必修新演習 冬期テキスト 理科中1 指導のポイント 1 植物の生活と種類 ◆指導ページ P. 2~ 5◆ 【指導のねらい】 ★植物のからだのつくりとはたらきを理解する。 ★光合成と呼吸のはたらき,光合成と呼吸による気体の出入りの違いについて理解する。 ★種子植物の分類について理解する。種子をつくらない植物について理解する。 学 習 内 容 補足知識・留意事項など 1 植物のからだのつくり ⇒確認 1,演習 1,2 ・葉…蒸散や光合成を行う。どの葉も日光を十分に受けられ 1 植物のからだのつくり 試葉の表裏の区別ができるように指導する。 るように,上から見て重なり合わないようについている。 ・表側…細胞がぎっしりと並ぶ (さく状組織)。 ①葉緑体…細胞内にある緑色の小さな粒。光合成を行う。 ・裏側…細胞間にすきまがある (海綿状組織)。 ②気孔…葉の表面の小さなすきま。気体が出入りする。 ・維管束…道管や師管の集まり。葉では葉脈とよぶ。 試気孔が葉の裏側に多いのは,被子植物の双子葉類の大部分 であり,そうでない植物もある。 ①道管…根で吸収した水や肥料を葉まで運ぶ管。 試孔辺細胞は葉緑体をもっている。 ②師管…葉でつくられた養分をからだ全体へ運ぶ管。 試師管と道管の位置と役割を十分理解させる。 ・根毛…根の先端付近にある毛のようなもの。根の表面積を 広げ,水などを効率良く吸収することができる。 2 植物のからだのはたらき ⇒確認 2,演習 3,4 ・蒸散…植物の体内の水が,気孔から水蒸気となって体外へ 出ていく現象。昼間にさかんに行われる。 ンなどの養分をつくるはたらき。酸素ができる。 光エネルギー 2 植物のからだのはたらき 試蒸散は,晴れの日や湿度が低く乾燥している日にさかんに 根からの水の吸収をさかんに行っていると考えられている。 試光合成については様々な実験があるので,できるだけ多く の問題演習をこなしたい。 試石灰水が二酸化炭素で白くにごるのは,水酸化カルシウム 葉緑体 水 + 二酸化炭素 てから観察すると,道管だけが染まって見える。 行われる。蒸散によって,植物の体内の水の量を調節し, ・光合成…日光を受け,葉緑体で二酸化炭素と水からデンプ 葉 試維管束の観察には,赤いインクを混ぜた水にしばらくつけ と二酸化炭素が反応して,炭酸カルシウムの沈殿ができる デンプン + 酸素 ためである。 根から 気孔 気孔 試BTB溶液については,「酸・アルカリ」が未習であるが, ・呼吸…生物が,酸素をとり入れ,二酸化炭素を出すはたら き。植物は,からだ全体で一日じゅう行っている。 ・光合成と呼吸 理解 は二酸化炭素をとり入れ,酸素を出している。 3 植物のなかま 3 植物のなかま ⇒確認 3,演習 5 ら 酸化炭素が増えるので黄色に変化する。 隠 陰は二酸化炭素の増減によるもので,酸素の増減は関 係しない。 ②夜間…呼吸だけを行う。 し しっかり理解させる。 陰 光合成では二酸化炭素が減るので青色に,呼吸では二 ①昼間…光合成の方がさかんに行われるので,全体として ひ テスト等への対策としてここで教える意義が大きいので, し ・種子植物…被子植物と裸子植物に分けられる。 試被子植物の花びらの特徴は可能な範囲で説明したい。 ・被子植物…胚珠が子房の中にあり,果実ができる。 試単子葉類と双子葉類の区別の方法は,しっかりと覚えさせ そう ・単子葉類と双子葉類 暗記 る。特に,葉脈や根は図示できるようにする。 