式として解いたときの解は,x = 3,y =- 2 である。 ・ax + by = c のグラフ 2 直線の交点を連立方程式で求めるときは,どちらも y =~の形になっているのであれ ⇒ y = (x の式)に変形する ば,代入法で解くことをすすめたい。加減法で解くと,y - y = 0 であることを忘れてし ・y = k (k:定数)のグラフ まう生徒が多い。 ⇒ (0,k) を通り,x 軸に平行な直線 ・x =ℓ (ℓ:定数)のグラフ ⇒ (ℓ,0) を通り,y 軸に平行な直線 ・連立方程式の解 y = ax + b ……① y = cx + d ……② ①,②の交点に相当する 例題 2 1 次関数の利用 ① x の変域の端から端までの y の値 を実験的に調べてみる。 ②具体的に x の変域を区切る。 ③それぞれの x の変域における関数 形を算出する。 ④区切られた変域の境界が連続的に なっているか確認する。 例題 2 1 次関数の利用 A3,A4,B2,B3,B4 兄は 10 時に家を出発し,毎分 100 m の速さで歩いて図書館に 向かった。また,弟は 10 時 4 分に家を出発し,同じ道を通っ (m) 2000 て,自転車で兄を追いかけた。右のグラフは,10 時 x 分の家 弟 兄 から兄と弟までの道のりを y m として,兄と弟が進んだよう すを表したものである。次の問いに答えなさい。 ⑴ 弟の自転車の速さは毎分何 m か。 弟は(14 - 4 =)10 分で,2000 m の道のりを走ったので, 速さは 2000 ÷ 10 = 200(m/分) O 4 (10 時) 14 20 (分) 縦軸が道のり,横軸が時間を表しているとき,直線の傾きが速さを表していることを確認 したい。 ⑵ 弟が兄に追いついたのは 10 時何分か。 求めるのは,兄と弟のグラフの交点である。よって,兄と弟の直線の式を表す。 兄は,20 分で 2000 m 走っているので,速さは 2000 ÷ 20 = 100(m/分) よって,y = 100x …① 弟は,⑴より速さが 200 m/分なので,y = 200x + b と表せる また,弟のグラフは(4,0)を通っているので, 0 = 800 + b,b =- 800 よって,y = 200x - 800 …② ①,②を連立方程式として解くと, 200x - 800 = 100x 100x = 800 x = 8 これを①に代入すると, y = 800 よって,2 直線の交点は(8,800) なので,弟が兄に追いついたのは,10 時 8 分である。 この問題では追いついた時間が求められればよいので,x がでれば問題ないが,追いつい た地点を問うこともあるので,y の値まで確認しておく。 弟のグラフの切片を求めるとき,y 軸との交点がグラフ上ではわからない。このとき,x 軸 との交点を切片としてしまう生徒がいるので,y 軸との交点を求めることを徹底したい。 発展新演習 冬期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 平行と合同 5 【指導のねらい】 ★平行線の性質を理解して,角の大きさを求めることができるようにする。 ★多角形の内角や外角の性質を利用して,角の大きさを求めることができるようにする。 ★三角形の合同条件を理解し,図形の性質を証明することができるようにする。 はじめに 〈導入〉 この課では,角度計算と証明につい て学習する。角の大きさに関しては, どの性質を用いて角度を求めるのかを 判断することに重点をおくとよい。と 学習内容・補足事項など 例題 1 平行線と角,多角形の角 よって,∠x = 180°- 65°= 115° 出題されるので,特徴をしっかりとお 錯角や同位角の位置関係を間違えやすい。きちんと図の中で確認させたい。 122° の角は外角なので,その内角は,180° - 122° = 58° ⑵ 三角形の一つの外角は,それと隣り合わない 2 つの内角の さえておきたい。また,証明に関して は等しい辺や角を探し,そこから条件 にあてはめることが重要である。等し よって,∠x = 131°- 58°= 73° x は三角形の内角の和や外角の和を用いても解けるが,この性質を使った方が計算が簡 ∠ 始める前に,図で条件を満たしている 単になる。利用頻度は高い性質なので,きちんと覚えさせたい。 