2014 年度「ファイナンス保険数理特論」 補足1 — 正規分布の裾の評価 — 2014 年 5 月 9 日, 高岡浩一郎∗ 【このファイルは2頁分です. 】 標準正規分布の密度関数を ϕ(x) と記すこととします,つまり ( x2 ) 1 ϕ(x) := √ exp − . 2 2π 本稿では,各正数 x に対して ∫ ∞ (1 1) ϕ(x) − 3 ϕ(x) < ϕ(y) dy < x x x x を示します.この式を ϕ(x) x で割ると,はさみうちから ∫∞ ϕ(y) dy x lim ϕ(x) x x→∞ = 1 という性質も導かれます. 式 (1) の右側の不等号の証明 ∫ (1) ∫ ∞ ϕ(y) dy x y ϕ(y) dy x x = = ∗ 一橋大学大学院商学研究科.E-mail: ∞ < 1 x ∫ ∞ y ϕ(y) dy x ϕ(x) x 【 ∵ ϕ′ (x) = −x ϕ(x) 】 [email protected] 1 (2) 式 (1) の左側の不等号の証明 ∫ ∫ ∞ ϕ(y) dy ∞ = x x = > = = } 1{ y ϕ(y) dy y ϕ(x) − x ϕ(x) − x ∫ ∞ ϕ(y) dy y2 x ∫ ∞ (3) y 3 ϕ(y) dy x3 y 2 x ϕ(x) 1 − 3 x x 【 ∵ 部分積分 】 ∫ ∞ y ϕ(y) dy x ϕ(x) ϕ(x) − x x3 精緻化 式 (3) の積分をさらに部分積分することにより ∫ ∞ ∫ ∞ ϕ(x) ϕ(y) ϕ(x) − + 3 dy ϕ(y) dy = 3 x x y4 x x が成り立つので,この式を上と同様に変形すると,式 (1) を ∫ ∞ (1 (1 1) 1 3) − 3 ϕ(x) < ϕ(y) dy < − 3 + 5 ϕ(x) x x x x x x と改良することができますし,それを基に式 (2) も lim x→∞ ϕ(x) x − ∫∞ x ϕ(x) x3 ϕ(y) dy = 1 と改良することができます.式 (4) 右辺をさらに部分積分することにより, { } ∫ ∞ 1 1 1·3 1·3·5 1·3·5·7 ϕ(y) dy ∼ ϕ(x) − + 5 − + − ··· x x3 x x7 x9 x という 漸近展開 (asymptotic expansion) を得ることも可能です. 2 (4)
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