試被子植物の例示 ①合弁花類…花弁がくっついているもの ・単子葉類…イネ,トウモロコシ,スズメノカタビラ,ス ②離弁花類…花弁が離れているもの 茎の維管束 双 子 葉 類 葉 脈 根 スキ,ツユクサ,ムラサキツユクサ,アヤメ,ユリ ・双子葉類の合弁花類…タンポポ,ヒメジョオン,ハル ジョオン,ヒマワリ,ハハコグサ,アサガオ,ツツジ 輪状に並ぶ 単 子 葉 類 散らばっている 網目状 主根と側根 ・双子葉類の離弁花類…エンドウ,シロツメクサ,アブラ ナ,ナズナ,サクラ,ウメ,ハコベ,ホウセンカ 試植物の花には花弁がついているのが当然だと考える生徒が 平行 ひげ根 ・裸子植物…子房がなく,胚珠がむき出しになっている。マ ツやスギ,イチョウ,ソテツなど。 ・種子をつくらない植物…おもに胞子をつくる。シダ植物は, 多いが,花弁をもたない花をつけるものもある。その代表 的なものがマツである。 試シダ植物とコケ植物の共通点は,光合成をして,胞子でふ える点である。 試コケ植物の仮根は,からだを固定するためのもので,そこ 光合成をして,根,茎,葉の区別があり,維管束をもつ。コ から水や養分を吸収する機能はない。このため,コケ植物 ケ植物は,光合成をするが,維管束がなく,からだの表面 はからだの表面全体から水分を吸収するので,湿り気のあ 全体から水分などを吸収し,雌株と雄株がある。 るところでしか生きられない。 必修新演習 冬期テキスト 理科中1 指導のポイント 2 物質の性質・気体の性質 ◆指導ページ P.6~ 9◆ 【指導のねらい】 ★身のまわりの物質の素材とその性質を知る。 ★物質の密度の求め方を理解する。 ★いろいろな気体の種類と性質を学び,精製方法と収集方法を理解する。 学 習 内 容 補足知識・留意事項など 1 物質の性質 ⇒確認 1,演習 1 1 物質の性質 ・ガスバーナーの操作 暗記 試マッチに火をつけたあとで,ガス調節ねじを回してガスを ①ねじが閉じていることを確認してから元せんを開く。 ②マッチに火をつけ,ガス調節ねじを回して点火。 出し点火する。 試メスシリンダーを使って物体の体積を測るには次の手順を ③ガス調節ねじで炎の大きさを調節。 踏めば良い。 ④空気調節ねじで炎を青色にする。 ①メスシリンダーに適量の液体を入れ,体積を測る。 ⑤火を消すときは,空気調節ねじ,ガス調節ねじ,元せん ②物体を液体に完全に沈める。 の順に閉める。 ③②の体積と①の体積の差が物体の体積となる。 ・メスシリンダー…最小目もりの10分の1まで読む。 ・上皿てんびん…水平な台に置く。 暗記 試上皿てんびんで,量を調節するものを向かって右側の皿に 乗せるのは,右利きの人が操作しやすいからである。左利 き ①物質の質量の測定…利き手の逆側の皿に物体をのせ,利 きの人は左右の皿を逆にする。 試燃やすということは酸素と激しく化合することである。有 き手側に少し重めの分銅から順にのせていく。 ②一定量の薬品をはかりとる…利き手の逆側の皿に分銅を 機物に含まれる炭素が酸素と化合して二酸化炭素ができ, 水素が酸素と化合して水ができる。無機物は燃やしても二 のせ,利き手側に薬品をのせていく。 ・有機物…燃えて二酸化炭素と水が発生し,こげて炭になる。 酸化炭素が出ない。 試金属でできた物体は,左記の性質を有効に利用したものが ・無機物…食塩や金属などの有機物以外の物質。 ・金属…虚電気伝導性,許熱伝導性,距金属光沢,鋸延性・ 展性 ・非金属…金属以外の物質。 暗記 多い。 電気伝導性→銅線,熱伝導性→フライパン,金属光沢→指 輪・アクセサリー ・プラスチック…石油などを原料につくられる。 虚軽い。許加工しやすい。距くさりにくい。鋸電気を通し にくい。漁薬品に強い。 暗記 試電気を通しやすい特殊なプラスチックも存在する。これを 開発した白川博士はノーベル賞を受賞した。 2 密度 2 密度 ⇒確認 2,演習 2 ・質量…てんびんではかることのできる物質そのものの量。 3 ・密度…1 c m あたりの質量。物質の種類で決まっている。 