かを確認するようにしたい。 平行線と角,多角形の角 ・対頂角…向かい合う角。対頂角は必 ず等しい。 ・同位角・錯角… 2 直線が平行なとき のみ等しくなる。 例題 2 三角形の合同条件 ・三角形の内角と外角の関係…三角形 の一つの外角は,それと隣り合わな A C 対応する頂点を考えると,A と C が対応しており,B,D は共 D 通な点なので,△ABD ≡△CBD 対応する頂点の順番は,次の単元の証明において,辺や角を答 えるときにも守らなくてはいけないので,今のうちに気をつけ B るようにしたい。 ⑵ ⑴で使った合同条件を答えよ。 (証明) △ABD と△CBD において, AB = CB …① AD = CD …② 共通な辺より,BD = BD …③ 例題 2 ①,②,③より,3 組の辺がそれぞれ等しいので 三角形の合同条件 △ABD ≡△CBD ① 3 組の辺がそれぞれ等しい。 等しい。 B5 ⑴ 合同な三角形を,記号≡を使って表せ。 い 2 つの内角の和に等しい。 ② 2 組の辺とその間の角がそれぞれ 右の図で,AB = CB,AD = CD である。次の問いに答えなさい。 ・n 角形の内角の和… 180°×(n - 2) ・多角形の外角の和… 360° 和に等しいので,∠x + 58°= 131° 131° 122° い根拠も大切になるので,証明を書き 例題 1 A1,A2,A3,A6,B1,B2,B3,B4 次の図で,∠x の大きさを求めなさい。 ℓ // m より,平行線の同位角は等しいので, ℓ ⑴ 65° ℓ ∠x の右の角は 65°である。 くに平行線の錯角を用いたものはよく 〈要点〉 ◆指導ページ P.18 ~ 21 ◆ なので,合同条件は,「3 組の辺がそれぞれ等しい」である。 どのようなときに辺や角が等しいといえるのか,根拠をいえるようにしておきたい。等し い角の関係には,対頂角,平行線の同位角や錯角などがあるので,しっかり覚えること。 ③ 1 組の辺とその両端の角がそれぞ れ等しい。 例題 3 証明 ・仮定…あらかじめ表されているもの ・結論…証明したいこと 例題 3 証明 A4,A5,A6,B6 右の図で,点 E は 2 つの線分 AB と CD の交点である。このと C A き,AE = BE,CE = DE ならば,AC = BD である。次の問い に答えなさい。 E ⑴ 仮定と結論を答えよ。 仮定は「~ならば」,結論は「…である」という形で表せる。 よって,仮定は「AE = BE」と「CE = DE」で, 結論は「AC = BD」である。 D B 「~ならば…である」という形になっていなければ,その形に言い直すと仮定と結論がわ かりやすい。 ⑵ 証明せよ。 △AEC ≡△BED であることを証明すればよい。 (証明) △ AEC と△BED において, 仮定より,AE = BE …① CE = DE …② 対頂角は等しいので,∠AEC =∠BED …③ ①,②,③より,2 組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので, △AEC ≡△BED 対応する辺は等しいので,AC = BD 発展新演習 冬期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 三角形と四角形 6 ◆指導ページ P.22 ~ 25 ◆ 【指導のねらい】 ★二等辺三角形の性質を理解し,二等辺三角形の性質を利用して図形の証明ができるようにする。 ★直角三角形の合同条件を理解し,それを利用して図形の証明ができるようにする。 ★平行四辺形の性質を理解し,それを用いて図形の証明ができるようにする。 はじめに 〈導入〉 この課では,特別な三角形と平行四 辺形の性質と直角三角形の合同の証明 を学習する。特別な三角形は二等辺三 角形と正三角形の 2 つだが,定義と定 理の区別をしっかりできるようにした い。定義は証明の中では仮定として用 いるが,定理はそうではないので,そ こを分けて証明に用いることができる かどうかも重要である。平行四辺形に ついては,性質が多く,平行四辺形に なるための条件も多いので,しっかり と覚えることが大切である。また,直 角三角形における合同の証明では,合 同条件が 2 つ増える。どの条件を用い るのかしっかりと読みとれるようにし たい。 