質量[g] 密度[g/ ㎝3]= 体積[㎝3] 暗記 3 ・水に浮く物質と沈む物質…密度が,水 (=1 g/ c m )より小 さい物質は水に浮き,大きい物質は水に沈む。 試質量と重さの違いをしっかりと理解させる。同じ鉄球でも, 重力が地球の約6分の1の月面上では,重さも地球の約6 分の1になるが,鉄球の質量は地球上でも月面上でも変わ らない。 試密度の問題では,単位を合わせてから計算することに注意 させる。 試水(4℃)の密度は10 . 0g/ c m3なので,水1 mLの質量は1 gである。 3 気体の性質 ⇒確認 3,演習 3,4 ・おもな気体の性質 暗記 気 体 名 空気より 二酸化炭素 重 い 水に 少しとける 石灰水を白くにごらせる 酸 素 少し重い とけにくい アンモニア 軽 い その他の性質 物質を燃焼させる よくとける 刺激臭 水 素 非常に軽い とけにくい 燃えて水になる 窒 素 少し軽い とけにくい 空気の約78% ・おもな気体の発生方法 暗記 3 気体の性質 試気体の名称から性質,性質から名称のどちらも答えられる ようにしっかりと暗記させること。 試その他の気体の特徴・性質 ①窒素…空気の約8割を占める。 ②硫化水素…卵の腐った臭い。火山ガスの主成分。有毒。 試二酸化マンガンは過酸化水素水の分解反応を加速させてい ①酸素…二酸化マンガンにオキシドールを加える。 るだけなので,反応が進んでも減ることはない。このよう ②水素…鉄や亜鉛などの金属に塩酸や硫酸を加える。 な物質を触媒という。 あ えん ③二酸化炭素…石灰石や貝がらに塩酸を加える。 ④アンモニア…塩化アンモニウムと水酸化カルシウムの混 合物を加熱する。アンモニア水を加熱する。 ・気体の集め方 暗記 ①水上置換(法)…水にとけにくい気体。 ②下方置換(法)…水にとけやすく,空気より重い気体。 ③上方置換(法)…水にとけやすく,空気より軽い気体。 試気体の集め方を気体の種類ごとに暗記させるのではなく, 気体の性質から気体の収集方法を考えられるようにする。 試二酸化炭素は水に溶け,空気より重いので下方置換法で集 めるのが良いが,溶ける量が少ないので水上置換法でも良 い。 必修新演習 冬期テキスト 理科中1 指導のポイント 3 水溶液・状態変化 ◆指導ページ P. 10~ 13◆ 【指導のねらい】 ★水溶液の種類や性質を理解し,質量パーセント濃度を計算できるようにする。 ★溶解度の違いを利用して,結晶を取り出す方法を学ぶ。 ★物質の状態変化について理解し,状態変化を利用して混合物から純粋な物質を取り出す操作を学習する。 学 習 内 容 補足知識・留意事項など 1 水溶液の性質・濃度 ⇒確認 1,演習 1 1 水溶液の性質・濃度 ・おもな水溶液の性質 暗記 試透明で,どの部分も同じ濃さのものを水溶液という。これ 水溶液 溶 質 食塩水 塩化ナトリウム 水酸化ナトリウム水溶液 水酸化ナトリウム 性 質 らを満たさないものは水溶液とはいわない。 (牛乳など) 中 性 試透明とは液がすけて見えることなので,色がついていても アルカリ性 アンモニア水 アンモニア アルカリ性 塩 酸 塩化水素 酸 性 ・溶液…物質がとけた液体。透明,どこでも均一(同じ濃度), 透明であることはある。 試質量パーセント濃度の公式はしっかり暗記させる。分母は 溶液の質量であって,水(溶媒)の質量ではない点に注意す る。質量パーセント濃度 × 溶液の質量 ÷100=溶質の質量 長時間置いても沈殿が生じない。 となることも覚えさせるとよい。 ①溶媒…物質をとかす液体。溶媒が水の場合が水溶液。 ※特に水の質量が1 00gなどの切りの良い値のときにも間 ②溶質…とけている物質。食塩や二酸化炭素など。 違えないように指導したい。 ・質量パーセント濃度…濃度の表し方の1つ。