〈要点〉 例題 1 二等辺三角形 ・定義…ことばの意味 ・定理…後から証明されたもの ・二等辺三角形の性質 定義… 2 辺が等しい。 学習内容・補足事項など 例題 1 二等辺三角形 A1,B1,B2 右の図の△ABC で,AD = BD = CD のとき,∠x の大 A きさを求めなさい。 AD = BD より,△ABD は二等辺三角形である。 ゆえに,底角は等しいので,∠BAD =∠ABD = 35° また,三角形の 1 つの外角は,それと隣り合わない 2 B つの内角の和に等しいので, 35° D C ∠ADC =∠ABD +∠BAD = 35°+ 35°= 70° 次に,AD = CD より,△ACD も二等辺三角形である。 よって,∠DAC =∠ACD より, ∠x =(180°- 70°)÷ 2 = 55° 最初にどこを求めるのかを考える前に,最後にどこがわかれば x が求められるのかを考え ていくほうがよい。 例題 2 直角三角形の合同条件 A2,B5 右の図のように,∠XOY の二等分線上の点 P から辺 A OX,OY にそれぞれ垂線 PA,PB をひく。このとき, X PA = PB である。次の問いに答えなさい。 ⑴ このことを証明するには,どの三角形とどの三角形 P が合同であることをいえばよいか。 PA と PB が対応する辺となる 2 つの三角形は△AOP と△BOP である。 ⑵ ⑴で使う合同条件を答えよ。 O B Y 定理…底角が等しい。頂角の二等分 (証明) △AOP と△BOP において, 線は底辺を垂直に二等分する。 仮定より,∠OAP =∠OBP = 90°…① ・正三角形の性質 ∠AOP =∠BOP …② 定義… 3 辺が等しい。 共通な辺なので,OP = OP …③ 定理… 3 つの角が等しい。 ①,②,③より,直角三角形の斜辺と 1 つの鋭角がそれぞれ等しいので, ・二等辺三角形になる条件 △AOP ≡△BOP ① 2 つの辺が等しい。 対応する辺は等しいので, ② 2 つの角が等しい。 PA = PB 例題 2 よって,合同条件は「斜辺と 1 つの鋭角がそれぞれ等しい」である。 直角三角形の合同条件 直角三角形の合同条件を用いるには次の条件が必要である。①直角がある。②斜辺が等し ・直角三角形の定義…直角がある。 い。したがって,斜辺が等しいといえない場合は,通常の三角形の合同条件を満たすよう ・斜辺…直角に対する辺。 に証明する必要がある。 ・直角三角形の合同条件 ①斜辺と 1 つの鋭角がそれぞれ等しい。 ②斜辺と他の 1 辺がそれぞれ等しい。 例題 3 平行四辺形 A3,A4,A5,A6,B3,B4,B5,B6 例題 3 右の図のように,平行四辺形 ABCD の辺 AD 上に点 E, A E D 平行四辺形 辺 BC 上に点 F があり,AE = CF である。このとき, ・平行四辺形の性質 BE = DF であることを証明しなさい。 定義… 2 組の対辺はそれぞれ平行である。 △ABE ≡△CDF であることを証明すればよい。 定理 (証明) △ABE と△CDF において ① 2 組の対辺はそれぞれ等しい。 仮定より,AE = CF …① ② 2 組の対角はそれぞれ等しい。 B F C 平行四辺形の対辺は等しいので,AB = CD …② ③対角線はそれぞれの中点で交わる。 平行四辺形の対角は等しいので,∠BAE =∠DCF …③ ・平行四辺形になる条件 ①,②,③より,2 組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので, ① 2 組の対辺がそれぞれ平行である。 ② 2 組の対辺がそれぞれ等しい。 △ABE ≡△CDF ③ 2 組の対角がそれぞれ等しい。 対応する辺は等しいので ④対角線がそれぞれの中点で交わる。 BE = DF ⑤ 1 組の対辺が平行でその長さが等 証明で図形の性質を用いるとき,定義は仮定として用いるが,定理はその性質を書く必要 しい。 がある。性質をすべていえるようにしておきたい。 発展新演習 冬期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 関数と図形 7 ◆指導ページ P.26 ~ 29 ◆ 【指導のねらい】 ★座標平面上の図形の面積を求めることができるようにする。 ★図形の面積を 2 等分する直線の式を求めることができるようにする。 ★ 1 次関数の特徴を利用して等積変形することができるようにする。 はじめに 学習内容・補足事項など 〈導入〉 この課では,関数と図形の融合問題 について学習する。1 次関数の知識を 利用して図形に関する問題を解くこと になるので,まずは 1 次関数の知識を 再確認する必要がある。また,面積の 公式や図形の性質も復習すべきだろう。 ポイントとしては,座標平面上に与えら れた点の座標をすべて求めることから始 めるとよい。求められない点は文字を用 いて表すように指導していきたい。 例題 1 平行四辺形 A1,A2,B1 右 の図のように,4 点 A(0,2),B(- 2,0), C(4,0),D を頂点とする平行四辺形がある。 A (0,2) 次の問いに答えなさい。 D ⑴ 点 D の座標を求めよ。 四角形 ABCD は図のような平行四辺形なので, 定義より,AB // CD B(−2, 0) O C (4,0) また,平行四辺形の対辺は等しいので AB = CD これより,B から A へは,右へ 2,上へ 2 の距離になっているので, C から D も同様に,右へ 2,上へ 2 の距離の位置にあると考えられる。 よって,(4 + 2,0 + 2)より D(6,2) ⑵ 点(3,2)を通り,平行四辺形 ABCD の面積を 2 等分する直線の式を求めよ。 〈要点〉 平行四辺形の面積を 2 等分する直線は,平行四辺形の対角線の交点を通る直線である。 例題 1 平行四辺形 ・中点の座標… 2 点(a,b),(c,d) c b+d の中点は, a + 2 , 2 ・三角形の面積を 2 等分する直線…頂点 ( ) とそれに向かい合う辺の中点を通る。 ・平行四辺形の面積を 2 等分する直線 …対角線の交点を通る。 平行四辺形の対角線の交点は,対角線の中点なので,A(0,2)と C(4,0)の中点は 4 2 + 0 より,(2,1) 0 + 2 , 2 これより,求める直線は,(3,2)と(2,1)を通る直線なので,y = ax + b とすると, 1 a = 23 - - 2 = 1 ゆえに,y = x + b これに(2,1)を代入すると,1 = 2 + b,b =- 1 ( ) よって,y = x - 1 直線の式の求め方はいつも通りである。大切なのは,どのような点を通るかを理解してい るかどうかである。 例題 2 等積変形 ・面積が等しい三角形…底辺が共通な 三角形は,高さが等しければ面積は 等しい。 例題 2 等積変形 A3,A4,A5,B2,B3,B4 右の図のように,4 点 O(0,0),A(5,0),B(5,5),C(2,5)を C 頂点とする四角形 OABC がある。次の問いに答えなさい。 B ⑴ 四角形 OABC =△ODC となる点 D を x 軸上にとるとき, 点 D の座標を求めよ。ただし,x 座標は正とする。 点 D の見つけ方は以下の通りである。 A O ① 2 点 A,C を結ぶ。 ② AC と平行で点 B を通る直線を引く。 ③ ②と x 軸の交わる点が D となる。 これにより,右の図のように, C B 四角形 OABC =△OAC +△ABC =△OAC +△ADC O D A =△ODC 直線 AC の傾きは 5 - 0 =- 5 より,直線 BD は y =- 5 x + b となる。 2-5 3 3 5 40 B (5,5) を通るので,5 =- × 5 + b,b = よって,BD の式は y =- 5 x + 40 3 3 3 3 D は x 軸上の点なので,y = 0 を代入すると,x = 8 よって,D(8,0) (別解) AD // BC,AC // BD より,四角形 ACBD は平行四辺形なので,対辺は等しく AC = BD よって,点 C から右へ 3,下へ 5 移動したところに点 A があるので, 点 D も点 B から右へ 3,下へ 5 移動したところにあることがわかる。 ゆえに,(5 + 3,5 - 5)より,D(8,0) 別解は,AD // BC でないと使えないので,直線 BD を求める方法もできるようにしてお きたい。 ⑵ 点 C を通る直線が四角形 OABC の面積を 2 等分するとき,その直線と x 軸との交点の 座標を求めよ。 四角形 OABC と△ODC は面積が等しいので,△ODC を 2 等分する直線を考える。 