溶質の質量が 溶液全体の質量の何%かで表したもの。 暗記 溶質の質量[g] 質量パーセント濃度[%]= ×100 溶液(溶媒+溶質)の質量[g] 2 溶解度と再結晶 試飽和するのに必要な溶質の質量は,水の量に比例する。 試溶解度曲線の見方をしっかりと指導する。 試溶質の質量が飽和量を超える→超えた分だけの溶質が結晶 2 溶解度と再結晶 ⇒確認 2,演習 2 ・溶解度…一定量の液体にとかすことができる,溶質の限度 として出てくる。 試ろ過では,砂が混じった水を,砂と水に分けることはでき の量。温度によって変化する。 るが,食塩水を食塩と水に分けることはできないなど,ろ ①飽和…物質が限度までとけている状態。 過で分離できる物とできない物を区別させる。 ②飽和水溶液…溶質がそれ以上とけない水溶液。 ・再結晶…固体の物質を一度液体にとかし,その液体から再 試ろ過を行う時の注意点 ①液はガラス棒を伝わらせて入れる。ろうとの先のとがっ び結晶として固体をとり出すこと。 ている方をビーカーの壁につける。→液が飛び散らない ○ろ過…ろ紙などを用いて,液体と,液体にとけていない ようにするため。 固体とにこし分けること。 ②カラス棒はろ紙が3枚に重なっている部分に当てる。→ ろ紙が破れないようにするため。 3 物質の状態変化 ⇒確認 3,演習 3,4 ・物質の状態変化…熱の出入りにより,固体梶液体梶気体と 変わること。質量は変化せず,体積は,固体のときに最小, 3 物質の状態変化 試一般的に,物質は「固体梶液体梶気体」と変化するが,ド 気体のときに最大になる。水は例外で,固体>液体。 ライアイス(二酸化炭素)のように,固体から直接気体に ①固体…粒子がすき間なく規則正しく並んでいる。 なったり,気体から直接固体になったりする物質もある。 かく ②液体…粒子が比較的自由に動くことができる。 ③気体…粒子が空間を自由に動き回っている。 ・純粋な物質(純物質)と混合物 暗記 ①純粋な物質(純物質)…1種類の物質でできている。酸素, 水,エタノール,銅など。 ②混合物…2種類以上の物質が混じってできている。空気, 石油,食塩水など。 ・物質が状態変化するときの温度 ①沸点…液体が沸とうして気体になる温度。 ②融点…固体がとけて液体になる温度。 ③純粋な物質が状態変化するときの温度…物質の種類に よって決まっていて,状態変化の間,温度は一定である。 ④混合物が状態変化するときの温度…物質が一定の融点や 試融解中や沸とう中に温度が上がらない理由は,物質が状態 変化するのに熱(エネルギー)が消費されているからである。 試水の状態変化では「液体の体積<固体の体積」となる。 試沸とうしている時以外にも,液体は少しずつだが気体に変 化する。このことを蒸発という。 試蒸留に使われる装置は使用される器具の名前も含めてしっ かりと覚えさせる。また,以下の点に気をつける。 ①温度計の球部は枝付きフラスコの枝と同じ高さにする。 …出てきた気体の温度を測るため。 ②沸とう石を入れる…一部の温度が高くなり,急に沸とう (突沸)するのを防ぐため。 ③ガスバーナーの点火までの手順…ガスの元栓→ガス調節 ネジ(下側)→点火→空気調節ネジ(上側) 沸点を示さない。状態変化の間も温度が変化する。 試蒸留は,原油の精製で使われる。石油は重油,軽油,灯油, ・蒸留…液体を沸とうさせ,出てくる気体を冷やして再び液 ガソリン,液化石油ガスなどからなる混合物である。石油 体にしてとり出すこと。 を分離させる際は,一度高温に熱してすべて気化させたあ とに,徐々に温度を下げて液化させることで分離している。 必修新演習 冬期テキスト 理科中1 指導のポイント 4 光と音 ◆指導ページ P. 14~ 17◆ 【指導のねらい】 ★光の進み方と,反射や屈折によって引き起こされる現象を理解する。 ★凸レンズによる光の進み方と像のでき方を理解する。 ★音の伝わり方,大きさや高さ,速さについて理解する。 学 習 内 容 補足知識・留意事項など 1 光の進み方 ⇒確認 1,演習 1,2 1 光の進み方 ・光源…みずから光を出す物体。太陽や電灯など。 試光が直進するのは自明ともいえるが,必ずふれる。 ・光の直進…光はまっすぐ進む。影ができる原因。 試合わせ鏡については問題で確認程度でもよいが,図解に反 ・光の反射…光が物体に当たってはね返る現象。光を出さな い物体が,明るいところで見えるのはこのためである。 ①反射の法則…入射角と反射角は等しい。 映させるとわかりやすい。 試入射角・反射角・屈折角の位置は,混乱しやすいので, しっかりと覚えさせる。 ②鏡にうつる像…鏡に対して物体と対称の位置に見える。 ・光の屈折…光が異なる物質の境界面で折れ曲がる現象。 ①空気からガラス・水へ…境界面から遠ざかるように屈折 する。入射角>屈折角。 暗記 試屈折のようすを指示棒や腕を用いて動的に表現して,図で 直感的に覚えさせるのがよい。 説明の際も,陰は「境界面から遠ざかるように」,隠は「境 界面に近づくように」という感覚的なアプローチが理解し ②ガラス・水から空気へ…境界面に近づくように屈折する。 入射角<屈折角。 暗記 やすい。 試全反射については,起こる条件をしっかりと理解させる。 ・光の全反射…光がガラスや水から空気へ入射するとき,入 射角がある角度よりも大きいとき,光が境界面で全て反射 する現象。光ファイバーに利用。 暗記 空気→水のときには起こらないことにふれておく。 試光の進み方と身近な現象を関連づけるとよい。 ・光の直進…影ができる。 ・光の反射…光を出さない物体が明るい場所では見える。 2 凸レンズと像 ⇒確認 2,演習 3 ・光の屈折…水中に立てた棒が折れ曲がったり,水中にあ ・焦点…軸に平行な光が凸レンズを通って集まる点。凸レン る部分が短くなったりして見える。 ズの中心からの距離が焦点距離。 暗記 じく ①軸に平行な光…凸レンズで屈折して焦点を通る。 2 凸レンズと像 試物体を置く位置によって多様な結果になることが,生徒に ②中心を通る光…そのまま直進する。 ③焦点を通った光…凸レンズで屈折して軸に平行に進む。 難しいという印象を抱かせるが,前講をしっかりふまえた ・実像…物体が焦点の外側にあるときにできる,物体と上下 上で,いかなる場合も光の進み方は前講で履修したパター ンしかないことを強調する。 左右が逆の像。スクリーンにうつる。カメラに利用。 理解 試陰~韻の光の進み方をていねいに解説し,一点で交わった ①物体が焦点距離の2倍の位置にある⇒焦点距離の2倍の ところに像ができることを教える。 試実像ができる場合の物体の位置について,下の①~④の場 位置に,物体と同じ大きさの実像ができる。 ②物体を焦点に近づける⇒実像ができる位置は焦点から遠 合について理解させ,特に,隠と吋がキーポイントである ことを示す。 くなり,大きくなる。 ③物体を焦点から遠ざける⇒実像ができる位置は焦点に近 陰焦点距離の2倍より遠く,隠焦点距離の2倍,韻焦点距 離の2倍と焦点との間,吋焦点 くなり,小さくなる。 ・虚像…物体が焦点の内側にあるときにできる,物体と上下 左右が同じ(正立)で拡大された像。スクリーンにうつらず, 凸レンズ越しに見える。ルーペに利用。 理解 試虚像については,実像のまとめからそのまま流れて, 「焦点 より内側」に置いたらどうなる?という展開もできる。 図を板書する場合,虚像が大きくなって書き切れない,と いう失敗がないように注意したい。 3 音 ⇒確認 3,演習 4,5 3 音 ・音…物体が振動して音を出す。 ・音の伝わり方…ものが振動して音を伝える。振動が波と 試空気などの気体の他にも,水などの液体,金属などの個体 なって四方八方へ伝わる。真空中では伝わらない。 は音をよく伝える。布などのやわらかい物体は音を吸収す ○音を伝えるもの…空気などの気体,水などの液体,金属 るため伝えにくい。 試雷の例などで,音と光の速さの違いを実感させる。 やぴんと張った糸などの固体。 ・音の速さ…空気中では,毎秒約3 40mで伝わる。 暗記 光は,一秒間に地球を75 .周する距離を進むことができる。 ①音が伝わった距離〔m〕= 340 〔m/ s 〕× かかった時間〔s 〕 かみなり (今見えている太陽は,8分前の状態である。) ②光の速さ…毎秒約30万 kmで,音よりはるかに速い。 雷 試距離と時間から速さを求める問題,速さと時間から距離を が光ってしばらくしてから雷鳴が聞こえるのはこのため。 ・音の大小…振幅が大きいと,大きい音になる。 理解 試音の大きさや高さと,オシロスコープやコンピュータに現 らいめい ・音の高低…一定時間に振動する回数(振動数)が多くなると, 高い音になる。 理解 求める問題の両方を扱っておくとよい。 れる波形との関係をしっかり確認する。 必修新演習 冬期テキスト 理科中1 指導のポイント 5 力と圧力 ◆指導ページ P. 18~ 21◆ 【指導のねらい】 ★力のはたらきや力の表し方を学ぶ。 ★質量と重さの違い,力とばねののびが比例することを理解する。 ★圧力・大気圧・水圧・浮力について理解する。 学 習 内 容 1 力のはたらき ⇒確認 1,演習 1,2 ・力のはたらき 理解 補足知識・留意事項など 1 力のはたらき 試物体に力を加えれば,運動のようすが変化したり,物体の ①物体を支える 形が変形したりする。逆に,力が加わらなければ物体はそ ②物体の形を変える のような変化を起こさない。 ③物体の運動のようすを変える ・力の種類…物体どうしが接してはたらく力(①,②)と,物 体どうしが離れていてもはたらく力(③,④)がある。 試「運動のようすを変える」とは,速さや向きを変化させる ことをいう。 試「(垂直)抗力」や「摩擦力」は,中3の「物体の運動と力」 ①(垂直)抗力…面などが物体を支える力。 の単元で扱うため深入りはせず,その存在にふれる程度で ②摩擦力…運動と逆向きに,物体が面から受ける力。 よい。 ま さつ ③重力…地球がその中心方向に物体を引く力。物体にはた らく重力の大きさを,物体の「重さ」という。 ④磁石の力(磁力)…同じ極はしりぞけ合い,異なる極は引 試 重力は地球と物体の間ではたらく力である。 試摩擦力は物体を動かそうとする力より大きくなることはな い。 試力の矢印をかくことは,力について勉強する上で最も基礎 き合う。 ・力の大きさ…ニュートンはかり(ばねはかり)ではかる。 的な部分なので,力の矢印をかく例題を与えるなどして ・力の表し方…力の矢印で表す。大きさ:矢印の長さと比例。 しっかりマスターさせたい。 向き:矢印の向き。作用点:矢印のもと。 暗記 ○重力のように物体全体にはたらく力の作用点は物体の中 2 質量と重さ・ばねののび 試ニュートン[N]は初めて出てくる単位なので,しっかりと 心にする。 理解させたい。ニュートン [N]は力の大きさを表す単位で, 2 質量と重さ・ばねののび ⇒確認 2,演習 3 ・質量…物質そのものの量。単位は gや kg。 ・重さ…物体にはたらく重力の大きさ。単位は N。月面上で は地球上の約6分の1になる。 ○ N(ニ ュ ー ト ン) … 力 の 大 き さ を 表 す 単 位。1 N は 約 質量[kg,g]とは別物であることを理解させる。力の大き さが大きいほど,力のはたらきも大きくなる。 