点 C を通る直線なので,対辺 OD の中点を通る。 0 0 + 0 より,(4,0) よって,求める点は 8 + 2 , 2 ( ) 発展新演習 冬期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 確率 8 ◆指導ページ P.30 ~ 33 ◆ 【指導のねらい】 ★場合の数を数え,確率を求めることができるようにする。 ★起こらない確率を利用して求めたい確率を出すことができるようにする。 はじめに 〈導入〉 この課では,確率について学習する。 確率は,数えもれがないようにするこ とが一番大切である。全部で何通りあ るのかをしっかりと数えることを伝え たい。樹形図や表を使うのが一般的で あるが,そのときも規則正しく図を書 くようにすることでミスを減らせる。 順番に数えることを徹底させたい。 〈要点〉 例題 1 確率の求め方⑴ 学習内容・補足事項など 例題 1 確率の求め方⑴ A1,A3,A5,B2,B3,B4,B5 大小 2 つのさいころを同時に投げるとき,目の数の和が 5 になる確率を求めなさい。 大小 2 つのさいころは,それぞれ 6 通りずつの目の出方があるので,2 つを同時に投げる ときに起こる全部の場合の数は 6 × 6 = 36(通り) そのうち,目の数の和が 5 になるのは (1,4),(2,3),(3,2),(4,1) の 4 通りなので,求める確率は 4 = 1 36 9 全部で何通りかがわかっているので,そのときに起こる場合の数だけ数える。 1 つの目に対して 1 通りしか起こらないので,この場合は樹形図や表を用いなくても混乱 しない。「和が偶数になる」など,複数起こる場合があるときは樹形図などを用いるよう にしたい。 ・A の起こる確率…起こる場合が全 部 で n 通 り で, そ の う ち,A の 起 こ る 場 合 が a 通 り の と き,A の 起 こる確率 p は a p = n ・確率の求め方 ①樹形図 ②表 ③書き上げる 例題 2 確率の求め方⑵ ・組み合わせ… (A,B)と(B,A)は同 じものと考える。 例題 2 確率の求め方⑵ A2 赤玉 2 個と青玉 3 個が入っている袋がある。この袋の中から同時に玉を 2 個取り出すとき, 同じ色の玉を取り出す確率を求めなさい。 赤玉を A,B,青玉を c,d,e とすると,2 個取り出す場合を樹形図で書くと A B B c c d d e c d e d e e より,全部で 10 通りである。 このうち,同じ色の組み合わせは(A,B),(c,d),(c,e),(d,e)の 4 通りなので, 4 2 求める確率は, 10 = 5 組み合わせを考える場合は樹形図を用いた方がよい。計算で起こる場合を求めるならば以 下のやり方がある。 (起こる全部の場合の数の求め方) 例題 3 5 個の玉から 2 個選んで並べる並べ方は 5 × 4 = 20 通り 起こらない確率 ここで,並べ方 AB と BA は組み合わせでは(A,B)の 1 通りとして数えることになる。 ・A の起こる確率を p とすると, (A の起こらない確率)= 1 - p 残りの並べ方についても同様なので,並べ方では 1 組の組み合わせを 2 通り数えているこ とになる。 よって,5 個から 2 個を選ぶ選び方は 20 ÷ 2 = 10(通り) 例題 3 起こらない確率 A4,B1 3 枚の硬貨を同時に投げるとき,少なくとも 1 枚は表になる確率を求めなさい。 3 枚の硬貨を A,B,C とし,表を○,裏を×として樹 A 形図に表すと,右の図のようになる。 すると,すべての場合の数は 8 通りであることがわかる。 ○ また,「少なくとも 1 枚は表」の逆を考えると,「3 枚す B ○ × C ○ × ○ × A B ○ × × C ○ × ○ × べてが裏」であることになるので,全てが起こる確率から「3 枚すべてが裏」である確率 を引けばよい。 (3 枚すべてが裏である確率)= 18 よって,求めたい確率は 1 - 18 = 78 「起こる確率」から「起こらない確率」を読みとるのに苦労する生徒もいる。読解力の問 題になるので,さまざまなパターンを確認しておいてもよい。
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