試日常生活では重さというと単位はグラム[g]やキログラム [kg]を用いるので混同しやすいが,重さは物体にかかる重 力の大きさを指すので,単位はニュートン[N]である。 100gの物体にはたらく地球の重力の大きさに等しい。 ・力とばねののび…ばねののびは,ばねにはたらく力に比例 する(フックの法則)。 理解 3 圧力 試圧力,大気圧,水圧。浮力などは,さまざまな日常現象の 例示によって理解を深めることができるので,例を用いる などしてしっかりと理解させる。 3 圧力 ⇒確認 3,演習 4,5 2 ・圧力…ふれ合う面積1m あたりに垂直にはたらく力。力 試 「反比例」を十分に理解していない生徒が多いと思われる。 の大きさが一定のとき,圧力は面積に反比例する。 暗記 「(力が一定のとき)面積が大きくなれば,圧力は小さくな 力の大きさ[N] 圧力[Pa (N/ m2)]= 力がはたらく面積[m2] 2 ○1Pa(パスカル)=1 N/ m。 ・大気圧(気圧)…大気にはたらく重力によって生じる圧力。 あらゆる向きにはたらく。標高が高いほど小さい。1気圧 =約1013hPa 。 ・水圧…水の重さによって生じる圧力。あらゆる向きから物 体の表面に垂直にはたらく。水の深さに比例する。 ・浮力…水中の物体を,まわりの水が上向きに押し上げよう とする力。水圧による力が,物体の上面よりも下面のほう が大きいために生じる。浮力は水面からの深さには無関係。 暗記 る」ことを,スキーの例などを利用して十分教えておく。 計算しなくても,面積の大小がわかれば圧力の大小が判別 できる。 試スポンジのへこみ具合は圧力に比例するように思えるが, 必ずしもばねののびのような比例関係になっているわけで はない。 試上空へ行くほど大気圧が小さくなるのは,上にある空気の 量が減るためである。 試標高の高い所にお菓子の袋などを持って行くと膨らむ。こ れは袋内部の気圧が変わらずに,外部の気圧が下がったた めである。 試水圧の大きさが水の深さに比例することを,ゴム膜をつけ た実験器で,深い方がゴムのへこみ方が大きくなることな 浮力[N]=空気中のばねはかりの値[N] −水中のばねはかりの値[N] どを示して理解させる。 試水だけでなく,水溶液や油,水銀などでも浮力は生じる。 試浮力の大きさは,物体がおしのけた体積の水の重さで決ま る。 必修新演習 冬期テキスト 理科中1 指導のポイント 6 大地の変化 ◆指導ページ P. 22~ 25◆ 【指導のねらい】 ★マグマの性質と噴火のようすや火山の形の関係,火成岩のでき方を理解する。 ★地震のを起こす波の伝わり方とプレートの動きを学習し,地震が発生するメカニズムを知る。 ★地層のでき方,堆積岩の種類や特徴,化石の種類を理解する。 学 習 内 容 補足知識・留意事項など 1 火山と火成岩 ⇒確認 1,演習 1 1 火山と火成岩 ・火山の形 暗記 試代表的な火山をあげて,マグマのねばりけと火山の形や色, 噴火のようすを連動して覚えさせる。 ・昭和新山…おわん形。白っぽく,岩石や火山灰をふき出 火山の形 マグマのねばりけ 盛り上がった形 強い 噴火のようす 激しい 溶岩の色 白っぽい 円すい形 中程度 す激しい噴火。 平たい形 弱い ・三原山…平たい形。黒っぽく,溶岩流が流れる。 おだやか 灰色 試火成岩の有色鉱物の割合 黒っぽい ・玄武岩,斑れい岩…有色鉱物 5 0 %以上 ・火山噴出物…火山ガス(おもに水蒸気),溶岩(マグマが地 つぶ ・流紋岩,花こう岩…有色鉱物 3 0 %以下 表に出たもの),火山灰(おもに鉱物の粒)。 ・火成岩…マグマが冷えて固まった岩石。 暗記 試火山岩と深成岩の組織のちがいが,マグマの冷え方による ①火山岩…地表付近で急に冷やされてできる。細かな粒の はんしょう ・安山岩,せん緑岩…有色鉱物 3 0 %~ 5 0 % はん 石基と大きな粒の斑晶からなる斑状組織。安山岩など。 ②深成岩…地下深くでゆっくりと冷えてできる。石基がな りゅう く,大きな結晶からなる等粒状組織。花こう岩など。 ・鉱物 暗記 とう ことをじゅうぶん理解させる。 試火山灰を観察するときには,火山灰を水洗いして,粘土や 木の根などを取り除く必要がある。 試石英・長石・黒雲母については,色・割れ方の特徴なども おさえておきたい。 ①無色鉱物:長石(白色,規則正しく割れる),石英(透明, 不規則に割れる)。 くろうん も き かくせん ②有色鉱物:黒雲母(黒色,うすくはがれる),輝石,角閃 じ てっこう たい 2 地層と堆積岩 試海岸からの距離と堆積物の粒の大きさの違いについてじゅ うぶん説明する。 石,かんらん石,磁鉄鉱など。 試火成岩と堆積岩,岩石のでき方がちがうことを理解させる。 たい 2 地層と堆積岩 ⇒確認 2,演習 2,3 ・火成岩…溶岩が冷えて固まった岩石。 ・風化…岩石が温度変化や水のはたらきなどでくずれる。 ・堆積岩…海底・湖底などの水底や陸地に堆積し,押し固 ・流水のはたらき…侵食:陸地をけずる。運ぱん:土砂を運 められてできた岩石。 しん ぶ。堆積:土砂を積もらせる。 理解 試チャートの主な成分は二酸化ケイ素で,これは非常に固い ・地層の堆積…ふつう,上の地層ほど新しい。 物質である。このため,釘でひっかいたくらいでは傷をつ ・堆積岩…堆積物がおし固められてできた岩石。 暗記 けることはできない。 でい ①岩石の粒…れき岩,砂岩,泥岩。粒は丸みをおびている。 ②生物の死がい…石灰岩(塩酸で気体が発生),チャート。 ぎょうかい ③火山灰… 凝 灰岩。粒は角ばっている。火山活動を示す。 試地層に含まれる示相化石をもとに,環境の変化を説明でき るようにしておく。 試示準化石の条件として,①現生していないもの。②短い年 ・示相化石…地層が堆積した当時の環境を示す。 暗記 代によって形態が変化したもの。③広く分布していたもの。 サンゴ:暖かくて浅い海,シジミ:湖や河口付近,など。 があげられる。 ・示準化石…地層が堆積した年代を示す。 暗記 サンヨウチュウ,フズリナ:古生代,アンモナイト,キョ ウリュウ:中生代,ビカリア,ナウマンゾウ:新生代 3 地震 試2種類のゆれを起こす波の速さが異なること,観測地まで の到達時間の差が初期微動継続時間であることを理解させ る。 3 地震 ⇒確認 3,演習 4 ・震源…地震の発生地点。震源の真上の地表の地点が震央。 び ・ゆれ…初期微動(P波による小さなゆれ) 主 要 動(S波による大きなゆれ) ○初期微動継続時間…震源からの距離に比例する。 理解 ・震度…ゆれの大きさ。0~7 (5と6は弱・強)の 1 0段階。 試初期微動継続時間が震源距離に比例することをしっかり確 認する。 試マグニチュードが 1大きくなると,震源から放出されるエ ネルギーは約 3 2倍になる。 試日本海溝は,太平洋プレート(海洋プレート)と北アメリカ ・マグニチュード(M)…地震の規模を表す尺度。 プレート(大陸プレート)がぶつかりあったところにできて ・大地の変動による現象…津波:海底地震で生じる大きな波。 いる。 断層:地層のずれ。しゅう曲:横からの力で,地層が波打っ たもの。 暗記 れい ・プレート…地表をおおう岩盤。海嶺でできて移動し,海溝 で地球内部へ沈みこむ。 試海洋プレートは大陸プレートよりも強固で密度が高いため, 2つがぶつかると海洋プレートは大陸プレートの下に沈ん でいくことになる。
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